41 / 87
第五部
第39話「私は、初めての友達とカフェに行く②」
しおりを挟む
私から離れ、ショーケースの前でケーキを選び始めた佐倉さんを見て私はほっと一息吐く。
お店の中にそんなに人が居なくて助かった。
でなきゃ今頃──変な百合展開になってた。私には好きな人がいるので、そんなこと絶対させないけど、人の考えって様々だから、ね?
「あ、そうだ! 連れてきた詫びだから、好きなの選んでね!」
「それは継続なの?」
「もちのろん! 分割払い禁止だから! これは私の意地なので異論は認めません!」
「え……えぇ」
ショーケースの中に並べられた多種多様なケーキに目を配る。
華やかな飾りつけをされたものから、シンプルなショートケーキに至るまでの数々に、つい小腹が鳴ってしまった。……うぅ、恥ずかしい。
そうだ。せっかくだし、ここでお昼済ませようかな。
時刻は12時を過ぎたばかり。
こうして友達とカフェでお昼なんてするの、初めてで少し緊張する。晴斗はあまり外にいることがないし、寄り道をしても精々本屋だけ。私もそれで満足してたから、彼が悪いと一概には言えない。
私はショートケーキを、佐倉さんはアップルパイを注文し、私は2人席の確保へと向かった。このお店はこじんまりとしていてとても落ち着く。それに、あまり人もいないし。今度、気が向きそうだったら晴斗誘ってみようかな?
と、そんな物思いに耽っている中、佐倉さんは店長さんとカウンターでお喋りをしているようだった。
コロコロと表情が変わる佐倉さんを見ていると、よっぽど仲がいいんだなと思う。
昔から通ってるって言ってたけど、一体いつ頃から何だろう。
私は2人席の1席に着き、彼女が戻ってくるまでの間、今読み進めている本を読むことにした。単行本だけど、意外とミステリー要素多めで気に入っている作品だ。
「お待たせーっと、本読んでたの?」
「え、えぇ」
「へぇー。渚ちゃんって本読むんだ。私の幼馴染とそっくり!」
「幼馴染がいるの?」
「うん。渚ちゃんのことも、そいつからよく聞いてたんだー」
「……そうなの」
ちょっと怖くなってきた……。
あんまり自意識過剰って思われたくないから敢えて濁すようにして返したけど、佐倉さんの幼馴染って、一体何者なの?
測定のときにも言ってたけど、私のことをよく知ってるみたいだし。
……こう言っては難だけど、心当たりが多すぎて誰なのか検討がつかない。
「にしても意外。渚ちゃんが教室で本を読むところなんて、見たことなかったから」
「……本当は好きなの。本を読むことが」
「もしかして、他の女子達が無作為に話しかけてくるから中々読めないー、とか?」
「それもある、けど……」
「他にもあるの?」
あると言えばある。だから私はその問いにコクリと軽く頷いた。
「……本を読んでると、どうしても意識が違う世界に行ってしまって、みんなの声とかを聞くことが出来なくなるの。だから、学校ではあまり読まないようにしてるの」
「そっか。でも、そこまで話に意識を向ける必要あるの?」
「そ、それは……」
私は言葉を思わず飲み込む。
――意識は向けなきゃいけない。そうじゃなきゃ……私はまた、晴斗に迷惑をかける。
けどあの頃のことを佐倉さんに説明することはしたくなかった。……知り合ったばかりの佐倉さんを、巻き込むことはしたくない。あれは──私と晴斗の問題だから。
「言いたくないか。まぁ、無理して言わせることもない……か」
言葉が詰まった私のことを察してくれたのか、佐倉さんは肩を落とした。
「でも、勿体ないね。趣味なんでしょ?」
「ありがとう。でも大丈夫。家に帰ってからでも読めるから」
読んでいたページに栞を挟んで、サッと鞄の中へと仕舞った。友達がいるのにわざわざ目の前で読むほど度畜生ではない。晴斗じゃないからね。
私は一般的に、ライトノベルではなく一般小説を好んで読む。単行本なんかがそう。
ミステリーものや、恋愛小説。後は時々だけど、か、かん、のう……とかも、時々、本っ当に時々! ……も、読んだりしている。
でも私はその全てにおいて、意識を現実世界に留めておけない。その点は、おそらく晴斗と一緒だと思う。
トップカーストの位置に点在する私とは違い、自称“根暗ぼっち”な彼は私みたいに気を使う必要もない。……こういうときだけ、スゴく羨ましいと思ってしまう。
でもそれが、彼が望んで手に入れた場所。
そしてここが、私が望んで君臨している場所だけど……不安定な場所でもある。
でも、過去の自分に問いても仕方ない──過去はどうやっても変えられない。これが、私が選んで歩くことにした『道』なんだから。
「さ。こんな暗い話しててもしょうがないし、ケーキ食べましょ」
「それもいいけど──その前に、話してくれないかな?」
私がケーキの皿に手を伸ばそうとしたとき、まるで小さな子どもからおもちゃを取り上げたように、ケーキを遠ざける佐倉さん。
話……というと、私が体力測定のときに感じてしまった、佐倉さんへの劣等感のことだろうか。あれについては、あまり聞かないでほしいけど……。
「えっと、どういう話?」
「どういうって、決まってるじゃん! ほら、好きな小説の話! もっと聞かせてくれる?」
──正直、驚いた。大袈裟な表現もなく、純粋に。
たった一言。
趣味として、隠すようにしてきた『好きなこと』は、受け入れ難い一面がある。
現代の高校生が読むものに限らず、小説は漫画と違って受け入れられない部分が多い本だし、それでもいいと思ってきた。
受け入れられなくても……って。
けれど佐倉さんは……私の周りを取り巻いていた冷たい空気を、ほんわりと暖かくしてくれた。
「えっ、えっと……どうして?」
「そんなに理由なきゃダメ? うーーん。強いて言うなら、渚ちゃんのことをもっと知りたいからかな」
……一緒だ。私と、一緒のこと思ってくれてたんだ。
「でも、そんなに面白い話とか出来ないと思うし……」
「──人の好きなことを否定する権利なんて、この世には無いと思うよ?」
「……っ!!」
「ま、近くに本好きがいるからってのもあるけど。好きなんでしょ、小説?」
「……うん」
「なら、その話をもう少し詳しく聞きたいって思うのは、友達だったら普通の反応だと思うけどなぁ~」
……そんなのこと、言われたことがなかった。
昔、たった1度だけ、私の好きなことを話したことがあったけど……周りの人達は、まるで興味が無さそうだった。だから──辞めていたのに。
佐倉さんは不思議そうに私を見ながら言った。
「さっきさ、周りを裏切らないように的なこと言ってたじゃん?」
「う、うん……」
「体力測定のときも思ったけど、周りを気にして自分の好きなことを打ち明けれないのは、もう渚ちゃんの短所だね。我慢のしすぎってよくないよ?」
「そ、そんなことは…………ない、でもない」
「どっちよ!」
苦笑いを浮かべる佐倉さんは、微妙な反応を返す私に構わず続ける。
「渚ちゃんってさ、好きなことに一生懸命取り組んだことって、ある?」
「……どうしてそんなことを?」
「いやね。渚ちゃん見てるとさ、何て言うか……周りを気にしすぎて、本当の自分を表現しきれてないって感じがして。見てて少し危なっかしいし」
「ゔぅ……」
「……まぁ、いきなり変えろって言うのも無理な話だし、当面は私だけでもいいから自分を偽る必要はないよ。でもそのためにはまず、もう少し物腰柔らかくしてほしいかな?」
「…………したことない」
「嘘をつけ! 嘘を!」
佐倉さんはそう言うと、取り上げていたショートケーキを私の前に置く。
素直にさせるための口実じゃなかったみたいに、佐倉さんは「食べよっか!」なんて、普通に言ってきた。
──でもお陰で、少しだけわかった気がする。
佐倉さんの前なら、大丈夫だって。──私の、自分の話をしてもいいって。
これはあくまでも『直感』だけれど。
「──今度」
「ん? 今度?」
「……今度、一緒にお昼食べてくれる?」
「……っ! もちろんだとも!」
改めて思った。──私は初めて、本当の『友達』を作れたのだと。
お店の中にそんなに人が居なくて助かった。
でなきゃ今頃──変な百合展開になってた。私には好きな人がいるので、そんなこと絶対させないけど、人の考えって様々だから、ね?
「あ、そうだ! 連れてきた詫びだから、好きなの選んでね!」
「それは継続なの?」
「もちのろん! 分割払い禁止だから! これは私の意地なので異論は認めません!」
「え……えぇ」
ショーケースの中に並べられた多種多様なケーキに目を配る。
華やかな飾りつけをされたものから、シンプルなショートケーキに至るまでの数々に、つい小腹が鳴ってしまった。……うぅ、恥ずかしい。
そうだ。せっかくだし、ここでお昼済ませようかな。
時刻は12時を過ぎたばかり。
こうして友達とカフェでお昼なんてするの、初めてで少し緊張する。晴斗はあまり外にいることがないし、寄り道をしても精々本屋だけ。私もそれで満足してたから、彼が悪いと一概には言えない。
私はショートケーキを、佐倉さんはアップルパイを注文し、私は2人席の確保へと向かった。このお店はこじんまりとしていてとても落ち着く。それに、あまり人もいないし。今度、気が向きそうだったら晴斗誘ってみようかな?
と、そんな物思いに耽っている中、佐倉さんは店長さんとカウンターでお喋りをしているようだった。
コロコロと表情が変わる佐倉さんを見ていると、よっぽど仲がいいんだなと思う。
昔から通ってるって言ってたけど、一体いつ頃から何だろう。
私は2人席の1席に着き、彼女が戻ってくるまでの間、今読み進めている本を読むことにした。単行本だけど、意外とミステリー要素多めで気に入っている作品だ。
「お待たせーっと、本読んでたの?」
「え、えぇ」
「へぇー。渚ちゃんって本読むんだ。私の幼馴染とそっくり!」
「幼馴染がいるの?」
「うん。渚ちゃんのことも、そいつからよく聞いてたんだー」
「……そうなの」
ちょっと怖くなってきた……。
あんまり自意識過剰って思われたくないから敢えて濁すようにして返したけど、佐倉さんの幼馴染って、一体何者なの?
測定のときにも言ってたけど、私のことをよく知ってるみたいだし。
……こう言っては難だけど、心当たりが多すぎて誰なのか検討がつかない。
「にしても意外。渚ちゃんが教室で本を読むところなんて、見たことなかったから」
「……本当は好きなの。本を読むことが」
「もしかして、他の女子達が無作為に話しかけてくるから中々読めないー、とか?」
「それもある、けど……」
「他にもあるの?」
あると言えばある。だから私はその問いにコクリと軽く頷いた。
「……本を読んでると、どうしても意識が違う世界に行ってしまって、みんなの声とかを聞くことが出来なくなるの。だから、学校ではあまり読まないようにしてるの」
「そっか。でも、そこまで話に意識を向ける必要あるの?」
「そ、それは……」
私は言葉を思わず飲み込む。
――意識は向けなきゃいけない。そうじゃなきゃ……私はまた、晴斗に迷惑をかける。
けどあの頃のことを佐倉さんに説明することはしたくなかった。……知り合ったばかりの佐倉さんを、巻き込むことはしたくない。あれは──私と晴斗の問題だから。
「言いたくないか。まぁ、無理して言わせることもない……か」
言葉が詰まった私のことを察してくれたのか、佐倉さんは肩を落とした。
「でも、勿体ないね。趣味なんでしょ?」
「ありがとう。でも大丈夫。家に帰ってからでも読めるから」
読んでいたページに栞を挟んで、サッと鞄の中へと仕舞った。友達がいるのにわざわざ目の前で読むほど度畜生ではない。晴斗じゃないからね。
私は一般的に、ライトノベルではなく一般小説を好んで読む。単行本なんかがそう。
ミステリーものや、恋愛小説。後は時々だけど、か、かん、のう……とかも、時々、本っ当に時々! ……も、読んだりしている。
でも私はその全てにおいて、意識を現実世界に留めておけない。その点は、おそらく晴斗と一緒だと思う。
トップカーストの位置に点在する私とは違い、自称“根暗ぼっち”な彼は私みたいに気を使う必要もない。……こういうときだけ、スゴく羨ましいと思ってしまう。
でもそれが、彼が望んで手に入れた場所。
そしてここが、私が望んで君臨している場所だけど……不安定な場所でもある。
でも、過去の自分に問いても仕方ない──過去はどうやっても変えられない。これが、私が選んで歩くことにした『道』なんだから。
「さ。こんな暗い話しててもしょうがないし、ケーキ食べましょ」
「それもいいけど──その前に、話してくれないかな?」
私がケーキの皿に手を伸ばそうとしたとき、まるで小さな子どもからおもちゃを取り上げたように、ケーキを遠ざける佐倉さん。
話……というと、私が体力測定のときに感じてしまった、佐倉さんへの劣等感のことだろうか。あれについては、あまり聞かないでほしいけど……。
「えっと、どういう話?」
「どういうって、決まってるじゃん! ほら、好きな小説の話! もっと聞かせてくれる?」
──正直、驚いた。大袈裟な表現もなく、純粋に。
たった一言。
趣味として、隠すようにしてきた『好きなこと』は、受け入れ難い一面がある。
現代の高校生が読むものに限らず、小説は漫画と違って受け入れられない部分が多い本だし、それでもいいと思ってきた。
受け入れられなくても……って。
けれど佐倉さんは……私の周りを取り巻いていた冷たい空気を、ほんわりと暖かくしてくれた。
「えっ、えっと……どうして?」
「そんなに理由なきゃダメ? うーーん。強いて言うなら、渚ちゃんのことをもっと知りたいからかな」
……一緒だ。私と、一緒のこと思ってくれてたんだ。
「でも、そんなに面白い話とか出来ないと思うし……」
「──人の好きなことを否定する権利なんて、この世には無いと思うよ?」
「……っ!!」
「ま、近くに本好きがいるからってのもあるけど。好きなんでしょ、小説?」
「……うん」
「なら、その話をもう少し詳しく聞きたいって思うのは、友達だったら普通の反応だと思うけどなぁ~」
……そんなのこと、言われたことがなかった。
昔、たった1度だけ、私の好きなことを話したことがあったけど……周りの人達は、まるで興味が無さそうだった。だから──辞めていたのに。
佐倉さんは不思議そうに私を見ながら言った。
「さっきさ、周りを裏切らないように的なこと言ってたじゃん?」
「う、うん……」
「体力測定のときも思ったけど、周りを気にして自分の好きなことを打ち明けれないのは、もう渚ちゃんの短所だね。我慢のしすぎってよくないよ?」
「そ、そんなことは…………ない、でもない」
「どっちよ!」
苦笑いを浮かべる佐倉さんは、微妙な反応を返す私に構わず続ける。
「渚ちゃんってさ、好きなことに一生懸命取り組んだことって、ある?」
「……どうしてそんなことを?」
「いやね。渚ちゃん見てるとさ、何て言うか……周りを気にしすぎて、本当の自分を表現しきれてないって感じがして。見てて少し危なっかしいし」
「ゔぅ……」
「……まぁ、いきなり変えろって言うのも無理な話だし、当面は私だけでもいいから自分を偽る必要はないよ。でもそのためにはまず、もう少し物腰柔らかくしてほしいかな?」
「…………したことない」
「嘘をつけ! 嘘を!」
佐倉さんはそう言うと、取り上げていたショートケーキを私の前に置く。
素直にさせるための口実じゃなかったみたいに、佐倉さんは「食べよっか!」なんて、普通に言ってきた。
──でもお陰で、少しだけわかった気がする。
佐倉さんの前なら、大丈夫だって。──私の、自分の話をしてもいいって。
これはあくまでも『直感』だけれど。
「──今度」
「ん? 今度?」
「……今度、一緒にお昼食べてくれる?」
「……っ! もちろんだとも!」
改めて思った。──私は初めて、本当の『友達』を作れたのだと。
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説


隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる