上 下
48 / 50
薔薇の香りと剣舞曲

48 勘違いのマッテオ

しおりを挟む
 どうだ? 繋がるか?

 GMスワンにフレンドチャットの申請をする。で、ポチったけど相手に届いたのかどうかの判断材料がシステムに無いみたいだ。繋がりませんとか、相手が居ませんとか、なんらかの理由が表示されればありがたいのだが、このゲームではそれが搭載されていないようだ。

 ここんとこ改良してもらいたいなぁ、覚えとこ。今度運営に報告しなければな。

 フレンドの項目に、モフモフうさぎや白刃のロビー、C.Cと巴御前の名前もあるが、フレンドチャットの申請は全員に送る事が出来た。というか、送れたのが定かでは無い。

 フレンドチャットは役立たず決定!

 選択肢は2つだ。ログアウトして、運営にメールを送って返答が来るまでログインしない。もう1つは、この人の居なさそうな街並みを散策してみるって事。
 俺はまずは右手の建物の前に進んで行くことにした。ログアウトなんてするつもりは無い、だってここには巨大なスライムなんていないだろうからね。

 ガラス張りのショーウィンドウは、ピカピカに磨き上げられていて俺の姿が映っていた。
 しげしげと俺は自分の姿を見てみる。腰の剣を手に取ってキメポーズをしてみたり、腕を組んで片手を顎に当てて悩んでいる風を装ってみたり、髪をかきあげる仕草を途中で止めてカッコイイか確認してみたり、そもそもの俺の顔がイケメンかどうかジッと見つめてみたり……

「かっこ良すぎて惚れちまうでしょっ、そんなに見つめたら」

 ガラスに映った自分に、つい話しかけてみた。

「いやっ、それは、……そうかぁ? だが、あいにく俺は女の子しか興味が無くてな、惚れられてもちょっと困るなぁ」

「えっ?」

誰だ? 男の声がしたっ!

 振り返ると、そこには大きめの中華包丁みたいなのを持った、ガタイの良い金髪イケメンおじさんが立っていた。

「うわっ、マジ、イケメンのダンディがいらっしゃる」

 俺がつい、ネカマモードで話しかけると

「いやー、噂には聞いていたが例え男でもこう真っ直ぐ言われると、気持ちが悪い訳でも無いもんだなぁ」

 自分をかっこいいと言われたと勘違いをしている男が、頭を掻きながら言った。

「俺は肉屋のマッテオ、こいつで肉を切ったりするのが仕事だ」

「あっ、はじめまして。あの、えーと、俺、いや、あたしはラヴィアンローズと申します」

「ガハハ、無理すんなよっ、ネカマのラヴィちゃん。あんたの事は聞いてるし、あんたに用事があってここに来たんだ」

「そ、そうなの。くそぉ、じゃあもういいやっ、で、俺に用事って?」

「ああ、これ。これを渡しに来たんだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

【書籍化確定、完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ 目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/12/26……書籍化確定、公表 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい

冬月光輝
恋愛
「ジーナとはそんな関係じゃないから、昔から男友達と同じ感覚で付き合ってるんだ」 婚約者で侯爵家の嫡男であるニッグには幼馴染のジーナがいる。 ジーナとニッグは私の前でも仲睦まじく、肩を組んだり、お互いにボディタッチをしたり、していたので私はそれに苦言を呈していた。 しかし、ニッグは彼女とは仲は良いがあくまでも友人で同性の友人と同じ感覚だと譲らない。 「あはは、私とニッグ? ないない、それはないわよ。私もこんな性格だから女として見られてなくて」 ジーナもジーナでニッグとの関係を否定しており、全ては私の邪推だと笑われてしまった。 しかし、ある日のこと見てしまう。 二人がキスをしているところを。 そのとき、私の中で何かが壊れた……。

処理中です...