人生、7回目なんで!

三輪

文字の大きさ
上 下
5 / 14

5:玉という玉を潰します。

しおりを挟む
「えぇー...いや、なんで?弟くん今日は来てないじゃん。」
「暇だったんで。」
いや、勉強しなさい。
今日もまた姉の方が遊びに来ていた。
弟くん回収係としてちょっと寄っていくくらいだったのに、最近では弟くん以上に僕の部屋に入り浸っている。
コンビニから帰ってきて、こやつがドッカリ座っているのを見つけて、悲鳴を上げかけた。玄関の鍵は閉めたはずなのに。
聞くと、「ベランダの鍵が開いてました。」とケロッとした顔で答えてくれた。完璧に不法侵入じゃないか。
「あんまりさ、あのー...君一応女子高生だろ?こういう...。」
「男の一人暮らし部屋にノコノコ上がり込んで何されても文句言えねえぞってことですよね?大丈夫です、そんな素振りをしたと判断した瞬間玉という玉を潰します。」
日に日に過激派していっているきがする。おかしいな、初めてあった時は物静かな文学少女のイメージだったのに。
「ところで佐藤さん、突然の話で申し訳ないんですが、」
椅子に足を組んでふんぞり返っているポーズからは申し訳なさが1mmも感じられなかった。
「私、佐藤さんの前世の人がどうしても好きになれません。」
なんだ、突然僕がフラれたみたいじゃないか。
「あっへぇ...。」

「私が...前世の鶏が殺されるってわかっててなんで名前なんて付けたんでしょう?」
「奇遇だね。僕も同じことを考えてるよ。」
僕はペットボトルのお茶を2つのコップに注いだ。
「それこそ馬鹿だったんじゃないかな。」
おじいさんは馬鹿みたいに優しかった。
「おじいさんの前世も、そのまた前世も、そのまたまた前世も、ずーっと馬鹿だったのさ。」
「どうしてそんなにはっきり?分からないでしょ。」
「分かるさ。覚えてるんだから。」
「やっぱり佐藤さん、変わってる人だったんですね。」
素で微笑む顔を、初めて見た気がする。
「...否定はしないけど。」
「前世が沢山分かったところで、何もいいことはないけどね。」
前世で関わりのあった人に会う度に、自分の前世の死に際を思いだす。僕らが前世の記憶で苦しむというと、これくらいだ。
「そうですね。」
人以外の前世を持つ人の死に際の記憶はショッキングなものが多いと聞く。少し申し訳ない。
「私はあの夜、スプラッタな夢を見て眠れませんでした。」
「大変申し訳ない。」
土下座した。
「まあ、あのおじいさんすごく優しかったし。死ぬって分かっててもペットみたいに愛情注ぎたかったんじゃないんですか?」

「...どうだろうね。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ボッチによるクラスの姫討伐作戦

イカタコ
ライト文芸
 本田拓人は、転校した学校へ登校した初日に謎のクラスメイト・五十鈴明日香に呼び出される。  「私がクラスの頂点に立つための協力をしてほしい」  明日香が敵視していた豊田姫乃は、クラス内カーストトップの女子で、誰も彼女に逆らうことができない状況となっていた。  転校してきたばかりの拓人にとって、そんな提案を呑めるわけもなく断ろうとするものの、明日香による主人公の知られたくない秘密を暴露すると脅され、仕方なく協力することとなる。  明日香と行動を共にすることになった拓人を見た姫乃は、自分側に取り込もうとするも拓人に断られ、敵視するようになる。  2人の間で板挟みになる拓人は、果たして平穏な学校生活を送ることができるのだろうか?  そして、明日香の目的は遂げられるのだろうか。  ボッチによるクラスの姫討伐作戦が始まる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

優等生ヒマリの憂鬱(『文芸部』シリーズ)

Aoi
ライト文芸
 まっすぐ伸びた背筋、強い意志を感じさせる鋭い目つき、学業優秀、品行方正、彼女は正しく優等生であった。しかし、そんな彼女にも、他人には打ち明けられぬ悩みがある。『文芸部』シリーズ『透明少女』の後のヒマリの日常を描いたサイドストーリー。

僕とコウ

三原みぱぱ
ライト文芸
大学時代の友人のコウとの思い出を大学入学から卒業、それからを僕の目線で語ろうと思う。 毎日が楽しかったあの頃を振り返る。 悲しいこともあったけどすべてが輝いていたように思える。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

【完結】のぞみと申します。願い事、聞かせてください

私雨
ライト文芸
 ある日、中野美於(なかの みお)というOLが仕事をクビになった。  時間を持て余していて、彼女は高校の頃の友達を探しにいこうと決意した。  彼がメイド喫茶が好きだったということを思い出して、美於(みお)は秋葉原に行く。そこにたどり着くと、一つの店名が彼女の興味を引く。    「ゆめゐ喫茶に来てみませんか? うちのキチャを飲めば、あなたの願いを一つ叶えていただけます! どなたでも大歓迎です!」  そう促されて、美於(みお)はゆめゐ喫茶に行ってみる。しかし、希(のぞみ)というメイドに案内されると、突拍子もないことが起こった。    ーー希は車に轢き殺されたんだ。     その後、ゆめゐ喫茶の店長が希の死体に気づいた。泣きながら、美於(みお)にこう訴える。 「希の跡継ぎになってください」  恩返しに、美於(みお)の願いを叶えてくれるらしい……。  美於は名前を捨てて、希(のぞみ)と名乗る。  失恋した女子高生。    歌い続けたいけどチケットが売れなくなったアイドル。  そして、美於(みお)に会いたいサラリーマン。  その三人の願いが叶う物語。  それに、美於(みお)には大きな願い事があるーー

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

高度救命救急センターの憂鬱 Spinoff

さかき原枝都は
ライト文芸
フェローは家畜だ。たっぷり餌を与えて…いや指導だ! 読み切り!全8話 高度救命救急センターの憂鬱 Spinoff 外科女医二人が織り成す恐ろしくも、そしてフェロー(研修医)をかわいがるその姿。少し違うと思う。いやだいぶ違うと思う。 高度救命センターを舞台に織り成す外科女医2名と二人のフェローの物語。   Emergency Doctor 救命医  の後続編Spinoff版。 実際にこんな救命センターがもしもあったなら………

処理中です...