31 / 37
第31話 パーティ結成
しおりを挟む
いろいろと考えさせられる事が多かったサリュ領への小旅行を終え、俺はこれから日常を過ごす事になる冒険者学園へと帰ってきた。
月曜日の講義の1限目、全クラスを集めて行われた〈修学課題〉の説明会に俺たちは出席していた。
「既に知っている者も多いように、今週の水曜日から日曜日までの5日間をかけて、諸君にはオーベル王国西方にあるサリュ領都マークを拠点にして、修学課題を行ってもらう」
講堂の檀上で語るのは、俺たちの担任でもある金髪の筋骨隆々とした大男、カサドール教官であった。
「修学課題においては、サリュ領で実際に冒険者が行うような業務を課題として行ってもらい、その実績に応じて成績評価を行う。そのために諸君には、所属するクラスにおいて4人組のパーティを組んでもらう。このために各クラスの人数は4の倍数に調整されているため、欠席は原則許されない。体調管理にも気を付け、水曜日を待つように」
「……4人組のパーティかぁ。サルヴァっちは誰と組むのかなぁ?」
「……私語は控えたらどうだ、ユエ?」
カサドール教官が話しているのにも構わず話しかけてくるユエを、俺は真面目にたしなめておく。一応首席だし、多少は優等生ムーブをしておいてもいいだろう。
その後も、サリュ領での予定や冒険者としての課題の注意点などについてこまごまとしたアナウンスが成されて、その会はお開きとなった。
「サルヴァ……わたしはサルヴァと組みたい。いい?」
と、教室まで戻ろうと歩き出したところで、驚くべき事にメインヒロインであるシエルから、積極的なお誘いを貰ってしまった。
「いいけど、なんで俺がいいんだ?」
「……勘。サルヴァには、びびっと惹かれるような、何かがあるから」
思わずドキリとしてしまうような事を平気で言ってのけるシエルの胆力の強さに、メインヒロインとしてのヒロイン力の高さを感じ、本当に俺はこの子が好きだったよなぁ、とかつてのデウスをプレイしていた頃の自分の事を思い出してしまった。
ふわふわとした白髪を伸ばした髪が揺れると少女らしい香りが漂い、桃色がかった可憐な瞳が、きょとんとした表情のままでまっすぐに俺の魂を射抜く。
「……そうか。まあ、俺は構わないよ」
シエルが可愛すぎて、思わず了承の返事をしてしまう俺であった。
「サルヴァさん。それでしたらわたしもサルヴァさんと組みたいのですが、ダメでしょうか?」
と、そこで今度は反対側からアリーシャが話しかけてくる。
その正体は秘密結社〈円環の唄〉の〈恋の秘密を唄う使徒〉であり、最近この組織の使徒たちと触れ合う機会が多かった俺としては、できれば一緒に行動する事は避けたい相手だとも感じていたのだが……
「……サルヴァさんについていけば、美味しいお菓子をくれそうな予感がしたんです。そうしたら、サルヴァさんの事ももっと好きになれて、とってもハッピーだなって」
このアリーシャ、水色の髪に紫色の神秘的な瞳が抜群に可愛い、とんでもない美少女である。そんな可愛すぎる女の子が、「サルヴァさんの事をもっと好きに」なんて言ってきた日には、俺のような童貞のまま死を迎えた転生者にできる抵抗など無いといってもいいだろう。
「ま、まあ、いいぞ……組もうか」
「せっかくですし、ルークさんも連れて行きましょうか」
「え、俺?」
アリーシャの鶴の一声で、デウスにおける主人公、ルークもメンバーに加わった。
それに俺自身を加えたこの4名が、俺の最初の修学課題でのパーティメンバーとなったらしい。
原作でも好きだったキャラクターたちと一緒の冒険に、思わず胸が高鳴るのを感じる俺であったが、原作とは異なるメンバー構成に、またしても原作崩壊の予感を感じとる事は避けられなかった。
その後は、修学課題に向けた戦闘訓練の授業、魔物討伐の授業、野営などサバイバルの授業などを行いながら月曜日と火曜日が過ぎ、俺たちは修学課題の当日を迎える事となっていたのだった。
月曜日の講義の1限目、全クラスを集めて行われた〈修学課題〉の説明会に俺たちは出席していた。
「既に知っている者も多いように、今週の水曜日から日曜日までの5日間をかけて、諸君にはオーベル王国西方にあるサリュ領都マークを拠点にして、修学課題を行ってもらう」
講堂の檀上で語るのは、俺たちの担任でもある金髪の筋骨隆々とした大男、カサドール教官であった。
「修学課題においては、サリュ領で実際に冒険者が行うような業務を課題として行ってもらい、その実績に応じて成績評価を行う。そのために諸君には、所属するクラスにおいて4人組のパーティを組んでもらう。このために各クラスの人数は4の倍数に調整されているため、欠席は原則許されない。体調管理にも気を付け、水曜日を待つように」
「……4人組のパーティかぁ。サルヴァっちは誰と組むのかなぁ?」
「……私語は控えたらどうだ、ユエ?」
カサドール教官が話しているのにも構わず話しかけてくるユエを、俺は真面目にたしなめておく。一応首席だし、多少は優等生ムーブをしておいてもいいだろう。
その後も、サリュ領での予定や冒険者としての課題の注意点などについてこまごまとしたアナウンスが成されて、その会はお開きとなった。
「サルヴァ……わたしはサルヴァと組みたい。いい?」
と、教室まで戻ろうと歩き出したところで、驚くべき事にメインヒロインであるシエルから、積極的なお誘いを貰ってしまった。
「いいけど、なんで俺がいいんだ?」
「……勘。サルヴァには、びびっと惹かれるような、何かがあるから」
思わずドキリとしてしまうような事を平気で言ってのけるシエルの胆力の強さに、メインヒロインとしてのヒロイン力の高さを感じ、本当に俺はこの子が好きだったよなぁ、とかつてのデウスをプレイしていた頃の自分の事を思い出してしまった。
ふわふわとした白髪を伸ばした髪が揺れると少女らしい香りが漂い、桃色がかった可憐な瞳が、きょとんとした表情のままでまっすぐに俺の魂を射抜く。
「……そうか。まあ、俺は構わないよ」
シエルが可愛すぎて、思わず了承の返事をしてしまう俺であった。
「サルヴァさん。それでしたらわたしもサルヴァさんと組みたいのですが、ダメでしょうか?」
と、そこで今度は反対側からアリーシャが話しかけてくる。
その正体は秘密結社〈円環の唄〉の〈恋の秘密を唄う使徒〉であり、最近この組織の使徒たちと触れ合う機会が多かった俺としては、できれば一緒に行動する事は避けたい相手だとも感じていたのだが……
「……サルヴァさんについていけば、美味しいお菓子をくれそうな予感がしたんです。そうしたら、サルヴァさんの事ももっと好きになれて、とってもハッピーだなって」
このアリーシャ、水色の髪に紫色の神秘的な瞳が抜群に可愛い、とんでもない美少女である。そんな可愛すぎる女の子が、「サルヴァさんの事をもっと好きに」なんて言ってきた日には、俺のような童貞のまま死を迎えた転生者にできる抵抗など無いといってもいいだろう。
「ま、まあ、いいぞ……組もうか」
「せっかくですし、ルークさんも連れて行きましょうか」
「え、俺?」
アリーシャの鶴の一声で、デウスにおける主人公、ルークもメンバーに加わった。
それに俺自身を加えたこの4名が、俺の最初の修学課題でのパーティメンバーとなったらしい。
原作でも好きだったキャラクターたちと一緒の冒険に、思わず胸が高鳴るのを感じる俺であったが、原作とは異なるメンバー構成に、またしても原作崩壊の予感を感じとる事は避けられなかった。
その後は、修学課題に向けた戦闘訓練の授業、魔物討伐の授業、野営などサバイバルの授業などを行いながら月曜日と火曜日が過ぎ、俺たちは修学課題の当日を迎える事となっていたのだった。
2
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした
恋狸
青春
特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。
しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?
さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?
主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!
小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
カクヨムにて、月間3位

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松本は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる