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第一部 目覚めの少女と嘆きの神
38話 歩み3
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バラバラに駆け出すと、集まっていた場所に砲弾が着弾し、大きな砂煙が上がる。あの場に居た土龍をイナホが気に掛けると、
「心配無用。白き鉄の兵以外、我らに干渉することはおろか、感知すらできん」
傷一つ無い土龍のその言葉を聞き戦闘に集中すると、一気に戦車へと距離を詰める。
先行したツグミは夢繕勾玉により、更に強化された身体能力で、上空からの銃撃を縫うように、韋駄天の如く走り抜ける。彼女のその手に握られた秋ノ御太刀が振られると、戦車の分厚い装甲を容易く切り裂き、砲台を破壊した。他の仲間たちもキャタピラや車輪を断ち、行動を封じたのだった。
続けて空中のドローンに、斐瀬里は八咫射弩の照準を合わせようとするが、厄介に飛び回り苦戦していた。そこに慶介が、
「ここは僕に任せて!」
形態変化はさせずに、弾薬にイメージを送ると、二機のドローンが近づいた瞬間、その間を狙い引き金を引いた。打ち出した小さな弾頭は、ドローンの間近で破裂し、無数に散った飛礫がその装甲を貫いた。落下してきたドローンに、すかさず他の者達がとどめを刺した。ツグミは辺りを見渡し、
「空中炸薬モードですか。お見事です、慶介」
ツグミに褒められ、慶介が少し照れ臭そうにすると、初の実戦勝利にイナホ達は沸くのだった。そんな中、イナホは破壊した戦車を検分する。
「これが敵の姿なんだね。こんなおっきいのに誰も乗ってないんだ。この機械達を操ってる大本を断てば、止められるのかな?どう?ツグミちゃん?」
ツグミは戦車の内部にある基盤をスキャンしながら、
「これらの製造元、管理国が大本という意味では、既にネットワークは断たれていますね。その後に未知のプログラム・・・、いえ、プログラムと呼べるかどうか不明な言語で再構築されているようです。敵の正体をこれらから辿るのは難しいでしょう」
戦闘を見届けた土龍が歩み寄り、
「子供と思うて侮っていた。実に見事な戦いぶり、神に似たる力を持つか。そなた等はこの地の希望かもしれぬ。北に見えるあの霊峰へ急げ、神宮に住んでいた神々なら、秋津国へと帰る術も何か分かるやもしれん」
一同が頷く中、イナホは、
「土龍様はここに残るのですか?」
「土着の信仰に繋ぎ留められているが故、この辺りを離れる事叶わぬ。この土地に守るべき者も居なくなり、あとは老いて朽ち行くのみ・・・・、とも思ったが」
土龍はそう言うと体を光に変え、八個にその身を割き、イナホ達の夢繕勾玉にへと飛び込んだ。慌てるイナホが、
「わあ!ど、土龍様!?」
すると皆の夢繕勾玉の中から声が聞こえる。
「ふむ、そこの朽ち社よりかは居心地良きかな。そなた等に認識された事で、幾らかは寿命も延びよう。この老いたる龍の力、子らに暫し預けよう。さあ、共に参るぞ」
「一緒に来てくれるって事ですか?土龍様、ありがとうございます!」
皆が胸の前の勾玉を握り締めると、その足は北の霊峰に向かい踏み出すのだった。
「心配無用。白き鉄の兵以外、我らに干渉することはおろか、感知すらできん」
傷一つ無い土龍のその言葉を聞き戦闘に集中すると、一気に戦車へと距離を詰める。
先行したツグミは夢繕勾玉により、更に強化された身体能力で、上空からの銃撃を縫うように、韋駄天の如く走り抜ける。彼女のその手に握られた秋ノ御太刀が振られると、戦車の分厚い装甲を容易く切り裂き、砲台を破壊した。他の仲間たちもキャタピラや車輪を断ち、行動を封じたのだった。
続けて空中のドローンに、斐瀬里は八咫射弩の照準を合わせようとするが、厄介に飛び回り苦戦していた。そこに慶介が、
「ここは僕に任せて!」
形態変化はさせずに、弾薬にイメージを送ると、二機のドローンが近づいた瞬間、その間を狙い引き金を引いた。打ち出した小さな弾頭は、ドローンの間近で破裂し、無数に散った飛礫がその装甲を貫いた。落下してきたドローンに、すかさず他の者達がとどめを刺した。ツグミは辺りを見渡し、
「空中炸薬モードですか。お見事です、慶介」
ツグミに褒められ、慶介が少し照れ臭そうにすると、初の実戦勝利にイナホ達は沸くのだった。そんな中、イナホは破壊した戦車を検分する。
「これが敵の姿なんだね。こんなおっきいのに誰も乗ってないんだ。この機械達を操ってる大本を断てば、止められるのかな?どう?ツグミちゃん?」
ツグミは戦車の内部にある基盤をスキャンしながら、
「これらの製造元、管理国が大本という意味では、既にネットワークは断たれていますね。その後に未知のプログラム・・・、いえ、プログラムと呼べるかどうか不明な言語で再構築されているようです。敵の正体をこれらから辿るのは難しいでしょう」
戦闘を見届けた土龍が歩み寄り、
「子供と思うて侮っていた。実に見事な戦いぶり、神に似たる力を持つか。そなた等はこの地の希望かもしれぬ。北に見えるあの霊峰へ急げ、神宮に住んでいた神々なら、秋津国へと帰る術も何か分かるやもしれん」
一同が頷く中、イナホは、
「土龍様はここに残るのですか?」
「土着の信仰に繋ぎ留められているが故、この辺りを離れる事叶わぬ。この土地に守るべき者も居なくなり、あとは老いて朽ち行くのみ・・・・、とも思ったが」
土龍はそう言うと体を光に変え、八個にその身を割き、イナホ達の夢繕勾玉にへと飛び込んだ。慌てるイナホが、
「わあ!ど、土龍様!?」
すると皆の夢繕勾玉の中から声が聞こえる。
「ふむ、そこの朽ち社よりかは居心地良きかな。そなた等に認識された事で、幾らかは寿命も延びよう。この老いたる龍の力、子らに暫し預けよう。さあ、共に参るぞ」
「一緒に来てくれるって事ですか?土龍様、ありがとうございます!」
皆が胸の前の勾玉を握り締めると、その足は北の霊峰に向かい踏み出すのだった。
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