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第7章 器
33話
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全ての志願者の適性検査が終了し、イナホ達が待機していると、そこに愛数宿たちと大隊長が現れた。愛数宿は、
「皆さん、本日はお疲れ様でした。これより、結果を伝えます。あらゆる要素を総合的に判断致しました。その結果・・・、候補生第三班、彼らに日本調査任務を託す事となりました」
戦闘経験の一番浅い候補生が選ばれたことに、その場がどよめく。しかし、一番驚いていたのはイナホ達だった。愛数宿はそんな彼らに向けて続けた。
「彼らの実戦経験から言えば、この場に居る、他のどの者よりも乏しいでしょう。しかしながら、先の事件解決へ一役買った行動力、意志の強さ。そして何より、神器への高い適応を見せました。私たちは、その可能性を信じたいと思います」
すると、メイア達の元第三小隊の面々から拍手が送られ始めた。それが周囲に伝播する中、メイアはイナホ達を見て、複雑そうな笑顔で祝福をしていた。
その光景を微笑ましく見届けていた愛数宿は、
「候補生第三班改め、特務隊日本調査班は、これより近衛隊に正式配属となります。出立までの数日、武御磐分たちから直々に戦闘訓練を受け、そして、神器の扱いの鍛錬もしてもらいます。必ず帰って来られるよう、少しでも多く、その身に生き延びる力と術を蓄えなさい。では高見大隊長、あとは頼みます」
イナホたち日本調査班は、案内されるまま、近衛隊本部へと手続きへと向かった。
本殿に戻ろうとしていた愛数宿は、通路を歩いている途中、眩暈を起こし、足元をふらつかせてしまったのだった。それを即座に周囲の側近たちは受け止めた。彼女は頭を押さえながら、
「ここ数日、神器への御霊分けなどに力を使い過ぎたようです。少し休めば大事ありません。子供たちが命を掛けようという時に、情け無いものです」
「すぐに巫女達に御神楽の準備をさせましょう」
「そうですね、今は時間が惜しい時。人の子の力に甘えさせていただくとしましょう」
大社に居る巫女たちに伝令が伝わり、慌ただしく神楽を舞う準備が進められた。
夜になり、本殿の前で舞う巫女達により、徐々に愛数宿の力が回復しつつあった。それは、人間には不可視の力が、愛数宿に集まっているようだった。
その頃、イナホたち日本調査班は諸手続きを終え、本部の一室でツグミから日本や地球上の事についての講習を受けていた。百花は手を挙げると、
「ツグツグせんせー、日本以外にも国があるってことは、日本はもうどこかの国に救われてるんじゃ?」
「良い質問ですね」
「「そうか・・・!?」」
声を揃えたのは悠と香南芽だった。香南芽は百花に向かい、
「ももっち、あの例の映像が撮られたのは、最近って話なんだぞ?」
悠も、
「そうだ。地球の各国々は複雑な関係性にあると言っていた。救いの手があるなら、ああはならないだろう。それに映像では、敵は他国が寄り付けないほどの強さを持っているとも語っていたな」
百花は思考を巡らせている様子で、
「えー、だって、急に規模がデカい話で難しいんだもん。わかんないよー。イナホだってそうだよね?」
イナホは目を合わせずに、
「わ、わかったよ?」
「はぁー?嘘つけー!」
ツグミは仕切り直そうと、
「では、話をまとめます。霞み池の漂流物に、各国の自律兵器の破片、特に、日本との友好国のものも、多数確認出来ている事から、映像の話は事実だと断定できます。敵の主戦力が機械。つまり、非生物という事なら、秋津国の存在、その進入路が発見されれば、霞み池を通じて侵入される可能性が十分にあります。私がその最たる例ですね」
斐瀬里は、
「という事は、私達の最優先任務は、敵の戦力把握と・・・・」
ツグミは頷き、
「正体の解明。通常の兵器だけによる災いならば、秋津国で迎撃のしようもあります。ですが、気になるのは・・・」
司が、
「大御神様が何かの気配を感じ取った・・・・」
「そうです。現地での戦闘は極力避けたいですが。あくまで今回は調査なので」
慶介はそれを聞き、
「現地での人助けも控える様にって話だったよね?」
「ええ、そうですね。異なる未知の文明、まして秋津国は地球上からしてみれば、ほぼ異世界ですので、その出会いが何を齎すのか未知数です。大御神様も、それは大きく懸念していました。向こうでは隠密行動のようになりますね」
イナホは困った顔で、
「傷つく人を助けたいって思いで、みんな志願したのに、なんだかなぁ・・・・」
「しかしながら、私達の判断も含め、何か信じるところあって、大御神様も神器の使い手をお選びになったのでしょう。少し柔軟に考えてもいいのではないでしょうか?」
「うん・・・、日本の人達を見殺しになんて出来ないしね」
「さて、今日はこの辺で解散としましょう。明日からは武御磐分様の戦闘指南が始まります」
「皆さん、本日はお疲れ様でした。これより、結果を伝えます。あらゆる要素を総合的に判断致しました。その結果・・・、候補生第三班、彼らに日本調査任務を託す事となりました」
戦闘経験の一番浅い候補生が選ばれたことに、その場がどよめく。しかし、一番驚いていたのはイナホ達だった。愛数宿はそんな彼らに向けて続けた。
「彼らの実戦経験から言えば、この場に居る、他のどの者よりも乏しいでしょう。しかしながら、先の事件解決へ一役買った行動力、意志の強さ。そして何より、神器への高い適応を見せました。私たちは、その可能性を信じたいと思います」
すると、メイア達の元第三小隊の面々から拍手が送られ始めた。それが周囲に伝播する中、メイアはイナホ達を見て、複雑そうな笑顔で祝福をしていた。
その光景を微笑ましく見届けていた愛数宿は、
「候補生第三班改め、特務隊日本調査班は、これより近衛隊に正式配属となります。出立までの数日、武御磐分たちから直々に戦闘訓練を受け、そして、神器の扱いの鍛錬もしてもらいます。必ず帰って来られるよう、少しでも多く、その身に生き延びる力と術を蓄えなさい。では高見大隊長、あとは頼みます」
イナホたち日本調査班は、案内されるまま、近衛隊本部へと手続きへと向かった。
本殿に戻ろうとしていた愛数宿は、通路を歩いている途中、眩暈を起こし、足元をふらつかせてしまったのだった。それを即座に周囲の側近たちは受け止めた。彼女は頭を押さえながら、
「ここ数日、神器への御霊分けなどに力を使い過ぎたようです。少し休めば大事ありません。子供たちが命を掛けようという時に、情け無いものです」
「すぐに巫女達に御神楽の準備をさせましょう」
「そうですね、今は時間が惜しい時。人の子の力に甘えさせていただくとしましょう」
大社に居る巫女たちに伝令が伝わり、慌ただしく神楽を舞う準備が進められた。
夜になり、本殿の前で舞う巫女達により、徐々に愛数宿の力が回復しつつあった。それは、人間には不可視の力が、愛数宿に集まっているようだった。
その頃、イナホたち日本調査班は諸手続きを終え、本部の一室でツグミから日本や地球上の事についての講習を受けていた。百花は手を挙げると、
「ツグツグせんせー、日本以外にも国があるってことは、日本はもうどこかの国に救われてるんじゃ?」
「良い質問ですね」
「「そうか・・・!?」」
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「ももっち、あの例の映像が撮られたのは、最近って話なんだぞ?」
悠も、
「そうだ。地球の各国々は複雑な関係性にあると言っていた。救いの手があるなら、ああはならないだろう。それに映像では、敵は他国が寄り付けないほどの強さを持っているとも語っていたな」
百花は思考を巡らせている様子で、
「えー、だって、急に規模がデカい話で難しいんだもん。わかんないよー。イナホだってそうだよね?」
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「はぁー?嘘つけー!」
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