上 下
39 / 64
側近選抜試験

試験−3

しおりを挟む
2回戦Aブロック・・。
「さぁ、2回戦のスタートです!両者チームの入場です!」
なぜだか知らないが、2回戦から実況がされるようだ。裏にいても聞こえるくらいの声だ。
「行くよ、2人共」
「もちろん!」「分かってる!」
蒼達が表舞台に出ると共に、ワー!と盛大な歓声が上がる。
そして、目の前にいる対戦相手は、ルイス達だ。
「さて、どうするか・・(蒼に攻撃を当てることは、オレやアクセルじゃ、99%不可能だろう。だが、そのためにラムがいる)」
ルイスがチラッとラムの方を向いた。そして、お互いに頷き合っている。
「ルイスさん、何をしようとしているか分かりませんが・・。オレに攻撃を当てることは、無理で・・」
そう言い終えようとした時だった。ルイスの投げたナイフが、蒼の頬をかすった。
「何だ!(ちゃんと、バリアも発動したはず。タイミングがずれたか・・)」
「何が起こったかわからないでしょ」
ラムが語りかけてきている。おそらく、ラムが何かしたのだろう。
「大丈夫?蒼。彼女の能力について説明しそびれたわね・・彼女の能力は・・」
「私の能力は、空間の圧縮よ」
蒼とサンダーはどういう能力か、具体的な想像がつかず、ぽかんとしていた。
「具体的にいうと・・」
ランツェの説明によると。
一辺0~20センチほどの半透明の立方体を作り出し、押しつぶすというものだ。同時に作り出せる数は、4つ。そして、それは生物も押しつぶすことができるようだ。
「なるほど・・(バリアを発動したとしても、いくらでも穴を開けられてしまうというわけだ。かなり厄介だな。それに、下手すれば、体の一部が潰される)やばいな」
「作戦はどうする?ランツェ。各個1対1で行くか、3対3で行くか。決めてくれ」
確かにどちらの戦法もありだ。
だが、蒼にとっての天敵は、ラム一人のみ。前者の案でいくのが妥当だろう。
「オレは、1対1に賛成だ。オレがルイスの相手をする」
「なら、私はアクセルさんだ」
やはり、ラムの相手はランツェに任せたほうがいいだろう。ランツェが彼女の能力に一番慣れていて、詳しいからだ。
「1対1に持ち込む気か!無駄だぞ!ラムの圧縮が届く範囲は直径60メートルまでに及ぶ、この闘技場全体だ。逃場はないぞ」
確かにルイスの言う通りかもしれない。だが、ラムの気を少しでもそらせるなら十分だ。それに、多少なりとも防げる方法を思いついた。
「大丈夫だ、ランツェ。1対1の方法で行こう!」
「・・わかった。それじゃあ、作戦開始」
蒼達3人はそれぞれ散らばった。
「どうするの、ルイス。1対1、それとも強制的に3対3に持ち込ませる?」
「フッ、面白い。蒼達のやり方に乗ってやろう。ちょうど、蒼と真剣勝負したかったところだ!」
ルイスはそう言うと、ラムたちが止める間もなく、蒼のところに突っ走った。
「はぁ、仕方がないね。私はランツェの相手をするから、アクセルの方も負けないでね」
「わかってる。(自分はあまり体術はできないんだけど、なんとかなるよな。魔法の技術の自信はあるから・・)」


ーサンダー対アクセルー
「まさか、サンダー。君と戦うことになるとは・・。治療した君を再び、怪我をが負わせる羽目になるとは・・。医者としては、失格だけど」
「大丈夫だ!そもそも怪我なんか負わないからな、負う前に戦闘不能にすればいいだけの話だ。治療してくれたからとはいえ、手を抜く気はない!」
サンダーは刀を抜き、構え、刃先をアクセルに向ける。
そして、その1秒後にはアクセルの目の前まで迫る。
「速い!」
ビリリッと電撃音が鳴り響く。
その音の正体は、サンダーが刀に付与した雷属性だ。黄色の電撃がサンダーの刀にサンダーは下から、刀を振り上げる。
ブンッという風切音と電撃音が同時に鳴る。
アクセルは反射的にギリギリ、頭をのけぞらせて、避けたようだ。
「痛っ!・・やるね」
直撃は避けられたものの電撃がアクセルの顎辺りにかすり傷を負わせられた。
「私の攻撃はこれだけで終わりではない」
「なっ!(動けない)」
サンダーは、動きが静止しているアクセルの腹に蹴りを入れた。
「グッ!ハァハァ!(やっと動かせる)」
「その顎にある傷口から雷を流し込んだ!そして、食らわせた分だけ動きを止めることができる!医者のアクセルさんなら、仕組みはもうわかっているはずだ」
「やっぱり、そういうことか」
アクセルは、電流治療法も携わったことがあるため、仕組みは何となく理解できた。わかったところで、回避できなければ、どうにもならないが。
「そして、私が習得した技術はこれだけではない!『アイシクルランス』!」
サンダーは左手を前に出し、魔法陣のようなものから、キーン!、という音と共に氷の槍のようなものを作り出した。発射準備は完了。
「(今、突撃しても。自殺行為になるだけだ。・・なら防ぐしか攻略法はないな)『フレイムガード』」
アクセルは炎の盾を生み出した。盾がボウボウと静かな音を鳴らしている。
そして、サンダーの発射した氷の槍はアクセルに当たることなく、盾に当たり、溶けて終わってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

追放された聖女の悠々自適な側室ライフ

白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」 平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。 そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。 そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。 「王太子殿下の仰せに従います」 (やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや) 表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。 今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。 マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃 聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

処理中です...