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別の異世界
ランツェ
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蒼とサンダーがたどり着いた建物の前の看板には(冒険者協会)と書かれていた。
「冒険者協会?何だそれ?」
蒼は、首を傾げながら、看板に書かれてある内容を読んでいる。
「そんなの読まなくても、中に入れば分かると思うが・・。」
「そ、そうだな。ヴィトンさんを待たせてるかもだし・・」
蒼とサンダーが協会に入ると、ヴィトンがすぐ近くで座って待っていた。そして、二人に気づいたヴィトンは、ニッコリして、手を振り出した。
「やぁ、二人とも!待っていたよ。早速だけど、ついてきて!案内するから。」
「はい」
ヴィトンは、少し急いでるようだった。蒼が、不思議に思い、協会内の時計を見ると、11時45分を指していた。
「そんなに時間使ったか?」
「ああ!蒼くん、ロートンくんのバーの時計だけど・・あれ、進むスピードが少し遅くなってきてるんだよね。多分、ロートンくんの伝え忘れだと思うけど。」
ヴィトンが、振り返って、そう言うと、再び前を向いて歩き出した。
・・ヴィトンが二人を連れて行ったのは、1階の隅の方にある客室だった。(部屋の家具と構造は、少しだけロートンのバーの客室に似ている。一つのテーブルとその両端にソファーが置かれている。)
部屋に入ると、黒の服に紫色髪をして、目に眼帯をつけた20歳くらいの女性が座っている。
「やっ、ランツェちゃん!連れてきたよ。待たせちゃったかな?」
「大丈夫ですよ。3分ほど前に着いたばっかりなので。」
ランツェは、ヴィトンの方(正式には、蒼とサンダーのことかもしれない)をチラっと見た後、落ち着いた声でそう言った。
「そう。ならいいか!それじゃあ、紹介しようか!こっちは・・」
そう言い、ヴィトンが、まず、蒼のことを紹介しようとすると、ランツェが口を挟んだ。
「紹介は、必要ないですよ。今日の朝、寮のポストに二人の詳細について書かれた紙が送りつけられてあったので。」
「そういえば、そういえばそうだった。忘れてたよ。」
ヴィトンは、そう言い、ランツェの横に座った。そして、蒼とサンダーは、その向かいの席に座った。
「それじゃあ、本題に入ろうか。まずは・・・」
ヴィトンは、ソファーにもたれながら、そう言った。その体制を、ランツェは、相変わらずだな、とでも言いたそうな表情で見ている。そして、また、ヴィトンが話し出すと、口を挟んだ。
「私の自己紹介ですよね、ヴィトン先生。わかってますよ!」
ヴィトンは、話を遮られたのか、少しだけ落ち込んだ表情をしている。
「私の名前は、ランツェ。以後、よろしく・・・と言いたいのだけど、私があなた達と組むかは、実力次第ね」
「やっぱりか!ランツェちゃん!」
蒼とサンダーは、何のことか分からず、黙って聞いている。
「いい!蒼とサンダー!二人には、今から、私と模擬試合をしてもらうよ!ついて来て!」
ランツェは、席から立ち上がり、部屋から出ていこうとしている。蒼とサンダーは、何も言わずに、その後ろをついて行った。最後に、ヴィトンも呆れながらも、席を立ち、3人の後ろを歩いた。
ー冒険者協会(修行場)ー
ランツェが連れて行ったところは、客室を出て、すぐ正面の部屋に入ったところだった。
「さてと、各自、好きな模造武器をあそこから取ってきて!さっそく、始めるよ。」
「は、はい!」「あ、あぁ」
蒼とサンダーは、言われるがままに、部屋の隅の武器置き場に向かった。そして、二人とも模造剣を手に取った。
「取ったね。それじゃあ、ルールを説明するよ。まずは・・」
ランツェが言うには・・・
1,模造武器で相手に3回攻撃をヒットできれば、勝利。
2,魔法、宿っているものの使用は、禁止。
「そして、2人で私にかかってくること。これは、言ってしまえば、ハンデよ。」
ランツェは、余裕そうな表情(少しだけ戦うのを楽しみにしていそうな表情ともとれる)をして、槍を両手で持っている。
「戦う前に一つ!ランツェちゃん。」
「・・・何ですか?(どうせ、あの件のことでしょ。わかってるのに!)」
蒼とサンダーも剣を構えるのをやめて、二人の話を聞くことにした。ヴィトンの話は、大体重要なことであると、思っているからである。
「本気、出しすぎないでよ!前の二人なんか・・・」
「前の二人って、誰のことですか?ヴィトンさん。」
二人の近くまで来た蒼は、興味本位で聞いてみた。
「気になっちゃった?・・・教えてもいいけど、それで、戦う気を失っても知らないからね。」
蒼とサンダーは、同時に頷き、「気になります!」と答えた。その横で、ランツェは腕組みしながら、3人から目線を反らしている。
「1年くらい前の話なんだけどね。蒼くんとサンダーちゃんみたいに、ランツェちゃんと組む二人を、私が推薦したんだけど。この模擬戦で、ランツェちゃんがやり過ぎちゃったみたいでね。二人とも、腕の骨が折れるや内出血やらで大変な怪我を負ったんだって。後から聞いたんだけど、退院するまで、2ヶ月くらいかかったみたいだよ。」
この話を、チラチラとランツェの方を見ながら、話した。
「冒険者協会?何だそれ?」
蒼は、首を傾げながら、看板に書かれてある内容を読んでいる。
「そんなの読まなくても、中に入れば分かると思うが・・。」
「そ、そうだな。ヴィトンさんを待たせてるかもだし・・」
蒼とサンダーが協会に入ると、ヴィトンがすぐ近くで座って待っていた。そして、二人に気づいたヴィトンは、ニッコリして、手を振り出した。
「やぁ、二人とも!待っていたよ。早速だけど、ついてきて!案内するから。」
「はい」
ヴィトンは、少し急いでるようだった。蒼が、不思議に思い、協会内の時計を見ると、11時45分を指していた。
「そんなに時間使ったか?」
「ああ!蒼くん、ロートンくんのバーの時計だけど・・あれ、進むスピードが少し遅くなってきてるんだよね。多分、ロートンくんの伝え忘れだと思うけど。」
ヴィトンが、振り返って、そう言うと、再び前を向いて歩き出した。
・・ヴィトンが二人を連れて行ったのは、1階の隅の方にある客室だった。(部屋の家具と構造は、少しだけロートンのバーの客室に似ている。一つのテーブルとその両端にソファーが置かれている。)
部屋に入ると、黒の服に紫色髪をして、目に眼帯をつけた20歳くらいの女性が座っている。
「やっ、ランツェちゃん!連れてきたよ。待たせちゃったかな?」
「大丈夫ですよ。3分ほど前に着いたばっかりなので。」
ランツェは、ヴィトンの方(正式には、蒼とサンダーのことかもしれない)をチラっと見た後、落ち着いた声でそう言った。
「そう。ならいいか!それじゃあ、紹介しようか!こっちは・・」
そう言い、ヴィトンが、まず、蒼のことを紹介しようとすると、ランツェが口を挟んだ。
「紹介は、必要ないですよ。今日の朝、寮のポストに二人の詳細について書かれた紙が送りつけられてあったので。」
「そういえば、そういえばそうだった。忘れてたよ。」
ヴィトンは、そう言い、ランツェの横に座った。そして、蒼とサンダーは、その向かいの席に座った。
「それじゃあ、本題に入ろうか。まずは・・・」
ヴィトンは、ソファーにもたれながら、そう言った。その体制を、ランツェは、相変わらずだな、とでも言いたそうな表情で見ている。そして、また、ヴィトンが話し出すと、口を挟んだ。
「私の自己紹介ですよね、ヴィトン先生。わかってますよ!」
ヴィトンは、話を遮られたのか、少しだけ落ち込んだ表情をしている。
「私の名前は、ランツェ。以後、よろしく・・・と言いたいのだけど、私があなた達と組むかは、実力次第ね」
「やっぱりか!ランツェちゃん!」
蒼とサンダーは、何のことか分からず、黙って聞いている。
「いい!蒼とサンダー!二人には、今から、私と模擬試合をしてもらうよ!ついて来て!」
ランツェは、席から立ち上がり、部屋から出ていこうとしている。蒼とサンダーは、何も言わずに、その後ろをついて行った。最後に、ヴィトンも呆れながらも、席を立ち、3人の後ろを歩いた。
ー冒険者協会(修行場)ー
ランツェが連れて行ったところは、客室を出て、すぐ正面の部屋に入ったところだった。
「さてと、各自、好きな模造武器をあそこから取ってきて!さっそく、始めるよ。」
「は、はい!」「あ、あぁ」
蒼とサンダーは、言われるがままに、部屋の隅の武器置き場に向かった。そして、二人とも模造剣を手に取った。
「取ったね。それじゃあ、ルールを説明するよ。まずは・・」
ランツェが言うには・・・
1,模造武器で相手に3回攻撃をヒットできれば、勝利。
2,魔法、宿っているものの使用は、禁止。
「そして、2人で私にかかってくること。これは、言ってしまえば、ハンデよ。」
ランツェは、余裕そうな表情(少しだけ戦うのを楽しみにしていそうな表情ともとれる)をして、槍を両手で持っている。
「戦う前に一つ!ランツェちゃん。」
「・・・何ですか?(どうせ、あの件のことでしょ。わかってるのに!)」
蒼とサンダーも剣を構えるのをやめて、二人の話を聞くことにした。ヴィトンの話は、大体重要なことであると、思っているからである。
「本気、出しすぎないでよ!前の二人なんか・・・」
「前の二人って、誰のことですか?ヴィトンさん。」
二人の近くまで来た蒼は、興味本位で聞いてみた。
「気になっちゃった?・・・教えてもいいけど、それで、戦う気を失っても知らないからね。」
蒼とサンダーは、同時に頷き、「気になります!」と答えた。その横で、ランツェは腕組みしながら、3人から目線を反らしている。
「1年くらい前の話なんだけどね。蒼くんとサンダーちゃんみたいに、ランツェちゃんと組む二人を、私が推薦したんだけど。この模擬戦で、ランツェちゃんがやり過ぎちゃったみたいでね。二人とも、腕の骨が折れるや内出血やらで大変な怪我を負ったんだって。後から聞いたんだけど、退院するまで、2ヶ月くらいかかったみたいだよ。」
この話を、チラチラとランツェの方を見ながら、話した。
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