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第一章 憧れのタワマン
3 どんな償いでも
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「一昨日は泊まりの予定だったが……。意外に早く終わったんで、遅くなったが帰ったんだ。そうしたら……君とうちの嫁がこういうことになってた」
明人が出されたコーヒーに口をつけながら、静かな口調で言う。
いつもどおりメガネの似合う、清潔感漂うイケメンだ。だが、譲には彼の顔が今まで見たことがないほど怖く思えた。
まあ無理もない。嫁を寝取られたのだから。
(ど……どうすればいいんだ……?)
パニックで譲の頭の中は真っ白だった。
暇つぶしにネットで読んだことがある。不倫が原因で離婚した場合、百万単位の慰謝料が発生することがあると。今の自分に払える額ではない。
それ以前に、自分は芸能人の端くれだ。もし不倫が表沙汰になれば、マスコミにつるし上げられて仕事がなくなる可能性だってある。
なにより、美緒に離婚されてしまうかも知れない。
今まで積み上げ育んできたものが、一度の過ちで全部ダメになる。その予感に、背中を冷たいものが流れる。
「まさか……。嫁がいつも俺と寝てるベッドで他の男に抱かれてるとは思わなかったよ……。俺はな、あいつを愛してる。絵美香も同じだと……信じてた」
明人の言葉が、ぐさりぐさりと譲の胸に刺さる。
二十五歳の若者は己を恥じた。一番傷ついたのは、嫁を寝取られた明人だ。
そこには考えが及ばず、自分のことばかり心配していた。
「すみませんでした……! 本当に申し訳ありません!」
考える前に身体が動いていた。床に平伏して頭を擦りつける。
大人として最低限の常識を今思い出した。黙っていないで、最初に謝るべきだったのだ。
無論、謝罪しても不倫をなかったことにはできない。だが、謝罪すらしないのは論外だ。
「頭を上げてくれ」
明人の反応は、冷たい言葉の刃そのものだった。土下座くらいで許すつもりはないと言外に告げていた。
「頼むから、頭を上げてくれ」
二度言われ、譲は恐る恐る身体を起こす。
「嫁は君と寝たのを認めたよ。だが……はっきり言ってどうしていいのか俺にもわからん。この際だから……弁護士を立てて話そうかと思っている」
(弁護士……!?)
自分の顔から血の気が引いていくのが分かる。譲の今までの人生で初めてのことだった。
弁護士に依頼するとなれば、当然明人はなにが起きたのかを全部話すだろう。万一裁判となれば、全部が公になってしまう。もちろん嫁である美緒にも。
「それだけは……! それだけは勘弁してもらえませんか!? 嫁に知られてしまいます! 明人さん……!」
「嫁に知られてしまう? 君はこのまま逃げ切るつもりなのか!? 人の嫁と不倫をしておいて……!」
再び平伏した譲は、明人の一括に目線を上げる。
言い訳の言葉もない。彼の言うとおりだ。人妻を寝取っておいて、自分は夫婦生活を壊したくないと言っている。虫が良すぎる話だ。
「また連絡する」
そう言って明人はソファーを立つ。
(だめだ!)
「待って下さい! お願いです!」
恥も外聞もなく、謙はその場を辞そうとする隣人の脚にしがみついた。
彼をこのまま帰してはならない。
どんな恥辱にまみれようと、もし暴力を受けようとも、なんとかして許しを請わなければならない。
「お願いです……! どんな償いでもします……。なんでもしますから……。本当になんでもしますから……。嫁に知られるようなことはどうか……!」
明人の脚にすがりついて必死で情けない声を上げる。酔った勢いで彼の妻を汚してしまった自分にできるのは、それだけだった。
メガネのイケメンはしばらくの間無言だった。
どう償わせてやろうか考えているのか、それとも脚にすがられてうっとおしいがどうしたものかと考えているだけか。譲には伺い知れなかった。
やがて、明人は大きく嘆息する。
「『どんな償いでもします』。その言葉……忘れるなよ?」
冷たい目線で見下ろされながら、氷のような言葉で言われる。
譲はこれからどうなるのか恐ろしかった。だが、なんとしても彼のごきげんを取って許してもらうしかない。
「はい。なんでも言ってください」
せめて覚悟を示そうと、明人の目をまっすぐに見た。
「あの……これでいいですか……」
「ああ、取りあえずはそれでいい」
譲は自分と美緒の寝室で生まれたままの姿になっていた。
まず裸になれ。それが明人の命令だった。
(なにかの罰ゲームかな……? でも……逆らっちゃいけない……)
男の自分の恥ずかしい姿をネットにでも拡散するのだろうか。なんであれ、彼が少しでも怒りを鎮めてくれるなら是非もない。
「そんなにそわそわするな。とって食いやしない。俺も脱ぐから」
「え……?」
苦笑した明人は、自らも服を脱ぎ始める。Yシャツとジーンズを脱ぎ捨て、上等のシルクのブリーフも脱いでしまう。
(ええ……? うわ……なんだこれ……? 明人さん勃起してる……。しかも……すごくでかい……)
なんと、明人の股間についているものは猛り狂って天井を向いていた。しかも、巨大でゴツゴツして、とても立派だった。
ごくり。譲はついつばを呑み込んでしまう。なんだか自分も変な気分になりそうなのだ。
なぜか、隣人の巨根から目が離せなくなる。
明人が出されたコーヒーに口をつけながら、静かな口調で言う。
いつもどおりメガネの似合う、清潔感漂うイケメンだ。だが、譲には彼の顔が今まで見たことがないほど怖く思えた。
まあ無理もない。嫁を寝取られたのだから。
(ど……どうすればいいんだ……?)
パニックで譲の頭の中は真っ白だった。
暇つぶしにネットで読んだことがある。不倫が原因で離婚した場合、百万単位の慰謝料が発生することがあると。今の自分に払える額ではない。
それ以前に、自分は芸能人の端くれだ。もし不倫が表沙汰になれば、マスコミにつるし上げられて仕事がなくなる可能性だってある。
なにより、美緒に離婚されてしまうかも知れない。
今まで積み上げ育んできたものが、一度の過ちで全部ダメになる。その予感に、背中を冷たいものが流れる。
「まさか……。嫁がいつも俺と寝てるベッドで他の男に抱かれてるとは思わなかったよ……。俺はな、あいつを愛してる。絵美香も同じだと……信じてた」
明人の言葉が、ぐさりぐさりと譲の胸に刺さる。
二十五歳の若者は己を恥じた。一番傷ついたのは、嫁を寝取られた明人だ。
そこには考えが及ばず、自分のことばかり心配していた。
「すみませんでした……! 本当に申し訳ありません!」
考える前に身体が動いていた。床に平伏して頭を擦りつける。
大人として最低限の常識を今思い出した。黙っていないで、最初に謝るべきだったのだ。
無論、謝罪しても不倫をなかったことにはできない。だが、謝罪すらしないのは論外だ。
「頭を上げてくれ」
明人の反応は、冷たい言葉の刃そのものだった。土下座くらいで許すつもりはないと言外に告げていた。
「頼むから、頭を上げてくれ」
二度言われ、譲は恐る恐る身体を起こす。
「嫁は君と寝たのを認めたよ。だが……はっきり言ってどうしていいのか俺にもわからん。この際だから……弁護士を立てて話そうかと思っている」
(弁護士……!?)
自分の顔から血の気が引いていくのが分かる。譲の今までの人生で初めてのことだった。
弁護士に依頼するとなれば、当然明人はなにが起きたのかを全部話すだろう。万一裁判となれば、全部が公になってしまう。もちろん嫁である美緒にも。
「それだけは……! それだけは勘弁してもらえませんか!? 嫁に知られてしまいます! 明人さん……!」
「嫁に知られてしまう? 君はこのまま逃げ切るつもりなのか!? 人の嫁と不倫をしておいて……!」
再び平伏した譲は、明人の一括に目線を上げる。
言い訳の言葉もない。彼の言うとおりだ。人妻を寝取っておいて、自分は夫婦生活を壊したくないと言っている。虫が良すぎる話だ。
「また連絡する」
そう言って明人はソファーを立つ。
(だめだ!)
「待って下さい! お願いです!」
恥も外聞もなく、謙はその場を辞そうとする隣人の脚にしがみついた。
彼をこのまま帰してはならない。
どんな恥辱にまみれようと、もし暴力を受けようとも、なんとかして許しを請わなければならない。
「お願いです……! どんな償いでもします……。なんでもしますから……。本当になんでもしますから……。嫁に知られるようなことはどうか……!」
明人の脚にすがりついて必死で情けない声を上げる。酔った勢いで彼の妻を汚してしまった自分にできるのは、それだけだった。
メガネのイケメンはしばらくの間無言だった。
どう償わせてやろうか考えているのか、それとも脚にすがられてうっとおしいがどうしたものかと考えているだけか。譲には伺い知れなかった。
やがて、明人は大きく嘆息する。
「『どんな償いでもします』。その言葉……忘れるなよ?」
冷たい目線で見下ろされながら、氷のような言葉で言われる。
譲はこれからどうなるのか恐ろしかった。だが、なんとしても彼のごきげんを取って許してもらうしかない。
「はい。なんでも言ってください」
せめて覚悟を示そうと、明人の目をまっすぐに見た。
「あの……これでいいですか……」
「ああ、取りあえずはそれでいい」
譲は自分と美緒の寝室で生まれたままの姿になっていた。
まず裸になれ。それが明人の命令だった。
(なにかの罰ゲームかな……? でも……逆らっちゃいけない……)
男の自分の恥ずかしい姿をネットにでも拡散するのだろうか。なんであれ、彼が少しでも怒りを鎮めてくれるなら是非もない。
「そんなにそわそわするな。とって食いやしない。俺も脱ぐから」
「え……?」
苦笑した明人は、自らも服を脱ぎ始める。Yシャツとジーンズを脱ぎ捨て、上等のシルクのブリーフも脱いでしまう。
(ええ……? うわ……なんだこれ……? 明人さん勃起してる……。しかも……すごくでかい……)
なんと、明人の股間についているものは猛り狂って天井を向いていた。しかも、巨大でゴツゴツして、とても立派だった。
ごくり。譲はついつばを呑み込んでしまう。なんだか自分も変な気分になりそうなのだ。
なぜか、隣人の巨根から目が離せなくなる。
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