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第二章 元男子の少女たちは複雑
03 ギャルの挑発
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その日は日曜だった。
「あ、つかさっち、やほほ」
寮のロビーで、サイドテールのギャルっぽい美少女がフットネイルをしていた。
同じクラスの女体化元男子の女子生徒、大多喜命だ。
「よう命。てか……パンツ見えてるぞ……」
命はテーブルに脚を投げ出して爪を染めている。
短いスカートの中、ピンクの布地がチラチラ見えている。見せ方があからさまでなく、あざとい。
「いいじゃん、減るもんじゃなしー」
「それ、女が言う台詞かよ……」
自由で恥じらいのないギャルに呆れながらも、司は目が離せない。
見た目は完全な女だ。胸の膨らみはまぶしいし、腰も細い。尻は若干大きめか。確かめてみたわけでもないが、股間にはついていないだろう。
だが、立ち振る舞いは男のものに見える。相変わらず命は入浴の時など、こっそり男湯に忍び込んでくる。
身体は女でも心は男同士だから、隠す理由もない。そんなところだろうか。
「男としては、誘われてるんじゃないかと誤解しそうなんだが……」
あえて恥じらいのない美少女の横に腰を下ろす。自分も男なのだ、と言外ににじませるために。
「んー? ムラムラしちゃう? あたしを押し倒したいー?」
命は小悪魔な笑みを浮かべる。こちらが彼女を襲ってしまうことなどあり得ないと確信している表情だった。
まあ、実際そんな度胸はないが。
だが、このまま自分のヘタレを認めるのも悔しかった。
「じゃあ、俺がやらせてって言ったらどうするね?」
「お、男らしいねえ。しちゃう? セックスしちゃうー? ズコズコしちゃうー?」
精一杯の司の虚勢も空しい。命の方が一枚も二枚も上手だった。
妖艶に微笑んで顔を近づけてくる。
(うわ……近い……近いって……)
恥ずかしさにたまらず、顔を背けてしまう。色気のあるにらめっこは、あっさりと司の負けに決した。
「あららー。そんなんじゃあたしを押し倒すなんて十年早くね? あははは」
どや顔で司のおでこをつつくと、命は顔を放してソファーに座り直す。
「わかった。俺の負けだよ。そんな度胸ない。その通りだわ」
素直に負けを認めてポットでお茶を煎れる。
「命はさ。女の自分に順応してるよな」
お茶を飲みながら切り出す。前から興味があったところなのだ。
「んー? まあねー。望んだかどうかはともかく女になっちったわけだし、折角だから楽しもうって感じー?」
注がれたお茶に口をつけながら、命が応じる。
改めて命を眺める。
完全に女だ。しかもギャルだ。派手目のコスメ。あざといアクセサリー。きれいなネイルアート。
土台が美少女であるだけに、驚くほどはまっている。
男であったころの姿が想像できない。
だが、その自由さと恥じらいのなさは、まごうかたなき男の感性に思える。
「あ、つかさっち、やほほ」
寮のロビーで、サイドテールのギャルっぽい美少女がフットネイルをしていた。
同じクラスの女体化元男子の女子生徒、大多喜命だ。
「よう命。てか……パンツ見えてるぞ……」
命はテーブルに脚を投げ出して爪を染めている。
短いスカートの中、ピンクの布地がチラチラ見えている。見せ方があからさまでなく、あざとい。
「いいじゃん、減るもんじゃなしー」
「それ、女が言う台詞かよ……」
自由で恥じらいのないギャルに呆れながらも、司は目が離せない。
見た目は完全な女だ。胸の膨らみはまぶしいし、腰も細い。尻は若干大きめか。確かめてみたわけでもないが、股間にはついていないだろう。
だが、立ち振る舞いは男のものに見える。相変わらず命は入浴の時など、こっそり男湯に忍び込んでくる。
身体は女でも心は男同士だから、隠す理由もない。そんなところだろうか。
「男としては、誘われてるんじゃないかと誤解しそうなんだが……」
あえて恥じらいのない美少女の横に腰を下ろす。自分も男なのだ、と言外ににじませるために。
「んー? ムラムラしちゃう? あたしを押し倒したいー?」
命は小悪魔な笑みを浮かべる。こちらが彼女を襲ってしまうことなどあり得ないと確信している表情だった。
まあ、実際そんな度胸はないが。
だが、このまま自分のヘタレを認めるのも悔しかった。
「じゃあ、俺がやらせてって言ったらどうするね?」
「お、男らしいねえ。しちゃう? セックスしちゃうー? ズコズコしちゃうー?」
精一杯の司の虚勢も空しい。命の方が一枚も二枚も上手だった。
妖艶に微笑んで顔を近づけてくる。
(うわ……近い……近いって……)
恥ずかしさにたまらず、顔を背けてしまう。色気のあるにらめっこは、あっさりと司の負けに決した。
「あららー。そんなんじゃあたしを押し倒すなんて十年早くね? あははは」
どや顔で司のおでこをつつくと、命は顔を放してソファーに座り直す。
「わかった。俺の負けだよ。そんな度胸ない。その通りだわ」
素直に負けを認めてポットでお茶を煎れる。
「命はさ。女の自分に順応してるよな」
お茶を飲みながら切り出す。前から興味があったところなのだ。
「んー? まあねー。望んだかどうかはともかく女になっちったわけだし、折角だから楽しもうって感じー?」
注がれたお茶に口をつけながら、命が応じる。
改めて命を眺める。
完全に女だ。しかもギャルだ。派手目のコスメ。あざといアクセサリー。きれいなネイルアート。
土台が美少女であるだけに、驚くほどはまっている。
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