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第一章 女しかいない街と学園で
06 学園生活は楽し悩まし
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女体化した元男子の女の子たちに囲まれた学園生活。
それは駆け足で過ぎていく。
学校の授業のレベルは思ったより高かった。予習復習もきちんと求められる。
ついて行くためには、女の子にかまけている暇などない。必死で勉強しなければならなかった。
(と思ったんだけど……)
授業について行けるようになり、余裕ができると必然的に周りを意識せずにはいられなくなる。
昼飯時の学食。
「このにせち○ぽ、一度使ってみ。ぜったい癖になるから。すっごい気持ちいいの」
「えー? でかすぎてなんだか怖いなー」
「なに言ってんの。あんた前にあたしにごついア○ルバイブ勧めたじゃん?」
「うちはお尻の穴のほうが気持ちいいの。てか、ちゃんと拡張すれば誰だって気持ちよくなれるし」
可憐な女子生徒たちが、スマホを見て大人のおもちゃの話題で盛り上がっている。
(俺は空気かいな……)
司は注文したカレーを待ちながらそんなことを思う。
自分が転校して来る前の学校は、恥も遠慮もいらない女の園だったのだろう。
だが、男がひとりいるくらいでは気にならないのか、そもそも男がいようがいまいが関係ないのか。
女体化した元男子の女の子たちは、あまりに自由で慎みがなかった。
「となり、いいかな?」
学食は混んでいたが、なんとか空き席を見つける。
「どうぞ」
素っ気なく応じた少女は、クラスメイトの佐倉圭だった。セミロングの髪とメガネがよく似合っている。
彼女がつついているのは手作りの弁当だった。
「それ、自分で作ってるの?」
「ええ」
「朝何時に起きてるの?」
「六時よ」
司は世間話をしたいのだが、圭は簡単な答えしか返してこない。会話が続かない。
最後には、もくもくとカレーをかき込むしかなくなる。
「あ、ごめんなさい。ちょっと無愛想だったかしら?」
気まずい空気を察した圭がフォローを入れる。
(なんだ……取っつきにくいかと思ったけど、けっこう気さくな子だな)
嫌われているわけではないのがわかって、少しほっとする。
「いや、気にしないで。なんかやたらと話しかけて悪かったかな?」
「そういうことはないけど……まだちょっとなれなくて……」
ポーカーフェイスだった圭が、少し申し訳なさそうになる。
「えと……もしかして男嫌いとか……?」
無粋かと思いつつも聞いてみる。
「嫌いというのではなくて……少し苦手かな……? 笑っちゃうでしょ? 自分が少し前まで男だったのに……」
「笑っちゃうなんてことないよ。本人には切実な問題かも知れねえんだし……。その……クラスに俺がいるの抵抗あったりする……?」
メガネの似合う美貌に影が差したのを見て、司は不安になる。
例えば性犯罪の被害にあった女は、男がそばにいるだけで恐怖やおぞましさを感じるようになるという。
自分が圭の不安や恐怖の種になっていないか、にわかに心配になったのだ。
「大丈夫よ……。あなたは……違うから……。あいつらとは……」
圭は微笑むが、それは無理をして笑っているのが一目瞭然だった。
弁当を平らげ、片付けをして席を立つ。
(なんか……深刻なことがあったのかも知れないな……)
司は圭の事情をそれ以上詮索することができなかった。
もしかすると、彼女の古傷に塩をすり込むことになるかも知れない。頭の中で警告音が鳴り響いていたのだ。
休み時間。司がトイレで用足しをしていると、誰かが入ってくる気配がした。
「やあ、酒々井さん」
「よう、市原」
背が高く美しくも逞しい身体を持つ少女。クラスメイトの酒々井蓮だ。肌は褐色に焼けてウルフカットの長い髪は金髪。きつめの化粧をしている。いわゆる黒ギャルだが、軽薄な感じはない。太めの眉とキリッとした顔つきが、凜々しくワイルドな印象を受ける。
「よっと……」
(え……?)
てっきり個室に入るものと思っていた蓮が、小便器の前でベルトを外し制服のズボンとパンツを下ろす。褐色のおいしそうなお尻が露わになる。
「んん……」
そのまま小便器に尻を向けて前屈みになり、深呼吸する。
(ま……まさか……?)
いけないとは思いつつも、司は目が離せない。
案の定、連はその姿勢のまま用を足し始める。
(うわわ……。女の子の立ちション……エロい……)
ワイルドな黒ギャルが後ろ向きに立ったまま用を足す姿に、すっかり目を奪われてしまう。黄色い飛沫が窓から差し込む日光に照らされ、キラキラと美しく輝く。
「ふう……」
用足しを終えた連は腰をピッピッと揺すって飛沫を落とし、小便器の上に置かれたトイレットペーパーに手を伸ばす。
(なるほど……。あそこに紙が置いてあるのは、立ちションの後始末用か……)
転校してからずっと抱いていた疑問が氷解する。
女の子は小さい方でも紙で念入りに後始末しなければならない。そのためのトイレットペーパーというわけだ。
「なんだよ……? 女がみっともない真似するなってか?」
こちらの視線に気づいた連が、にらみつけてくる。
「いや、全然そんなことは思わないって。ただ……個室空いてるのになんでわざわざ小便器で……?」
連は後始末をした紙を、わざわざ個室の便器に流している。
「小便なのにわざわざ座るのめんどくせえんだよ。それに、オレ急いでるのさ。職員室に呼び出し食らってっから」
並んで手を洗いながら、そんな会話を交わす。
連は時々授業に出ていないことがある。出欠について問いただされているのか。
それは駆け足で過ぎていく。
学校の授業のレベルは思ったより高かった。予習復習もきちんと求められる。
ついて行くためには、女の子にかまけている暇などない。必死で勉強しなければならなかった。
(と思ったんだけど……)
授業について行けるようになり、余裕ができると必然的に周りを意識せずにはいられなくなる。
昼飯時の学食。
「このにせち○ぽ、一度使ってみ。ぜったい癖になるから。すっごい気持ちいいの」
「えー? でかすぎてなんだか怖いなー」
「なに言ってんの。あんた前にあたしにごついア○ルバイブ勧めたじゃん?」
「うちはお尻の穴のほうが気持ちいいの。てか、ちゃんと拡張すれば誰だって気持ちよくなれるし」
可憐な女子生徒たちが、スマホを見て大人のおもちゃの話題で盛り上がっている。
(俺は空気かいな……)
司は注文したカレーを待ちながらそんなことを思う。
自分が転校して来る前の学校は、恥も遠慮もいらない女の園だったのだろう。
だが、男がひとりいるくらいでは気にならないのか、そもそも男がいようがいまいが関係ないのか。
女体化した元男子の女の子たちは、あまりに自由で慎みがなかった。
「となり、いいかな?」
学食は混んでいたが、なんとか空き席を見つける。
「どうぞ」
素っ気なく応じた少女は、クラスメイトの佐倉圭だった。セミロングの髪とメガネがよく似合っている。
彼女がつついているのは手作りの弁当だった。
「それ、自分で作ってるの?」
「ええ」
「朝何時に起きてるの?」
「六時よ」
司は世間話をしたいのだが、圭は簡単な答えしか返してこない。会話が続かない。
最後には、もくもくとカレーをかき込むしかなくなる。
「あ、ごめんなさい。ちょっと無愛想だったかしら?」
気まずい空気を察した圭がフォローを入れる。
(なんだ……取っつきにくいかと思ったけど、けっこう気さくな子だな)
嫌われているわけではないのがわかって、少しほっとする。
「いや、気にしないで。なんかやたらと話しかけて悪かったかな?」
「そういうことはないけど……まだちょっとなれなくて……」
ポーカーフェイスだった圭が、少し申し訳なさそうになる。
「えと……もしかして男嫌いとか……?」
無粋かと思いつつも聞いてみる。
「嫌いというのではなくて……少し苦手かな……? 笑っちゃうでしょ? 自分が少し前まで男だったのに……」
「笑っちゃうなんてことないよ。本人には切実な問題かも知れねえんだし……。その……クラスに俺がいるの抵抗あったりする……?」
メガネの似合う美貌に影が差したのを見て、司は不安になる。
例えば性犯罪の被害にあった女は、男がそばにいるだけで恐怖やおぞましさを感じるようになるという。
自分が圭の不安や恐怖の種になっていないか、にわかに心配になったのだ。
「大丈夫よ……。あなたは……違うから……。あいつらとは……」
圭は微笑むが、それは無理をして笑っているのが一目瞭然だった。
弁当を平らげ、片付けをして席を立つ。
(なんか……深刻なことがあったのかも知れないな……)
司は圭の事情をそれ以上詮索することができなかった。
もしかすると、彼女の古傷に塩をすり込むことになるかも知れない。頭の中で警告音が鳴り響いていたのだ。
休み時間。司がトイレで用足しをしていると、誰かが入ってくる気配がした。
「やあ、酒々井さん」
「よう、市原」
背が高く美しくも逞しい身体を持つ少女。クラスメイトの酒々井蓮だ。肌は褐色に焼けてウルフカットの長い髪は金髪。きつめの化粧をしている。いわゆる黒ギャルだが、軽薄な感じはない。太めの眉とキリッとした顔つきが、凜々しくワイルドな印象を受ける。
「よっと……」
(え……?)
てっきり個室に入るものと思っていた蓮が、小便器の前でベルトを外し制服のズボンとパンツを下ろす。褐色のおいしそうなお尻が露わになる。
「んん……」
そのまま小便器に尻を向けて前屈みになり、深呼吸する。
(ま……まさか……?)
いけないとは思いつつも、司は目が離せない。
案の定、連はその姿勢のまま用を足し始める。
(うわわ……。女の子の立ちション……エロい……)
ワイルドな黒ギャルが後ろ向きに立ったまま用を足す姿に、すっかり目を奪われてしまう。黄色い飛沫が窓から差し込む日光に照らされ、キラキラと美しく輝く。
「ふう……」
用足しを終えた連は腰をピッピッと揺すって飛沫を落とし、小便器の上に置かれたトイレットペーパーに手を伸ばす。
(なるほど……。あそこに紙が置いてあるのは、立ちションの後始末用か……)
転校してからずっと抱いていた疑問が氷解する。
女の子は小さい方でも紙で念入りに後始末しなければならない。そのためのトイレットペーパーというわけだ。
「なんだよ……? 女がみっともない真似するなってか?」
こちらの視線に気づいた連が、にらみつけてくる。
「いや、全然そんなことは思わないって。ただ……個室空いてるのになんでわざわざ小便器で……?」
連は後始末をした紙を、わざわざ個室の便器に流している。
「小便なのにわざわざ座るのめんどくせえんだよ。それに、オレ急いでるのさ。職員室に呼び出し食らってっから」
並んで手を洗いながら、そんな会話を交わす。
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