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風紀の引き締めは前途多難

好きって言うのは

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06

 夜もふけた王宮の離れ。
 「イレーヌ…それは…」
 「ふふふ…たまにはこういうのもいいでしょう?」
 イレーヌが妖艶に笑う。
 ガウン一枚でベッドに座り、イレーヌの身支度が調うのを待っていたヴァンサンは仰天する。
 イレーヌはわざとけばけばしい派手な化粧をして、露出度の高い衣装をまとっていた。
 かんざしでアップにした髪も、いかにも夜の女という感じだ。
 そう、まるで歓楽街の娼婦のように。
 「どうヴァンサン、わたくしきれいかしら?」
 「はい…おきれいです」
 それでもヴァンサンはそう答えていた。
 お世辞でもうそでもなく、イレーヌはけばけばしい化粧をしても美しかった。
 やたら光るじゃらじゃらとしたアクセサリーも、タトゥーを模したボディシールも、イレーヌがモデルだと安っぽい感じがしないから不思議だった。
 一国の女王が、誰も見ていないとはいえこういうかっこうはどうかと思う。
 だがそれでも、美しいと思わずにはいられないのだ。
 (これってそういうプレイ?)
 ヴァンサンは直感する。
 彼はこういう雰囲気の女。はっきり言えば、水商売の女や娼婦が苦手だ。
 イレーヌに対しても、ノーブルではあるが気品があって清楚であるところに惹かれたのだ。
 それを知っていて、イレーヌは娼婦の真似事をしているのだ。
 「娼婦なら、こんな感じかしら-?」
 イレーヌはわざと下品に片足をベッドの上に乗せ、あからさまにパンツが見える姿勢を取る。
 (これはこれで…いいかも…)
 ヴァンサンは、自分の中の大切ななにかが怪我されたような気分だった。
 なのに、彼は激しく興奮していた。
 自分の中のイレーヌの人物像がぶち壊しだ。それは間違いない。
 だが同時に、ノーブルで気品のあるイレーヌが、けばけばしくハレンチで下品な仕草をしている姿に、猛烈に心を奪われたのだ。
 「じゃあ、お客さん、仰向けになってね」
 (ああ…本当に娼婦みたいじゃないか…)
 ヴァンサンは、お客さんと呼ばれたことに不覚にも勃起してしまった。
 自分の中で神聖な存在でさえあるイレーヌが、愛おしい妻である尊敬する君主でもある彼女が、娼婦として自分に奉仕しようとしている。
 その事実にどうしようもないくらい興奮してしまうのだ。
 「ふふふ…もうぎんぎんね。いただきまーす。あむ…」
 派手でけばけばしい色合いの、凶悪に丈の短いドレスを脱ぎ捨てたイレーヌが、ヴァンサンに口奉仕を始める。
 「おおおー…イレーヌ…気持ちいい…」
 ヴァンサンは思わず声を出してしまう。
 イレーヌのフェラは、どんな商売女よりも素晴らしいと思っている。
 だが、今夜はそれだけではなかった。
 「ふふふ…じゅるじゅる…!じゅぷぷっ!」
 イレーヌが口を大きく開けて、下品に舌を突きだして屹立したものを舐めてくるのだ。
 それこそ、商売女のような淫らな仕草で。
 「これはどうかしら…あむ…!」
 「おおお…」
 今度は、先端を口に含むと、唇をすぼめて突きだし、思いきり吸い込みながら出し入れする。
 いわゆるひょっとこフェラだった。
 美しいイレーヌの顔が、醜く下品に、そして淫蕩に歪む。
 (下品で卑猥だけど…すごくエロい…)
 「じゅるじゅる!ぬぷっぬぷっ!」
 イレーヌはわざとひょっとこフェラをしている顔をヴァンサンに見せつけながら、上目遣いに熱っぽい視線を送ってくる。
 ヴァンサンはたまらない気分だった。
 このまま癖になってしまったら、イレーヌの下品な姿を見なければ興奮しなくなってしまうかも知れない。
 
 ヴァンサンのものがひときわ大きくなり始めると、イレーヌは奉仕を中断して口を離す。
 「だあめ。イくならおま○こでよ。
 わたくしのおま○こをたっぷりと味わっておくれ」
 イレーヌは光り物のブラとパンツを脱いでしまうと、仰向けになったままのヴァンサンにまたがる。
 子供を二人産んでいるとは思えないほど引き締まって、美しい身体。
 娼婦に扮していても、やはりイレーヌだと思える。
 (うわ…すごく下品でエロい感じ…どこで覚えたんだ?)
 フェラに興奮していたのか、すでにとろりと溢れている蜜壺に、ヴァンサンの先端があてがわれる。
 イレーヌは片膝を突いて、女の部分がぱっくりと開いた姿勢でゆっくり腰を下ろしていく。
 「あああ…入って来るわ…どうだいお客さん…わたくしのおま○こは気持ちいいかい?」
 口調までわざとはすっぱで商売女っぽくしたイレーヌが、妖艶にヴァンサンを見下ろす。
 「ああ…すごく気持ちいいです…」
 (本当にすごいんだよな…。出産する前より具合がいいぐらい…)
 出産したら蜜壺が緩くなるとは限らないが、イレーヌの場合、出産したことでさらに名器になったとさえ思える。
 「ああ…お客さんの…大きくてたくましい…!たまらないよ…」
 「おおお-…僕も気持ちいいよ…」
 出産前のみっちりとしてきつきつな感じも良かったが、今のセックスに熟練した感じのほうがもっと素晴らしいと思える。
 入れるときは緩めて、抜くときは締める。それを自由自在にこなすのだ。
 あまつさえ、奥に力を入れて、屹立したものを吸い込もうとする。
 (信じられないけど、本当に吸い込まれて行く)
 ヴァンサンは感動さえ覚えていた。
 「じゃあ、激しくしちゃうよー。んん…ああ!行くわよおっ!」
 イレーヌは和式便所に座るようなかっこうで大きく股を開き、両手を頭の後ろで組む。
 そして、スクワットのように下品で激しい上下運動を始める。
 「おおおおっ!すごい…締まったままこすられる…!」
 ヴァンサンは声を我慢できなかった。
 自由自在に締まるイレーヌの蜜壺が、締まったまま出し入れを始めたのだ。
 股を開いたふしだらなポーズでの、卑猥でアクロバティックな性運動が、イレーヌのけばけばしい化粧が、視覚からヴァンサンを興奮させていく。
 普段の高貴で気品のあるイレーヌとのギャップがたまらない。
 「おおおっ!搾り取られる…!」
 「わたくしもイく…イくわ…!一緒にイきましょうか…!ああ…あああああああっ!」
 イレーヌが大股開きのハレンチなポーズのままぐっと仰け反って硬直し、アクメを迎える。
 ほぼ同時に、ヴァンサンが達し、大量の白濁をイレーヌの子宮まで浴びせていた。
 二人はそのまましばらく動けないまま、荒い息をつき続けた。

 「次は、あなたのしたいようにしてごらんなさい」
 湯を使い、娼婦の扮装をやめていつもの薄化粧に戻ったイレーヌがそういう。
 「わかりました。では僕のしたいように」
 (今日そういう気分だしね)
 ヴァンサンが、女と見まがう美貌を怪しく歪める。
 イレーヌは、その表情に怖くなると同時に、ぞくぞくしてしまう。

 「ああ…ヴァンサン…わたくしをイかせないつもりなの…」
 イレーヌの身体が悲鳴を上げている。
 (こんなの…辛すぎて…)
 ヴァンサンは、イレーヌの感じるところを絶妙な強さで刺激し続ける。
 そして、イレーヌが達しそうになると意地悪く愛撫を止める。
 これは女として何よりも辛いことだった。
 「これを入れて欲しいですか?」
 ヴァンサンは、ベッドの上で息も絶え絶えのイレーヌの手に、自分のものを握らせる。
 「ああ…すごい…固い…」
 イレーヌは、その固さと熱さに夢中になりながらも、欲しいと言うことができない。
 (ヴァンサン相手に欲しいって言うの…なんだか悔しいし…恥ずかしくて…)
 そう思いながらも、ヴァンサンのものが意地悪く下腹部にこすりつけられると、イレーヌは我慢できなくなってしまう。
 サドであると同時に、マゾでビッチでもあるイレーヌは、焦らされることに被虐的な喜びを感じてしまうのだ。
 「欲しいですか?」
 「ああ…欲しい…。
 おち○ぽ入れなさい…お願い…おち○ぽ入れてえっ!」
 大きな声ではしたないおねだりをしてしまう。
 ヴァンサンは、「いいですよ」とイレーヌを四つん這いにする。
 そして、とろとろに溢れた蜜壺に挿入していく。
 張り型を。
 「あああ…?これ…おち○ぽじゃない…ああ…太い…どうして…」
 ヴァンサンの剛直ではなく張り型を入れられたイレーヌは、それでも張り型から与えられる快感に悶えた。
 「ち○ぽはこっちにあげます」
 ヴァンサンはイレーヌの尻の穴にローションをたらし、自分のいきり立ったものにも塗る。
 そして、先端を紫のすぼまりにあてがい、ゆっくりと腰を進めていく。
 「ああああっ!入る…お尻の穴に…おち○ぽが…入って来るわ…!」
 すっかり開発されて性器に変わっているイレーヌの尻の穴は、美味しそうにヴァンサンのものを呑み込んでいく。
 「イレーヌ、好きだよ」
 「ああ…わたくしもヴァンサンの事が好き…!好きなのお…!」
 性質の違う二本のものが、薄い膜越しに擦れ合う感覚に、イレーヌは頭の中が真っ白になっていく。
 (好きって言っちゃった…。気持ち良くて幸せで、ヴァンサンが好きって気持ちが抑えられない…)
 「やあん…出ちゃう…出る…!太いウ○チしちゃってるみたいで…!」
 「イレーヌ…ゆっくり抜くと、ウ○チが漏れてるみたいでしょう?」
 (お腹の中はちゃんときれいにしてあるのに…すごい排泄感…。
 恥ずかしい…)
 ヴァンサンの目の前で意思に関係なく太いものを出してしまっているような錯覚に、イレーヌはどうしようもなく恥ずかしくなる。
 全身が甘くしびれて、張り型とヴァンサンから与えられる快感に支配されている。
 「ああ…だめだめ…!すぐイっちゃうーーーっ!」
 イレーヌは二穴責めの倒錯した快楽に、すぐに絶頂に達してしまう。
 女の芯が悦んで、絶頂に達してしまうのをまったく我慢できなかったのだ。
 「ああ…またイく…!ヴァンサン…ヴァンサン…大好き!」
 「僕も大好きですよ、愛しいイレーヌ」
 ヴァンサンが果ててしまうまで、イレーヌは数え切れない程オーガズムを迎えてしまった。
 (どうして愛し合っているときは、好きって言うのを我慢できないんだろう…?)
 自分でもわからない気持ちに、イレーヌは戸惑いながらヴァンサンを感じ続けていた。
 
 「もう…ヴァンサンたら意地悪…。
 まあ…わたくしも感じてましたけど…」
 「可愛かったですよ、イレーヌ」
 ベッドの上でじゃれ合いながら、二人はそんな言葉を交わす。
 「ヴァンサン、わたくしにキスなさい」
 ヴァンサンが、「え?」と目を丸くする。
 「今は、あなたにキスして欲しい気分ですの」
 イレーヌの言葉に、ヴァンサンは笑顔になる。
 「今夜のイレーヌは、とても可愛いですよ。ちゅっ」
 「あむ…んん…」
 イレーヌは目を閉じてキスを受け入れる。
 (好きって言うのは、愛し合っている時だけ。
 だってそうでないと…ヴァンサンを好きになりすぎて…。
 ヴァンサンなしでは生きていけなくなりそうだもの…)
 軽く触れあうキスは、やがて深く濃厚なものになっていく。
 (今はまだ、ヴァンサンに少し意地悪なわたくしでいよう…)
 まだ気恥ずかしくて、ヴァンサンを全身全霊で愛する覚悟を持てないイレーヌは、そんなことを思っていた。
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