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01 モテたらまずいんですわ!
不況にフラグがへし折られる?
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01
イレーヌは姿見の前に立っていた。
手前味噌だが、なかなかに美人だと思える。
金髪に近い茶色の長い髪は手入れを怠らないから流れるようだ。
白い肌も、絹のようだ。
まぶたにぐっと力を入れると蒼い目は宝石のように映える。
(でも…)
容姿を活かすか腐らせるかは心がけ次第だと思える。
腕組みをして、白い歯を見せてドヤ顔をしてみる。
うん、間違いなくこれでこそ悪役令嬢だ。乙女ゲームの中でのイレーヌは紛れもなくこんな感じだった。
というか、前世の記憶が蘇るまでの自分そのものだ。
貴族たちの令嬢が集まる茶会では、他の女の悪口を言い合いながら「おーほほ」と高笑いをしていた。
だが、このキャラでは破滅フラグ回収にまっしぐらだ。
手を腰の前で組み、控えめに柔らかく微笑んでみる。
いかにもいいところのお嬢さんという雰囲気が出来上がった。
もし自分が男であれば、こちらのほうが好みだろう。
が、すぐにむっつりとした表情に戻る。
(あほらし)
どっちだろうと自己演出であることに違いはない。
自分はこの先、生きる限り自己演出を続けなければならないのだ。仮面をかぶり続けなければならないのだ。
破滅するのが嫌であれば。
考えるだけでも疲れる話だった。
「ベンジャミン、街へ出かけます。
同行して下さい」
「は、ただいま」
イレーヌは執事を伴って街へ繰り出すことにする。
今日は特に予定はない。
部屋にこもっていると思考が負のスパイラルに陥ってしまいそうだった。
「お嬢様、歩いていかれますか?
それとも馬車で?」
「歩きます。あなたも大丈夫ね?」
イレーヌは執事の言葉を愚問だとばかりに返すと、歩き出す。
街に繰り出したイレーヌは、ふと違和感を覚えた。
どうも街に以前ほどの活気がないように見えるのだ。
店に並ぶものの数や品揃えも、前に来た時より明らかに減っている。
「ベンジャミン。
なにやら街に元気がないように思えるのだけど?」
「はあ、その…。
小生もくわしくは存じませぬが、ここのところ景気が停滞気味であるとかで…。
モノが売れずに値段が下がっているようです」
(デフレ不況というわけか)
イレーヌは執事の言葉にピンとくる。
経済には素人だが、前世で新聞くらいは読んでいたからわかる。
物が売れない→物価が下がる→消費が冷え込む→さらに物が売れない→さらに物価が下がる。
という悪循環をデフレスパイラルという。
それが王都の街でも起きているというところだろうか。
「政府はなにか対策を取っているのかしら?」
「いえ、今のところ解決策を見いだせないでいるようです。
物価が下がるのは一見すれば庶民に優しいことですゆえ。
インフレを起こしかねないような政策を下手に打ち出せば、市井の反発が怖いというのもわかる話です」
(でもそれでは…)
イレーヌは思う。
確かに、短期的には物が安く買えるのだから庶民には福音だろう。
だが長期的には?
売主と買主は相対的なもの。物の値段が下がれば商売は赤字になる。
そうなればみんなが財布の紐を締める。
ますます物価が下がる。
出口のないスパイラルに陥ってしまう可能性がある。
(解決策を思いつかないこともないけれど)
前述のとおり経済には素人だが、前世で歴女だったイレーヌは、デフレ不況の解決策には心当たりがあった。
だが、何度も言うが彼女は素人だ。
政府財務省に意見したところで聞いてもらえるものではないだろう。
(結局できることはないか)
活気を失いつつある街を目の前にして、イレーヌは無力感に苛まれていた。
街を当てどなく歩いていると、イレーヌは意外な人物と遭遇する。
美しい黒髪を三つ編みにした、紅の瞳が特徴的な美少女。
間違いようがない。
乙女ゲームの主人公。エクレール・レジェンヌ伯爵嬢だ。
まあ、主人公といっても彼女の視点にいないので実感が湧かないが。
「あら、エクレールさん、ごきげんよう」
「あ、イレーヌ様。ごきげんよう。
お買い物ですか?」
イレーヌのあいさつに、エクレールは少しぎごちない表情をする。
まあ無理もない。
前世の記憶が蘇って豹変したイレーヌは、徐々に周囲に受け入れられつつある。が、困惑している者もまだ多いのだ。
以前が以前だっただけに、すっかり愛想がよく穏やかになったイレーヌにとまどう者も多い。
エクレールもその一人なのだ。
「今のわたくしはそれほど違和感がありますかしら?」
「い…いえいえ。
すっかり素敵になられたから、少し戸惑っているだけでして…」
正直なエクレールらしい答えが返ってくる。
(要するに以前のわたくしは素敵ではなかった。まあ、自覚はありますけれど…)
イレーヌは内心で嘆息していた。
実際、前世で乙女ゲームをプレイしている最中は、意地悪で粘着質なイレーヌに忌避感を通り越して憎悪さえ覚えたくらいだから。
「ところで、エクレールさんはなにをしに来られたの?
お買い物かしら?」
エクレールはよく見ると穀物や野菜を入れた手押し車を押している。
随分量が多いように見える。
自分の記憶が正しければ、主人公の実家であるレジェンヌ伯爵家はそれほど大家族ではなかったはずだが。
「いえ、実はお恥ずかしい話ですが、畑で作った野菜と穀物を売りに来たのです。
ご存知のとおり我が家は貧乏貴族で、今は現金収入が少なくて…」
(え?)
イレーヌは狐につままれたような気分になる。
ゲームの設定ではレジェンヌ家はそれほど裕福ではない。
だが、経済的に困窮するほどでもなかったはずだ。
これはどうしたことだ?
どれだけ記憶を検索しても、貴族のお嬢さんであるエクレールが野菜売をしている場面などあったとは思えない。
「や…やはり不況のせいなのですか?」
「はい、我が家も塩の販売などで生計を立てていますが、最近塩の相場が下がる一方で…」
エクレールが悲しそうな顔になる。
「そうなると…いろいろと大変ですわね。
エクレールさんもそろそろ婿取りのことなど考えないといけないでしょう?」
イレーヌは、せっかくなので懸案事項について聞いてみることにする。
「はい、私も働かなくてはなりませんから、今のままでは殿方とお付き合いするどころではなくて。
それに、おそらく今の我が家では、結婚式の費用も持参金も出すのは難しいでしょう。
あ…ごめんなさい。愚痴っぽくなってしまいました」
エクレールは沈んだ顔を、健気に笑顔にする。
この明るく前向きなところが乙女ゲームの主人公たる所以。
男たちを魅了する美点だった。
(まずいじゃないですか!)
だが、イレーヌはエクレールの笑顔に癒されている場合ではなかった。
貴族社会では、恋愛にも結婚にもなにかと金が掛かる。
実際、乙女ゲームの中でも経済的な問題が立ちはだかる場面もあった。
まあゲームの中では見事に解決を見たが。
だが、レジェンヌ伯爵家が困窮してエクレール自らが働かなければならないほどとなると?
エクレールは結婚どころか攻略対象の男たちと付き合うことさえままならない。
それでは、とても自分が望む逆ハーレムエンドなど、今のエクレールにはおぼつかない。
それどころか、特定の男のルートに入れるかどうかさえ怪しい。
エクレールが万一誰ともくっつかなかった場合どうなるか。
乙女ゲーム“暁のローゼリア”にはバッドエンドはなかった。
どう進んでも結局誰かと結ばれるストーリーだったのだ。
そして、誰であれ特定の男のルートでは、悪役令嬢である自分は破滅することになる。
(それは困りますわ!)
不況に対する漠然とした不安が、急に自分自身の問題になり、危機感が沸き上がってくる。
ただでさえフリードリヒに求愛されて逆ハーレムエンドの危機なのに、こんな形で破滅フラグが忍び寄ってくるとは。
「ベンジャミン。野菜と穀物が売れそうなところはないかしら?」
「はあ…。
どこかしらに需要は…。そうです、確かミラン公爵家が明日上のお嬢様のお誕生会を開かれるはず。
行ってみますか?」
エクレールに困窮されては困るという危機感から思わず発した言葉だったが、優秀な執事であるベンジャミンはそう返答していた。
「では行きますわよエクレールさん」
「は…はい…」
遠慮はいらない、というより遠慮は許さないとばかりの切迫したイレーヌに、エクレールはただついていくだけだった。
「本当にありがとうございます。
イレーヌ様がいなかったら売れ残りの野菜を持って帰るところでした」
「いえ…。
いい野菜でしたし、腐らせては忍びないと思っただけですわ」
エクレールの感謝の言葉にそんな返答をしながらも、イレーヌはどうしたものかと考えていた。
今日のところはミラン公爵家がちょうど食材を必要としていたので、野菜と穀物を全部買ってくれた。
すぐにエクレールが食い詰めるということもないだろう。
だが、問題はこの後だった。
予定通りにエクレールに逆ハーレムエンドを迎えてもらうには、不況という分厚い壁が立ちはだかる。
(それに、わたくしとしたことが不覚…)
慌てていて忘れていたが、ミラン公爵家の長男であり、王立軍の若き将軍でもあるリュック・ミランは乙女ゲームの中では攻略対象の一人だ。
あまり接点はなかったが、今日バッタリ会うことになった。
「イレーヌ嬢はお優しいのだな」
そう言ってにっこりと微笑むリュックに、イレーヌは嫌な予感を感じずにはいられなかった。
(まさか、フラグ立ってないですわよね?)
フリードリヒに続いてリュックまで万一自分を気に入るようなことがあれば、破滅フラグの回避はいよいよ危うくなる。
イレーヌは内心で頭を抱え続けたのだった。
イレーヌは姿見の前に立っていた。
手前味噌だが、なかなかに美人だと思える。
金髪に近い茶色の長い髪は手入れを怠らないから流れるようだ。
白い肌も、絹のようだ。
まぶたにぐっと力を入れると蒼い目は宝石のように映える。
(でも…)
容姿を活かすか腐らせるかは心がけ次第だと思える。
腕組みをして、白い歯を見せてドヤ顔をしてみる。
うん、間違いなくこれでこそ悪役令嬢だ。乙女ゲームの中でのイレーヌは紛れもなくこんな感じだった。
というか、前世の記憶が蘇るまでの自分そのものだ。
貴族たちの令嬢が集まる茶会では、他の女の悪口を言い合いながら「おーほほ」と高笑いをしていた。
だが、このキャラでは破滅フラグ回収にまっしぐらだ。
手を腰の前で組み、控えめに柔らかく微笑んでみる。
いかにもいいところのお嬢さんという雰囲気が出来上がった。
もし自分が男であれば、こちらのほうが好みだろう。
が、すぐにむっつりとした表情に戻る。
(あほらし)
どっちだろうと自己演出であることに違いはない。
自分はこの先、生きる限り自己演出を続けなければならないのだ。仮面をかぶり続けなければならないのだ。
破滅するのが嫌であれば。
考えるだけでも疲れる話だった。
「ベンジャミン、街へ出かけます。
同行して下さい」
「は、ただいま」
イレーヌは執事を伴って街へ繰り出すことにする。
今日は特に予定はない。
部屋にこもっていると思考が負のスパイラルに陥ってしまいそうだった。
「お嬢様、歩いていかれますか?
それとも馬車で?」
「歩きます。あなたも大丈夫ね?」
イレーヌは執事の言葉を愚問だとばかりに返すと、歩き出す。
街に繰り出したイレーヌは、ふと違和感を覚えた。
どうも街に以前ほどの活気がないように見えるのだ。
店に並ぶものの数や品揃えも、前に来た時より明らかに減っている。
「ベンジャミン。
なにやら街に元気がないように思えるのだけど?」
「はあ、その…。
小生もくわしくは存じませぬが、ここのところ景気が停滞気味であるとかで…。
モノが売れずに値段が下がっているようです」
(デフレ不況というわけか)
イレーヌは執事の言葉にピンとくる。
経済には素人だが、前世で新聞くらいは読んでいたからわかる。
物が売れない→物価が下がる→消費が冷え込む→さらに物が売れない→さらに物価が下がる。
という悪循環をデフレスパイラルという。
それが王都の街でも起きているというところだろうか。
「政府はなにか対策を取っているのかしら?」
「いえ、今のところ解決策を見いだせないでいるようです。
物価が下がるのは一見すれば庶民に優しいことですゆえ。
インフレを起こしかねないような政策を下手に打ち出せば、市井の反発が怖いというのもわかる話です」
(でもそれでは…)
イレーヌは思う。
確かに、短期的には物が安く買えるのだから庶民には福音だろう。
だが長期的には?
売主と買主は相対的なもの。物の値段が下がれば商売は赤字になる。
そうなればみんなが財布の紐を締める。
ますます物価が下がる。
出口のないスパイラルに陥ってしまう可能性がある。
(解決策を思いつかないこともないけれど)
前述のとおり経済には素人だが、前世で歴女だったイレーヌは、デフレ不況の解決策には心当たりがあった。
だが、何度も言うが彼女は素人だ。
政府財務省に意見したところで聞いてもらえるものではないだろう。
(結局できることはないか)
活気を失いつつある街を目の前にして、イレーヌは無力感に苛まれていた。
街を当てどなく歩いていると、イレーヌは意外な人物と遭遇する。
美しい黒髪を三つ編みにした、紅の瞳が特徴的な美少女。
間違いようがない。
乙女ゲームの主人公。エクレール・レジェンヌ伯爵嬢だ。
まあ、主人公といっても彼女の視点にいないので実感が湧かないが。
「あら、エクレールさん、ごきげんよう」
「あ、イレーヌ様。ごきげんよう。
お買い物ですか?」
イレーヌのあいさつに、エクレールは少しぎごちない表情をする。
まあ無理もない。
前世の記憶が蘇って豹変したイレーヌは、徐々に周囲に受け入れられつつある。が、困惑している者もまだ多いのだ。
以前が以前だっただけに、すっかり愛想がよく穏やかになったイレーヌにとまどう者も多い。
エクレールもその一人なのだ。
「今のわたくしはそれほど違和感がありますかしら?」
「い…いえいえ。
すっかり素敵になられたから、少し戸惑っているだけでして…」
正直なエクレールらしい答えが返ってくる。
(要するに以前のわたくしは素敵ではなかった。まあ、自覚はありますけれど…)
イレーヌは内心で嘆息していた。
実際、前世で乙女ゲームをプレイしている最中は、意地悪で粘着質なイレーヌに忌避感を通り越して憎悪さえ覚えたくらいだから。
「ところで、エクレールさんはなにをしに来られたの?
お買い物かしら?」
エクレールはよく見ると穀物や野菜を入れた手押し車を押している。
随分量が多いように見える。
自分の記憶が正しければ、主人公の実家であるレジェンヌ伯爵家はそれほど大家族ではなかったはずだが。
「いえ、実はお恥ずかしい話ですが、畑で作った野菜と穀物を売りに来たのです。
ご存知のとおり我が家は貧乏貴族で、今は現金収入が少なくて…」
(え?)
イレーヌは狐につままれたような気分になる。
ゲームの設定ではレジェンヌ家はそれほど裕福ではない。
だが、経済的に困窮するほどでもなかったはずだ。
これはどうしたことだ?
どれだけ記憶を検索しても、貴族のお嬢さんであるエクレールが野菜売をしている場面などあったとは思えない。
「や…やはり不況のせいなのですか?」
「はい、我が家も塩の販売などで生計を立てていますが、最近塩の相場が下がる一方で…」
エクレールが悲しそうな顔になる。
「そうなると…いろいろと大変ですわね。
エクレールさんもそろそろ婿取りのことなど考えないといけないでしょう?」
イレーヌは、せっかくなので懸案事項について聞いてみることにする。
「はい、私も働かなくてはなりませんから、今のままでは殿方とお付き合いするどころではなくて。
それに、おそらく今の我が家では、結婚式の費用も持参金も出すのは難しいでしょう。
あ…ごめんなさい。愚痴っぽくなってしまいました」
エクレールは沈んだ顔を、健気に笑顔にする。
この明るく前向きなところが乙女ゲームの主人公たる所以。
男たちを魅了する美点だった。
(まずいじゃないですか!)
だが、イレーヌはエクレールの笑顔に癒されている場合ではなかった。
貴族社会では、恋愛にも結婚にもなにかと金が掛かる。
実際、乙女ゲームの中でも経済的な問題が立ちはだかる場面もあった。
まあゲームの中では見事に解決を見たが。
だが、レジェンヌ伯爵家が困窮してエクレール自らが働かなければならないほどとなると?
エクレールは結婚どころか攻略対象の男たちと付き合うことさえままならない。
それでは、とても自分が望む逆ハーレムエンドなど、今のエクレールにはおぼつかない。
それどころか、特定の男のルートに入れるかどうかさえ怪しい。
エクレールが万一誰ともくっつかなかった場合どうなるか。
乙女ゲーム“暁のローゼリア”にはバッドエンドはなかった。
どう進んでも結局誰かと結ばれるストーリーだったのだ。
そして、誰であれ特定の男のルートでは、悪役令嬢である自分は破滅することになる。
(それは困りますわ!)
不況に対する漠然とした不安が、急に自分自身の問題になり、危機感が沸き上がってくる。
ただでさえフリードリヒに求愛されて逆ハーレムエンドの危機なのに、こんな形で破滅フラグが忍び寄ってくるとは。
「ベンジャミン。野菜と穀物が売れそうなところはないかしら?」
「はあ…。
どこかしらに需要は…。そうです、確かミラン公爵家が明日上のお嬢様のお誕生会を開かれるはず。
行ってみますか?」
エクレールに困窮されては困るという危機感から思わず発した言葉だったが、優秀な執事であるベンジャミンはそう返答していた。
「では行きますわよエクレールさん」
「は…はい…」
遠慮はいらない、というより遠慮は許さないとばかりの切迫したイレーヌに、エクレールはただついていくだけだった。
「本当にありがとうございます。
イレーヌ様がいなかったら売れ残りの野菜を持って帰るところでした」
「いえ…。
いい野菜でしたし、腐らせては忍びないと思っただけですわ」
エクレールの感謝の言葉にそんな返答をしながらも、イレーヌはどうしたものかと考えていた。
今日のところはミラン公爵家がちょうど食材を必要としていたので、野菜と穀物を全部買ってくれた。
すぐにエクレールが食い詰めるということもないだろう。
だが、問題はこの後だった。
予定通りにエクレールに逆ハーレムエンドを迎えてもらうには、不況という分厚い壁が立ちはだかる。
(それに、わたくしとしたことが不覚…)
慌てていて忘れていたが、ミラン公爵家の長男であり、王立軍の若き将軍でもあるリュック・ミランは乙女ゲームの中では攻略対象の一人だ。
あまり接点はなかったが、今日バッタリ会うことになった。
「イレーヌ嬢はお優しいのだな」
そう言ってにっこりと微笑むリュックに、イレーヌは嫌な予感を感じずにはいられなかった。
(まさか、フラグ立ってないですわよね?)
フリードリヒに続いてリュックまで万一自分を気に入るようなことがあれば、破滅フラグの回避はいよいよ危うくなる。
イレーヌは内心で頭を抱え続けたのだった。
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