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06 鮮血の京都編
将軍織田信長と、西と北の不穏
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17
京都、内裏。
「今、この時をもって、平の朝臣こと、織田信長を征夷大将軍に任ずるものである」
新たに即位した後陽成天皇が大きな声で自ら宣言する。
「は!拝命致します!」
信長がそれに応じる。
慣習としては、いかなる宣下を行う場合でも、帝自身はしゃべらないものとされている。
だが、後陽成天皇本人のたっての意向で、自ら信長への将軍宣下を高らかに宣言することとなったのだ。
それは織田信長の征夷大将軍就任に関しての責任は、朝廷と後陽成天皇にあることを明確にする趣旨だった。
裏を返せば、これほどの覚悟と責任感を持って将軍宣下を行った朝廷と後陽成天皇を、信長は粗略にはできないということでもあった。
関白、近衛先久が、将軍宣下の勅令を読み上げていく。
列席する織田直臣たちの他、今川、武田、北条、上杉、そして徳川の主立った者たち、そして自衛隊の幹部たちは、みな一様に感慨深げだった。
征夷大将軍織田信長の誕生であった。
京、安土城。
「みなみな、本日は忙しいところ大義であった」
安土城の一角に設けられた茶室。
将軍宣下の儀から戻った信長は、臣下の者たちに茶を振る舞っていた。
信長はもちろん、他のものたちも、正装から平服に戻って肩の力を抜いている。
「信長様。
まことにおめでたいことですが、私たちも列席させて頂いて良かったのですか?」
帝に拝謁して、さすがに緊張していたらしい北条早雲がいまさら聞いていくる。
「当然ではないか。
貴公らは私の信頼する家臣だ。将軍就任に立ち会ってもらうのは権利であり、義務でもあると考えてもらいたい」
信長は茶を点てる手を止めずに応じる。
「しかし、いざ出席してみると緊張しました。
お公家さんの習慣ややり方というのは堅苦しいものですねえ」
武田信玄が、全身がこちこちだとばかりに肩をほぐしながらぼやく。
彼女にしては珍しいことだ。戦や内政の方が、わかりやすい分まだ楽であるらしい。
「まあ、確かに。
私も何度か海路で京に参じましたが、なんでも慣習だの先例だのと面倒でしたから」
京に関しては集まっている中で一番の先輩である上杉謙信が、わかるとばかりに苦笑する。
「先例や慣習に呪縛されていては何もできぬ。
だが、先例や慣習を全く無視して、木曾義仲や後醍醐天皇の轍を踏むのは誰しもごめんか…。
難しいのお」
今川義元がさじ加減ほど面倒なことはないという調子で言う。
木曾義仲の公家や朝廷に対する無礼な振る舞いや、京での乱暴狼藉は、後世の脚色や誇張である可能性もある。
だが、公家社会の先例や慣習を顧みない行きすぎた合理主義は悪評を生み、やがて義仲自身を滅ぼす一因となった。
後醍醐天皇が先例や慣習を無視した政策を行ったのは、自縄自縛の状態に陥った当時の社会や政治体制を打破し、新しい世を作るためだった。
だが、水は低きに流れるもの。先例や慣習によって立場や財産を保証されていた者たちは納得せず、後醍醐天皇に総スカンを食らわせてしまった。
全くもって、ややこしいさじ加減を求められるものだと思わざるを得ない。
「まあまあ、皆様。
京はおめでたい日なのですから、辛気くさいお話はその辺で」
場の空気が重くなることを心配したらしい徳川家康が、明るく言葉を発する。
「さすが家康だ。
わかっているな。みな、折角の茶の湯だ。
もそっと明るい茶飲み話といかぬか」
そういって、信長は茶を差し出す。
「いただきます。ええと…。
うん。いける。じゃなかった…けっこうなお手前で」
羽柴秀吉がぎくしゃくとしながら茶をいただく。もともと闊達で堅苦しいことが苦手な彼女には、難しい茶は荷が重いらしい。
「藤吉郎、無理に作法通りにやる必要もないんじゃないかな」
傍らで見ていた勝家が苦笑交じりに言う。
「そうとも、茶は楽しむものだ。肩肘張らずに気楽に飲むがいい」
信長がにやりとしながらフォローを入れる。
秀吉は、むしろ恐縮して真っ赤になってしまう。自分も織田の臣下らしく、武人であるとともに文化人たろうと努力しているが、道は遠いようだ。
「さ、自衛隊の方々も」
「美味しいですよ」
丹羽長秀と前田利家が、茶碗を移動させていく。
「いただきます」
自衛隊第105任務部隊の司令である大垣海将補が、なれた仕草で茶を頂いていく。
「さすが大垣海将補。
文化人ですな。私も努力しているのですが、どうも身につかなくて」
護衛艦“かつらぎ”艦長の高階一等海佐は、そう言いながらもうまそうに茶を口に含む。
「ところで信長様。本当に田宮二尉を将軍宣下の儀に列席させなくて良かったのですか?」
陸自統括の木場一等陸佐が、問題を蒸し返して申し訳ないがという口調で問うてくる。
「そうですね。私たちも少し寂しかったですし。
信長様が将軍に就任なさるのを一番に見て欲しかった相手は、田宮二尉なのでは?」
家康が自分の素直な気持ちを交えて補足する。
信長がふっと寂しげな表情になる。
「まあ仕方なかろう。みな忙しい身だ。
自衛隊の上級幹部の方々に時間を合わせて頂くだけで精一杯だったのだ。
私のわがままは通らんよ」
信長が精一杯笑顔を作ってそう応える姿に、誰も何も言えなくなってしまう。
織田信長という女は責任感が人一倍強い。一見自由気ままに生きているように見えて、人一倍周囲に気を遣っているのだ。
「その代わりと言ってはなんだが、近く京で大きな祭りを行おうと思うておる。
京中を挙げた大規模な催しだ。
ここまで頑張ってくれたみなをねぎらう意味でも。
今後に備えて鋭気を養う意味でもな!」
場がどよめく。
「祭りですか」
「それは素晴らしい。我々もなにか催し物を」
「大規模に田楽を行うのもいいかも知れませんのお」
みな、口々に祭りに関しての意見を述べる。
最近戦闘は事務仕事が多すぎて、ちょうど景気よく息抜きができないかと思っていたところだったのだ。
「みなみな、おわかりのことと思うが、穏やかなのは今だけだ。
足利義昭は逃亡した先で何事かを企てているようだ。
西国の大名たちがどう動くか、いまだ予測がつかん。
西国を制圧する戦いは、今まで以上に過酷なものとなるかも知れん」
信長は一度言葉を切り、立ち上がる。
「その前に思う存分楽しむぞ!
飲んで、食って、歌って、踊るのだ!
老若男女、身分の別もなしだ!」
拳を振り上げて宣言する信長に、列席する者たちは歓声を上げる。
まだ祭りは計画の段階であるのに、早くもボルテージは上がっていくのだった。
かくして、織田信長の将軍就任を祝うという名目で、京の町を挙げての大規模な祭典が行われることが決定され、早速準備が始められるのだった。
18
長門、関門海峡。
そこでは海戦が起きていた。毛利と大友の紛争である。
これまで大友は、長門と周防は大内家の所領であり、毛利が支配する権限はないと主張してきた。
大友の一族の中から大内の血を引くものを名目上の大内家の当主として担ぐ。それを大義名分として何度も長門、周防に攻撃をかけてきたのだ。
だが、今回の海戦はそれまでものとは全く違うものになっていた。
「御大将。大友勢水軍の半数は壊滅。残りは遁走します!」
「うむ、ご苦労である。
逃げるものは追うな。われわれの目的は長門、周防に大友を近づけさせないことだ。
今のところはな」
毛利家でも長門、周防方面の統括を務める、ボリュームのある長い茶髪が特徴の美少女が、伝令の報告に上機嫌に応じる。
毛利家前当主、毛利元就の次女、吉川元春である。
「明智日向守殿。ご助力、まことにありがとうございます。
これで大友はしばらく長防にちょっかいを出すことは不可能でしょう」
「なんの。元春様のご采配があったればこそです。
それに、これで終わりではありません。予定通り、薩摩の島津家との関係をさらに強化し、大友を南北から挟撃するのです」
元春の傍らに参謀格として立っていた明智光秀は、圧倒的勝利におごる様子もなく、冷静に返答する。
最近伸ばし始めた青い髪が潮風に揺れる。
水軍を整えて、性懲りもなく長防に攻め込むことを企てた大友勢は、毛利勢に大敗を喫してほうほうの体で逃げ帰ることとなる。
やはり、武器の質と量は戦い全体を大きく左右するものだ。
光秀は思う。
先の将軍足利義昭は、織田信長を排除するクーデターを起こして失敗。側近である光秀や細川幽斎とともに中国地方の覇者である毛利家に亡命した。
毛利家で再起を図るべく、義昭と光秀、幽斎は精力的に活動し始める。
実は義昭は、織田勢が用いている棒火矢や炸裂弾、大砲などの武器を秘密裏にコピーしていたのだ。
織田家の足軽をハニートラップでたぶらかしたり、武器制作担当のものに金を握らせるなどして、武器のサンプルや設計図を入手していた。
それを毛利家で復元し、大量配備する。当然のように、兵たちの訓練も引き受けた。
強力な重火器で武装する部隊を要する毛利勢は、外敵に対して俄然有利になった。
泥沼化していた四国の河野、北九州の大友との紛争に圧倒的勝利を収めつつあったのだ。
もちろん、知恵者の光秀の策はそれに留まらない。
河野には土佐の長宗我部、大友には薩摩、大隅、日向の島津をぶつける計略を実行していた。
河野と境目を接して争う長宗我部、大友との間で日向や肥後を奪い合う島津。彼らに資金や物資の援助をして、友好的な関係を結ぶことで、河野や大友が毛利と戦うどころではない状況を作り出す。
そのような義昭と光秀の作戦は見事に当たった。
海戦において、多くの船と兵を重火器の砲撃で失った河野からは、早々に和平の使者が送られてきた。
同じように海戦で敗北した上に、背後に島津の脅威を抱えた大友も、もはや毛利と戦い続けることは困難だろう。
いよいよ、毛利の助力を得て織田を討つめどが立ちつつあったのだった。
同じ頃、安芸、草津港。
「幽斎、話は本当でしょうね?うそであったらただではすませませんよ」
「このようなこと、嘘や冗談で言えるものではありません」
船の接岸を待ってそわそわとしている足利義昭に、細川幽斎が落ち着いた調子で返答する。
船が接岸し、縄で陸と繋がれ、昇降用の階段が降ろされるまでの時間が、義昭にはやたらと長く感じた。
「ああ…。まさか…本当に…?」
船から出てきて、静々と階段を下りてくる人物を目にして、義昭は涙が溢れるのを抑えることができなかった。
長くボリュームのある金髪が目を引く長身の美女。
それは紛れもなく、義昭の姉であり、先々代の将軍。足利義輝だったのだ。
「姉上!よくぞご無事で。またお会いできるなんて…。夢のようです」
義昭は義輝に走り寄って、手を握っていた。
その手の感触も間違いない。女にしては難くごつごつとしている。
剣聖将軍などとあだ名され、常に武術の鍛錬を怠らず、将軍の地位にありながら圧倒的なまでの強さを誇っていた姉。足利義輝の手に間違いがない。
だが…。
「姉上…?」
義輝が戸惑う仕草を見せるばかりで、自分との再会を喜ぶ様子がないことに、義昭は困惑する。
「その…そなた、妾のことを知っておるのか?
妾がどこの誰なのか、知っておるのか…?」
義昭は、義輝が自分を見る目が透明で、なんの感慨も宿していないことに気づく。
一体どういうことなのか?
御所が襲撃を受けて焼き払われ、義輝の消息も不明になった。てっきり死亡したものと思っていた姉に、こうして再会できているというのに。
状況を見かねたらしい黒髪ボブカットと眼鏡が特徴の美少女が進み出てくる。
毛利元就の三女、小早川隆景だ。
「義昭様。
落ち着いて聞いて下さい。
御姉君、義輝様は記憶を無くしておられるのです。
ご自分のお名前も、出自も、ご家族のことも、覚えていらっしゃらないようなのです」
義昭は隆景の言葉に、持ち上げられてから落とされた気分だった。
義輝とは、姉妹として過ごした時間は決して長くなかった。だが、義輝はいつも優しく凜々しい、義昭の自慢の姉だった。例え半分しか血が繋がっていなくとも。
「そなた…わらわの妹なのか…?
すまぬ…。思い出せぬ。思い出せぬのだ…」
義輝が悲しそうな顔をする。
隆景の説明によると、摂津と播磨の国境のとある寺に義輝が保護されていたのを、偶然にも幽斎の配下の者がみつけたらしい。
それは全くの偶然だった。毛利配下の村上水軍に随行していた幽斎の家臣が義輝の顔を知っていたことも偶然。
彼らが偵察の途中に立ち寄ったのが、義輝が保護されていた寺だったのもまた偶然だった。
「お寺がそれなりに力のあるところで、お寺の方々も親切な方ばかりだったのが幸いでした…」
隆景が気休めを承知で言う。
それは義昭にもわかっていた。着の身着のままで放浪する記憶喪失の女など、普通なら男たちの便所にされるか、売春宿に売られる運命だったろう。
「ご苦労でした、隆景殿。
姉上、どのような形であれ、こうして再びお会いできて義昭は幸せです」
義昭は精一杯の笑顔を作るが、涙が溢れるのを堪えることができなかった。
折角再会できたというのに、姉は自分を透明な目で見るばかりで、妹と認識していない。
それは、ある意味では義昭にとって、姉をもう一度失ったに等しい残酷な事実だった。
“生きていてくれればいい。どんな形であれ”義昭はとてもそんな気持ちにはなれなかったのだった。
安土城、自衛隊事務所
「やはり、東北に不穏な動きがあるか…」
田宮は、北関東と東北方面の部隊から流れて来た情報に目を通していた。
陸奥の伊達家が急速に力を付け、勢力を拡大していることは事実のようだ。
織田家の東と北に対する攻勢は、関東と北陸を制圧したことを機に一段落していた。
というよりも、その辺りが攻勢限界だったのだ。
上杉を臣従させる。房総半島の各勢力を平定。最後まで降伏勧告に応じなかった常陸の佐竹を制圧して改易、常陸を制圧に功績のあった徳川家の領地とする。
その上で東北まで駒を進めるのは、補給兵站の面からも、単純な距離の面からも困難だった。
畿内の制圧に兵力を振り向けなければならない時期であったからなおのこと。
それに加えて、東北は畿内以上に小さな勢力がしのぎを削り合う、泥沼の地域紛争の渦中にあった。
それを平定する責任を織田家が負うのは、今の時点では難しい。
そう判断されていたという事情もあった。
だがここに来て、状況は変わった。伊達家が急速に力を伸ばし始めているのだ。
ばらばらだった陸奥中部を圧倒的な力で平定し、さらに周辺にも勢力を拡大しつつある。
織田家にとっては今すぐどうと言うことはなくとも、看過できない問題だった。
特に、会津を領有する蘆名家が滅ぶようなことがあれば、伊達と北条、上杉は境界線を接することになる。伊達は次に関東と北陸を狙ってくる可能性がある。
「足利義昭と明智光秀が毛利の元で活動し始めた時期とほぼ一致するな…」
田宮にはどうもこの点が引っかかった。
取り越し苦労かも知れない。安芸にいる義昭と陸奥の伊達が連絡を取っているというのも無理がある。そもそも、利害が一致するとは考えにくい。
だが、義昭の動きの活発化と伊達の隆盛。この2つが同時期に起きたのがどうも引っかかるのだった。
(おっと、主観を入れないで事実のみを伝えないとな)
田宮はそう思い直して再びパソコンに向き合い、織田家に対する報告書を作成していく。
まずは事実のみを報告する。自分の意見や見解を述べるのは報告をした後だ。
そうでなくては報告とはいえない。
自分の願望と事実を取り違えて、あるいは意図的に混同して、勝てない戦いを勝てると言い張り続けたのが旧日本軍だった。その失敗を反面教師として、自分たちは存在している。
それをあらためて頭に入れ、田宮は書類の作成を進めた。
西に毛利。北に伊達。
織田家にとってきな臭く不穏な動きが、にわかに活発化していた。
つかの間の平和は、今回もまた次の戦いの準備期間に過ぎなかったのだった。
京都、内裏。
「今、この時をもって、平の朝臣こと、織田信長を征夷大将軍に任ずるものである」
新たに即位した後陽成天皇が大きな声で自ら宣言する。
「は!拝命致します!」
信長がそれに応じる。
慣習としては、いかなる宣下を行う場合でも、帝自身はしゃべらないものとされている。
だが、後陽成天皇本人のたっての意向で、自ら信長への将軍宣下を高らかに宣言することとなったのだ。
それは織田信長の征夷大将軍就任に関しての責任は、朝廷と後陽成天皇にあることを明確にする趣旨だった。
裏を返せば、これほどの覚悟と責任感を持って将軍宣下を行った朝廷と後陽成天皇を、信長は粗略にはできないということでもあった。
関白、近衛先久が、将軍宣下の勅令を読み上げていく。
列席する織田直臣たちの他、今川、武田、北条、上杉、そして徳川の主立った者たち、そして自衛隊の幹部たちは、みな一様に感慨深げだった。
征夷大将軍織田信長の誕生であった。
京、安土城。
「みなみな、本日は忙しいところ大義であった」
安土城の一角に設けられた茶室。
将軍宣下の儀から戻った信長は、臣下の者たちに茶を振る舞っていた。
信長はもちろん、他のものたちも、正装から平服に戻って肩の力を抜いている。
「信長様。
まことにおめでたいことですが、私たちも列席させて頂いて良かったのですか?」
帝に拝謁して、さすがに緊張していたらしい北条早雲がいまさら聞いていくる。
「当然ではないか。
貴公らは私の信頼する家臣だ。将軍就任に立ち会ってもらうのは権利であり、義務でもあると考えてもらいたい」
信長は茶を点てる手を止めずに応じる。
「しかし、いざ出席してみると緊張しました。
お公家さんの習慣ややり方というのは堅苦しいものですねえ」
武田信玄が、全身がこちこちだとばかりに肩をほぐしながらぼやく。
彼女にしては珍しいことだ。戦や内政の方が、わかりやすい分まだ楽であるらしい。
「まあ、確かに。
私も何度か海路で京に参じましたが、なんでも慣習だの先例だのと面倒でしたから」
京に関しては集まっている中で一番の先輩である上杉謙信が、わかるとばかりに苦笑する。
「先例や慣習に呪縛されていては何もできぬ。
だが、先例や慣習を全く無視して、木曾義仲や後醍醐天皇の轍を踏むのは誰しもごめんか…。
難しいのお」
今川義元がさじ加減ほど面倒なことはないという調子で言う。
木曾義仲の公家や朝廷に対する無礼な振る舞いや、京での乱暴狼藉は、後世の脚色や誇張である可能性もある。
だが、公家社会の先例や慣習を顧みない行きすぎた合理主義は悪評を生み、やがて義仲自身を滅ぼす一因となった。
後醍醐天皇が先例や慣習を無視した政策を行ったのは、自縄自縛の状態に陥った当時の社会や政治体制を打破し、新しい世を作るためだった。
だが、水は低きに流れるもの。先例や慣習によって立場や財産を保証されていた者たちは納得せず、後醍醐天皇に総スカンを食らわせてしまった。
全くもって、ややこしいさじ加減を求められるものだと思わざるを得ない。
「まあまあ、皆様。
京はおめでたい日なのですから、辛気くさいお話はその辺で」
場の空気が重くなることを心配したらしい徳川家康が、明るく言葉を発する。
「さすが家康だ。
わかっているな。みな、折角の茶の湯だ。
もそっと明るい茶飲み話といかぬか」
そういって、信長は茶を差し出す。
「いただきます。ええと…。
うん。いける。じゃなかった…けっこうなお手前で」
羽柴秀吉がぎくしゃくとしながら茶をいただく。もともと闊達で堅苦しいことが苦手な彼女には、難しい茶は荷が重いらしい。
「藤吉郎、無理に作法通りにやる必要もないんじゃないかな」
傍らで見ていた勝家が苦笑交じりに言う。
「そうとも、茶は楽しむものだ。肩肘張らずに気楽に飲むがいい」
信長がにやりとしながらフォローを入れる。
秀吉は、むしろ恐縮して真っ赤になってしまう。自分も織田の臣下らしく、武人であるとともに文化人たろうと努力しているが、道は遠いようだ。
「さ、自衛隊の方々も」
「美味しいですよ」
丹羽長秀と前田利家が、茶碗を移動させていく。
「いただきます」
自衛隊第105任務部隊の司令である大垣海将補が、なれた仕草で茶を頂いていく。
「さすが大垣海将補。
文化人ですな。私も努力しているのですが、どうも身につかなくて」
護衛艦“かつらぎ”艦長の高階一等海佐は、そう言いながらもうまそうに茶を口に含む。
「ところで信長様。本当に田宮二尉を将軍宣下の儀に列席させなくて良かったのですか?」
陸自統括の木場一等陸佐が、問題を蒸し返して申し訳ないがという口調で問うてくる。
「そうですね。私たちも少し寂しかったですし。
信長様が将軍に就任なさるのを一番に見て欲しかった相手は、田宮二尉なのでは?」
家康が自分の素直な気持ちを交えて補足する。
信長がふっと寂しげな表情になる。
「まあ仕方なかろう。みな忙しい身だ。
自衛隊の上級幹部の方々に時間を合わせて頂くだけで精一杯だったのだ。
私のわがままは通らんよ」
信長が精一杯笑顔を作ってそう応える姿に、誰も何も言えなくなってしまう。
織田信長という女は責任感が人一倍強い。一見自由気ままに生きているように見えて、人一倍周囲に気を遣っているのだ。
「その代わりと言ってはなんだが、近く京で大きな祭りを行おうと思うておる。
京中を挙げた大規模な催しだ。
ここまで頑張ってくれたみなをねぎらう意味でも。
今後に備えて鋭気を養う意味でもな!」
場がどよめく。
「祭りですか」
「それは素晴らしい。我々もなにか催し物を」
「大規模に田楽を行うのもいいかも知れませんのお」
みな、口々に祭りに関しての意見を述べる。
最近戦闘は事務仕事が多すぎて、ちょうど景気よく息抜きができないかと思っていたところだったのだ。
「みなみな、おわかりのことと思うが、穏やかなのは今だけだ。
足利義昭は逃亡した先で何事かを企てているようだ。
西国の大名たちがどう動くか、いまだ予測がつかん。
西国を制圧する戦いは、今まで以上に過酷なものとなるかも知れん」
信長は一度言葉を切り、立ち上がる。
「その前に思う存分楽しむぞ!
飲んで、食って、歌って、踊るのだ!
老若男女、身分の別もなしだ!」
拳を振り上げて宣言する信長に、列席する者たちは歓声を上げる。
まだ祭りは計画の段階であるのに、早くもボルテージは上がっていくのだった。
かくして、織田信長の将軍就任を祝うという名目で、京の町を挙げての大規模な祭典が行われることが決定され、早速準備が始められるのだった。
18
長門、関門海峡。
そこでは海戦が起きていた。毛利と大友の紛争である。
これまで大友は、長門と周防は大内家の所領であり、毛利が支配する権限はないと主張してきた。
大友の一族の中から大内の血を引くものを名目上の大内家の当主として担ぐ。それを大義名分として何度も長門、周防に攻撃をかけてきたのだ。
だが、今回の海戦はそれまでものとは全く違うものになっていた。
「御大将。大友勢水軍の半数は壊滅。残りは遁走します!」
「うむ、ご苦労である。
逃げるものは追うな。われわれの目的は長門、周防に大友を近づけさせないことだ。
今のところはな」
毛利家でも長門、周防方面の統括を務める、ボリュームのある長い茶髪が特徴の美少女が、伝令の報告に上機嫌に応じる。
毛利家前当主、毛利元就の次女、吉川元春である。
「明智日向守殿。ご助力、まことにありがとうございます。
これで大友はしばらく長防にちょっかいを出すことは不可能でしょう」
「なんの。元春様のご采配があったればこそです。
それに、これで終わりではありません。予定通り、薩摩の島津家との関係をさらに強化し、大友を南北から挟撃するのです」
元春の傍らに参謀格として立っていた明智光秀は、圧倒的勝利におごる様子もなく、冷静に返答する。
最近伸ばし始めた青い髪が潮風に揺れる。
水軍を整えて、性懲りもなく長防に攻め込むことを企てた大友勢は、毛利勢に大敗を喫してほうほうの体で逃げ帰ることとなる。
やはり、武器の質と量は戦い全体を大きく左右するものだ。
光秀は思う。
先の将軍足利義昭は、織田信長を排除するクーデターを起こして失敗。側近である光秀や細川幽斎とともに中国地方の覇者である毛利家に亡命した。
毛利家で再起を図るべく、義昭と光秀、幽斎は精力的に活動し始める。
実は義昭は、織田勢が用いている棒火矢や炸裂弾、大砲などの武器を秘密裏にコピーしていたのだ。
織田家の足軽をハニートラップでたぶらかしたり、武器制作担当のものに金を握らせるなどして、武器のサンプルや設計図を入手していた。
それを毛利家で復元し、大量配備する。当然のように、兵たちの訓練も引き受けた。
強力な重火器で武装する部隊を要する毛利勢は、外敵に対して俄然有利になった。
泥沼化していた四国の河野、北九州の大友との紛争に圧倒的勝利を収めつつあったのだ。
もちろん、知恵者の光秀の策はそれに留まらない。
河野には土佐の長宗我部、大友には薩摩、大隅、日向の島津をぶつける計略を実行していた。
河野と境目を接して争う長宗我部、大友との間で日向や肥後を奪い合う島津。彼らに資金や物資の援助をして、友好的な関係を結ぶことで、河野や大友が毛利と戦うどころではない状況を作り出す。
そのような義昭と光秀の作戦は見事に当たった。
海戦において、多くの船と兵を重火器の砲撃で失った河野からは、早々に和平の使者が送られてきた。
同じように海戦で敗北した上に、背後に島津の脅威を抱えた大友も、もはや毛利と戦い続けることは困難だろう。
いよいよ、毛利の助力を得て織田を討つめどが立ちつつあったのだった。
同じ頃、安芸、草津港。
「幽斎、話は本当でしょうね?うそであったらただではすませませんよ」
「このようなこと、嘘や冗談で言えるものではありません」
船の接岸を待ってそわそわとしている足利義昭に、細川幽斎が落ち着いた調子で返答する。
船が接岸し、縄で陸と繋がれ、昇降用の階段が降ろされるまでの時間が、義昭にはやたらと長く感じた。
「ああ…。まさか…本当に…?」
船から出てきて、静々と階段を下りてくる人物を目にして、義昭は涙が溢れるのを抑えることができなかった。
長くボリュームのある金髪が目を引く長身の美女。
それは紛れもなく、義昭の姉であり、先々代の将軍。足利義輝だったのだ。
「姉上!よくぞご無事で。またお会いできるなんて…。夢のようです」
義昭は義輝に走り寄って、手を握っていた。
その手の感触も間違いない。女にしては難くごつごつとしている。
剣聖将軍などとあだ名され、常に武術の鍛錬を怠らず、将軍の地位にありながら圧倒的なまでの強さを誇っていた姉。足利義輝の手に間違いがない。
だが…。
「姉上…?」
義輝が戸惑う仕草を見せるばかりで、自分との再会を喜ぶ様子がないことに、義昭は困惑する。
「その…そなた、妾のことを知っておるのか?
妾がどこの誰なのか、知っておるのか…?」
義昭は、義輝が自分を見る目が透明で、なんの感慨も宿していないことに気づく。
一体どういうことなのか?
御所が襲撃を受けて焼き払われ、義輝の消息も不明になった。てっきり死亡したものと思っていた姉に、こうして再会できているというのに。
状況を見かねたらしい黒髪ボブカットと眼鏡が特徴の美少女が進み出てくる。
毛利元就の三女、小早川隆景だ。
「義昭様。
落ち着いて聞いて下さい。
御姉君、義輝様は記憶を無くしておられるのです。
ご自分のお名前も、出自も、ご家族のことも、覚えていらっしゃらないようなのです」
義昭は隆景の言葉に、持ち上げられてから落とされた気分だった。
義輝とは、姉妹として過ごした時間は決して長くなかった。だが、義輝はいつも優しく凜々しい、義昭の自慢の姉だった。例え半分しか血が繋がっていなくとも。
「そなた…わらわの妹なのか…?
すまぬ…。思い出せぬ。思い出せぬのだ…」
義輝が悲しそうな顔をする。
隆景の説明によると、摂津と播磨の国境のとある寺に義輝が保護されていたのを、偶然にも幽斎の配下の者がみつけたらしい。
それは全くの偶然だった。毛利配下の村上水軍に随行していた幽斎の家臣が義輝の顔を知っていたことも偶然。
彼らが偵察の途中に立ち寄ったのが、義輝が保護されていた寺だったのもまた偶然だった。
「お寺がそれなりに力のあるところで、お寺の方々も親切な方ばかりだったのが幸いでした…」
隆景が気休めを承知で言う。
それは義昭にもわかっていた。着の身着のままで放浪する記憶喪失の女など、普通なら男たちの便所にされるか、売春宿に売られる運命だったろう。
「ご苦労でした、隆景殿。
姉上、どのような形であれ、こうして再びお会いできて義昭は幸せです」
義昭は精一杯の笑顔を作るが、涙が溢れるのを堪えることができなかった。
折角再会できたというのに、姉は自分を透明な目で見るばかりで、妹と認識していない。
それは、ある意味では義昭にとって、姉をもう一度失ったに等しい残酷な事実だった。
“生きていてくれればいい。どんな形であれ”義昭はとてもそんな気持ちにはなれなかったのだった。
安土城、自衛隊事務所
「やはり、東北に不穏な動きがあるか…」
田宮は、北関東と東北方面の部隊から流れて来た情報に目を通していた。
陸奥の伊達家が急速に力を付け、勢力を拡大していることは事実のようだ。
織田家の東と北に対する攻勢は、関東と北陸を制圧したことを機に一段落していた。
というよりも、その辺りが攻勢限界だったのだ。
上杉を臣従させる。房総半島の各勢力を平定。最後まで降伏勧告に応じなかった常陸の佐竹を制圧して改易、常陸を制圧に功績のあった徳川家の領地とする。
その上で東北まで駒を進めるのは、補給兵站の面からも、単純な距離の面からも困難だった。
畿内の制圧に兵力を振り向けなければならない時期であったからなおのこと。
それに加えて、東北は畿内以上に小さな勢力がしのぎを削り合う、泥沼の地域紛争の渦中にあった。
それを平定する責任を織田家が負うのは、今の時点では難しい。
そう判断されていたという事情もあった。
だがここに来て、状況は変わった。伊達家が急速に力を伸ばし始めているのだ。
ばらばらだった陸奥中部を圧倒的な力で平定し、さらに周辺にも勢力を拡大しつつある。
織田家にとっては今すぐどうと言うことはなくとも、看過できない問題だった。
特に、会津を領有する蘆名家が滅ぶようなことがあれば、伊達と北条、上杉は境界線を接することになる。伊達は次に関東と北陸を狙ってくる可能性がある。
「足利義昭と明智光秀が毛利の元で活動し始めた時期とほぼ一致するな…」
田宮にはどうもこの点が引っかかった。
取り越し苦労かも知れない。安芸にいる義昭と陸奥の伊達が連絡を取っているというのも無理がある。そもそも、利害が一致するとは考えにくい。
だが、義昭の動きの活発化と伊達の隆盛。この2つが同時期に起きたのがどうも引っかかるのだった。
(おっと、主観を入れないで事実のみを伝えないとな)
田宮はそう思い直して再びパソコンに向き合い、織田家に対する報告書を作成していく。
まずは事実のみを報告する。自分の意見や見解を述べるのは報告をした後だ。
そうでなくては報告とはいえない。
自分の願望と事実を取り違えて、あるいは意図的に混同して、勝てない戦いを勝てると言い張り続けたのが旧日本軍だった。その失敗を反面教師として、自分たちは存在している。
それをあらためて頭に入れ、田宮は書類の作成を進めた。
西に毛利。北に伊達。
織田家にとってきな臭く不穏な動きが、にわかに活発化していた。
つかの間の平和は、今回もまた次の戦いの準備期間に過ぎなかったのだった。
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