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04 フィットネスラブパニック
衝動のまま…
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07
待ちぼうけの瞳に飲み物を持ってきたのは、つかさではなかった。
「あれ、課長?」
「やあ。つかさちゃんが急用ができたとかで、かわりに飲み物を持って行ってくれと頼まれてね」
リラクゼーションルームに現れた龍太郎が、瞳にペットボトルのスポーツ飲料を差し出す。
なんでも、つかさが電話をしなければならないとかで強引にペットボトルを預けていったらしい。
「隣、いいかな?」
「はい。どうぞ…」
龍太郎は瞳が腰掛けるマッサージ台の隣に座り、もう一つのペットボトルを飲んでいく。
(なんだろう…急にえっちな気分になってきちゃった…。
課長がいるのに)
瞳は、急にセックスの衝動に襲われたことに戸惑っていた。
下腹部と股間がじんと熱くなり、花弁がじわりと開いてとろりと溢れてきてしまう。
(課長、すごい汗…でも…ぜんぜん嫌じゃない…)
龍太郎の汗のにおいで、頭の奥が痺れたようになっていく。
「秋島君、どうした?顔赤いけど…」
「いえ…久しぶりに本格的に運動したからですかね…」
瞳はあいまいに答えを返す。
(どうしよう…顔熱くなって課長の顔見れないよ…。課長の声を聞くだけで…すごくドキドキする…)
瞳はもうセックスの衝動に抗えなかった。
リラクゼーションルームはついたてがあるだけで、向こうには他の人がいる。
そんな理性も儚かった。
抱いて欲しい。
この体の疼きを鎮めて欲しい。
それしか考えられなくなっていた。
「課長…いえ…龍太郎さん…」
「秋島君…」
熱に浮かされ、体がふわふわとして宙に浮くような心地のまま、瞳は隣に座る龍太郎の手に自分の手を重ねていた。
(もうがまんできない…この大きくて逞しい手で触れて欲しい…)
こみ上げる衝動のままに、瞳は龍太郎の手を自分の胸の膨らみに導いていた。
「秋島君…」
「龍太郎さん…」
瞳は龍太郎に顔を寄せ、少し唇を突き出して目を閉じる。
(こんなところじゃ恥ずかしい…。でも…セックスがしたい…。このまま龍太郎さんに奪われてしまいたい…)
龍太郎の唇が近づいてくるのを感じる。
瞳の理性は完全に麻痺し、セックスの衝動に身を任せようとしていた。
(よし、行け!ちゅっ!そしてずっこんばっこん!そのままお付き合いして、ついでに結婚もしちゃいなさい!)
ついたての隙間から中の様子をうかがうつかさは、興奮しながら成り行きを見守っていた。
女の機能を活発化させるツボを押して、いい感じで瞳が発情してきたところで、龍太郎に飲み物を預けた。
後は、瞳がセックスの衝動に抗えず、現れた龍太郎を誘惑して抱かれてしまうだけ。
(瞳さん、スケベで下品な姿を見せてごらんなさい)
瞳がトイレをがまんするようにもぞもぞと太ももを擦り合わせ、龍太郎を求め始める姿に、つかさは満足する。
瞳にしかけた時限爆弾は予定通り発動した。
自分が施したツボ療法は所期の効果を発揮し、瞳を発情させて理性を麻痺させることができたのだ。
瞳が龍太郎に顔を寄せて目を閉じる。
龍太郎もそれに応じて、唇を近づけていく。
(瞳さんが龍太郎さんとお付き合いすれば…。
兄貴のことでわだかまりはなくなる…。
瞳さんを嫌いたくない…。
兄貴…お兄ちゃんのことがなくなれば…瞳さんを普通に好きでいられる)
つかさはそんな切ない思いを抱いていた。
瞳のことは嫌いではないし、これからもできれば嫌いになりたくない。
瞳が自分から兄を取ろうとすることがなくなれば、なんの問題もなく瞳を大好きになれる。
そんな複雑な思惑に駆られていたのだ。
瞳と龍太郎の唇がいよいよ重なろうとする。
が…。
かさっ…。
つかさは、足下に不意に違和感を感じる。
(この感じもしかして…)
嫌な予感を覚えながら、恐る恐る視線を落とす。
そこにあったのは、予想通り、台所に出没する主婦の敵いわゆる“G”だった。
つかさは恐怖と嫌悪感で、頭の中が真っ白になっていくのを感じる。
「きゃああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!」
リラクゼーションルームに、つかさの黄色い悲鳴が響いた。
「な…なんだ…?」
「つかさちゃんの声…?」
龍太郎と瞳は、響き渡った悲鳴に我に返る。
(って…私何をしようとしてたの…?ふわふわして…どきどきして…。
課長とセックスしようとしてた…)
瞳は自分のしようとしたことが信じられなかった。
催眠術にでもかかっていた気分だった。
ふしだらな衝動が命じるまま、龍太郎を誘惑して体を重ねようとしていた。
(恥ずかしい…。私あんなえっちな女じゃないのに…)
猛烈な恥ずかしさと自己嫌悪がこみ上げてくる。
「やだっ…!いやああああああーーーっ!」
だが、つかさの悲鳴が再び響いて、瞳の思考は断ち切られる。
つかさになにがあったのか。
痴漢や強盗にでも遭っているのではないか。
そんな危機感に突き動かされる。
「つかさちゃん、どうしたの!?」
「あ…あれ…あれ…」
つかさは尻餅をついて床を指さしている。
瞳は全身の毛穴が開くのを感じる。
“G”だ。
考える前に体が動いていた。
瞳はスリッパをつかみ、触覚を不気味に動かす黒い者に向かって振り下ろす。
もちろん“G”のがわも座してやられはしない。
不気味な動きでスリッパから逃れようとする。
瞳も意地になって何度も叩きつける。
乾いた音がリラクゼーションルームに響き渡る。
何度目かの打撃が、ついに“G”を捕らえた。
念のためもう一度スリッパを叩きつけてとどめを刺す。
「つかさちゃん、大丈夫?」
「は…はい…」
つかさは涙目になっている。本当に“G”がだめらしい。
「なんだったんだ、さっきの?」
「女の子の悲鳴だったな」
「すみません、ちょっと通して下さい」
(課長にさっきのこと…なんて言おう…?)
つかさの悲鳴で、ちょっとした騒ぎになっているリラクゼーションルームの中、瞳は途方に暮れる。
先ほどまで瞳を支配していたエロティックな気分とセックスの衝動は、今の騒ぎですっかりしぼんでしまっていた。
急にセックスがしたくなって、衝動のままに龍太郎を誘惑したことをどう説明すべきか。
まったくわからなかった。
待ちぼうけの瞳に飲み物を持ってきたのは、つかさではなかった。
「あれ、課長?」
「やあ。つかさちゃんが急用ができたとかで、かわりに飲み物を持って行ってくれと頼まれてね」
リラクゼーションルームに現れた龍太郎が、瞳にペットボトルのスポーツ飲料を差し出す。
なんでも、つかさが電話をしなければならないとかで強引にペットボトルを預けていったらしい。
「隣、いいかな?」
「はい。どうぞ…」
龍太郎は瞳が腰掛けるマッサージ台の隣に座り、もう一つのペットボトルを飲んでいく。
(なんだろう…急にえっちな気分になってきちゃった…。
課長がいるのに)
瞳は、急にセックスの衝動に襲われたことに戸惑っていた。
下腹部と股間がじんと熱くなり、花弁がじわりと開いてとろりと溢れてきてしまう。
(課長、すごい汗…でも…ぜんぜん嫌じゃない…)
龍太郎の汗のにおいで、頭の奥が痺れたようになっていく。
「秋島君、どうした?顔赤いけど…」
「いえ…久しぶりに本格的に運動したからですかね…」
瞳はあいまいに答えを返す。
(どうしよう…顔熱くなって課長の顔見れないよ…。課長の声を聞くだけで…すごくドキドキする…)
瞳はもうセックスの衝動に抗えなかった。
リラクゼーションルームはついたてがあるだけで、向こうには他の人がいる。
そんな理性も儚かった。
抱いて欲しい。
この体の疼きを鎮めて欲しい。
それしか考えられなくなっていた。
「課長…いえ…龍太郎さん…」
「秋島君…」
熱に浮かされ、体がふわふわとして宙に浮くような心地のまま、瞳は隣に座る龍太郎の手に自分の手を重ねていた。
(もうがまんできない…この大きくて逞しい手で触れて欲しい…)
こみ上げる衝動のままに、瞳は龍太郎の手を自分の胸の膨らみに導いていた。
「秋島君…」
「龍太郎さん…」
瞳は龍太郎に顔を寄せ、少し唇を突き出して目を閉じる。
(こんなところじゃ恥ずかしい…。でも…セックスがしたい…。このまま龍太郎さんに奪われてしまいたい…)
龍太郎の唇が近づいてくるのを感じる。
瞳の理性は完全に麻痺し、セックスの衝動に身を任せようとしていた。
(よし、行け!ちゅっ!そしてずっこんばっこん!そのままお付き合いして、ついでに結婚もしちゃいなさい!)
ついたての隙間から中の様子をうかがうつかさは、興奮しながら成り行きを見守っていた。
女の機能を活発化させるツボを押して、いい感じで瞳が発情してきたところで、龍太郎に飲み物を預けた。
後は、瞳がセックスの衝動に抗えず、現れた龍太郎を誘惑して抱かれてしまうだけ。
(瞳さん、スケベで下品な姿を見せてごらんなさい)
瞳がトイレをがまんするようにもぞもぞと太ももを擦り合わせ、龍太郎を求め始める姿に、つかさは満足する。
瞳にしかけた時限爆弾は予定通り発動した。
自分が施したツボ療法は所期の効果を発揮し、瞳を発情させて理性を麻痺させることができたのだ。
瞳が龍太郎に顔を寄せて目を閉じる。
龍太郎もそれに応じて、唇を近づけていく。
(瞳さんが龍太郎さんとお付き合いすれば…。
兄貴のことでわだかまりはなくなる…。
瞳さんを嫌いたくない…。
兄貴…お兄ちゃんのことがなくなれば…瞳さんを普通に好きでいられる)
つかさはそんな切ない思いを抱いていた。
瞳のことは嫌いではないし、これからもできれば嫌いになりたくない。
瞳が自分から兄を取ろうとすることがなくなれば、なんの問題もなく瞳を大好きになれる。
そんな複雑な思惑に駆られていたのだ。
瞳と龍太郎の唇がいよいよ重なろうとする。
が…。
かさっ…。
つかさは、足下に不意に違和感を感じる。
(この感じもしかして…)
嫌な予感を覚えながら、恐る恐る視線を落とす。
そこにあったのは、予想通り、台所に出没する主婦の敵いわゆる“G”だった。
つかさは恐怖と嫌悪感で、頭の中が真っ白になっていくのを感じる。
「きゃああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーっ!」
リラクゼーションルームに、つかさの黄色い悲鳴が響いた。
「な…なんだ…?」
「つかさちゃんの声…?」
龍太郎と瞳は、響き渡った悲鳴に我に返る。
(って…私何をしようとしてたの…?ふわふわして…どきどきして…。
課長とセックスしようとしてた…)
瞳は自分のしようとしたことが信じられなかった。
催眠術にでもかかっていた気分だった。
ふしだらな衝動が命じるまま、龍太郎を誘惑して体を重ねようとしていた。
(恥ずかしい…。私あんなえっちな女じゃないのに…)
猛烈な恥ずかしさと自己嫌悪がこみ上げてくる。
「やだっ…!いやああああああーーーっ!」
だが、つかさの悲鳴が再び響いて、瞳の思考は断ち切られる。
つかさになにがあったのか。
痴漢や強盗にでも遭っているのではないか。
そんな危機感に突き動かされる。
「つかさちゃん、どうしたの!?」
「あ…あれ…あれ…」
つかさは尻餅をついて床を指さしている。
瞳は全身の毛穴が開くのを感じる。
“G”だ。
考える前に体が動いていた。
瞳はスリッパをつかみ、触覚を不気味に動かす黒い者に向かって振り下ろす。
もちろん“G”のがわも座してやられはしない。
不気味な動きでスリッパから逃れようとする。
瞳も意地になって何度も叩きつける。
乾いた音がリラクゼーションルームに響き渡る。
何度目かの打撃が、ついに“G”を捕らえた。
念のためもう一度スリッパを叩きつけてとどめを刺す。
「つかさちゃん、大丈夫?」
「は…はい…」
つかさは涙目になっている。本当に“G”がだめらしい。
「なんだったんだ、さっきの?」
「女の子の悲鳴だったな」
「すみません、ちょっと通して下さい」
(課長にさっきのこと…なんて言おう…?)
つかさの悲鳴で、ちょっとした騒ぎになっているリラクゼーションルームの中、瞳は途方に暮れる。
先ほどまで瞳を支配していたエロティックな気分とセックスの衝動は、今の騒ぎですっかりしぼんでしまっていた。
急にセックスがしたくなって、衝動のままに龍太郎を誘惑したことをどう説明すべきか。
まったくわからなかった。
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