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03 寒い日々だから
人見知りお姫様の微笑
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10
(やっぱりお兄ちゃんが好きなんじゃない)
そう思った瞳は、つかさの心境を想像してみる。
勇人は年が離れた兄で、つかさから見れば大人と呼べる近しい人物だ。
しかも、イケメンで身体能力も高く、好人物でもある。
あこがれを通り越して、恋愛感情に近いものを抱いても不思議はない気がした。
子供は自分の中で異性像を形成するときに、近しい異性の家族を基準にするという。
そして、恋人や配偶者にも、時に父性や母性を求めたりもする。
“ラ○ァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ”という、とあるロボットアニメの名言(迷言)は、人としてはある意味で自然な感情と言える。(30代にもなって女に母性をもとめるのがどうなのかは別にして)
つまり、つかさは男性像を自分の中で形成する過渡期なのだ。
「まあなんだ…。つかさちゃんのお兄ちゃんは、おっぱいが大きいか小さいかで女の価値を決めるような男の人じゃないと思うよ」
つかさにとっては女の子の切実な問題であることを察して、瞳はフォローを入れる。
12歳と言えば成長期まっただ中、お年頃なのだ。
「秋島さん、いやみです…」
だが、つかさにとってはフォローになっていなかったらしい。
いや、大富豪が無一文に対して“幸せは金では買えない”と言っても説得力がないというべきか。
(そう言えば、なんだか最近大きくなったかなあ…)
一番最後に計った時は、とうとう瞳の膨らみは94センチに達していた。
眼鏡をやめて以来、肌荒れや内臓脂肪対策に生活習慣を改善するようにしているから、その副産物かも知れない。
「つかさちゃんはこれから大きくなるんだって。
私だって、つかさちゃんくらいの時はこのまま一生つるぺたかもって、ずいぶん心配したもんだよ?」
「本当ですか…?」
今度はそこそこフォローになったらしい。
つかさが、わずかだが希望を持った表情になる。
「本当だって。トップとアンダーは別にして、今のつかさちゃんより小さかったかも知れない」
(ほんとは、小学校の頃から大きくて、バカ男子どもにからかわれてたけどね…)
瞳は、胸の奥でつかさに詫びながら続ける。
“スケベおっぱい”“おっぱいおばけ”と、同級生の男子たちがはやし立てる声が蘇ってくる。
「その…触ってもいいかな…?感触で、これから大きくなるかだいたいわかるんだ」
「さっきはわたしが触ったから…どうぞ…」
つかさは素直に自分の胸元を瞳にをさらす。
(あくまでつかさちゃんを勇気づけるため。勇気づけるため)
自分に言い訳しながら、瞳はつかさの慎ましやかな膨らみに手を伸ばす。
ふくらみかけの感触を確かめてみたいというよこしまな感情を、必死で否定する。
(うわ…手のひらサイズ、かわいい…それに…さわり心地もぷよぷよで気持ちいい…)
不思議な感触だった。確かにまだ小さいが、弾力があって指が押し返されるようだった。
「あん…!」
つかさが、年齢に不相応な色っぽい声をあげる。
「えと…痛かった…?」
「いえ…大丈夫です…。誰にも触らせたことないから…」
つかさの顔が赤く上気しているのは、湯にのぼせているからではないだろう。
思春期の少女には、恥ずかしく微妙な状況なのだ。
「うん、やっぱりね。
まだ固い。これから大きくなるんだよ」
瞳は務めて優しい笑顔でそう言う。
「そう…なんですね…。良かった」
つかさが安心したのか、にっこりとする。
(うわ。笑うとさらにかわいい)
瞳は、やっと見ることのできたつかさの笑顔に癒された気分になる。
もともとお人形さんのようにかわいい美少女だったが、表情が硬いのが残念と思っていたのだ。
人見知りなお姫様がやっとほほえんでくれたことに、瞳はとても幸せな気分だった。
(やっぱりお兄ちゃんが好きなんじゃない)
そう思った瞳は、つかさの心境を想像してみる。
勇人は年が離れた兄で、つかさから見れば大人と呼べる近しい人物だ。
しかも、イケメンで身体能力も高く、好人物でもある。
あこがれを通り越して、恋愛感情に近いものを抱いても不思議はない気がした。
子供は自分の中で異性像を形成するときに、近しい異性の家族を基準にするという。
そして、恋人や配偶者にも、時に父性や母性を求めたりもする。
“ラ○ァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ”という、とあるロボットアニメの名言(迷言)は、人としてはある意味で自然な感情と言える。(30代にもなって女に母性をもとめるのがどうなのかは別にして)
つまり、つかさは男性像を自分の中で形成する過渡期なのだ。
「まあなんだ…。つかさちゃんのお兄ちゃんは、おっぱいが大きいか小さいかで女の価値を決めるような男の人じゃないと思うよ」
つかさにとっては女の子の切実な問題であることを察して、瞳はフォローを入れる。
12歳と言えば成長期まっただ中、お年頃なのだ。
「秋島さん、いやみです…」
だが、つかさにとってはフォローになっていなかったらしい。
いや、大富豪が無一文に対して“幸せは金では買えない”と言っても説得力がないというべきか。
(そう言えば、なんだか最近大きくなったかなあ…)
一番最後に計った時は、とうとう瞳の膨らみは94センチに達していた。
眼鏡をやめて以来、肌荒れや内臓脂肪対策に生活習慣を改善するようにしているから、その副産物かも知れない。
「つかさちゃんはこれから大きくなるんだって。
私だって、つかさちゃんくらいの時はこのまま一生つるぺたかもって、ずいぶん心配したもんだよ?」
「本当ですか…?」
今度はそこそこフォローになったらしい。
つかさが、わずかだが希望を持った表情になる。
「本当だって。トップとアンダーは別にして、今のつかさちゃんより小さかったかも知れない」
(ほんとは、小学校の頃から大きくて、バカ男子どもにからかわれてたけどね…)
瞳は、胸の奥でつかさに詫びながら続ける。
“スケベおっぱい”“おっぱいおばけ”と、同級生の男子たちがはやし立てる声が蘇ってくる。
「その…触ってもいいかな…?感触で、これから大きくなるかだいたいわかるんだ」
「さっきはわたしが触ったから…どうぞ…」
つかさは素直に自分の胸元を瞳にをさらす。
(あくまでつかさちゃんを勇気づけるため。勇気づけるため)
自分に言い訳しながら、瞳はつかさの慎ましやかな膨らみに手を伸ばす。
ふくらみかけの感触を確かめてみたいというよこしまな感情を、必死で否定する。
(うわ…手のひらサイズ、かわいい…それに…さわり心地もぷよぷよで気持ちいい…)
不思議な感触だった。確かにまだ小さいが、弾力があって指が押し返されるようだった。
「あん…!」
つかさが、年齢に不相応な色っぽい声をあげる。
「えと…痛かった…?」
「いえ…大丈夫です…。誰にも触らせたことないから…」
つかさの顔が赤く上気しているのは、湯にのぼせているからではないだろう。
思春期の少女には、恥ずかしく微妙な状況なのだ。
「うん、やっぱりね。
まだ固い。これから大きくなるんだよ」
瞳は務めて優しい笑顔でそう言う。
「そう…なんですね…。良かった」
つかさが安心したのか、にっこりとする。
(うわ。笑うとさらにかわいい)
瞳は、やっと見ることのできたつかさの笑顔に癒された気分になる。
もともとお人形さんのようにかわいい美少女だったが、表情が硬いのが残念と思っていたのだ。
人見知りなお姫様がやっとほほえんでくれたことに、瞳はとても幸せな気分だった。
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