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03 寒い日々だから
意外に好評
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03
「さらに、徹底した自動化を行うことでコストダウンが可能と考えます。
現時点では将来の技術を推測するしかありませんが…。
田植えから刈り入れまでを完全に無人化することも可能と考えられます。
さらに、その間雑草や害虫に対処しなくていいわけです。隔絶された空間であるわけですからね。
それに加えて、電力を波力と太陽光から得ることができればもっといいと存じます」
瞳の説明は進む。
メガフロート農業自体は、日本の造船業界がメガフロートを建造する技術を確立したころから提唱されてきた理論だった。
瞳はそれを一歩進めて、徹底した自動化、低コスト化を進める事を考えた。
メガフロート農業で耕作される田畑は人工空間だ。
とてつもなくだだっ広い正方形の部屋だ。
加えて、陸のように穴もでこぼこもない。
高度に自動化された田植機や刈り取り機を用いて、無人の状態で田植えから刈り取りまで行う。
これはコストダウンに大きく貢献するはずだった。
人手も必要ない。
「かつてじいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんの「3ちゃん農業」という言葉が流行したように、農業にはなり手がいないという問題があるのです。
我が国の食料自給率の低下を考えるにおいて、見過ごせないことです」
瞳は、農業の人手やなり手の問題をクローズアップする。
先進国には例外なく言えることだが、農業になり手がいないという問題はつねについて廻る。
日本において食料自給率が下がっている理由はいろいろとあるが、農業は手間のわりに金にならないという問題は無視できないだろう。
細々と百姓をやっているより、会社に勤めた方が実入りがいいのだ。
誰しも好きこのんで、炎天下で草むしりや水やりなどしたくない。
畢竟、みんな耕作を放り出して後には荒れ地と化した田畑が残る。
あるいは、農地が宅地に転用されて家が建ってしまう。
そういうことが起こる。
特に米に関しては、田植えから刈り入れまで無人で行えるメリットは大きいはずだった。
きちんとした水田で、苗を植えて育てられた米にこだわる日本人にとっては特に。
(よし、だんだん調子が出てきた)
プレゼンを進めるうちに、瞳の緊張は抜けていく。
たまには多くの人の前で発表を行うのもいいかもしれないと思えてくる。
「21世紀は、AIが多くの業種に取って代わる時代とも言われています。
あまり聞こえは良くありません。
しかし、逆に考えてはいかがでしょうか?
人間がする必要のない仕事はAIに任せて、管理だけしていればいいのです。
少ない労力で同じ量のお米が収穫できるなら、考えるに値するのではないでしょうか」
瞳は四苦八苦しつつも、プレゼンを締めくくる。
会議室から拍手が上がる。
プレゼン中も静聴してもらえたようだし、なかなかうまくやれたと思う。
(うん。お疲れ様私)
瞳は溜めていた息をゆっくりと吐き出すのだった。
「さらに、徹底した自動化を行うことでコストダウンが可能と考えます。
現時点では将来の技術を推測するしかありませんが…。
田植えから刈り入れまでを完全に無人化することも可能と考えられます。
さらに、その間雑草や害虫に対処しなくていいわけです。隔絶された空間であるわけですからね。
それに加えて、電力を波力と太陽光から得ることができればもっといいと存じます」
瞳の説明は進む。
メガフロート農業自体は、日本の造船業界がメガフロートを建造する技術を確立したころから提唱されてきた理論だった。
瞳はそれを一歩進めて、徹底した自動化、低コスト化を進める事を考えた。
メガフロート農業で耕作される田畑は人工空間だ。
とてつもなくだだっ広い正方形の部屋だ。
加えて、陸のように穴もでこぼこもない。
高度に自動化された田植機や刈り取り機を用いて、無人の状態で田植えから刈り取りまで行う。
これはコストダウンに大きく貢献するはずだった。
人手も必要ない。
「かつてじいちゃん、ばあちゃん、母ちゃんの「3ちゃん農業」という言葉が流行したように、農業にはなり手がいないという問題があるのです。
我が国の食料自給率の低下を考えるにおいて、見過ごせないことです」
瞳は、農業の人手やなり手の問題をクローズアップする。
先進国には例外なく言えることだが、農業になり手がいないという問題はつねについて廻る。
日本において食料自給率が下がっている理由はいろいろとあるが、農業は手間のわりに金にならないという問題は無視できないだろう。
細々と百姓をやっているより、会社に勤めた方が実入りがいいのだ。
誰しも好きこのんで、炎天下で草むしりや水やりなどしたくない。
畢竟、みんな耕作を放り出して後には荒れ地と化した田畑が残る。
あるいは、農地が宅地に転用されて家が建ってしまう。
そういうことが起こる。
特に米に関しては、田植えから刈り入れまで無人で行えるメリットは大きいはずだった。
きちんとした水田で、苗を植えて育てられた米にこだわる日本人にとっては特に。
(よし、だんだん調子が出てきた)
プレゼンを進めるうちに、瞳の緊張は抜けていく。
たまには多くの人の前で発表を行うのもいいかもしれないと思えてくる。
「21世紀は、AIが多くの業種に取って代わる時代とも言われています。
あまり聞こえは良くありません。
しかし、逆に考えてはいかがでしょうか?
人間がする必要のない仕事はAIに任せて、管理だけしていればいいのです。
少ない労力で同じ量のお米が収穫できるなら、考えるに値するのではないでしょうか」
瞳は四苦八苦しつつも、プレゼンを締めくくる。
会議室から拍手が上がる。
プレゼン中も静聴してもらえたようだし、なかなかうまくやれたと思う。
(うん。お疲れ様私)
瞳は溜めていた息をゆっくりと吐き出すのだった。
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