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02 恋も仕事も?

さっくりほろほろと

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06

 瞳たち3人がカフェを出て買い物をして、と時間を過ごしていると、いつのまにか5時のチャイムが鳴っていた。
 水琴を家に送り届けた瞳と龍太郎は、夕食にしていた。
 龍太郎の行きつけのてんぷら屋は、店の雰囲気も良く、天ぷらの仕上がりも格別だった。
 「うん、美味しい」
 「だろう?よそではなかなか食べられない味だ」
 瞳はてんぷらを口に運ぶのに夢中になってしまう。
 ころもはさくさくとして、脂っこさが抑えられてさっぱりしている。
 なにより、素材の味が驚くほど生きているのだ。
 (どうやって作っているんだろう?)
 そんな疑問を抱きながらも、箸が止まらないのだった。

 「秋島君、今日はどうもありがとう。
 水琴が楽しんでたみたいで良かった」
 「あ…。いえいえ、私も楽しめましたから」
 急に改まる龍太郎に、少しとまどった瞳はそんな答えを返す。
 「いろいろ努力はしてるんだが、どうすれば水琴が楽しんでくれるかわからなくて。
 俺といっしょだといつも表情が固くて、正直言って困ってたんだ」
 仕事ではいつも余裕を浮かべている龍太郎らしくない物言いだった。
 「そうなんですか?意外ですね」
 「まあ、情けない話さ。
 水琴は生まれたときから見てきたはずだったんだが、どうも接し方がわからなくてね。
 君の機転に助けられたよ。
 考えてみれば女児向けアニメっていういいものがあったわけだしな。
 そこに気づかないとは不覚だった…」
 良太郎は心底参ったという表情になる。
 (なるほど。
 水琴ちゃんが楽しそうにしてないのが不安だったわけか)
 瞳にも、龍太郎の気持ちは察しがつく。
 大人にとって、子供というのは往々にして未知の存在だ。
 まだこれから体と心を発達させていく段階の生き物。
 どう接するべきかわからないのは、ある意味で仕方ないことに思えた。
 が、瞳には龍太郎に固有の問題があるように見受けられた。
 「難しく考えることはない…。
 というより、むしろ難しく考えすぎるところが問題なのでは?」
 「むう…そういうもんかな…?」
 お茶で口を濡らしながら言う瞳に、龍太郎が意外そうな顔をする。
 やはりか。と瞳は思う。
 本で読んだ知識が通用することには怖ろしく優秀でも、腹芸がまったくきかない人間というのはいるものだ。
 瞳は慎重に言葉を選びながら話し始める。
 「差し出がましいですが…。
 課長の場合は、どうしたら水琴ちゃんが喜んでくれるかばかり考えて、ご自分が楽しむことを忘れてらっしゃったのではないでしょうか?
 大人が困り顔していたら、子供も不安になって楽しめないと思いますが?」
 「なんと…」
 龍太郎が、頭を叩かれたという顔になる。
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