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孕ませ百合ハーレム
もうひとつの命の力
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02
想定外の事態に困惑するマックスに、厳しい視線が突き刺さる。
「わたくしたちのパトリシアさんに、なにをなさるおつもりかしら?」
メリーアンが厳しい口調で問い詰める。
「その注射器の中身はなにかな?警察を呼んだ方が良さそうだね」
ターニャが怒り心頭という様子で言う。
「遮断魔法をあなたが使った証拠はすぐに見つかります。神妙にしなさいな」
いつも穏やかなリディアが、逆上していた。
「退学処分を覚悟することね。マックス君」
いままでマックスの傲慢に振り回されて辟易していたのか、アリサの言葉には慈悲はない。
「な…馬鹿な…」
マックスは注射器を握りしめたまま凍り付いていた。
遮断魔法がなぜか効いていないことに驚愕したのもあるが、エリートで有力貴族の子である自分が破滅するなど理不尽だと思っているのだ。
その時、巨大な影がマックスとパトリシアを覆う。
いつの間にか、龍帝がマックスの脇に降り立ち、見下ろしていたのだ。
「そ…そうだ!」
マックスは注射器を投げ捨てると、パトリシアの腰のさやから奏獣剣をひったくる。
「龍帝よ!今からお前の主はこの僕だ!
あの女たち、食い殺してしまえ!」
根拠のない自信に突き動かされ、マックスは奏獣剣を掲げて龍帝に命じる。
当然のように龍帝は従わず、マックスをにらみつける。
「どうした!奏獣剣の持ち主は僕だぞ!お前は従っていればいいんだ!」
(学院の噂を鵜呑みにしてるのか。本当に馬鹿なやつ)
パトリシアは、マックスの勘違いと傲慢に嘆息する。
最近、学院内で噂になっている、奏獣剣と龍帝のことだ。
然るべき者が奏獣剣を手にすれば、龍帝を操ることが可能という話だ。
もちろんなんの根拠もない。
奏獣剣はファッションのようなものだ。はったりと言ってもいい。
パトリシアは龍帝と個人的な信頼関係を築いているのだが、それをあえて秘密にしているため、無責任な噂が広まったのだ。
「なぜだ…なぜ龍帝が従わない…?」
龍帝が威嚇し始めると、マックスは顔面蒼白になる。
なんとか奏獣剣を演奏しようとするが、音は出ない。汚れ防止のためのガスケットを外さないと吹けないのだ。
だがあえて、パトリシアははったりをかますことにする。
「奏獣剣は、相応しくない者には吹けない。むしろシーザーを怒らせるだけ。
あなたにそれを持つ資格はないってわけ」
その言葉に、マックスが恐怖と怒りの入り交じった顔になる。
「ふ…ふざけるなあ!お前ごときより僕の方が上なんだ-!」
自分が誰かを選ばないことはあっても、誰かが自分を選ばないことなどありえない。
マックスはこの期に及んでも、薄っぺらなプライドにしがみついていた。
マックスの注意が全てパトリシアに向けられたスキを、アリサは逃さなかった。
「ぐう…」
アリサの指がマックスの肩に触れた瞬間、直立したまま微動だにしなくなる。
いわゆる傀儡魔法だ。これにかけられると、動くことも口を聞くことも自分の意思ではできなくなる。
「さて、警察を呼びましょうか」
「でもこいつのことだ。逆恨みしてなにしてくるか」
遮断魔法の魔法器具をマックスから取り上げ、魔法を解除するメリーアン。
ターニャは、マックスが素直に反省するとは思えないようだった。
「妄想の中で生きてる男だからね。自分の非を認めるかどうか」
「反省した振りだけする可能性もあるわねえ」
リディアもアリサも、マックスの逆恨みを懸念していた。
(自業自得とは言え、評価はさんざんだな)
パトリシアはそんなことを思う。
本当に、婚約破棄されて良かったと思わずにはいられない。
「そうだ。男娼街で立ちんぼさせるってのはどうかな?
少しはお灸になるでしょ」
パトリシアの言葉に、メリーアンたちは「なるほど」と同意する。
ぎょっとしたマックスは、動けないまま目でアリサに助けを求める。
教師であるアリサが、さすがにそこまでは認めないことを期待したのだ。
「あたしはなにも聞いてないわ」
だが、アリサの答えはにべもなかった。
「アッーーーーーーーーーー!」
頭が悪く性根が腐ってはいるが、容姿だけはいいマックスは、男娼街で引っ張りだこだった。
一夜の間に、両手の指では足りない数の男の相手をすることとなったのだ。
「ああ…おじさま…たくましいです…」
(頼む…やめてくれ…そういう趣味はないんだ!)
しかも傀儡魔法で擬似的にもう一人の人格を作り出され、積極的に男に奉仕する。その一方で、本来の人格の意識もあるから、男に抱かれていることはしっかりと感覚と記憶に刻まれる。
ショックで男しか愛せなくなったマックスは、それ以降女に粉をかけることはなくなった。
お仕置きがすんだ後で警察に突き出されたマックスは、少年院送致および退学処分となる。
その後は、男娼街で生計を立てていくことになったらしい。
「でも不思議だな。みんな、どうやって遮断魔法を破ったの?」
そこがパトリシアにはわからないことだった。
なにせ、遮断魔法は、使った人間の存在を完全にわからなくしてしまうのだから。
「推測だけど、もうひとつの命が奇跡を起こしたんじゃないでしょうか?」
「“お父さんを助けて”ってね」
「私も、自分とは別の力をお腹に感じました」
「母は強しってやつかもね」
そう言ったメリーアンたち四人は、示し合わせたように妊娠検査薬を見せる。
全員が、陽性を示している。
「ははは…そうか…。おめでたか」
パトリシアは困惑しながらも、誇らしく嬉しい気持ちでいっぱいだった。
メリーアン、ターニャ、リディア、アリサ。
(私は、四人のことを愛おしいと思っている。
そして、彼女たち全員が私の子を産んでくれる。こんなに嬉しいことはない)
「みんな、元気な子を産んでね?」
パトリシアは、笑顔でそう言うのだった。
想定外の事態に困惑するマックスに、厳しい視線が突き刺さる。
「わたくしたちのパトリシアさんに、なにをなさるおつもりかしら?」
メリーアンが厳しい口調で問い詰める。
「その注射器の中身はなにかな?警察を呼んだ方が良さそうだね」
ターニャが怒り心頭という様子で言う。
「遮断魔法をあなたが使った証拠はすぐに見つかります。神妙にしなさいな」
いつも穏やかなリディアが、逆上していた。
「退学処分を覚悟することね。マックス君」
いままでマックスの傲慢に振り回されて辟易していたのか、アリサの言葉には慈悲はない。
「な…馬鹿な…」
マックスは注射器を握りしめたまま凍り付いていた。
遮断魔法がなぜか効いていないことに驚愕したのもあるが、エリートで有力貴族の子である自分が破滅するなど理不尽だと思っているのだ。
その時、巨大な影がマックスとパトリシアを覆う。
いつの間にか、龍帝がマックスの脇に降り立ち、見下ろしていたのだ。
「そ…そうだ!」
マックスは注射器を投げ捨てると、パトリシアの腰のさやから奏獣剣をひったくる。
「龍帝よ!今からお前の主はこの僕だ!
あの女たち、食い殺してしまえ!」
根拠のない自信に突き動かされ、マックスは奏獣剣を掲げて龍帝に命じる。
当然のように龍帝は従わず、マックスをにらみつける。
「どうした!奏獣剣の持ち主は僕だぞ!お前は従っていればいいんだ!」
(学院の噂を鵜呑みにしてるのか。本当に馬鹿なやつ)
パトリシアは、マックスの勘違いと傲慢に嘆息する。
最近、学院内で噂になっている、奏獣剣と龍帝のことだ。
然るべき者が奏獣剣を手にすれば、龍帝を操ることが可能という話だ。
もちろんなんの根拠もない。
奏獣剣はファッションのようなものだ。はったりと言ってもいい。
パトリシアは龍帝と個人的な信頼関係を築いているのだが、それをあえて秘密にしているため、無責任な噂が広まったのだ。
「なぜだ…なぜ龍帝が従わない…?」
龍帝が威嚇し始めると、マックスは顔面蒼白になる。
なんとか奏獣剣を演奏しようとするが、音は出ない。汚れ防止のためのガスケットを外さないと吹けないのだ。
だがあえて、パトリシアははったりをかますことにする。
「奏獣剣は、相応しくない者には吹けない。むしろシーザーを怒らせるだけ。
あなたにそれを持つ資格はないってわけ」
その言葉に、マックスが恐怖と怒りの入り交じった顔になる。
「ふ…ふざけるなあ!お前ごときより僕の方が上なんだ-!」
自分が誰かを選ばないことはあっても、誰かが自分を選ばないことなどありえない。
マックスはこの期に及んでも、薄っぺらなプライドにしがみついていた。
マックスの注意が全てパトリシアに向けられたスキを、アリサは逃さなかった。
「ぐう…」
アリサの指がマックスの肩に触れた瞬間、直立したまま微動だにしなくなる。
いわゆる傀儡魔法だ。これにかけられると、動くことも口を聞くことも自分の意思ではできなくなる。
「さて、警察を呼びましょうか」
「でもこいつのことだ。逆恨みしてなにしてくるか」
遮断魔法の魔法器具をマックスから取り上げ、魔法を解除するメリーアン。
ターニャは、マックスが素直に反省するとは思えないようだった。
「妄想の中で生きてる男だからね。自分の非を認めるかどうか」
「反省した振りだけする可能性もあるわねえ」
リディアもアリサも、マックスの逆恨みを懸念していた。
(自業自得とは言え、評価はさんざんだな)
パトリシアはそんなことを思う。
本当に、婚約破棄されて良かったと思わずにはいられない。
「そうだ。男娼街で立ちんぼさせるってのはどうかな?
少しはお灸になるでしょ」
パトリシアの言葉に、メリーアンたちは「なるほど」と同意する。
ぎょっとしたマックスは、動けないまま目でアリサに助けを求める。
教師であるアリサが、さすがにそこまでは認めないことを期待したのだ。
「あたしはなにも聞いてないわ」
だが、アリサの答えはにべもなかった。
「アッーーーーーーーーーー!」
頭が悪く性根が腐ってはいるが、容姿だけはいいマックスは、男娼街で引っ張りだこだった。
一夜の間に、両手の指では足りない数の男の相手をすることとなったのだ。
「ああ…おじさま…たくましいです…」
(頼む…やめてくれ…そういう趣味はないんだ!)
しかも傀儡魔法で擬似的にもう一人の人格を作り出され、積極的に男に奉仕する。その一方で、本来の人格の意識もあるから、男に抱かれていることはしっかりと感覚と記憶に刻まれる。
ショックで男しか愛せなくなったマックスは、それ以降女に粉をかけることはなくなった。
お仕置きがすんだ後で警察に突き出されたマックスは、少年院送致および退学処分となる。
その後は、男娼街で生計を立てていくことになったらしい。
「でも不思議だな。みんな、どうやって遮断魔法を破ったの?」
そこがパトリシアにはわからないことだった。
なにせ、遮断魔法は、使った人間の存在を完全にわからなくしてしまうのだから。
「推測だけど、もうひとつの命が奇跡を起こしたんじゃないでしょうか?」
「“お父さんを助けて”ってね」
「私も、自分とは別の力をお腹に感じました」
「母は強しってやつかもね」
そう言ったメリーアンたち四人は、示し合わせたように妊娠検査薬を見せる。
全員が、陽性を示している。
「ははは…そうか…。おめでたか」
パトリシアは困惑しながらも、誇らしく嬉しい気持ちでいっぱいだった。
メリーアン、ターニャ、リディア、アリサ。
(私は、四人のことを愛おしいと思っている。
そして、彼女たち全員が私の子を産んでくれる。こんなに嬉しいことはない)
「みんな、元気な子を産んでね?」
パトリシアは、笑顔でそう言うのだった。
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