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03 長身ボーイッシュギャルの幼なじみも
改めて
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09
結局、治明と友佳が救出されたのはそれからさらに30分後だった。
エレベーターは復旧せず、天井のアクセスパネルから業者に助け出されることになったのだ。
「本当に申し訳ありませんでした。
今後は再発防止に努めますので」
ビル管理会社の社長が平謝りしてくる。
治明と友佳は怒るに怒れなかった。
中で起きたことを思い出すと、お互いに恥ずかしくてどうにかなりそうなのだ。
社長が迷惑料だと寄越してきたデパートの商品券を謹んで受け取り、2人はビルを出るのだった。
外は暗くなり始めていた。
「トイレ…」
友佳が真っ赤になりながら近くの公園の公衆トイレを目指す。
ボトラーをしたものを始末しなければならない。
恥ずかしくて当然だ。
「俺も行っておこう」
治明も男子便所に向かう。
エレベーターに閉じ込められていた間がまんしていて、膀胱がぱんぱんなのだ。
さりとても、ビルにあったトイレには入る気になれなかったのだ。
エレベーターの中でずっとがまんしていましたと、周りに宣伝しているようで。
「あああああーーー!もう!
せっかくいいムードだったのに…。
なんでぶち壊しになるんだよお!」
友佳はおかんむりだった。
理不尽な状況と不運に怒りを爆発させている。
治明にかわいい下着が似合うと言われて嬉しかったのだろう。
だが、楽しくいいムードから盛大に持ち上げられ落とされた。
エレベーターに閉じ込められた挙げ句、がまんできずに治明のすぐ後ろでボトラーデビューをするはめになったのだから。
理不尽に思って当然だ。
「友佳、それなら、もう一度ムードを作り直さないか?
これから改めてデートしようや」
治明はそう言って友佳と手をつなぐ。
友佳が少し嬉しそうな顔になる。
「ハルは…優しいな…」
不運に憤り、ネガティブな思考のスパイラルに陥っていた友佳は、治明の前向きさに救われた気分のようだ。
「じゃあさ、もうひとつ行きたい店があるんだ。
付き合ってよ」
「うん、行こう」
「それと、折角商品券戴いたんだし、デパート行こうよ。
ハルの服も選んであげる」
「おお、いいね」
友佳はすっかり笑顔になっていた。
(やっぱり、友佳は笑ってないと。笑うと素敵なんだから)
治明は思うのだった。
友佳とは、なにか一緒にやってみようとするたびにうまく行かない。
だが、それも悪くないと思える。
2人で色んなことに挑戦して、泥だらけになって、それでも起き上がって進む。
それは、素敵なことに思えるのだった。
結局、治明と友佳が救出されたのはそれからさらに30分後だった。
エレベーターは復旧せず、天井のアクセスパネルから業者に助け出されることになったのだ。
「本当に申し訳ありませんでした。
今後は再発防止に努めますので」
ビル管理会社の社長が平謝りしてくる。
治明と友佳は怒るに怒れなかった。
中で起きたことを思い出すと、お互いに恥ずかしくてどうにかなりそうなのだ。
社長が迷惑料だと寄越してきたデパートの商品券を謹んで受け取り、2人はビルを出るのだった。
外は暗くなり始めていた。
「トイレ…」
友佳が真っ赤になりながら近くの公園の公衆トイレを目指す。
ボトラーをしたものを始末しなければならない。
恥ずかしくて当然だ。
「俺も行っておこう」
治明も男子便所に向かう。
エレベーターに閉じ込められていた間がまんしていて、膀胱がぱんぱんなのだ。
さりとても、ビルにあったトイレには入る気になれなかったのだ。
エレベーターの中でずっとがまんしていましたと、周りに宣伝しているようで。
「あああああーーー!もう!
せっかくいいムードだったのに…。
なんでぶち壊しになるんだよお!」
友佳はおかんむりだった。
理不尽な状況と不運に怒りを爆発させている。
治明にかわいい下着が似合うと言われて嬉しかったのだろう。
だが、楽しくいいムードから盛大に持ち上げられ落とされた。
エレベーターに閉じ込められた挙げ句、がまんできずに治明のすぐ後ろでボトラーデビューをするはめになったのだから。
理不尽に思って当然だ。
「友佳、それなら、もう一度ムードを作り直さないか?
これから改めてデートしようや」
治明はそう言って友佳と手をつなぐ。
友佳が少し嬉しそうな顔になる。
「ハルは…優しいな…」
不運に憤り、ネガティブな思考のスパイラルに陥っていた友佳は、治明の前向きさに救われた気分のようだ。
「じゃあさ、もうひとつ行きたい店があるんだ。
付き合ってよ」
「うん、行こう」
「それと、折角商品券戴いたんだし、デパート行こうよ。
ハルの服も選んであげる」
「おお、いいね」
友佳はすっかり笑顔になっていた。
(やっぱり、友佳は笑ってないと。笑うと素敵なんだから)
治明は思うのだった。
友佳とは、なにか一緒にやってみようとするたびにうまく行かない。
だが、それも悪くないと思える。
2人で色んなことに挑戦して、泥だらけになって、それでも起き上がって進む。
それは、素敵なことに思えるのだった。
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