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01 金髪ギャルのアイデンティティ
少しだけ感謝
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「で、今日あんたにお越し願った本題なんだけどね…」
スピーカーで音楽をかけ、話の内容が外に漏れないようにしてから椿姫が切り出す。
「うん、なにかな?」
出されたクッキーをかじりながら治明が応じる。
「その…あんたって、他の女の子の“経験”の有無もわかるんだよね…?」
「うん…まあそうだね…。わかるよ」
椿姫の質問に、治明が短く応じる。
答えにくいことだったらしい。
「じゃあ…あたしがいつもつるんでるギャル仲間たちのこともわかるわけだ?」
「まあ…それはわかるけど…」
治明の表情が固くなる。
話がきな臭くなるのを感じたらしい。
(こんなこと聞くのも気まずいけど…)
椿姫は一度深呼吸して口を開く。
「あの娘たちの中にも…その…処女ビッチいたりするの?」
思い切って放たれた質問に、治明が硬直する。
そして、考える表情になり、慎重に話し始める。
「それは…プライバシーの問題もあるからさ。
ノーコメントということで…」
(間違いない…)
椿姫は確信する。
治明の一瞬の硬直は、肯定の証と考えて良さそうだった。
椿姫はギャル仲間の顔を思い浮かべる。
眼鏡ギャルの梨香子。ボーイッシュギャル、友佳。爆乳黒ギャル、麗。
あの中の誰か、あるいは全員が自分と同じ処女ビッチ。
それを確信する。
「しかし…なんでそんなことが気になるわけ?」
「だって…気になっちゃうよ…。
みんなが本当に経験者で、あたしだけが耳年増だったりしたら…。
いつか猥談で話し合わせるのも限界が来るんじゃないか、ってさ」
椿姫は、クッションを胸に抱きながらためらいがちに答える。
自分の性知識は、しょせん本やネットで調べたものに過ぎない。
いつか、経験者からすれば明らかにおかしいことを言ってしまい、ぼろが出るかもしれないと心配しているのだ。
「うーん。
逆に聞くけどさ。
なんで処女なのに無理に経験者のふりしてんの?」
治明の質問に、椿姫は少し考える。
自分がギャルに、そして処女ビッチになっていった経緯はどんなものだったか。
「まあなんだね…。
明確なきっかけなんかなかったかな…。
ギャル仲間の間で話し合わせてるうちに、いつの間にか経験者ってことになんとなくなっててさ。
猥談が過激になっていくのについていっているうちに…」
「すっかり性知識ばっかり身について、メンタルビッチになってたってわけか…」
治明が微妙な表情になる。
「今さら…処女だなんて言えなくてさ…」
椿姫は耳まで真っ赤になる。
一度経験者のふりを始めてしまったら、後には引けない。
どんどん卑猥に、過激になっていく猥談に必死についていくしかなかったのだ。
後は、装いや立ち振る舞いもギャルっぽくなっていく。
処女ビッチにまっしぐらだ。
治明がそれを察したらしく、考える表情になる。
「その…。
老婆心だけど…仮面を被り続けるのが辛いなら、ちょっと考えた方がいいんじゃないかな?
いつか限界が来るってわかってること続けるなんて、人間できるもんじゃないと思うな。
ま、俺が口挟むことじゃないかもだけどね」
言葉を選びながら話す治明に、椿姫は少しだが救われた気分になる。
今さら処女バレすることは絶対に避けたい。
だが、処女でありながら経験者のふりをずっとし続けることなどできるのか?
自分はどうしたい?
(治明の言うとおり、考えないといけないかもだね…)
「そっか。そだね。
ちょっと考えてみるよ」
お茶で口を濡らしながらそんな返答をしつつ、椿姫は治明に少しだけ胸の内で感謝するのだった。
「で、今日あんたにお越し願った本題なんだけどね…」
スピーカーで音楽をかけ、話の内容が外に漏れないようにしてから椿姫が切り出す。
「うん、なにかな?」
出されたクッキーをかじりながら治明が応じる。
「その…あんたって、他の女の子の“経験”の有無もわかるんだよね…?」
「うん…まあそうだね…。わかるよ」
椿姫の質問に、治明が短く応じる。
答えにくいことだったらしい。
「じゃあ…あたしがいつもつるんでるギャル仲間たちのこともわかるわけだ?」
「まあ…それはわかるけど…」
治明の表情が固くなる。
話がきな臭くなるのを感じたらしい。
(こんなこと聞くのも気まずいけど…)
椿姫は一度深呼吸して口を開く。
「あの娘たちの中にも…その…処女ビッチいたりするの?」
思い切って放たれた質問に、治明が硬直する。
そして、考える表情になり、慎重に話し始める。
「それは…プライバシーの問題もあるからさ。
ノーコメントということで…」
(間違いない…)
椿姫は確信する。
治明の一瞬の硬直は、肯定の証と考えて良さそうだった。
椿姫はギャル仲間の顔を思い浮かべる。
眼鏡ギャルの梨香子。ボーイッシュギャル、友佳。爆乳黒ギャル、麗。
あの中の誰か、あるいは全員が自分と同じ処女ビッチ。
それを確信する。
「しかし…なんでそんなことが気になるわけ?」
「だって…気になっちゃうよ…。
みんなが本当に経験者で、あたしだけが耳年増だったりしたら…。
いつか猥談で話し合わせるのも限界が来るんじゃないか、ってさ」
椿姫は、クッションを胸に抱きながらためらいがちに答える。
自分の性知識は、しょせん本やネットで調べたものに過ぎない。
いつか、経験者からすれば明らかにおかしいことを言ってしまい、ぼろが出るかもしれないと心配しているのだ。
「うーん。
逆に聞くけどさ。
なんで処女なのに無理に経験者のふりしてんの?」
治明の質問に、椿姫は少し考える。
自分がギャルに、そして処女ビッチになっていった経緯はどんなものだったか。
「まあなんだね…。
明確なきっかけなんかなかったかな…。
ギャル仲間の間で話し合わせてるうちに、いつの間にか経験者ってことになんとなくなっててさ。
猥談が過激になっていくのについていっているうちに…」
「すっかり性知識ばっかり身について、メンタルビッチになってたってわけか…」
治明が微妙な表情になる。
「今さら…処女だなんて言えなくてさ…」
椿姫は耳まで真っ赤になる。
一度経験者のふりを始めてしまったら、後には引けない。
どんどん卑猥に、過激になっていく猥談に必死についていくしかなかったのだ。
後は、装いや立ち振る舞いもギャルっぽくなっていく。
処女ビッチにまっしぐらだ。
治明がそれを察したらしく、考える表情になる。
「その…。
老婆心だけど…仮面を被り続けるのが辛いなら、ちょっと考えた方がいいんじゃないかな?
いつか限界が来るってわかってること続けるなんて、人間できるもんじゃないと思うな。
ま、俺が口挟むことじゃないかもだけどね」
言葉を選びながら話す治明に、椿姫は少しだが救われた気分になる。
今さら処女バレすることは絶対に避けたい。
だが、処女でありながら経験者のふりをずっとし続けることなどできるのか?
自分はどうしたい?
(治明の言うとおり、考えないといけないかもだね…)
「そっか。そだね。
ちょっと考えてみるよ」
お茶で口を濡らしながらそんな返答をしつつ、椿姫は治明に少しだけ胸の内で感謝するのだった。
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