13 / 36
01 金髪ギャルのアイデンティティ
少しだけ感謝
しおりを挟む
12
「で、今日あんたにお越し願った本題なんだけどね…」
スピーカーで音楽をかけ、話の内容が外に漏れないようにしてから椿姫が切り出す。
「うん、なにかな?」
出されたクッキーをかじりながら治明が応じる。
「その…あんたって、他の女の子の“経験”の有無もわかるんだよね…?」
「うん…まあそうだね…。わかるよ」
椿姫の質問に、治明が短く応じる。
答えにくいことだったらしい。
「じゃあ…あたしがいつもつるんでるギャル仲間たちのこともわかるわけだ?」
「まあ…それはわかるけど…」
治明の表情が固くなる。
話がきな臭くなるのを感じたらしい。
(こんなこと聞くのも気まずいけど…)
椿姫は一度深呼吸して口を開く。
「あの娘たちの中にも…その…処女ビッチいたりするの?」
思い切って放たれた質問に、治明が硬直する。
そして、考える表情になり、慎重に話し始める。
「それは…プライバシーの問題もあるからさ。
ノーコメントということで…」
(間違いない…)
椿姫は確信する。
治明の一瞬の硬直は、肯定の証と考えて良さそうだった。
椿姫はギャル仲間の顔を思い浮かべる。
眼鏡ギャルの梨香子。ボーイッシュギャル、友佳。爆乳黒ギャル、麗。
あの中の誰か、あるいは全員が自分と同じ処女ビッチ。
それを確信する。
「しかし…なんでそんなことが気になるわけ?」
「だって…気になっちゃうよ…。
みんなが本当に経験者で、あたしだけが耳年増だったりしたら…。
いつか猥談で話し合わせるのも限界が来るんじゃないか、ってさ」
椿姫は、クッションを胸に抱きながらためらいがちに答える。
自分の性知識は、しょせん本やネットで調べたものに過ぎない。
いつか、経験者からすれば明らかにおかしいことを言ってしまい、ぼろが出るかもしれないと心配しているのだ。
「うーん。
逆に聞くけどさ。
なんで処女なのに無理に経験者のふりしてんの?」
治明の質問に、椿姫は少し考える。
自分がギャルに、そして処女ビッチになっていった経緯はどんなものだったか。
「まあなんだね…。
明確なきっかけなんかなかったかな…。
ギャル仲間の間で話し合わせてるうちに、いつの間にか経験者ってことになんとなくなっててさ。
猥談が過激になっていくのについていっているうちに…」
「すっかり性知識ばっかり身について、メンタルビッチになってたってわけか…」
治明が微妙な表情になる。
「今さら…処女だなんて言えなくてさ…」
椿姫は耳まで真っ赤になる。
一度経験者のふりを始めてしまったら、後には引けない。
どんどん卑猥に、過激になっていく猥談に必死についていくしかなかったのだ。
後は、装いや立ち振る舞いもギャルっぽくなっていく。
処女ビッチにまっしぐらだ。
治明がそれを察したらしく、考える表情になる。
「その…。
老婆心だけど…仮面を被り続けるのが辛いなら、ちょっと考えた方がいいんじゃないかな?
いつか限界が来るってわかってること続けるなんて、人間できるもんじゃないと思うな。
ま、俺が口挟むことじゃないかもだけどね」
言葉を選びながら話す治明に、椿姫は少しだが救われた気分になる。
今さら処女バレすることは絶対に避けたい。
だが、処女でありながら経験者のふりをずっとし続けることなどできるのか?
自分はどうしたい?
(治明の言うとおり、考えないといけないかもだね…)
「そっか。そだね。
ちょっと考えてみるよ」
お茶で口を濡らしながらそんな返答をしつつ、椿姫は治明に少しだけ胸の内で感謝するのだった。
「で、今日あんたにお越し願った本題なんだけどね…」
スピーカーで音楽をかけ、話の内容が外に漏れないようにしてから椿姫が切り出す。
「うん、なにかな?」
出されたクッキーをかじりながら治明が応じる。
「その…あんたって、他の女の子の“経験”の有無もわかるんだよね…?」
「うん…まあそうだね…。わかるよ」
椿姫の質問に、治明が短く応じる。
答えにくいことだったらしい。
「じゃあ…あたしがいつもつるんでるギャル仲間たちのこともわかるわけだ?」
「まあ…それはわかるけど…」
治明の表情が固くなる。
話がきな臭くなるのを感じたらしい。
(こんなこと聞くのも気まずいけど…)
椿姫は一度深呼吸して口を開く。
「あの娘たちの中にも…その…処女ビッチいたりするの?」
思い切って放たれた質問に、治明が硬直する。
そして、考える表情になり、慎重に話し始める。
「それは…プライバシーの問題もあるからさ。
ノーコメントということで…」
(間違いない…)
椿姫は確信する。
治明の一瞬の硬直は、肯定の証と考えて良さそうだった。
椿姫はギャル仲間の顔を思い浮かべる。
眼鏡ギャルの梨香子。ボーイッシュギャル、友佳。爆乳黒ギャル、麗。
あの中の誰か、あるいは全員が自分と同じ処女ビッチ。
それを確信する。
「しかし…なんでそんなことが気になるわけ?」
「だって…気になっちゃうよ…。
みんなが本当に経験者で、あたしだけが耳年増だったりしたら…。
いつか猥談で話し合わせるのも限界が来るんじゃないか、ってさ」
椿姫は、クッションを胸に抱きながらためらいがちに答える。
自分の性知識は、しょせん本やネットで調べたものに過ぎない。
いつか、経験者からすれば明らかにおかしいことを言ってしまい、ぼろが出るかもしれないと心配しているのだ。
「うーん。
逆に聞くけどさ。
なんで処女なのに無理に経験者のふりしてんの?」
治明の質問に、椿姫は少し考える。
自分がギャルに、そして処女ビッチになっていった経緯はどんなものだったか。
「まあなんだね…。
明確なきっかけなんかなかったかな…。
ギャル仲間の間で話し合わせてるうちに、いつの間にか経験者ってことになんとなくなっててさ。
猥談が過激になっていくのについていっているうちに…」
「すっかり性知識ばっかり身について、メンタルビッチになってたってわけか…」
治明が微妙な表情になる。
「今さら…処女だなんて言えなくてさ…」
椿姫は耳まで真っ赤になる。
一度経験者のふりを始めてしまったら、後には引けない。
どんどん卑猥に、過激になっていく猥談に必死についていくしかなかったのだ。
後は、装いや立ち振る舞いもギャルっぽくなっていく。
処女ビッチにまっしぐらだ。
治明がそれを察したらしく、考える表情になる。
「その…。
老婆心だけど…仮面を被り続けるのが辛いなら、ちょっと考えた方がいいんじゃないかな?
いつか限界が来るってわかってること続けるなんて、人間できるもんじゃないと思うな。
ま、俺が口挟むことじゃないかもだけどね」
言葉を選びながら話す治明に、椿姫は少しだが救われた気分になる。
今さら処女バレすることは絶対に避けたい。
だが、処女でありながら経験者のふりをずっとし続けることなどできるのか?
自分はどうしたい?
(治明の言うとおり、考えないといけないかもだね…)
「そっか。そだね。
ちょっと考えてみるよ」
お茶で口を濡らしながらそんな返答をしつつ、椿姫は治明に少しだけ胸の内で感謝するのだった。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる