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00 プロローグ
ギャルと手を繋いで
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いつものありふれた朝。
ありふれた登校。
千川治明という少年にとっては、そのはずだった。
昨日までは。
「あんまきょろきょろしないでよ…。
なんかあたしらやましいことしてるみたいじゃん」
「いやほら…。
女の子と手を繋いで登校するなんて初めてだからさ…」
金髪ギャルの高宮椿姫(たかみやつばき)と、真面目そうな男子学生である千川治明。
一見接点がなさそうな男女が手を繋いで歩いているところは、少し奇異に映る。
道を行く学生たちが注目するのも無理からぬことだった。
「付き合ってるふりでも、一応恋人同士ってことになってんだし。
もっと自然にしなよ。
周りの視線意識し過ぎだって」
そう言う椿姫の顔が少し赤く見えるのは、気のせいではないだろう。
(“付き合ってるふり”か…。
そう言う椿姫ちゃんも意識してるじゃないか)
治明はそんなことを思うが、口に出すとめんどくさそうなので言葉にはしないことにする。
「まあなんだ。
こんな可愛い女の子と手繋いでるなんて嬉しいからさ。
ドキドキしちゃうじゃない」
「な…なに言ってんだか…!
恥ずかしいじゃん…。
それに…勘違いは困るよ。あくまであたしら、付き合ってるふりだからね!」
椿姫が、小声だが強い口調で念を押す。
わずかに赤くなっていた顔が、一気にりんごのように真っ赤になる。
(なんだかんだでやっぱり処女ビッチなんだなあ。
しかもツンデレだ)
金髪、マニキュア、コスメ、そしてアクセサリー。派手な外見に反して、恥ずかしがりで乙女な椿姫の反応に、治明は少しおかしくなる。
訳あって、椿姫がセックスどころか恋愛の経験さえない、そのくせギャルっぽい外見にこだわる、いわゆる処女ビッチであることは知っていた。
だが、思った以上に恥ずかしがりで純情乙女な感性の持ち主だった。
照れ隠しにツンツンする、いわゆるツンデレでもある。
「椿姫ちゃんは可愛いね」
「も…もう…!おばかあ…!」
治明の言葉に、椿姫は耳まで真っ赤になりふくれっ面をしつつも、どこか嬉しそうに見えた。
ついでに、繋いだ手を放そうとしない。
そのまんざらでもないようすに、治明は満足した。
(最初はどうしてこんなことに、って思ったが…。
まあ、“付き合ってるふり”もこれはこれで悪くないかな?)
そんなことを思うのだった。
これは、ギャルっぽいのに実は純情乙女な女の子たちとの、恋なのかどうか非常に微妙な物語。
いつものありふれた朝。
ありふれた登校。
千川治明という少年にとっては、そのはずだった。
昨日までは。
「あんまきょろきょろしないでよ…。
なんかあたしらやましいことしてるみたいじゃん」
「いやほら…。
女の子と手を繋いで登校するなんて初めてだからさ…」
金髪ギャルの高宮椿姫(たかみやつばき)と、真面目そうな男子学生である千川治明。
一見接点がなさそうな男女が手を繋いで歩いているところは、少し奇異に映る。
道を行く学生たちが注目するのも無理からぬことだった。
「付き合ってるふりでも、一応恋人同士ってことになってんだし。
もっと自然にしなよ。
周りの視線意識し過ぎだって」
そう言う椿姫の顔が少し赤く見えるのは、気のせいではないだろう。
(“付き合ってるふり”か…。
そう言う椿姫ちゃんも意識してるじゃないか)
治明はそんなことを思うが、口に出すとめんどくさそうなので言葉にはしないことにする。
「まあなんだ。
こんな可愛い女の子と手繋いでるなんて嬉しいからさ。
ドキドキしちゃうじゃない」
「な…なに言ってんだか…!
恥ずかしいじゃん…。
それに…勘違いは困るよ。あくまであたしら、付き合ってるふりだからね!」
椿姫が、小声だが強い口調で念を押す。
わずかに赤くなっていた顔が、一気にりんごのように真っ赤になる。
(なんだかんだでやっぱり処女ビッチなんだなあ。
しかもツンデレだ)
金髪、マニキュア、コスメ、そしてアクセサリー。派手な外見に反して、恥ずかしがりで乙女な椿姫の反応に、治明は少しおかしくなる。
訳あって、椿姫がセックスどころか恋愛の経験さえない、そのくせギャルっぽい外見にこだわる、いわゆる処女ビッチであることは知っていた。
だが、思った以上に恥ずかしがりで純情乙女な感性の持ち主だった。
照れ隠しにツンツンする、いわゆるツンデレでもある。
「椿姫ちゃんは可愛いね」
「も…もう…!おばかあ…!」
治明の言葉に、椿姫は耳まで真っ赤になりふくれっ面をしつつも、どこか嬉しそうに見えた。
ついでに、繋いだ手を放そうとしない。
そのまんざらでもないようすに、治明は満足した。
(最初はどうしてこんなことに、って思ったが…。
まあ、“付き合ってるふり”もこれはこれで悪くないかな?)
そんなことを思うのだった。
これは、ギャルっぽいのに実は純情乙女な女の子たちとの、恋なのかどうか非常に微妙な物語。
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