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05
悪夢の残滓
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05
閃光が収まると、全てが元に戻るかのごとく天候も通信障害も回復していく。
2隻のエアクッション揚陸艇は順調に沖縄本島を目指していた。だが、乗っている島民や自衛官たちの胸中はとても穏やかとは言えなかった。
“ワスプ”が閃光に呑み込まれるのを目の当たりにしていた諏訪部たちはとくに。
「なんで“ワスプ”は勝手に島に近づいたんです!?
危険だって警告は出されてたんでしょ!」
『島に偵察に飛び立った彼らのヘリが消息を絶ったんだそうだ。救助作戦だとかで問答無用で島に近づいていったんだ』
無線から聞こえてくる沖縄本島陸自司令部の幕僚の言葉に、諏訪部は無線のヘッドセットを指揮通信車の床に叩きつけたくなる。
一体ここは日本か、それともアメリカか?
不公平な地位協定のせいで、米軍がやることに日本政府も自衛隊も自治体も抵抗する術がない。
ドイツやイタリアの場合は、自治体の長が拒否すれば米軍の軍事行動は基本的に許されないから、いかに日本が独立国として異状かがわかろうというものだ。
どうせヘリの遭難も口実だろう。あの国の俺様ファーストは現大統領が就任してからの話ではない。生きた恐竜とエンカウントできたなんて栄誉、日本人なんぞにはもったいない。自分たちもひとつ恐竜に遭いに行こう。できることなら捕まえてお持ち帰りしたい。
そんなノリで島に艦を近づけたに違いない。
その結果がこれか。
“ワスプ”は閃光とともに消失してしまい、無線に応答しないどころか影も形もない。
念のため空自のRF-4EJ偵察機を飛ばして石城島周辺の様子を見てみたところ、結果は驚愕すべきものだった。
“イスラ・ヌブラル”は予想通り消えてなくなっていたが、全部ではない。島の西側の2割ほどが置き忘れられたのか残留していたのだ。
問題だったのは石城島の方で、島の西がわの3割ほどがはさみで切り取ったように消失していたのだ。恐らく揺り戻しに巻き込まれ、6500万年前まで運ばれてしまったであろうことは誰にも予測がついた。
当然のように、島にうかつに近づいた“ワスプ”も6500万年前に招待されたことになる。
「でも、これで“イスラ・ヌブラル”に人家の痕跡があったことの説明がつくな。
あれを建てたのは、白亜紀に飛ばされた米軍の馬鹿どもだったわけだ」
「ちょっと待って下さいよ。“ワスプ”が揺り戻しで連れて行かれたなら、彼らはつい今し方6500万年前に行ったばかりってことになる。
どうやったらあの集落や畑を作れるんです?」
子安のつっこみに、諏訪部は少し考える。
「ファントムの航空写真見ただろ?
タイムスリップで向こうから送りつけられてきた部分と、揺り戻しで戻っていった部分は完全には一致しなかった。それどころかかなりアバウトでさえあったな。
それと同じことが時間にも起こっていたとしたらどうだ?
つまり、あちらがわでタイムスリップが起こった時。何年何日何時何分何秒まで正確に戻ったわけじゃない。戻った時間にずれがあったとしたら?」
「そうか。あの集落が作られる5年前か10年前に流れ着いてしまう可能性もあり得る。
と言うより、何千万年単位のスパンのなかでそんなに正確に狙いを定められるものじゃない、と考える方が自然というわけですか…」
諏訪部の見解を理解した子安は深く嘆息する。
“ワスプ”乗員たちの運命が容易に想像できたからだ。
海兵隊は孤立無援の状態の中でも戦っていけるよう訓練されている。だが、しょせんは文明人であることに変わりはない。いずれ弾薬や燃料が尽きて、装備の耐用年数が切れれば、6500万年前の世界の中で彼らが生きていく術はないだろう。
集落が廃れて時間が経っているように見えたのがその証左。恐らくは-過去形で言っていいものかは問題だが-ある程度は順応して恐竜が闊歩する土地で生き続けていたのだろう。だが、やがて限界が来て滅んだのだ。
「彼らは故郷から遠く離れた場所で朽ち果てる。そしてアーリントン墓地(米軍の戦死者を埋葬する国立墓地)に眠ることはできない。
自業自得とは言え気の毒ですね。
まあ、隊長に取ってはうらやましいことかも知れませんが」
「馬鹿言え。いくら恐竜オタクでも6500万年前で孤立無援なんて願い下げだよ。
考えても見ろ。向こうじゃインターネットもテレビも、新聞すらない。それに食料から飲み水から全部自分で調達しなきゃならない。
そして、明日にはティラノサウルスの飯になってるかも知れない。
気が変になっちまうよ。」
子安の冗談に大まじめに返答する諏訪部。指揮通信車の中にいる全員が白亜紀で生活している自分たちを想像していた。
恐竜を狩って食肉にし、畑を作ってなけなしのジャガイモやにんじんを植えて食い扶持とする。
が、せっかく耕した畑は大型の草食動物に食い荒らされ、苦労して保存食にした肉も小型の肉食動物やほ乳類に食い散らかされてしまう。
絶望と諦念の中、あるものは凶暴化しあるものは生きる気力を失う。最初は団結していた人間たちはバラバラになっていき、最後は生きることそのものを放棄してしまうか、争いを起こして滅ぶ。
確かに、恐竜に会いに行けるという理由だけではとても割に合いそうにない結末だった。
“ワスプ”が乗員と海兵隊員、そして車両や航空機を搭載したまま消失したというニュースに、一時日本とアメリカは騒然となる。
彼らはどこに行ったのか?無事でいるのか?連れ戻す方法はないのか?そもそも強襲揚陸艦や車両、航空機とてただではない。損失はどうなるのか?代替はどうする?
さらに、揺り戻しに巻き込まれながら、6500万年前に飛ばされたのが全員ではなかったことも混乱と疑心暗鬼に拍車をかけた。
“ワスプ”が消失した現場でおぼれかけていた水兵や海兵隊員が300人以上もいたのだ。
彼らは口を揃えていう。「間違いなく“ワスプ”艦内にいたはずなのに、いつの間にか海の中だった」と。
彼らが現代にどういうわけか残留した事実は、別の不穏な推測を呼び起こすことになる。タイムスリップは駅から駅まで間違いなく運んでもらえるものなのか?途中で電車から振り落とされてしまい、亜空間をさまよい続けることになる可能性もあるのではないか?それこそ“フィラデルフィア・エクスペリメント”のように。
ともあれ、多くの人間が“ワスプ”のことは推測を巡らせていても仕方ないという考えに至っていく。
なんと言っても、すでに手を離れてしまった問題である“ワスプ”より、現在進行形で存在している問題に対処しなければならなかったのだ。
06
「お待たせ」
「やあ、早いね。まあ俺もだけど」
沖縄本島、某所の臨海公園。
諏訪部は念願かなって桑島とのデートにこぎ着けていた。
「じゃあまず甘いものでも」と歩き出そうとしたとき、頭上を低空でヘリが駆け抜けていく。諏訪部はかぶっていた野球帽を危うく飛ばされかけた。
また米軍機か。諏訪部は嘆息して見上げるが、よく見るとそれは海自の対潜ヘリだった。遠目にだが、重機関銃をドアガンとして取り付けているのが見える。
『住民の皆さん!現在大型の肉食爬虫類がこちらに向かって来ています!
安全の為直ちに海から離れて下さい!』
消防の広報車がスピーカーで呼びかける声が聞こえる。ほぼ同時に、臨海公園に警察官と自治体の職員たちがなだれ込んで来て、一般人を海から遠ざける。
「またみたいですね」
「またみたいだねえ」
桑島と諏訪部は嘆息する。
これこそが、沖縄にとって、と言うより日本にとって現在進行形で起きている問題だった。
桑島は揺り戻しによって過去から来たものは全て戻っていく可能性を主張していたが、それは全て間違ってはいなくとも全て正しいわけでもなかった。
例えば、コースを誤ったのか沖縄本島に上陸してしまった大型のウミガメ、アーケロンが揺り戻しと同時に消失したことが確認されている。揺り戻しが起こった場所からはかなり離れていたにも関わらずだ。
一方で、偵察機を飛ばして調べたところでは、石城島には今だ多くの恐竜が残留している。また、海には6500万年前の生物が多数残っていた。
これが大事だった。石城島の住民は危険なので帰還するめどが立っていない。
なにより、船さえ襲ってえさにしようとするモササウルスやティロサウルスが群れをなして泳ぎ回っている。これは沖縄全体に大きな脅威と混乱をもたらしていた。
フェリーがティロサウスの群れに襲わて沈められ、多くの犠牲者を出したことは大きく報道された。同じ目に遭うことを怖れた漁師や船舶会社は船を出すことに消極的になった。また、水産資源が根こそぎ喰われてしまったことで漁業にも大きな損失が出ていた。
なにより、住民の生命が危険にさらされる。桟橋で釣りをしていた老人が危うく桟橋ごとモササウルスに喰われかける事件が起きたのだ。
それ以来、沖縄列島周辺では海自と海保の航空機と船舶が引っ切りなしに網を張り、モササウルス類の影を見つけると駆除に当たることが常態化している。
沖合では、海自のSH-60Jが重機関銃の射撃でモササウルスを追い立て、その先に別のヘリが爆雷を落としているのが小さいながらも見える。
「まあ、今日は非番だ。彼らの働きに期待して、俺たちは楽しもう」
「そうですね。フルーツケーキが美味しいお店見つけたんですよ」
そんな会話を交わし、2人は商店街に歩いて行く。
自分たちは気が触れたのかも知れない。獰猛な肉食のオオトカゲが周辺の海を跳梁している時に、スィーツの話をしているのだから。
そんなことを思うが、その時点では2人にできることはなにもなかったのも事実だった。
閃光が収まると、全てが元に戻るかのごとく天候も通信障害も回復していく。
2隻のエアクッション揚陸艇は順調に沖縄本島を目指していた。だが、乗っている島民や自衛官たちの胸中はとても穏やかとは言えなかった。
“ワスプ”が閃光に呑み込まれるのを目の当たりにしていた諏訪部たちはとくに。
「なんで“ワスプ”は勝手に島に近づいたんです!?
危険だって警告は出されてたんでしょ!」
『島に偵察に飛び立った彼らのヘリが消息を絶ったんだそうだ。救助作戦だとかで問答無用で島に近づいていったんだ』
無線から聞こえてくる沖縄本島陸自司令部の幕僚の言葉に、諏訪部は無線のヘッドセットを指揮通信車の床に叩きつけたくなる。
一体ここは日本か、それともアメリカか?
不公平な地位協定のせいで、米軍がやることに日本政府も自衛隊も自治体も抵抗する術がない。
ドイツやイタリアの場合は、自治体の長が拒否すれば米軍の軍事行動は基本的に許されないから、いかに日本が独立国として異状かがわかろうというものだ。
どうせヘリの遭難も口実だろう。あの国の俺様ファーストは現大統領が就任してからの話ではない。生きた恐竜とエンカウントできたなんて栄誉、日本人なんぞにはもったいない。自分たちもひとつ恐竜に遭いに行こう。できることなら捕まえてお持ち帰りしたい。
そんなノリで島に艦を近づけたに違いない。
その結果がこれか。
“ワスプ”は閃光とともに消失してしまい、無線に応答しないどころか影も形もない。
念のため空自のRF-4EJ偵察機を飛ばして石城島周辺の様子を見てみたところ、結果は驚愕すべきものだった。
“イスラ・ヌブラル”は予想通り消えてなくなっていたが、全部ではない。島の西側の2割ほどが置き忘れられたのか残留していたのだ。
問題だったのは石城島の方で、島の西がわの3割ほどがはさみで切り取ったように消失していたのだ。恐らく揺り戻しに巻き込まれ、6500万年前まで運ばれてしまったであろうことは誰にも予測がついた。
当然のように、島にうかつに近づいた“ワスプ”も6500万年前に招待されたことになる。
「でも、これで“イスラ・ヌブラル”に人家の痕跡があったことの説明がつくな。
あれを建てたのは、白亜紀に飛ばされた米軍の馬鹿どもだったわけだ」
「ちょっと待って下さいよ。“ワスプ”が揺り戻しで連れて行かれたなら、彼らはつい今し方6500万年前に行ったばかりってことになる。
どうやったらあの集落や畑を作れるんです?」
子安のつっこみに、諏訪部は少し考える。
「ファントムの航空写真見ただろ?
タイムスリップで向こうから送りつけられてきた部分と、揺り戻しで戻っていった部分は完全には一致しなかった。それどころかかなりアバウトでさえあったな。
それと同じことが時間にも起こっていたとしたらどうだ?
つまり、あちらがわでタイムスリップが起こった時。何年何日何時何分何秒まで正確に戻ったわけじゃない。戻った時間にずれがあったとしたら?」
「そうか。あの集落が作られる5年前か10年前に流れ着いてしまう可能性もあり得る。
と言うより、何千万年単位のスパンのなかでそんなに正確に狙いを定められるものじゃない、と考える方が自然というわけですか…」
諏訪部の見解を理解した子安は深く嘆息する。
“ワスプ”乗員たちの運命が容易に想像できたからだ。
海兵隊は孤立無援の状態の中でも戦っていけるよう訓練されている。だが、しょせんは文明人であることに変わりはない。いずれ弾薬や燃料が尽きて、装備の耐用年数が切れれば、6500万年前の世界の中で彼らが生きていく術はないだろう。
集落が廃れて時間が経っているように見えたのがその証左。恐らくは-過去形で言っていいものかは問題だが-ある程度は順応して恐竜が闊歩する土地で生き続けていたのだろう。だが、やがて限界が来て滅んだのだ。
「彼らは故郷から遠く離れた場所で朽ち果てる。そしてアーリントン墓地(米軍の戦死者を埋葬する国立墓地)に眠ることはできない。
自業自得とは言え気の毒ですね。
まあ、隊長に取ってはうらやましいことかも知れませんが」
「馬鹿言え。いくら恐竜オタクでも6500万年前で孤立無援なんて願い下げだよ。
考えても見ろ。向こうじゃインターネットもテレビも、新聞すらない。それに食料から飲み水から全部自分で調達しなきゃならない。
そして、明日にはティラノサウルスの飯になってるかも知れない。
気が変になっちまうよ。」
子安の冗談に大まじめに返答する諏訪部。指揮通信車の中にいる全員が白亜紀で生活している自分たちを想像していた。
恐竜を狩って食肉にし、畑を作ってなけなしのジャガイモやにんじんを植えて食い扶持とする。
が、せっかく耕した畑は大型の草食動物に食い荒らされ、苦労して保存食にした肉も小型の肉食動物やほ乳類に食い散らかされてしまう。
絶望と諦念の中、あるものは凶暴化しあるものは生きる気力を失う。最初は団結していた人間たちはバラバラになっていき、最後は生きることそのものを放棄してしまうか、争いを起こして滅ぶ。
確かに、恐竜に会いに行けるという理由だけではとても割に合いそうにない結末だった。
“ワスプ”が乗員と海兵隊員、そして車両や航空機を搭載したまま消失したというニュースに、一時日本とアメリカは騒然となる。
彼らはどこに行ったのか?無事でいるのか?連れ戻す方法はないのか?そもそも強襲揚陸艦や車両、航空機とてただではない。損失はどうなるのか?代替はどうする?
さらに、揺り戻しに巻き込まれながら、6500万年前に飛ばされたのが全員ではなかったことも混乱と疑心暗鬼に拍車をかけた。
“ワスプ”が消失した現場でおぼれかけていた水兵や海兵隊員が300人以上もいたのだ。
彼らは口を揃えていう。「間違いなく“ワスプ”艦内にいたはずなのに、いつの間にか海の中だった」と。
彼らが現代にどういうわけか残留した事実は、別の不穏な推測を呼び起こすことになる。タイムスリップは駅から駅まで間違いなく運んでもらえるものなのか?途中で電車から振り落とされてしまい、亜空間をさまよい続けることになる可能性もあるのではないか?それこそ“フィラデルフィア・エクスペリメント”のように。
ともあれ、多くの人間が“ワスプ”のことは推測を巡らせていても仕方ないという考えに至っていく。
なんと言っても、すでに手を離れてしまった問題である“ワスプ”より、現在進行形で存在している問題に対処しなければならなかったのだ。
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「お待たせ」
「やあ、早いね。まあ俺もだけど」
沖縄本島、某所の臨海公園。
諏訪部は念願かなって桑島とのデートにこぎ着けていた。
「じゃあまず甘いものでも」と歩き出そうとしたとき、頭上を低空でヘリが駆け抜けていく。諏訪部はかぶっていた野球帽を危うく飛ばされかけた。
また米軍機か。諏訪部は嘆息して見上げるが、よく見るとそれは海自の対潜ヘリだった。遠目にだが、重機関銃をドアガンとして取り付けているのが見える。
『住民の皆さん!現在大型の肉食爬虫類がこちらに向かって来ています!
安全の為直ちに海から離れて下さい!』
消防の広報車がスピーカーで呼びかける声が聞こえる。ほぼ同時に、臨海公園に警察官と自治体の職員たちがなだれ込んで来て、一般人を海から遠ざける。
「またみたいですね」
「またみたいだねえ」
桑島と諏訪部は嘆息する。
これこそが、沖縄にとって、と言うより日本にとって現在進行形で起きている問題だった。
桑島は揺り戻しによって過去から来たものは全て戻っていく可能性を主張していたが、それは全て間違ってはいなくとも全て正しいわけでもなかった。
例えば、コースを誤ったのか沖縄本島に上陸してしまった大型のウミガメ、アーケロンが揺り戻しと同時に消失したことが確認されている。揺り戻しが起こった場所からはかなり離れていたにも関わらずだ。
一方で、偵察機を飛ばして調べたところでは、石城島には今だ多くの恐竜が残留している。また、海には6500万年前の生物が多数残っていた。
これが大事だった。石城島の住民は危険なので帰還するめどが立っていない。
なにより、船さえ襲ってえさにしようとするモササウルスやティロサウルスが群れをなして泳ぎ回っている。これは沖縄全体に大きな脅威と混乱をもたらしていた。
フェリーがティロサウスの群れに襲わて沈められ、多くの犠牲者を出したことは大きく報道された。同じ目に遭うことを怖れた漁師や船舶会社は船を出すことに消極的になった。また、水産資源が根こそぎ喰われてしまったことで漁業にも大きな損失が出ていた。
なにより、住民の生命が危険にさらされる。桟橋で釣りをしていた老人が危うく桟橋ごとモササウルスに喰われかける事件が起きたのだ。
それ以来、沖縄列島周辺では海自と海保の航空機と船舶が引っ切りなしに網を張り、モササウルス類の影を見つけると駆除に当たることが常態化している。
沖合では、海自のSH-60Jが重機関銃の射撃でモササウルスを追い立て、その先に別のヘリが爆雷を落としているのが小さいながらも見える。
「まあ、今日は非番だ。彼らの働きに期待して、俺たちは楽しもう」
「そうですね。フルーツケーキが美味しいお店見つけたんですよ」
そんな会話を交わし、2人は商店街に歩いて行く。
自分たちは気が触れたのかも知れない。獰猛な肉食のオオトカゲが周辺の海を跳梁している時に、スィーツの話をしているのだから。
そんなことを思うが、その時点では2人にできることはなにもなかったのも事実だった。
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