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第四章 褐色肌の歌い手はジゴロ……?

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「そう言えばさ、聞いてみたかったんだけど……」
 ウイスキーの水割りを作りながら、フェリクスが切り出す。
「ん?」
 フリードリヒが淡泊に応じる。いつものことだ。裸で杯を傾ける姿と一緒で。
「この間の雑誌の記事読んだよ。詩人のドリス・オコーナーとお付き合いしてるって話、デマだったんだ?」
「当たり前だよ。何度か歌の作詞を頼んだだけ。売れ行きがよかったからワインで乾杯した。それだけだ。それを、面白がって適当に誇張してくれて……」
(全く雑誌も新聞も……。売れさえすればなんでもいいのか……)
 褐色肌の歌い手は渋面になる。客には絶対に見せられない顔だ。
 芸能界に数年もいれば、報道というものの本質も見えてくる。つまらない真実よりも面白い嘘の方が価値がある。新聞も雑誌もまず結論が先にありきで、そのために事実を歪曲することをなんとも思っていない。辟易ものだ。
「そりゃけしからんことだね。でも……フリードリヒはモテるのに誰かとお付き合いしたって話聞かないし、みんな期待しちゃうんじゃない?彼女美人だしね」
「ああ。確かに美人だ。でもそれだけさ」
 相変わらずの反応が返ってくる。フェリクスは苦笑する。
「しかし……誰ともお付き合いしないのはなんでさ?」
「それを言わせるのか?お前が好きだからに決まってるじゃないか」
 さりげない爆弾発言に、フェリクスの目が点になる。
「真顔で変な冗談言うなよ……」
「俺は真面目だぜ?こんなこと冗談で言えるかよ」
「だって……今まで好きだって言ってくれたことないし……」
「そう言えばそうだったか……?」
 フリードリヒが顎に拳を当てて考え込む。本当に考え込んでいる。
「なあ、キスしないか?」
「え……どうして……?」
「俺がフェリクスを好きだって、行動で示してやるよ」
 美貌の歌い手が友人のほおに手を当て、顔を近づける。フェリクスは急に真っ赤になってしまう。互いに裸で過ごすことなど今まで普通だったのに、にわかに恥ずかしくなる。
「フリードリヒ……ジゴロっぷりまでマイペースなんだな……」
 そう言いつつも、目を閉じる。唇が優しく重ねられる。
「んんんん……。あむむ……♡」
(キス……ウイスキーの味がする……。すごく気持ちいい……)
 ずっと好きだった男との口づけに、フリードリヒの股間はみるみる屹立していく。
「ちゅっちゅっ。♡ああ……フリードリヒ……♡」
 みればフェリクスも同様だった。ホモキスで興奮しているのだ。
「なあフェリクス……。シてもいいだろ……?♡」
「う……うん……。好きにして……♡」
 欲情にかられるまま、肉茎同士を擦り合わせて兜合わせにする。ローションの類いは不要だった。すでに先端から溢れる透明な汁でヌルヌルだ。
「フリードリヒ……。ああ……気持ちいいよお……♡」
「俺もだ……。♡フェリクスの固くて熱い……♡」
 見つめ合いながら勃起したもの同士を激しく摩擦する。すぐに射精の衝動が下腹部からこみ上げてくる。
「ああああーーー……。♡出る……出るよ……!♡」
「おお……俺も……俺もイくよ……♡」
 2本の肉茎の先端から、同時に白濁がほとばしった。
「じゃあ……。入れるよ……。♡痛かったら無理するな……♡」
「ああ……入れてくれ……。♡フリードリヒのち×ぽを……♡」
 ベッドに四つん這いになったフェリクスの細く美しい身体に、バックからのしかかる。最初はきつくすぼまっていた菊の花は、舌で舐め指で広げる内に柔らかく拡がった。時間を掛けて拡張されすっかり性器に変わっている。
「おおおお……。♡気持ちいいよ……フェリクスのここ……♡」
「ああああーーっ……。♡入ってる……入ってるよお……♡」
 ふたりはバックでつながったまま、肩越しに濃厚なホモキスを交わした。
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