詩《うた》をきかせて

生永祥

文字の大きさ
上 下
34 / 54

★第34話 月夜

しおりを挟む
サヨナラの後で
また映るの
貴方の影
溢れ出す衝動

私だけが赤い空で独り
怖がって泣いていた

残らない足跡も
俯き泣いた後も
いつか会えると
抱き合えると

響いて
響いて
痛いくらいの

私の歌
胸に刻んで

見つけて
探して
彷徨うこの口に

キスをして
心焦がして

月夜よ
照らして
私を見つめて



集めていた
大事にしまった
貴方の影
吐き出した感情

落ち始めた赤い星が一つ
また私を置いていく

戻らない温もりは
貴方を失くしたから?
夢を見ているの
見ていたいの

震えて
震えて
止まることのない

この身体を
ねぇ温めて

瞳に映った
揺れゆく光を

抱きしめて
そして潰して

月夜に酔わして
眠りを誘って



私なら見ているわ
あの空の暗いところ

また時が来れば
貴方を照らす
私は月となる



響いて
響いて
痛いくらいの

私の歌
胸に刻んで

見つけて
探して
彷徨うこの口に

キスをして
心焦がして



独りで?
二人で?
終わることのない

この夜を
さぁどうするの?

戸惑い
戸惑い
揺れゆく私を

抱きしめて
あぁ溶け合って

月夜よ
照らして
私を見つめて

月夜よ
照らして
私を見つけて



――『月夜・倉松紅』
しおりを挟む

処理中です...