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第一話 『キスから始まるエトセトラ』

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「もーっ! 最悪最悪最悪っ! 自分が馬鹿だったとは思うけど、こんな展開ってないよっ! 俺が何をしたって言うの⁉」
 放心状態だった俺は、放心したまま予定通りスーパーに寄って夕飯の買い物をしてから帰宅すると、すぐさま頼斗に電話を掛けた。
 頼斗の家は俺の家の隣り町ではあるけれど、歩いて五分で行き来できる距離にある。
 突然俺から電話で呼びつけられた頼斗は嫌な顔をするでもなく、俺が電話を掛けた二十分後には俺の家にいた。
 俺の家のダイニングテーブルに腰を落ち着け、キッチンで怒り狂いながら夕飯を作っている俺の後ろ姿を呆れた顔でしげしげと見詰めていた。
「あんな奴助けるんじゃなかった! いや、実際は助けたんじゃなくて助けられたんだけどっ! でも、そもそも助けようと思う必要なんてなかったんだよねっ! 全っっっ然!」
 ダンッ、と大きい音を立てて振り下ろされる包丁によって、まな板の上の大根が真っ二つになった。
 物に当たることで多少は気持ちがスッキリしたけれど、だからといって俺の怒りが収まるわけではなかった。
「まあ、災難っちゃ災難だったな。深雪の自業自得って感じはするけれど」
 今し方、俺に何があったのかを俺本人から聞かせてもらった頼斗の顔は珍しく元気がなく、若干怒っているようにも見えた。
 それというのも、急に俺に呼び出された挙げ句、怒り任せの愚痴を聞かされているからだと思う。
「自業自得はわかってるんだよっ! でもね、それとあいつのした事は関係ないっていうか、釣り合っていないと思うわけっ!」
 自分には関係のない他人事に首を突っ込み、手痛いしっぺ返しを食らったという現実はまだ受け入れられる。
 でも、その手痛いしっぺ返しというやつが、俺の想像を遥かに超えるものだった場合、自業自得では納得できないものがあることも事実。
 俺が他人の喧嘩に首を突っ込み、その代償として肉体的に痛い目に遭わされたというのであれば、〈怖かったし痛かった〉で済む話だった。
 でも……でもね……。
「大体っ! 俺はお礼がしたいなんて一言も言ってないし、助けてもらったお礼がどうしてキスになるの⁉ 俺、ファーストキスだったんだけどっ!」
 他人の喧嘩に首を突っ込んだことへの代償がファーストキスを奪われる、という展開には納得がいかない。どうしてそうなるの⁉ って感じである。
 百歩譲って、俺が女の子だったのならまだ理解できなくもない。人の許可なく勝手に唇を奪うという行為自体は大問題だと思うけれど、異性間の出来事であれば、それがお礼になってもおかしくないって気がするし。そこから始まる恋の形だってあるかもしれない。
 だがしかしっ! 俺は男っ! しかも、男子の制服に身を包んだ学校帰りの俺は、どう頑張っても女の子に間違えようがない。当然、同じく制服姿だったあの男の性別も間違いなく男だった。
 どう見ても男だとわかる俺にいきなりキスをしてきたあいつには、「一体どういうつもりなのか」と問い詰めたい。
 ひょっとして、嫌がらせだったりする? 実は俺に首を突っ込まれたことが迷惑で、人のいい顔をして俺に嫌がらせをしてきたの?
 そんな感じではなかったけれど、仮にそうだったとしても、男が男にする嫌がらせではないと思う。男が男にキスだなんて、する方もされる方も嫌に決まっていると思うのに。
「そいつにとって深雪の顔が好みだったんじゃないの? お前、男のわりには可愛い顔してるし」
「は? 可愛い? 可愛いって何? 俺、男なんだけど? 男が男に可愛いって言われても嬉しくないよ」
「いやいや。一応褒め言葉だろ。容姿を褒めてるわけだから。それにお前、クラスの女子にも〈可愛い〉って言われるじゃん。一般的に見て、お前は可愛い顔なんだと思うぞ」
「だとしてもっ! それでキスなんかされちゃ堪ったものじゃないよっ!」
「そりゃごもっとも」
 ああっ! 思い出すたびに腹が立つっ! キスされたことももちろんだけど、その後呆然と立ち尽くす俺を男三人が倒れたままの路地に残し、颯爽と立ち去って行ったあいつの後ろ姿も腹が立つ!
 もうさ、完全にやり逃げって感じじゃん。人の唇を――それも、ファーストキスを奪っておいて、やり逃げはないと思う。
「まあ、犬に噛まれたとでも思って忘れるしかないな」
「犬に噛まれた方がまだマシだよっ! ファーストキスだよ⁉ そう簡単に忘れられるわけがないし、許せるはずがないじゃないっ!」
 何か嫌なことがあった時、人はそれを「忘れろ」と言う。確かに、忘れてしまうのが一番だと俺も思う。
 でも、嫌なことほど人の頭は忘れられない仕組みになっていると思うんだよね。
「って、言われてもなぁ……。済んだ事だしどうしようもないじゃん」
「それもわかってるのぉぉぉ~っ!」
 頼斗からしてみれば、いきなり家に呼びつけられ、散々俺の不満や怒りをぶつけられてさぞかし迷惑なのだろうと思う。
 だけど、こんな事を話せる相手って、小学校の頃から一緒にいる頼斗くらいのものだもん。迷惑なんだろうな、と思いながらも、俺の悲痛な嘆きは止まらなかった。
「んじゃさ、いっその事、新しい記憶で上書きでもする?」
「え? 何それ。どういう事?」
 一向に怒りが収まらない俺に、頼斗も何か別の手を考えようと思ったらしい。〈新しい記憶で上書き〉という言葉に、俺はきょとんとして首を傾げた。
「そ。見ず知らずの男にいきなりキスされた記憶を、親友からのキスで忘れさせてやろうか?」
「……………………」
 何か妙案でも思い付いてくれたのかと期待したんだけれど、俺は頼斗の言っていることがすぐには理解できなかった。
 しかし、ニヤニヤとした顔で俺を見てくる頼斗の顔を見詰めていると、段々その意味がわかってきて――。
「それはつまり……俺と頼斗がキスするってこと?」
 という結論に行き着いた。
「ピンポ~ン」
「いっ……嫌だよっ! 何で俺と頼斗がキスしなくちゃいけないの⁉ 俺のトラウマが余計に増えちゃうじゃないっ!」
 期待して損した。何が悲しくて、ファーストキスを自分と同じ男に奪われた俺が、セカンドキスまで自分と同じ男としなくちゃいけないんだよ。それも頼斗と。
 そりゃ俺だって頼斗のことは好きだけど、それって恋愛的な意味とかでは全然ないし、友達としての好きだもん。
 いくらあの男とのキスが嫌だったからと言って、それを忘れるために頼斗とキスなんかしちゃったら、今度は俺と頼斗の関係がおかしなことになっちゃうじゃんか。
 それに、嫌なキスの思い出が友達とのキスで上書きできるとも思えない。
「何だ、ダメか。結構いい案だと思ったんだけどな」
「どこが⁉ 本気で言ってる⁉」
 冗談かと思ったら、頼斗はわりと本気だったらしい。どうしてそういう発想になるのかを教えて欲しいくらいだよ。
「うーん……半分くらい本気かな。だって、深雪の方が俺より先にキスの経験をしたのって悔しいし」
「好きでシたんじゃないよっ! 好きでもない相手から同意なしに奪われたファーストキスだよ⁉ 悔しがる必要なんてないと思うっ!」
 なるほど。小学校からの付き合いである俺に、先にキスの経験をされたことが面白くないのか。
 でも、出逢った直後の人間に突然ファーストキスを奪われるという経験は決して羨むような事ではない。俺にとっては、まだ好きな相手とファーストキスができる可能性を残している頼斗こそ羨ましいくらいだった。
「はぁ……明日は父さんの再婚相手とその息子に会う日だっていうのに……。その前日にこんな事があったら、もう嫌な予感しかしないよ」
 あまりにも衝撃的な事が起こってしまったから明日のことをついうっかり忘れてしまいそうになっていたけれど、明日は明日でまた憂鬱になるイベントがあるんだったよね。
 見ず知らずの人間からいきなり唇を奪われてしまう経験をした俺は対人恐怖症にでもなってしまいそうだよ。元々憂鬱な気持ちにしかならなかった明日の食事会も、益々憂鬱な気持ちになってしまいそう。
「まあまあ。今日は今日。明日は明日。稔さんの再婚相手の息子がその男ってわけでもないんだから、そこは別物として考えろよ。むしろ、今日嫌なことがあったからこそ、明日はいい日になるかもしれないだろ? 深雪がそんなテンションだったら向こうも気を遣うし、稔さんだって困ると思うぞ」
「うぅ……そうだね……」
 怒りが収まったわけではないし、今の頼斗の言葉で納得したわけでもなかったけれど、父さんの再婚相手に会うと決めたのは俺自身だ。自分でそう言った手前、こんなテンションで会いに行くのは確かに失礼だと思う。
「ほらほら。今日は俺が一緒にいてやるし、楽しい話もいっぱいしてやるから。深雪も嫌なことはさっさと忘れて、明日の食事会を楽しみにしろよ」
「うん。そうする」
 頼斗を家に呼びつけた時点で、頼斗はそのままうちに泊まることになっていた。
 明日は土曜日で学校は休みだし、夕飯前の頼斗を呼びつけた以上、夕飯はご馳走してあげるつもりだった。
 夕飯をご馳走してあげるのなら、そのまま頼斗がうちに泊まっても問題はないし、頼斗の両親は居酒屋を経営しているから夜はほとんど家にいない。あまり家の中で頼斗と一緒に過ごす時間がない頼斗の両親は、頼斗に対してかなり放任だったりもする。
 これまで頼斗は何度もうちに泊まりに来ているから、急に頼斗がうちに泊まることになっても、頼斗の親は反対することがなかった。
 俺の父さんにしても、自分が仕事で家にいない間、うちに頼斗が遊びに来ている方が助かると思っている。
 もちろん、遊びに来たついでに頼斗が泊まっていっても問題はない。
 でも、そんな生活も父さんが再婚したらできなくなっちゃうかもしれないんだよね。
 もう父さんとの二人暮らしってわけじゃなくなるから、頼斗も俺の家に遊びに来ることを遠慮しちゃいそうだし。
 そう思うと、少し寂しいし残念。新しい家族と上手くやっていければいいけれど、そうじゃなかった時、俺は頼斗の存在が恋しくなっちゃうんだろうな。
 ま、その時は俺が頼斗の家に遊びに行けばいいだけの話か。
 頼斗が俺の家に好き勝手出入りしているのと同様に、俺も頼斗の家にはよく遊びに行っている。俺が七緒家の家事全般を担っているから、頼斗の家に泊まった回数は少ないけれど、それでも何度かは頼斗の家に泊まりに行ったこともある。
 父さんが再婚したら俺は家事から解放されるわけだから、今度は俺が頼斗の家に遊びに行く回数が増えても問題がないよね。
「ちなみに、今日の夕飯何?」
「ん? えっとね、大根のそぼろ煮とほうれん草のおひたし。メインは豚の生姜焼きだよ」
「お、いいね」
「味噌汁も作るけど、味噌汁の具は何がいい?」
「豆腐とネギかな」
「鉄板だね。わかった。じゃあ、頼斗のリクエストに応えてあげる」
「サンキュー」
 今日起こった出来事をそう簡単に忘れることはできないけれど、こうして誰かと一緒にいることで、気持ちをまぎらわせることはできる。
 一見、デリカシーがないようにも思われがちな頼斗だけれど、実は人への気遣いが絶妙に上手い一面も持っていて、俺が嫌な気持ちになっていたり、本気で落ち込んでいる時は、その嫌な気持ちを忘れさせてくれるような会話に持っていってくれることも多々ある。
 こういう時
(持つべきものは友達だなぁ……)
 と心から思う。
 五年前。俺が母さんを病気で亡くしてしまった時も、頼斗は毎日のように俺の家に足を運んでくれて、母さんを失った悲しみに暮れる俺を元気づけてくれたんだよね。
 頼斗が俺の家に頻繁に足を運ぶようになったのは、それがきっかけだったとも言える。そんな事があったから、俺の父さんや頼斗の両親が、お互いの家を自由に行き来する息子達に寛大になったのだと思う。
「深雪は中学に入ってから料理の腕がどんどん上がっていったよな。今じゃ俺の母さんより深雪の作る飯の方が美味しいと思う。男にしとくのがもったいない。お前が女だったら、間違いなく俺が嫁にしてるよ」
「残念だったね、俺が男で。でも、俺ももし自分が女だったら、頼斗のことを好きになっていたかもしれないよ? だって、頼斗っていい奴だもん」
「何だよ。俺達って相思相愛だな」
「性別が違っていたら、の話ね」
 頼斗のおかげで多少は機嫌が直り、つまらない冗談を言い合えるようになった俺は、手慣れた手つきで大根のそぼろ煮の味付けをしてしまうと、今度は冷蔵庫から味噌汁の材料を取り出した。
 俺がキッチンに立つようになったのは小学校五年生になってからだったけれど、その頃には学校でも調理実習なんてものが始まっていて、包丁の扱いや火の使い方は学校で教わっていたから怖くなかった。
 だけど、肝心な料理の腕前は全然で、最初は卵焼き一つ作るのにも物凄く苦労した。
 料理本を何回読み直してみても全然上手く作れなかったし、頑張って完成させた料理もそんなに美味しくなかった。
 それでも、めげずに何度も挑戦しているうちに段々コツみたいなものがわかってきたし、料理をすること自体にも慣れてきた。
 今では本を見ずに作れる料理のレパートリーはかなり増えたし、父さんや頼斗も俺の作ったご飯を「美味しい」と言ってくれるようになった。それが俺も嬉しかった。
 父さんが再婚したら、俺がキッチンに立つ機会もなくなってしまうかもしれないけれど、たまには俺が料理を作ってあげてもいいと思っている。
 新しい奥さんが男にキッチンを譲るような人だったら、の話だけれど。
 でも、父さんと再婚する相手だから旦那さんはいないわけで、今は仕事をしている人なんだよね? 父さんも「仕事の関係で知り合った」って言っていたし。
 父さんと再婚したら仕事はどうするんだろう。辞めちゃうのかな? それとも、再婚した後も仕事を続けて、頼斗のところみたいに共働きになるのだろうか。
 仕事が忙しい人なら、俺が今まで通り夕飯を作ってあげてもいいけど。
「性別が違っていたら……か」
「ん? 何か言った?」
「いや、別に。何でもないよ」
「?」
 初めて父さんから再婚話を聞かされた後、俺は何度か父さんに再婚相手について話を聞かせてもらっている。
 何せ、初めて父さんから再婚話を聞かされた時の俺は、話の内容がほとんど頭に入っていなかったから。
 おかげで父さんの再婚相手、夏川宏美なつかわひろみさんについてはだいぶ詳しくなっている。写真とかは見せてもらっていないから、どんな顔をしているのかはまだ知らないんだけど、父さんの話だと〈おっとりとした美人〉らしい。
(息子がなかなかの男前だって言っていたから、その母親が美人なのも当然なのかな?)
 ちなみに、息子の話はあまり聞かせてもらっていない。父さんもまだ一度しか会っていないって言うから、息子については父さんもあまり詳しく知らないのだろう。
 なかなかの男前、という発言を思い出し、俺は今日出逢ったあの男のことを思い出してしまった。
 頼斗の言うように、父さんの再婚相手の息子があの男というわけではないけれど、元々イケメンには苦手意識――というか、コンプレックスを感じてしまう俺。今日の一件でイケメンに嫌悪感を抱くようになりつつある。
 父さんの再婚相手の息子が、あの男を彷彿とさせるような顔じゃないことを祈る。
 大体、ちょっと顔がいいからって、初対面の相手にキスをしてくるあたりが調子に乗っているよね。自分の顔がいいからって、相手がキスをされても怒らないとでも思ってる?
 そんなわけないじゃん。同意のないキスなんて、たとえ相手がイケメンでも嫌だよ。ましてや男。俺にとってはファーストキス。俺のファーストキス、名前も知らない男にされちゃったんだよ? それが許されることだと思う?
 あの男があんな事をする奴だとわかったら、人の彼女に「付き纏われた」という発言も怪しいものだよね。
 彼氏の手前、「付き纏われた」と言っただけのことで、実際は自分から彼女に手を出したのかもしれない。
 初対面の相手にキスするような奴だもん。どう考えたって手が早い奴なんだと思う。
 きっと、あの人の好さそうな柔和な笑顔でターゲットに近付いて、大勢の女の子をたぶらかしているに違いないよ。でもって、乙女の気持ちを弄び、やりたい放題やっているに違いない。
 もし、今度あの男に会うようなことがあれば、絶対タダじゃおかないんだから。俺の全てを懸けて復讐してやる。
「ん? おーい、深雪。また顔が怖いことになってるぞ?」
「へ? あ……うー……。ごめん。また嫌なこと思い出しちゃった」
 せっかく頼斗が俺の気を紛らわせるような会話を振ってくれたのに。俺ときたら、またあいつのことを思い出して嫌な気分になっちゃっていたよ。
 まあ、今日の今日だから仕方がないとは思うけどさ。
 でも、いつまでもあの男に腹を立てていても仕方がないし、頼斗の言うように、犬に噛まれたとでも思って忘れるしかないよね。
 あんな事をしてきた相手を簡単に忘れてしまうのも悔しいし、結局泣き寝入りするみたいになって嫌だけど。
 でもさ、俺もまだ十五になったばかりなんだから、この先の長い人生、あんな男に囚われ続けて生きて行くのも馬鹿らしいよね。
 もし、またあの男に会うことがあれば、その時は復讐してやることにして、その日が来るまであの男のことは忘れよう。それが俺にとって一番いい方法なんだから。
「ねえ、頼斗。何か楽しい話して」
「おー。いいぞ」
 とは言っても、俺一人ではなかなかあの男を頭の中から追い出すことができないから、そこは頼斗に協力してもらうことにした。
 俺からの無茶振りに頼斗は無邪気な笑顔を見せると、俺が夕飯を作り終えるまでの間、俺と頼斗にとっては楽しくて面白い話をいっぱいしてくれた。
「えー? そんな事があったの? ウケる」
「だろ? でさ、その続きがまた面白いんだよ」
 俺と頼斗の共通の話題と言ったら、身内の話か学校の話くらいだけど、先生の失敗談とか、クラスメイトの笑えるエピソードなんかを聞いているうちに、俺の機嫌はすっかり良くなっていった。
 俺が夕飯を作り終えた頃に丁度父さんが帰って来て、俺、父さん、頼斗の三人で食べる夕飯もまた楽しかった。
 明日の食事会は今日みたいな感じにはならないだろうけれど、今日は散々な目に遭った俺だから、明日は物凄くいい一日になることを期待しよう。


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