僕らの恋愛経過記録

藤宮りつか

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Final Season

第10話 ケジメ、つけさせてもらいます(1)

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「へー。この子、司の元カノなんだ。胸でっか」
 先月、二十二歳の誕生日を迎えたばかりの湊は、俺の部屋で缶ビール片手にコンビニで買ってきた月刊誌のグラビアページを捲りながら、心底感心したような顔で紙面を飾る安達彩の胸を凝視していた。
 まあ、男ならついつい食い入るように見てしまう胸ではあるよな。俺も最初に彼女が司の元カノだと知った時は、顔よりその胸を凝視してしまったくらいだし。
 もちろん、直接本人を目の前にしてではなく、テレビに映った彼女の胸を、だけど。
「もったいないな。こんなに胸がデカい子なら色々シてくれただろうに。なんで司はこの子と別れちゃったわけ?」
「んなもん知るか。司は振られたって言ってたけど?」
「マジか。ひょっとして、司って下手だったのかな?」
「だから、俺に聞くなっつーの。そもそも、司はその子とはヤってないらしいから、下手云々の問題で振られたわけじゃないと思う」
「あ。そっか。司って悠那が初めての相手だったんだっけ? 益々もったいないよね」
「だぁーかぁーらぁー、そういうことは直接本人に言えよ。すぐそこの部屋にいるんだから」
 年末にCROWNとの合同カウントダウンライブをやることになっている俺達は、夏頃からCROWNと一緒に合同レッスンを行う機会が増え、10月も下旬に入ると、湊は用もないのにしょっちゅう俺達の家に顔を出すようになった。
 特に、今の湊は遅れた夏休み中らしく、この三日間、俺の部屋に入り浸り状態だった。
 これまでもわりと頻繁にうちに足を運んできていると思っていたが、さすがに連日うちに居座ることはなかった。一日二日ならまだしも、三日間もとなるとさすがに俺もちょっと閉口したくなる。
 内心
(このままうちに居座るつもりじゃないだろうな……)
 という不安が無きにしもあらず。
 これがまだ俺が一人で借りている賃貸であるならば、一応は恋人である湊が足繁く俺の家に通ってくることも受け入れられるだろうが――と言っても、俺はあまりそういう半同棲みたいな生活を送りたいとは思っていない――、ここには他のメンバーもいるし、第一ここは俺個人の家ではなく、事務所が所有している所属タレント専用の住居だからな。そこに自分の恋人を連れ込むような形になるのは好ましくないし、気が引けるんだよな、俺も。
 もっとも
「いやいや。今行っても邪魔しに行くだけになっちゃうじゃん。どうせ今頃司は悠那と……でしょ?」
 いつもうちのメンバーから客人として快く迎え入れてもらっている湊のほうは、うちのメンバーや事務所に対する申し訳なさだの、後ろめたさだのというものは一切感じていないようだった。
 湊のそういうところは堂々としているというか、堂々とし過ぎていて逆に図々しいと思う。なんで俺、こんな奴を自分の恋人にしてしまったんだろうか。今までだって俺に対して散々やりたい放題だった湊なんだから、恋人にしてしまうとこうなることくらいわかっていたようなものを……。
 まあ、今更言っても仕方がないし、後悔したって遅いんだろうけどさ。
「そこは否定しない。っていうか、いつまでそのグラビア見てんだよ。ガン見じゃん」
 一度はテレビの中の彼女の胸をガン見したことのある俺が偉そうに言えた義理でもないけれど、目の前で自分の恋人が他の女の胸をガン見しているという状況も、あまり気分がいいものではなかった。
 それも、相手が司の元カノだと知っていると余計に複雑な気分にもなってしまうから、益々面白くないと思ってしまう。
 俺の中ではヤキモチを焼いているわけではないんだけれど、そう感じてしまうこと自体、ヤキモチを焼いていると思われても仕方がないのだろうか。
 実際に、自分では気が付いていないだけでヤキモチを焼いているのかもしれない。あんまりそういう感情には気付きたくなんだけれど。
「おやおや? もしかして陽平、ヤキモチかな?」
「黙れ。馬鹿。調子に乗んな」
「辛辣な悪口三連発。ほんと、陽平のそういうところって全然変わらないね」
「お前を調子に乗せたくねーんだよ。お前は調子に乗ると色々面倒臭いから」
「そう?」
 もともと湊はノリがいいから調子に乗りやすい。そして、調子に乗ると手に負えなくなることもある。
 湊と付き合うようになってから、そのことを身をもって体験したことのある俺は、湊と恋人同士になる道を選びはしたが
『湊には今まで通りの辛辣な塩対応のままでいよう』
 と心に誓ったのだ。
「ま、別にいいんだけどね。陽平の塩対応には慣れてるし。そんな塩対応も陽平にとっては愛情表現の一つだもんね。俺には愛しくさえ思えるよ」
「ああ、そう……」
 残念ながら、俺がどんなに辛辣な言葉を浴びせ、これでもかっ! ってくらいの塩対応を見せたところで、既に俺と恋人同士になってしまっている湊には痛くも痒くもなさそうではある。
「心配しなくても俺は陽平一筋だよ。浮気なんて絶対にしないから」
「へいへい」
 俺から「黙れ」「馬鹿」「調子に乗んな」と立て続けに暴言を浴びせられた後の人間の言葉とも思えないのだが、湊ならそういう歯の浮くようなセリフを返してくるだろうとも思っていた。
 なんかもう、俺と湊の会話って半分がノリでしかない感じだよな。それももう今更だけど。
「それにしても、司の元カノがこんなに巨乳の美少女だって知ったら、悠那はさぞかしヤキモチ焼いたんじゃないの? 司は大丈夫だったの?」
「あ? あー……まあ……」
 今、湊が手にしている雑誌のグラビアページを飾っている安達彩が、司の高校時代に付き合っていた元カノだと知ったのは、つい最近の話である。
 風呂上がりにたまたま点けたテレビから流れてきた深夜番組の映像を見て、傍にいた悠那が
『あ。司の元カノ』
 と思わず呟いてしまったことで、彼女が司の元カノであることを知ったのだ。
 俺が彼女の胸をガン見してしまったのもその時だ。
 その日はたまたま全員がリビングに集まっていたものだから、悠那の発言で俺だけじゃなく律や海も司の元カノの姿を知ることになったのだが、唖然とする海の隣りで、律は司のことをがっかりしたような顔でしげしげと見詰めていたっけかな。
 そんな律からの冷たい視線に気が付いた司は
『ちっ……違うからねっ! おっぱいが大きいからって理由で彼女と付き合ったんじゃないからねっ!』
 と、必死に訴えていたのが逆に怪しかった。
 その元カノと司が久し振りに再会したのが先月末に開かれた高校の同窓会の席で、その直後に司の口から自分の元カノがグラビアアイドルになっていた話は聞いていたけれど、その元カノと司が同窓会の後にも顔を合わせる機会があり、その際に司が彼女から強引に身体の関係を迫られたという話を聞いた時は、俺、律、海の三人は言葉を失うほどに驚いた。
 多分、俺達三人の中で「司の元カノはヤバい奴」という認識も生まれてしまい、自分から男に襲い掛かってくる女ってどんな奴? という興味も湧いた。
 しかし、いざテレビに映る司の元カノを見た俺は、司の元カノがそんなにヤバそうな子にも見えなくて、ただただ“胸がデカい”という印象しか受けなかったりもした。
 結局、その元カノも怒った悠那からの逆襲を受ける羽目になったらしいが、またしても司と悠那の関係が外部に漏れてしまったことに、俺はげんなりしたものだった。
「ヤキモチを焼いたには焼いたみたいだけど、結局は元カノの撃退にも成功したみたいだから、今はもうなんとも思ってないんじゃねーの? 司も今は元カノに会うこともないらしいから」
「撃退に成功? ってことは、また二人の関係を知る人間が増えたってことか」
「そういうこと。あいつらには自分達の関係を隠す気持ちが希薄で困るよ」
「まあいいじゃん。二人に隠す気がなくても、今のところ世間に広まったりしてないし」
「ただ運がいいだけだろ。っつーか、あいつらの関係を知ることになった人間は、あいつらに対して何かしらやましいものがあったりするからな。周りの人間に言い触らすに言い触らせないだけだろ」
「あー……それはあるかもね」
 自分達の身に何か起こるたびに、その関係を広めていく司と悠那ではあるのだが、その関係が未だに身内の中で収まっているのは、それを知る人間にも後ろめたいものがあるからでしかない。
 とは言え、司と悠那の日常的な様子を見て
『マジで付き合ってるんじゃね?』
 と思ったり、二人の関係に薄々勘づいてしまう人間は業界の中にもある程度いるとは思うんだよな。
 だから、あの二人の関係が直接自分達から暴露した相手じゃない人間の口から広まらないのは、本当にただ運がいいだけだと思っている俺だった。
「朔夜さんをはじめAbyssのメンバーやありすちゃん、樹さん達にしても、司と悠那が付き合っていると知っていても、そう簡単には周囲の人間にバラせない事情があるもんね。そうなると、司の元カノが何をしたのかが気になるところだけど。彼女は一体何をしたの?」
「さあ? そこまでは聞いてねーよ」
 本当は知っているが、司のためにもそこは黙っておいてやることにした。
 相手が男ならまだしも、女の子に襲われそうになっただなんて話、さすがにちょっと格好悪過ぎるからな。司もそれなりにショックを受けていたみたいだから、俺の口からは言わないでおくことにしてやる。
「そっか。じゃあ今度直接司に聞いてみよ」
「好きにしろ」
 だからと言って、気になる湊が直接司本人に聞くことは止めなかった。知らない振りをした以上、止めるのも不自然になっちゃうしな。
「それはそうと……」
 雑誌に連載中の漫画の続きが気になるから、と買ってきた月刊誌だから、てっきりその続きを読むために雑誌を開いているのかと思った。
 ところが、湊はグラビアページを眺めただけで雑誌を閉じてしまうと
「陽平は夏凛とどうなってるの?」
 と、部屋の中で時間潰しのストレッチをしていた俺に聞いてきた。
「は? どうって? 別にどうもなってねーけど?」
 なんでここで夏凛のことを聞いてきたんだろう。司の元カノの話が出たからか?
 でも、俺と夏凛は司と元カノみたいにこじれた関係になっていないし、夏凛とはしばらく会ってもいない。たまに音楽番組で一緒になることはあるが、夏凛とどうこうなるようなやり取りだってしていない。
「俺とのことは伝えたの?」
「はあ? なんで言わなきゃいけねーんだよ。言うわけないだろ」
 は? 何? どうなってるの? ってそういう意味? 俺が夏凛に湊と恋人同士になったことを伝えたかどうかの確認?
 そんなこと、俺が自ら進んで夏凛に言うわけないだろ。司や悠那じゃあるまいし。俺に自分の恋人の存在を周囲の人間に言い触らす趣味はねーんだよ。知られると色々面倒臭いだけなのに。
「えー? 言ってないの?」
「言う必要がねーだろ」
 何やら言っていなくちゃいけないような反応を返してくる湊を、俺は怖い顔で睨み付けてやった。
 俺が夏凛に湊との関係を話してないと知った湊は、自分で夏凛にその話をしてしまう可能性が高いからだ。
 だから
「お前も言うんじゃねーぞ。言ったらぶっ殺す」
 一応、湊にもそう釘を刺しておいたのだが、湊は納得していない顔で
「でもさ、夏凛って陽平にまだ未練があるんじゃなかったっけ? だったら、俺と陽平がどうなってるのかが気になってると思うんだよね。ちゃんと報告してあげたほうが良くない?」
 とか抜かしてきやがった。
『そうなったのは誰のせいだ』
 と言ってやりたい。
 湊が夏凛の前で俺のことが好きだと言ったうえに、俺にキスしたことまで夏凛に話しちまいやがったから、夏凛が俺と湊の関係を気にするようになったんだろうが。それがなけば、俺と夏凛はただの元恋人同士のままで済んでいたというのに。
「どうだろうな。気になってても聞きたくない話かもしれないだろ。未練があるなら尚更に」
 夏凛が俺と湊の関係がただの友達ではないと知ってから、かなりの時間が過ぎている。今では夏凛の俺に対する未練も薄れているような気もするが、もし、夏凛に少しでも俺に対する未練が残っているのであれば、自分でもあまり気が進まないことを夏凛に言って、夏凛を傷つけてしまいたくないと思ってしまう。
 そもそも、自分の元カレが男と恋人同士になっているだなんて話、未練がなかったとしても元カノとしては聞きたくない話だと思うんだよな。
 司の元カノだって、司が男の悠那を恋人に選んだと知った時は激怒して、司を思いっきり引っ叩いたって言うし。
 いくら昔付き合っていた元カノだからといって、今付き合っている恋人の存在を報告する義務なんてないわけだから、この件はそっとしておくことが一番って気がする。
「ふーん……。つまり、陽平は夏凛を傷つけたくないわけだ」
「そりゃそうだろ。別れたとは言え、昔の彼女を傷つけたいだなんて思わねーもん」
「でもさ、そういう優しさが逆に相手を傷つけることだってあるんじゃない?」
「ぐぅ……」
 湊の発言はいつでも直球で、痛いところを衝かれてしまった俺は言葉に詰まってしまう。
 そんなこと、俺だってわかっていないわけじゃねーんだよ。優しいだけが優しさじゃないってことくらい。
 でも、湊の厳しい指摘も夏凛に関することになると、正論の他にヤキモチも含まれているんじゃないか、という気がして、俺も素直に従えなかったりもする。
「前にも言ったけど、陽平は過去のあれこれと決別して、これからの人生をもっと前向きに楽しむべきだよ。司がそうしたように、陽平も夏凛との関係をきっちり終わらせるべきじゃない?」
「俺の中ではもう終わらせてるつもりなんだけど?」
 どうやら湊の中で俺と夏凛の関係は完全に終わっていないという認識らしい。が、俺の中では夏凛との関係は完全に終わっているという認識だ。だからこそ、俺も湊と付き合う覚悟を決めたんだ。
 ついでに言わせてもらうと、司と元カノの関係にケリを付けたのは司ではなく悠那で、司は元カノと今カノに振り回されただけだと思う。したがって、俺が司を見習うべきところは何一つもないと思うんだよな。
「うーん……そうなんだろうけどさ。なんかこう……俺としてはちゃんとケジメが付いてないって感じなんだよね」
「そうか?」
 俺には湊の言う“ケジメ”というものが、どうすることで付くのかがよくわからなかったりもするのだが、湊が言っていることもなんとなくわかる気がする。
 お互いにまだ未練がある……とか、そういうことではなく、俺と夏凛の間に何かしら尾を引くものがあることは、俺も少し感じているところではあるのだ。
 その原因がなんなのかがわからなくはあるんだけれど。
「別に俺は陽平と夏凛に疎遠になって欲しいわけじゃないし、仲が悪くなって欲しいわけでもない。今まで通り仲良くしてもらっても全然構わないんだけど、なんかなぁ……」
「どうしてそこでお前がもやもやするのかは知んねーけど、言わんとすることはなんとなくわかる」
「でしょ?」
「ただ、俺もその理由やら原因がまだわからないから、ちょっと考える時間が欲しい」
 湊の言うように、俺が湊との関係を夏凛に伝えることで、その問題が解決するものなのかどうかは謎だ。でも、そうすることで夏凛との間の切れない何かがお互いに吹っ切れる可能性は否めない。
 だが、ただ“なんとなくそんな気がする”って気持ちで行動を起こしたくはないから、その問題については自分なりに考えてみることにした。
 なんとなく湊の思い通りに誘導されている感があるものの、自分の中でも引っ掛かっていることでもあるのは事実だからな。湊と付き合う覚悟を決めた俺としては、その問題ともきちんと向き合う必要があるだろう。
「っつーわけだから、俺がちゃんと答えを出すまでは、お前も夏凛に余計なこととか一切言うなよ」
「わかってるよ。ちゃんとおとなしくしてるって」
「絶対だからな。どうもお前は信用ならねーから」
「酷いなぁ。自分の彼氏を信用できないだなんて」
「身に覚えがあり過ぎるんじゃね?」
「えー?」
 湊に言われた問題について考えることにしたわけだから、湊にはちゃんとおとなしくしていてもらわないと困る。湊に悪気はなくても、湊は良くも悪くも自分の感情や欲望に素直だからな。こうしてちゃんと口止めしておかないと、「言いたくなったから」という理由で平気で俺の口止めを無視してしまうことも多い。
 だからこそ、うっかり俺の口止めを無視してしまわないように注意が必要なのである。
「でも、そうやって陽平が夏凛との関係に決着を付けてくれようとする姿を見ると、俺もそれなりに陽平から大事にされてるんだなって実感できて嬉しいよ」
 俺としては、湊のためというよりは自分自身や夏凛のためって感じではあるんだけれど。湊はそれでも俺からの愛情を感じるらしかった。
 ほんと、こいつの思考は全部自分にとって都合のいいように変換されるんだな。そこまでポジティブになれない俺にとっては羨ましい限りだ。
 まあ、そういう底抜けのポジティブさに救われることもあるにはあるんだけれど。
「ねえ、陽平。俺のこと好きって言って」
「は? 言わねーよ」
「言ってよ」
「いーやーだっ!」
 何を思ったのか、急に俺とイチャイチャしたがる湊の身体を押し返しながら、俺は心底嫌そうな顔をしてみせたりする。
 俺と違って愛情表現が過剰な湊は、俺にもそれを要求してくることが多いけれど、俺はいつもそれから逃げようとしてしまう。
 心の中で思っていることは言葉にしないと伝わらない。なんてことはよく言うけれど、わざわざ言葉にしなくても伝わることだってあるだろう。
 この俺が男の湊と恋人同士になることを選択した時点で、それなりに俺から好かれていることくらいわかれ。
「言ってくれもいいじゃん。減るもんじゃないのに」
「いや。俺はそれを言うことで失うものがある気がする」
「何それ。恋人に“好き”って言うだけで失うものなんてあるわけないじゃん」
「俺にはあるんだよっ!」
 なかなか湊に「好き」を言ってやらない俺に湊は不満そうに唇を尖らせたけれど、それもいつものことだからだろうか。湊はあまり気にしている様子ではなかった。
「まあいいや。陽平がどれだけ俺のことを好きなのかは陽平の身体に聞くから」
「はぁ? ぁっ! こらっ……ちょっ……んんっ……!」
 それもそのはずで、こういう流れになると湊は俺の言葉より身体を求めてくるのが常で、言葉よりも身体のほうが素直だと思ってる湊は、俺の身体に聞くことで満足してしまうからである。
 俺が湊の欲しがる言葉を与えてやらないのも、こうなることがわかっているからなのかもしれない。
 どうせ言葉で伝えたところで展開は同じなんだ。いや。同じどころか、俺がちょっとでも湊が喜ぶような発言をすれば、湊は調子に乗って見境のないセックスをしようとする。だったら、あえて言葉で湊を喜ばせてやる必要なんてないと思う。
(心と身体を自由に感じることができるなら、言葉なんていらないだろ……)
 湊からのキスを全身で受け止める俺は、今日もいいように湊に翻弄されてしまう中、そう思わずにはいられなかった。


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