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Final Season
トップアイドルの恋愛事情(4)
しおりを挟む(しょっ……証拠って……)
車を運転中だった司が「今から証拠を見せてあげようか?」と言い出した時は、一体どうやって証拠を見せてくれるの? って思ったけれど――。
《あぁんっ! ぁんっ! あっ……ぁあっ……!》
どうして俺は今、帰り道から外れた場所にあるラブホテルの中にいて、司と一緒に人生初めてのAVなんかを見ているのだろうか。
司の運転する車が帰り道から外れて、ラブホテルの駐車場に入って行った時は、司の言う“証拠”って、司が俺をどれだけ愛してくれているのかの証明なんだと思っていたのに。
《あんっ! あっ……気持ちいいっ……んんっ……イくぅっ……んっ……》
それが何故、部屋に入るなりAV鑑賞が始まってしまったの?
司は何食わぬ顔で平然とテレビの画面を眺めているけれど、俺の方は初めて見るAVに心臓バクバクなんだけど。
「っ……」
初めて見る女の子の裸。テレビから聞こえてくる知らない人達の喘ぎ声や息遣いが部屋の中に響き渡る。
俺がいつも司としているエッチと同じことをしているはすなのに、俺には全く無関係に思える世界がテレビの中で展開されているような感じがして、違和感や不快感、更には不愉快さや気持ち悪ささえ感じてしまった。
一体司は何を思って、俺とこんなものを見ようと思ったんだろう。
「ね……ねぇ、司?」
ロクに会話もないまま、三十分は耐えてみた。でも、それ以上は耐えられなくなった俺が、恐る恐る司に声を掛けてみると
「んー?」
司はテレビの画面を凝視したまま、気のない返事を返してきたと思ったら
「あ、ごめん。AV見てるテンションのまま返事しちゃった。ごめんね」
すぐさまハッとした顔になって、慌てて俺の顔を見てきてくれた。
三十分間ひたすらAV鑑賞をしていたわりには、司に興奮している様子は一切見られない。
もしかして、司の言った「証拠を見せる」って……。
「でも、ほらね。女の子がエッチなことをしてるシーンを見ても、俺は全く反応してないでしょ?」
「あぅ……うん……」
そういうことだった。俺が司に「司だって女の子の裸を見たり……」とか言っちゃったから、司は“そんなことない”ってことをAV鑑賞をもって証明してみせたというわけだ。
(だからって! 何も一緒にAV見ることはないじゃんっ!)
俺は一体何が始まったのかと思っちゃったよ。司ったらなんの説明もしてくれないんだもん。
「あれ? どうしたの? 悠那。なんか泣きそうな顔してない?」
「だ……だって……俺、AVなんか見るの初めてだったんだもん」
「あ、そっか」
眉毛をハの字にして、ちょっと拗ねた顔で唇を尖らせる俺を見た司は、顔をふにゃりと崩して笑った。
俺は笑い事じゃないのに。
「それでそんな顔をしてるんだ。悠那はほんとに可愛いなぁ」
「司は見たことあるんだよね? 今までにどれくらい見たの?」
手を伸ばして俺の頭を撫でてくる司に、俺は恨みがましそうな視線を向けながら聞いてみた。
今年で二十歳になった俺は、この歳になるまでAVを見る機会なんてものがなかったけれど、健全な成人男子なら、この歳になるまで一度もAVを見たことがない方が珍しいのかもしれない。
(でもさ、AVって一体どういうタイミングで見るものなの?)
一般的な男子が性に興味を持ち始めて、エッチな妄想をしながら一人エッチするようになるのって、早くて小学生高学年。遅くても中学生になったらほぼ全員って感じだと思うんだけど――中には律みたいに例外な子もいるみたいだけれど――、その頃ってAVはまだ見ちゃいけない年齢だし、実家に住んでいるのが当たり前だったりもするから、なかなか見る機会もないものだよね?
なら、高校を卒業して大学生になった後で、親の目を盗んで自分の部屋でこっそり見るとか、一人暮らしを始めたなら、レンタルショップでAVを借りてきたり、自分でAVを購入して見るとかになるんだろうけど、高校の途中から司と付き合い始めた俺は、AVを見たいと思うほど、AVに対して積極的な感情は湧いてこなかった。
そりゃまあ、男としては一度くらい見てみたい気持ちはないでもなかったけれど、元々女の子そのものに興味が湧かない俺は、AVに手を出すタイミングを完全に見失っていた。
そんなものに手を出さなくても、司が俺をいっぱい気持ち良くしてくれるし、司にしてもらうエッチなことだけで、俺は充分に興奮しちゃうもん。
でも、司はAVを見るのは今回が初めてじゃなさそうだし、これまでに見たことがあるのだとしたら、どのタイミングでどれくらい見てきたのかがちょっと気になるよね。
メンバーとの共同生活が始まって以来、ずっと司と同じ部屋で過ごしてきた俺は、司がそういうものを見ている気配を感じたことがないし、司が一人エッチをしている気配すら感じたことがないから。
実際のところ、司は俺の知らないところでちゃんと一人エッチはしていたみたいだけれど。
「そんなには見てないよ」
「初めてみたのはいつ?」
「高校の時かな。エッチな動画が無料でいっぱい見れるサイトがクラスの男子の間で話題になって。俺もまあ一応……」
「そ……そうなんだ……」
「大学生の兄ちゃんがいる友達がAVを貸してくれたこともあったかな。俺が“貸して”って頼んだわけじゃないけど」
「ふ……ふーん……」
そ……そうなんだ。そういうものなんだ。でも、確かに俺が通っていた高校……いや、中学でも、そういうエッチなビデオを見たことある男子はクラスの中に結構いたような気がする。俺が周りの人間に比べて遅れていただけなのかな?
「じゃあ……司はエッチなビデオを見ながらひとりエッチしたこともあるの?」
男がAVを見る理由なんてそれしかないと思うのに、ついつい聞いてしまう俺だった。
「あんまり言いたくはないけど、悠那と付き合う前はね。何回かそういうこともあったよ」
「あぅー……」
別にショックを受けるようなことじゃないのに、自動的にショックを受けてしまう。俺と出逢う前の話なんだから、ヤキモチを焼いても仕方がないってわかっているのに。
司と出逢い、司のことが大好きになってしまった俺は、俺と出逢う前の司の過去にもすぐにヤキモチを焼いてしまうから困る。
「今だから言うけど、悠那とエッチするようになってからも試しにAVを見たことがあるんだよね」
「え⁈」
なんですと? 俺と付き合い始めた後も……しかも、俺とエッチするようになった後にも見ただって? それは一体どういうこと?
色々と未熟だった俺相手だと司の性欲が満たされきらなかったってこと? だとしたら、物凄くショックなんですけど。
「俺は悠那とエッチしちゃったけど、今でも女の子とエッチしたいって気分になるのかな? って」
「そ……それで?」
当時を思い出すような口調でのんびりと話す司だけど、俺の方は話の先が気になってしまい、やや食い気味になって司に話の先を促してしまう。
俺に話の先を促された司は急に思い出し笑いをするようにクスッと笑うと
「その時にはもうAVで勃たなくなってた」
それがさも楽しいことでもあるかのようにそう言った。
「もちろん、最初はちょっと驚いたりもしたんだけど、よくよく考えてみれば、それも仕方がないっていうか、当然だなって」
「どうして?」
「だって、どのAV女優より悠那の方が可愛いしエッチなんだもん。そんな可愛い悠那とエッチしてたら、どんなAVを見ても“悠那の方がいい”ってなるし、AVを見ても何も思わなくなっちゃうよ」
「あうぅ……」
司の言葉は物凄く嬉しかったんだけど、当時はまだエッチなことに今ほど免疫がなかったし、知識も乏しかった俺が――エッチなことには興味津々で、気持ちいいことも大好きだったけど――、司にそう思ってもらえたことは意外だった。
俺ってその頃からそんなにエッチだったのかな? 今も自分が特別エッチな人間だとは思っていないんだけど。
「俺、悠那と付き合う前に初めて悠那とエッチなことをした時、それまでの人生の中で一番テンパったし、一番興奮して欲情もしたんだよね。そりゃもちろん、俺も男だからたまにはエッチな気分になるし、エッチなことをしてみたいって気分になることもあったけどさ。俺の性欲はどちらかと言えば控えめで、エッチなことに対しては消極的な方だったんだよね。それなのに、あの時は“悠那とエッチなことをしたい”って強く思ったりして、自分で自分にびっくりしちゃったよ」
「そうだったんだ……」
「でもまあ、悠那のことが好きだって自覚するまでは、まだ女の子とシたいって気持ちはあるんだろうと思ってたんだけどね。だから、悠那のことを好きだって自覚した後の自分が、今でも自分が女の子に対してそういう願望を持っているのかどうかを確認したくなったんだよね」
「ふーん……」
今日は人の過去を知って驚く日なんだろうか。まさか、あの頃の司が俺にそこまで欲情してくれていたとは思わなかった。
だって、俺と付き合う前の司は俺が「シよ」って誘うから、仕方なく俺に付き合ってくれていたようなところがあったし。だから、俺も司が俺のことをどう思ってくれているのかがわからなかったんだよね。
「だからね、俺が悠那以外の人間に性的欲求を刺激されることはもうないんだよ。わかった?」
「う……うん……」
証拠の見せ方はちょっと予想外で、望ましいものでもなかったけれど、実際に三十分もの間AVを見続けても身体的になんの変化も起こしていない司を見れば、司の言葉は本当なんだと信じることができた。
「それで、悠那の方はどうだった?」
「へ?」
テレビからはまだAV映像と音声が流れてきていたけれど、司は構わず俺の身体を優しく押し倒して、俺の上に覆い被さってきた。
「えっと……どうって? 何が?」
質問の意味がわからなかったことと、いきなり司が俺を押し倒してきたことに、俺の心臓がドキッと脈打った。
加えて、さっきまではいつも通りの可愛い強めの司だったのに、俺を押し倒した途端、急に男らしい顔つきになる司にもドキドキしてしまう。
「人生初AVを見た感想だよ。ちょっとはムラッとしたりした?」
「なっ!」
少しだけ意地悪な笑顔になって聞いてくる司に、俺の顔は瞬間的に熱くなる。
そりゃまあ、司的には自分が女の子の裸を見てもなんの反応も示さない証拠を俺に見せたついでに、これが人生初のAV鑑賞になった俺に、その感想を聞きたいって気持ちが湧いてきてもおかしくはないと思うけどさ。
率直な感想として、真っ先に“不快”とか“気持ち悪い”と感じてしまった俺は、男として何かが欠けている気がして、あまり感想を口にしたいとは思わなかった。
こうしてAVを見てみるまでは、俺もそれなりに興奮するものだと思っていたのに。
それが実際はどうよ。初めて見る女の子の裸に興奮するどころか、“見たくない”と思ってしまうだなんて。
「ねえ、どうなの? 悠那」
「あ……」
司が俺の身体のラインに沿って手を這わせてきたと思ったら、司の手はそのまま俺のシャツの中へと滑り込んできて、俺のシャツを脱がしに掛かってくる。
俺から人生初AVの感想を聞き出すことと、俺の服を脱がすことを同時に進行してくる司に、俺はたじたじである。
咄嗟に逃げ道を探そうと彷徨ってしまう俺の視線は、AVが流れっぱなしになっているテレビの画面を捉えてしまい、さっきとはシチュエーションが変わったのか、映像の中の女の子はさっきと違う場所で、まさに今の俺と同じく服を脱がされ掛けているところだった。
待って待って。司が今俺にやっていることと、AVの映像が一緒とか嫌過ぎるんだけど。
「ちょっ……ちょっと、司っ……」
「ん~? 何~?」
「テ……テレビ消さない?」
司とエッチするのは俺の望むところではあるけれど、そのためにはテレビから流れてくるAV映像と音声が邪魔だ。
それなのに、司ときたら
「悠那がAV見た感想を教えてくれたら、消してあげてもいいよ」
とか、意地悪なことを言う。
そんなに俺が初めて見たAVの感想を聞きたいのか。はたまた、女の子の裸を見れば、さすがの司も勃っちゃうだろうと疑った俺自身は、女の子の裸を見ても性的欲求を感じないかどうかの確認だろうか。
後者だった場合、俺には答える義務がある……ような気がする。その点において、俺は司を疑ってしまったわけだから。
「どうしたの? 悠那。もしかして、俺には言えないような後ろめたくてエッチな気持ちにでもなっちゃった? 悠那は俺が知っている女の子の誰よりも可愛いけど、一応は男だし」
やっぱり、これは司を疑ってしまった俺に対するお返しなのかも。
俺にそう言ってきた司の視線は、さり気なく俺の股間あたりをチェックしていた。
「そんな気持ちになんかなってないもん。むしろ不快っていうか、気持ち悪いとすら思っちゃったくらいなんだからね」
別に股間をチェックされたところで困らない俺が、ようやく初AVの感想らしきものを口にすると、司はちょっとだけ驚いたような顔になって
「本当にそう思ったの?」
って俺に確認してきたから
「うん」
俺ははっきりと首を縦に振って頷いてみせた。
「そっか……。じゃあ悠那に女性問題の心配はなさそうだね。初めて見たAVにそんな感想を持っちゃうくらいだから」
一瞬、唖然となった司は気持ちを切り替えるなり、おかしそうに笑った。
どうやら司にとって人生初AVを見た俺の反応はいちいち面白いらしい。ほんと、俺には笑い事じゃないのに。
「ねえ、ちゃんと感想言ったからテレビ消してよ」
AVって男の人が一人エッチするために見るものだから、二、三十分で終わるものだと思っていた。
でも、この部屋に入ってからすぐに再生が始まったAVは、四十分経った今でも続いている。
今テレビから流れているAVは、一回終わると場所やイメージ、エッチのプレイスタイルが変わるみたいだけど、AVって何回分かが纏めて収録されているものなのかな?
もちろん、こういうタイプじゃないAVも沢山あるだろうし、収録時間が短いものだってあるんだろうけど、AV情報や知識についてはほぼ無知といっていい俺には、今テレビから流れてくるAV以外のことは何もわからなかった。
ただ一つだけ確かなことは、俺はAVに全く興奮をしなければ興味も持てなくて、今から司とエッチをするのであれば、テレビからAVが流れてくる環境の中で司とエッチはしたくない、ということだった。
俺が人生初AVを見た感想を言ったら、司もAVを消してくれるって言ったから、俺が自分の要望を強めの口調で言ってみると――。
「うーん……どうしようかな? 消してあげてもいいんだけど、せっかくだからこのAV女優と悠那を比べてみて、如何に悠那の方が可愛くてエッチなのかを検証してみない?」
司は何やらとんでもないことを言い出した。
ちょっと待ってよ。比べてどうするつもり? 比べられたくもないんだけど?
「うっ……嘘つきっ! 消してくれるって言ったじゃんっ!」
「“消す”とは言ってないよ。“消してあげてもいい”って言ったんだもん」
「なんかそれ、詐欺っぽいっ!」
最初からそのつもりだったのか、はたまた、咄嗟に思い付いた自分の提案を司自身が“いい”と思い、実践してみたくなったのかはわからない。
とにかく、慌てる俺にお構いなしの司は、テレビの電源を切る気配がないどころか、俺の身体をわざわざテレビの画面が見えやすい位置にまで移動させてきた。
「やだやだっ! やめてったらっ! 司ぁ~っ!」
何が悲しくて、俺は彼氏とエッチしながらAV女優と比べられなきゃいけないの? 一体どんなプレイだよ。
「やだってば……ゃっ……ぁんっ……」
とりあえず、テレビの画面が見えない位置まで移動しようと思った俺が、必死の抵抗を見せてはみたけれど、司は逃げる俺の身体をあっさり元の位置に戻してしまうと、半分脱がせ掛けていた俺のシャツをあっという間に俺から抜き取ってしまった。
「あ~んっ!」
全く意味をなさない抵抗に悔しがる俺を見て
「この時点で最強に可愛い」
司はえらくご満悦だった。
嫌がる恋人の姿にご満悦って……。司のテンションが上がるツボが時々ちょっとわからない。
シャツを抜き取られ、上半身裸になった俺を組み敷く司は、同じように上半身裸にされたAV女優をチラリと横目で見ながら
「不思議だよね。前はいやらしく見えていた女の子の裸や胸が、今ではただの肉の塊と脂肪の塊にしか見えないんだから」
世界中の女の子を敵に回すような発言をさらりとした。
肉の塊と脂肪の塊って……。そんな表現をされたら、確かに性欲も刺激されない。
「でも、悠那の身体は凄くそそられちゃうし、美味しそう」
そう言うなり、テレビの映像と同じように俺の胸を愛撫してくる司に、それまで抵抗しようと暴れていた俺の身体は急におとなしくなってしまった。
両脇から俺の胸を持ち上げるようにして揉む司の手に、否が応でも感じてきてしまう。
「ぁんっ……やだっ……そんな風に……揉まないでよぉ……」
今、テレビの画面で流れているAVの中の女の子と同じことを自分がされていると思うと物凄く嫌なんだけど、これまで散々俺を気持ち良くしてくれた司の手はやっぱり気持ち良くて……。
「んんっ……ぁっ……ゃあっ……ん……」
俺の口からは感じる声が止まらなかった。
司はわざとなのか、テレビから流れるAVと同じことを俺にしてきては
「ほら、見てみなよ。この子より悠那のおっぱいの方がずっと綺麗でエッチでしょ?」
俺とテレビの中の女の子を比べて俺を褒めてくる。
「ゃぁん……んっ……おっぱいなんか……ないのにぃ……」
持ち上げられてほんの僅かに膨らんだ胸の先端の粒を司の指に擦られて、俺はAVどころじゃない。司に「見てみなよ」と言われても、司から与えられる刺激に耐えることでいっぱいいっぱいになってしまう。
「感じてる顔も声も、全部悠那の方が可愛い」
俺の乳首を擦ったり弾いたりしていた司が、今度は俺の乳首にちゅくって吸い付いてくる。
「んぁあっ……!」
多分、テレビの中の女の子も同じことをされたんだろう。俺の甲高い喘ぎ声と、テレビの中の女の子の吐息を吐くように漏れる喘ぎ声がぴったりと重なった。
エロを仕事にしているAV女優より、俺の方が喘ぎ声が大きいあたりがちょっと恥ずかしくもなったけど
「反応も悠那の方が断然可愛い」
司が嬉しそうだからいいのかな?
「悠那のおっぱい美味しいよ。悠那の身体ってどこもかしこも甘くて柔らかい。本当にお菓子みたい」
「ぁんんっ……お菓子じゃないよぉ……食べちゃ嫌ぁ……んっ」
舌で優しく舐め上げた乳首に、司の口が歯を立てないようにパクッて食いついてきたから、俺は本当に司に乳首を食べられちゃうのかと思った。
「ん? 食べるのは悠那の方でしょ? いつも下のお口で俺を奥まで呑み込んで、お腹いっぱいになるまで俺を離してくれないじゃん」
「んんっ……そう……だけどぉ……」
AVなんか流しながらエッチをしているせいだろうか。今日の司はちょっとお喋りだし、俺への愛撫もスローテンポで焦れったかった。
いっぱい乳首を愛撫された俺は、もうアソコを直接触って欲しいし、中もぐちゃぐちゃにして欲しいのに……。
「んっ、ぁ……司っ……乳首ばっかり……もどかしいよぉ……他のところも触って……」
堪え性のない俺が乳首だけの刺激に耐えかねて、自分から脚を開いて司に触って欲しいアピールをすると
「悠那の怖いところってさ、悠那のエッチなところがAVや他のエッチな何かから影響を受けたとかじゃなくて、悠那自身から出てくるものってところだよね」
司は心底感心したような顔と声でそう言った。
司は俺がエッチであればエッチであるほど嬉しいみたいだから、司に「エッチだ」と言われること自体は嫌じゃないんだけれど、俺は自分のことを客観的には見られないから、自分のどのあたりがそんなにエッチなのかがよくわからなかったりもする。
大体、俺にいっぱいエッチなことをしてくる司だって、俺から言わせてもらえば俺に負けず劣らずのエッチだと思うし。
「いいよ。悠那の可愛いおねだりにしっかり誘惑されちゃったから、乳首以外のところもいっぱい触ってあげるね」
俺に誘惑されたらしい司は、言うが早いか、俺の両脚からズボンを抜き取ったわけだけど、パンツまでは脱がしてくれなかった。
いっぱい触ってあげるね、って言ってくれたから、てっきりパンツも一緒に脱がしてくれて、アレをいっぱい触ってくれるものだと思ったのに。
「司、パンツ……ぁあんっ!」
パンツは脱がしてくれないの? って聞こうとしたのに、それよりも先に司の手がパンツの上から俺のナニをむにゅって掴んできた。
散々乳首を弄られたせいで既にパンツを押し上げるくらいに勃ち上がっている俺は、司に捕まれた瞬間、先端の小さな孔からジュンって蜜を零してしまうほどに感じてしまった。
「おっと……乳首を弄られただけでもうそんなになってたの? 相変わらず感じやすくてエッチな身体だね」
「んぁあっ……ぁっ、んんっ……やぁっ、んっ……」
そのままパンツの上から俺のナニをいやらしい手つきで撫でてくる司のせいで、薄い水色だった俺のパンツがどんどん濃い水色へと変わっていく。
「ぁんっ……ぁっ……司っ……パンツ……やだぁ……」
俺、今日はパンツの替えなんて持ってきてないのに。こんなにエッチなミルクでぐちゃぐちゃになったパンツを穿いて帰れとでも? それとも、自分の精液でぐちゃぐちゃになったパンツは諦めて、ノーパンで帰れとでも言う?
「凄いね、悠那。こうして優しく撫でてるだけなのにどんどんエッチなミルクが溢れてきて、悠那のパンツがぐちゃぐちゃになっていくよ?」
「んんっ……意地悪……意地悪ぅ……」
男ならソコをそんな風に触られると感じちゃうし、エッチなミルクだって溢れてきちゃうんだよ。
特に、俺の身体は司にされることが全部気持ち良くて感じちゃうんだから、パンツの上からでも司にナニを触られようものなら、俺のパンツはあっという間にぐちゃぐちゃだよ。
そんなことは司だってわかりきっているのに。あえて口に出して言ってくるなんて意地悪だよ。
更に
「見て。この女の子より悠那の方がいっぱい濡らしてる。エッチなミルクもエッチな音もいっぱい出しちゃって恥ずかしいね」
俺が流れていることをすっかり忘れてしまっているAV映像の中の女の子と、俺を比べることを忘れていない司はもっと意地悪だ。
もしかして司、女の子がパンツの上からアソコを愛撫されているから、俺のパンツも脱がせてくれなかったわけじゃないよね?
俺と女の子じゃアソコの形状に明らかな違いがあるから、比べるも何もない気がするのに。
でも
「ゃあっ、ん……比べちゃ嫌……比べないでよぉ……」
テレビの中の女の子と比べられるのは嫌だけど、AV映像と同じことをされていると、まるで俺がエッチなビデオを撮られているような気分にもなって、ちょっとだけ興奮しそうにもなる。
自分のエッチな姿を撮影されて興奮するなんて変態みたいだけど、映画でのベッドシーンで本当に司とエッチをした俺は、変態で間違いがないのかもしれない。
もちろん、相手が司だからこそ、そういう大胆な行動にも出られただけで、他の人間とだったら絶対に嫌だけどさ。
「ん? 嫌がるわりには凄く感じてるみたいだけど? 俺にココを弄られて、いやらしく腰を揺らして感じてるじゃん」
「だっ……だって……司に触ってもらうのが気持ちいいから……」
「悠那のそういうとこ、物凄くエッチで可愛くて……堪んない」
「んんっ……」
司は素直に白状する俺のナニを撫でながら、俺の唇に触れるだけの軽いキスをしてから、ようやく俺のパンツを脱がせてくれた。
と言っても、これもテレビの中のAVと同じ展開ではあるんだけれど。脱がされた俺のパンツは「洗濯でもしたの?」ってくらいに、俺の出した精液でぐちゃぐちゃだった。
(ほんと、帰る時のパンツどうしよう。こんなパンツ、とてもじゃないけど穿いて帰れないよ……)
俺が心の中でパンツの心配をしていると、司の手が俺の身体をころんと転がしてうつ伏せにしてきて、そこから腰を掴んで俺を膝立ちにさせると、俺に司に向かってお尻を突き出す格好をとらせた。
(ま……まさかこれも……)
嫌な予感がしてテレビの画面を見ると、やっぱりテレビの中も同じ映像になっていた。
一体いつまでAVと同じことを俺にしてくるつもりなんだろう。まさか、このまま最後まで……とか、司も思っているわけじゃないよね?
そんなことをされると、俺がこの女の子の代わりをさせられているような気がしなくもない。
「やっぱり悠那のお尻が一番可愛くてエッチだな。悠那の恥ずかしいところが全部丸見えで絶景だよ」
さっきから俺の身体ばかり褒めてくる司だから、そんなことはないんだろうけれど。
そもそも、司は女の子の裸を“ただの肉の塊”って言ったくらいだし。三十分間もAVを見ても無反応だったんだから、女の子の裸には本当に何も感じないらしい。
それにしても
「本当に可愛くてエッチなお尻。形も綺麗で申し分ないし、色も白くて美味しそうだし、質感や肌触りも最高。入り口なんてもうひくひくしちゃってて、早く俺を食べたいって言ってるみたいだよ。可愛い」
俺のお尻をしみじみと褒め過ぎである。
普通、人に見られたら恥ずかしい場所でもあるお尻を、じっくり眺めながらしみじみと褒められたら、褒められて嬉しい気持ちよりも恥ずかしいって気持ちの方が勝っちゃうよ。
「これなら朔夜さんが悠那に会うたびに悠那のお尻を揉みたくなる気持ちがわかるし、俺なんて悠那のお尻を見ただけでバッキバキだよ」
ここでも意地悪く朔夜さんの名前を出してきたかと思ったら、いつの間にズボンを脱いだのか、硬くなった自分で俺のお尻をふにって突いてきた。
「ゃんっ……」
硬くなった司にお尻の柔らかい部分をつんつん突かれると、それだけで感じてしまう俺の入り口がきゅぅっと窄まった。
「今キュッてなったね。お尻突かれるだけで感じちゃうの?」
「んっ……んんっ……」
俺の反応に満足したのか、その後も何度か俺のお尻をナニの先っぽでつんつん突いてくる司は、遊んでいる子供みたいだった。
司って時々エッチの最中でもこういう子供っぽいことをしてくる時があるんだよね。
俺はそんな司を見るたびに“可愛い”って感情が爆発しそうになるんだけど、“可愛い”って油断をしていたらその後に大変な目に遭わされちゃうから要注意。
そもそも、司のナニはどんなに可愛らしい動きを見せたところで、子供らしさとは程遠いほどの凶悪なサイズだし。“可愛い”って和んでいられるほど、おとなしくしているものでもないんだよね。
でもまあ、いつも俺をいっぱい気持ち良くしてくれる司のナニが大好きな俺は、俺で気持ち良くなってくれる司のナニを“可愛い”と思っちゃうものなんだけどさ。
「ちょっ……ぁんっ……司っ……そんなにお尻ばっかりつんつんしないでってばぁ……」
俺のお尻をつんつんしてくる司は可愛いんだけど、硬くなった司が触れる場所は司の熱を感じるし、悪戯に俺のお尻をつんつんするその振動がお尻の奥にも微かに伝わってくるからもどかしくなってくる。
(突くならソコじゃなくて……)
そう思ってしまう。
「何? もう挿れて欲しいの?」
「ぅ、んっ……うんっ……」
かれこれ二十分近く、乳首やナニをいっぱい弄られて、早く司と一つになりたいと思っている俺は、テレビの中のAVなんて無視して、早く司で俺をもっといっぱい気持ち良くして欲しいと思っているから、司に「挿れて欲しいの?」と聞かれたら、待ってましたと言わんばかりに首をこくこくと振ってみせた。
でも
「まだダメ。悠那とこの子、どっちがいっぱい喘ぐか検証しなくちゃ」
司はまだ俺とテレビの中の女の子を比べる遊びを続けるようで、ちょうど女の子のアソコに指が埋められたタイミングで、俺の中にローションを塗った指を挿し込んできた。
「んぁあっ……!」
司の長い指が一気に奥まで突き進んでくると、身体中に強い快感が走って、俺は危うくイってしまいそうになった。
「っ……凄い締め付け。指が食い千切られるかと思っちゃった」
「んんっ……ぁっ、ん……ぁっ……んんっ……」
俺にいきなり強い快感を与えてきた司は、今度はそれを誤るかのように、ゆるゆると俺の中を優しく掻き回してきた。
ぐちゅぐちゅと音を立てて掻き回される中に
「やぁっ、んんっ……ぁっ、ぁんっ……あっ……んんっ……」
俺の声はひっきりなしに上がる。
「うーん……これはもう勝負にならないっていうか、悠那の圧勝って感じだね。前から思ってたんだけど、悠那の声ってなんでそんなに可愛いの?」
「ぁんっ……知らない……知らないよぉ……」
「もうさ、悠那の声だけでイっちゃいそうなくらいに可愛い」
「あっ……んんっ……ぁあっ……ゃんっ……んんー……」
俺をベタ褒めしてくれるのは嬉しいけど、いい加減に俺とAV女優を比べるのはやめにして、俺とのエッチに専念して欲しい。
全身を快感に支配されて何も考えられなくなってきた頭の中で、そんな不満を募らせていく俺。
だけど、司の指で乱れていく俺の姿に、司もそろそろ余裕がなくなってきたのか
「やっぱり比べるまでもなく悠那が最高で最強だね」
ようやくテレビの電源を切ってしまうと、すっかりとろとろになった俺の中に、爆発寸前なくらいに昂ぶった自分を、グッと埋め込んできた。
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