僕らの恋愛経過記録

藤宮りつか

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Final Season

第4話 熱演! 恋人達の過激なラブシーン⁈(1)

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 先日、無事に引っ越しを終えたばかりの俺達は、今までよりももっと広くなったマンション……ではない。一軒家で暮らし始め、それはもう夢のように快適な生活を手に入れた。
 Lightsプロモーションの新事務所への移転は当然世間を騒がせ、全ての引っ越し作業が完了したと同時に多くの報道陣が押し掛けてきて、新しい事務所の規模の大きさ、敷地内に併設されたタレント寮やタレントハウス、施設内の施設や警備体制などがテレビで紹介された。
 俺達Five Sも少しだけ取材を受け、新居の中にもカメラが入ってきたけれど、それはあらかじめ予定されていたことだったから特に疎ましいとも思わなかった。
 最初からメンバーとの共同生活を公表していた俺達は、これまでにも何度かカメラが家の中に入ってきたことがあり、《アイドルの素顔》と称して俺達の日常も撮られている。今更プライベートな空間にカメラが入ってくることなんてなんとも思わない。そもそも、アイドルは撮られるのが仕事みたいなものだし。
 もちろん、無断で撮り放題にされるのは困るし、プライベートを追いかけ回されるのも勘弁して欲しいけれど、そのへんの対策はちゃんと事務所側もしてくれているから、俺達が取材以外でカメラにプライベートを撮られるようなことはない。
 でも、さっき“報道陣が押し掛けてきて”って言わなかった? と思った人もいるかもしれないが、心配は無用。押し掛けてきたのは敷地内の入口までで、そこから先は事前に許可を取っていないと入れないシステムになっている。
 事務所だけならまだしも、同じ敷地内にタレントの住居があるわけだから当然と言えば当然だ。誰でも簡単に敷地内に入れるようになっていたら、目当てのタレントがそこに住んでいると知っているファンが押し掛けてくる可能性もあるわけだから。
 俺達もここに引っ越してきた際、入場許可書(パスカードみたいなもの)を貰い、敷地内の出入りにはそれを解錠パネルにタッチすることになっている。
 敷地内に入る前に一回と、タレントの住居エリアに入る前に一回の計二回。出る時も同様に二回タッチすることになっている。
 事務所からは少し離れたところに建てられているタレントの住居エリアは一般の社員が入れないよう、更なるゲートが設けられているのだ。
 これもタレントを守るためのシステムではあるんだろうけど、自分の住む場所が区分けされ、出入りに許可証が必要になると言うのも、どこかに収容されている気分にならなくもない。
 まあ、おかげで静かで平和な生活を与えてもらっているわけだから、当然文句なんて言わないけどね。
 タレントの住居エリアは絶対に外から見えない造りになっていて――言っても、タレント寮のマンションの方は高さがあるぶん全く見えないわけでもないけれど――、外界から隔離されているようにも感じられる俺達の住居は、隠れ家的別荘感みたいなものがある。家の周りには緑もあって落ち着くし、おうち時間が大変リラックスできるものになっている。
 多少の手間があったとしても、こうした穏やかな生活を送れるのであれば、たかが出入りに二回ずつ入場許可証をタッチするのもなんてことはない。
 それに、この入場許可証、必ずしも毎回タッチしないといけないわけでもない。例えば、俺達全員で敷地内から出る場合、誰か一人が入場許可証をタッチすればあとの四人はタッチする必要がないということで、いつもマネージャーや俺と一緒に敷地内を出入りしている悠那なんて、まだ一度も本来の使用法として入場許可証を使ったことがなかったりする。
 じゃあどういう目的で使ったのかと言えば、入場許可証を貰った直後
『わーっ! 凄いっ! これで出入りができるんだっ!』
 と、入場許可証をタッチするとロックが解除されるのが嬉しくて、試しに何度かタッチして遊んだだけという……。
 なんとも無邪気で可愛いじゃないか。嬉しそうに何度もピッピッと入場許可証をタッチして喜ぶ悠那を見て、俺がどれだけ微笑ましい気持ちになったことか……。俺が心の底から悠那を溺愛していることを知っている人間なら容易に想像がついただろう。
 もっとも、そんな悠那の可愛い無邪気さが通用しない陽平には
『無駄にタッチして遊ぶな。壊れるだろが』
 と怒られていたけれど。
 何はともあれ、引っ越しも無事終わり、Lightsプロモーションの事務所移転に関する取材も終わった後は、ようやく落ち着いて新生活を満喫することができるようになったわけである。
 新生活の何が一番いいかと言ったら、それはもちろん――。
「ぁっ、ん……んんっ……」
「気持ちい? 悠那、こうやってトントンされるの好きだよね?」
「んっ……好きっ……好きぃ……」
 悠那とのセックスライフが今まで以上に充実したことだろう。
 引っ越すにあたり、今まで使っていたベッドを買い替えることにした俺達は、どうせ一つしか使わないからと、ベッドのサイズを今までのシングルサイズからクィーンサイズへと変更した。部屋も仕切りを取って二部屋を一部屋として使うことにしたから、クィーンサイズのベッドを置いても部屋の中は充分に広い。
 まるでラブホテルのベッド並みに広くなったベッドの上で、毎晩悠那と乳繰り合う生活は幸せでしかなく、ベッドが広くなり、部屋の壁も厚くなったことに満足した悠那は、俺の前で好きなだけ乱れてくれるようになった。
 まあ、これまでも好きなだけ乱れてくれてはいたんだけれど、多少は他のメンバーに気を遣って声を我慢したり、狭いベッドの上では思うように身体を動かせない時もあったようで、そういう縛りが全部なくなったぶん、気持ちも解放されたところがあるように見えた。
「司っ……もっと……もっと奥までトントンして……司に奥までトントンされたいよぉ……」
「ん……いいよ。もっとシてあげる……」
「あっ…んんっ……」
 いわゆる対面座位の形を取っている俺は、太腿の上に乗った悠那のお尻を両手で左右に広げると、入り口が広がったぶん奥まで俺が挿入はいるようになり、今までより深い場所まで挿入はいってきた俺に悠那は熱い吐息を漏らした。
「司ぁ……」
 甘えた哭き声を上げて俺にしがみついてくる悠那のお尻を持ち上げ、少し浮いたお尻を再び元の場所まで落とす。その動作を繰り返すたびに悠那は可愛い声を上げ、もっと強く俺にしがみついてくるようになる。
「んぁっ……ぁんっ……奥っ……奥までトントン……気持ちいっ……」
「うんっ……悠那の中……気持ちいいよっていっぱい俺に吸いついてくる……まるで俺にちゅーしてるみたいで可愛い……」
「ちゅー……ちゅーもするぅ……」
 言うが早いか、悠那は俺の唇に熱くなった自分の唇を押し付けてきて、熱で湿った俺の唇を舌でなぞった流れで俺の舌に自分の舌を絡ませてきた。
「んっ…ふ……ぁっ、ん……」
 自分から舌を絡ませてきた癖に、舌が擦れる感触が気持ち良くて感じてしまうらしい。悠那のこういうところが本当に可愛い。可愛くて堪らない。
 出逢った頃は初恋もまだで、キスもセックスもしたことがなかったのに――俺もセックスはしたことがない童貞だったけど――、あれから三年でよくぞここまで……だ。
 もともと悠那は尋常じゃなく可愛い顔をしていて、特に何もしなくても男心を擽ってくるタイプではあった。ころころとよく変わる表情はどれもみんな可愛かったし、ちょっと困った顔で甘えられた日なんかにはもう……。
 今の俺なら間違いなく「可愛い。ブチ犯そう」ってなるところだが、悠那と付き合う前の俺にはまだ悠那が好きだという自覚がなく、ただひたすら可愛い悠那に戸惑っていたりもしたんだよね。
 だけど、自覚はなくても心のどこかで悠那をそういう目で見ていたであろう俺は、わりと悠那に誘惑され放題で、悠那の可愛さにメロメロだったようにも思う。
 なんたってオカズにしてくらいだからな。悠那のこと。それで“好きじゃない”とか思っていた俺はちょっと頭がおかしい。陽平に呆れられて当然って感じだ。
 まあ、悠那も俺と付き合う前から俺とエッチなことをしていたのに、俺を好きだという自覚がなかったみたいだからお互い様ではあるんだけどね。
 で、お互い無自覚のうちから密かに好き合っていた者同士が付き合うことになった俺達は、いざ付き合い始めたら好きが止まらない。
 俺は悠那を片時も離したくないと思ってしまうし、悠那も俺の傍を片時も離れたがらない。セックスは毎日だってしたいし、所構わずイチャイチャもしたい。
 そして、その願望に忠実な俺達は、付き合い始めてもうすぐ二年が経とうという頃には見事なバカップルに成長しているわけである。
 もっとも、他のメンバーに言わせれば「最初からラブラブのバカップル」に見えていたらしいけど。
「やぁん……何考えてるの? 司ぁ……」
「うん?」
「今、なんか他のこと考えてたでしょ」
「バレちゃった?」
「バレちゃった? じゃないよぉ。エッチしてる時に他のことなんか考えちゃやだぁ」
 俺の思考はほんの少しの間だけ過去を旅していただけだけど、そのことにすぐさま気が付いた悠那は、拗ねた声と不満そうな顔で俺を責めてきた。
「ごめんごめん。ちょっと昔のことを思い出しちゃって」
「昔のこと?」
「うん。悠那は昔から可愛かったなって」
「え~?」
 別に悠那の機嫌を取ろうと思ったセリフではなく、本当のことを言っただけだったけれど、俺の言葉を聞いた悠那は一瞬で嬉しそうな顔になってくれた。
 こういう素直で単純なところも悠那の可愛いところだ。素直故に怒りっぽくて機嫌を損ねやすいところもあるけれど、ほっぺたをぷくっと膨らませて怒る悠那は可愛いし、悠那の機嫌を直してあげるのも俺の中では楽しい時間だったりする。
 まあ、さすがにマジギレされた時は俺もちょっとは焦るけど。でも、結局最終的には俺を許してくれるし、仲直りした後は悠那との仲がもっと深まったような気がするから、たまには悠那に怒られることも必要だと思っている俺だった。
「昔って? いつくらい昔?」
「そんなの、初めて会った時からずっとに決まってるでしょ? 俺は最初に悠那に会った時から“この子凄く可愛いな”って思ってたよ」
「ほんとにぃ?」
「うん。ほんと」
 ベッドの上で交わされる俺と悠那の会話はいつも甘く、俺はセックスの合間にする悠那との会話も好きだった。
 悠那と一つに繋がったまま、時折戯れのようなキスを交わしながらする会話は特別で、それがたとえどんな内容であっても悠那と愛し合っている時間だと実感できる。そして――。
「んぁっ! ゃ……もぉ、やだぁ……意地悪……」
「ん? 今のは俺が悪いの? 悠那が動いたんじゃない?」
 会話に気を取られ、俺と繋がっていることを忘れた悠那がうっかり動いてしまった時の反応がまたいい。思わずにやりとしてしまう。
 悠那は会話の途中で突然感じてしまった自分を恥じ、それを俺のせいにしてこようとしたけれど、動いたのは悠那の方であって俺は全く動いていない。
 強いて言うなら、悠那にキスするために顔を突き出したくらいはしたけれど、それで動いたのは上半身くらいのもので、悠那と繋がっている下半身は動いていなかった。
 だけど、それで俺と繋がっていることを思い出した悠那は
「司……」
 もうお喋りはこのへんにしよ、と言わんばかりに、俺の首に腕を巻き付けてきた。
「ん……」
 俺はそれに応えるように悠那にキスをすると
「このまま最後までスる? それとも、体勢変える?」
 と聞いてみた。
 悠那は俺の顔がすぐ目の前にあって、密着度も高い対面座位を好むけど、対面座位だとやや身体の動きに制限が掛かることもあり、最終的には違う体位でイきたがることが多かった。
 もちろん、そのままの体勢でもイくことはできるし、悠那がそれを望むこともあるけれど、今日みたいに途中に会話を挟んで焦らされた場合、その後はより強い刺激を与えてもらえる体位に変えて欲しいと言ってくるのが常だった。
 案の定
「変えたい……かな。この体勢、司といっぱいイチャイチャできて好きなんだけど、今日はもっと激しくしてもらいたい気分」
 今日の悠那は激しいのがお望みらしい。悠那は焦らされると燃えるタイプなのだ。
「今日は? 悠那はいつも激しいのが好きでしょ?」
「そんなことないよ。激しくされるより、甘やかされながらゆっくり優しくシてもらうのも好きだもん」
「たまには……ね?」
「えへへ」
 体位を変えるため、一度悠那の中から出た俺は、悠那を優しくベッドの上に押し倒してから悠那の太腿の裏に腕を差し込んだ。
 そのまま悠那の脚を抱えるようにして開かせると、悠那のお尻がベッドから浮き、悠那の可愛い下のお口が丸見えになった。
 改めて思うが、よくこんな小さな孔に俺が挿入はいってしまうものだ。
 自分のサイズが成人男性の一般的なサイズと比べてどうなのかは知らないけれど、小さくて物足りないサイズではないと思う。むしろ、長身のおかげでやや大きい方なんじゃないかと思っている。自分で言うのもなんだけど。
 悠那は小柄だし、年々エッチなお尻に育っていっているとはいえお尻自体は小さい。それなのに、小さなお口いっぱいに俺を根元まで咥え込み、甘えるみたいに俺に絡みついてきてはきゅうきゅうに締め付けてくるから、俺も悠那の中が堪らなく気持ち良く感じてしまう。
 俺は悠那以外の相手とセックスをしたことがないから、他の人のココがどんな具合なのかはわからないけれど、一度悠那の身体を知ったら他の人間なんて抱けないんじゃないかと思っている。
 俺と悠那の身体の相性が抜群にいい。ということもあるのかもしれないが、身体の相性に加え、悠那の一挙一動、悠那が俺に見せる全ての表情が可愛くてそそられる俺は、悠那以外の人間とのセックスなんて考えられない。悠那以外の相手だと勃ちすらしないと思う。俺は一生、悠那だけの身体しか知らなくていい。
「んんっ……ぁ、ん……」
 悠那を思う存分突き上げる準備が整った俺が、催促するような目で俺を見詰める悠那の中に再び自分を埋めていくと、悠那は泣きそうな声を上げながら俺が挿入はいってくる刺激に耐えた。
 悠那が言うには、何度経験しても俺が自分の中に挿入はいってくる時の感覚は堪らないものがあり、身体がゾクゾクしてすぐイってしまいそうになるらしい。可愛い。
 そんな話を聞いたら、れて早々めちゃくちゃに突き上げてイかせてやろうとも思ったりするが――実際に何回かしたことがある――、それをすると悠那が泣きながら俺を責めてくるから、よっぽど“悠那を泣かせたい”とか“悠那を虐めたい”という気分じゃない時以外はやらない。
 俺に突き上げられてすぐにイっちゃう悠那も可愛いけど、やっぱり悠那とのセックスは時間を掛けてゆっくりやりたいし、少しずつ乱れていく悠那の反応を見るのが好きだから、あんまり早くイかせてしまうともったいないって思ってしまう。
 もちろん、早々にイかせてしまったとしてもそれで終わりになることはなく、泣いて怒った悠那を宥めた後は第二ラウンドへと突入するわけだけど。
「んぁあっ……奥っ……司が奥まできたぁ……」
「んっ……全部挿入はいったよ……気持ちい?」
「ぅ、んっ……気持ちい……司も気持ちい?」
「ん……凄く気持ちいい……すぐにでもイっちゃいそ……」
 体勢を変えるために一度悠那の中から出てしまったが、それまでは悠那の中で甘く締め付けられ続けていた。今こうして再び悠那の中に熱く猛った自分を埋めた俺は、蕩けそうなほどに熱くなった悠那の中にきゅうぅっと締め付けられる感覚が戻ってきて、その快感に身体がぶるっと震えてしまった。
 悠那は俺が中に挿入はいってくる感触でイきそうになると言ってくれるけど、俺も悠那の中に自分を埋めた直後はいつもイきそうになっている。でも、そこは攻める側のプライドなのか、悠那に悟られないようにしていたりする。
 言ったら悠那が絶対喜ぶことはわかっているけれど、最近の悠那は俺に攻められつつも俺を攻め返してきたりするからな。下手すると自分より先に俺をイかせようとしてくる可能性もある。それはちょっと困る。
 そりゃまあ、たまには俺の方が悠那より先にイくことがあってもいいとは思う。俺にだって我慢が効かない時はあるし。
 でも、今のところまだ一度も悠那より先にイったことがない俺は――口でシてもらった時は別だ――、悠那より先に悠那の中で果てるのは……と思ってしまう。そこは男のプライドというやつだ。
 男同士の……いや、男同士じゃなくても、セックスというものはどうしても受け入れる側に負担が掛かる。ヤらせてもらっている身としては、自分が気持ち良くなることよりも、まずは相手に気持ち良くなってもらおうとするのが礼儀のようにも思う。
 こういう考え方をする俺は意外と紳士的なのかもしれないけれど、俺が悠那をいっぱい気持ち良くさせてあげようとしている努力は悠那も感じているようで、悠那は俺からの扱いに大変満足もしているようだ。
 だから、ほとんど毎日のように悠那とエッチをしても悠那は俺とのセックスに飽きないし、俺のことも求めてきてくれる。そのうち俺と悠那のセックスライフも落ち着く日が来るとは思うけど、俺と悠那に性欲があるうちはセックスレスにはならなさそうだ。
「悠那っ……」
 悠那に締め付けられる快感をひとまずやり過ごした俺は、少しだけ引いた腰を優しく悠那に打ち付け、悠那の中を捏ねるように突いてやった。
「ぁんんっ! ぁっ……やぁっ、んんっ……」
 ほんのちょっと突いただけなのに、悠那は堪らないと言わんばかりに身体を搾り、甘くて可愛い嬌声を上げる。
 悠那の感じやすい身体。AV女優顔負けの可愛い喘ぎ声。これらはひょっとして俺を喜ばせるための演技なのかな? と思ったこともあるけれど、それらは決して演技ではなかった。その証拠に、俺にちょっと突き上げられただけの悠那は、可愛らしく勃ち上がったピンク色の先っぽから透明な蜜を溢れさせ、中の俺をきゅうぅっと締め付けてくる。
「んっ……そんなに締め付けたらイっちゃうよ? いいの?」
「やっ……ダメっ……まだイっちゃやだぁ……もっといっぱいぐちゅぐちゅしてもらいたい……」
 悠那に締め付けられた俺が中でビクンっと震え、堪えきれなかった熱が零れてしまったのを感じた悠那は、慌てて俺を締め付けるのをやめようとしたけれど、身体が感じていることと中の動きは連動しているようで、やめようと思ってやめられるものではなさそうだった。
 心配しなくても、俺もそう簡単にイくつもりはない。
 少しでも気を抜いたら一気に持っていかれそうではあるけれど、これまでに幾度となく悠那と身体を重ねてきた俺は、そこの忍耐力には自信がある。
「司っ……司ぁ……もっと……もっといっぱいぐちゅぐちゅしてぇ……」
 特に動きがなくても、俺が中にいるだけで感じてしまうらしい悠那は、一分一秒ごとに追い詰められていく自分がもどかしいのか、両手を伸ばして俺にぎゅうっと抱き付いてくると甘えた声でおねだりしてきた。
 その姿は可愛くも幼くもあり、とても来月二十歳になる男には見えないが、正直、悠那の年齢や性別はあってないようなものだ。
 高校を卒業して一年が経つというのに未だに高校生に見える時もあるし、服装やメイク次第ではもっと下に見える時もある。性別に至っては誰もが男であることに疑問を抱いてしまうくらいに可愛いし。
 そんな悠那が俺の恋人であるという事実。それは俺にとって幸せでしかなく、可愛いの塊である悠那が俺だけのものだと思うと、絶対に誰にも渡したくないと思う。
「うん……いっぱいシてあげるよ。悠那……」
 これは俺のものだ。そう証明するように、悠那の首筋にキスをした俺はそのまま悠那の首筋に紅い所有の印を付けようとしたのだが……。
「っと……キスマークはダメだったね」
 今はそれをしてはいけないことを思い出し、名残惜しそうに悠那の首筋から唇を離した。
 4月になり、映画の撮影もいよいよ佳境に入ってきた今日この頃。俺と悠那の一番の見せ場でもあるベッドシーンの撮影も間近に迫っている。
 俺も悠那も全裸にまではならないものの、それに近いところまでは脱ぐ予定になっているから、ラブシーンの撮影が終わるまではキスマークを付けないようにと気を付けている。
「むぅ……ほんとは付けて欲しいのに……」
「ダメだよ。撮影で脱いだ時にキスマークが付いてたらおかしいでしょ? なんでエッチする前から付いてるの? ってなるじゃん」
「そうだけどぉ……」
 俺にキスマークを付けてもらうのが大好きな悠那は、撮影のために俺がキスマークを付けてくれないことを不満に思っている。
 でも、いくら可愛い悠那に唇を尖らされても、今回は我慢してもらうしかない。
「その代わり、みんなの見ている前でキスマークを付けてあげるよ。上手くそのシーンが使われたら、映画を見た人全員、俺が悠那にキスマークを付けてるところを見ることになるね」
「わあ。それいいな。だったらいっぱい付けてよ。そしたらどれかは使ってもらえそうじゃん」
「うーん……いっぱいにも限度はあるだろうけど……。やってみるね」
「やった」
 ただの口約束になってしまう可能性もなくはないが、俺と悠那のベッドシーンは映画の中でも一番力を入れたい場面らしく、監督とも何度も打ち合わせをしている。
 男同士とはいえ二人共アイドルだから、どこまで演じさせるべきか、どこまでなら俺達ができると思っているのか……撮影前に入念な話し合いが重ねられていた。
 監督の希望や思い描いている映像を聞き、なるべくそれに近い形を自分なりにもイメージしたうえで、自分がどこまでの演技をするつもりなのかを伝えた結果
『基本的には司君に任せる。思うようにやってみて』
 ってことになったんだけど、そこを任されても……だ。
 いっそのこと
『もう実際にヤっちゃってよ』
 と言われた方が楽な気もする。演技で本当にシているように見せるって、よくよく考えたらめちゃくちゃ恥ずかしくない?
 そもそも、ラブシーンを演じること自体、たかがアイドル歴三年の俺には重荷であり、不慣れで恥ずかしいことなのに、実際の恋人とラブシーンを演じろと言われましても……。
 それもう、俺が普段どうやって悠那を抱いているかが駄々洩れになるだけだよね。だったらもう実際にカメラの前で本当に悠那を抱いてやろうかって気にもなる。さすがにそこまでの度胸は俺にないけれど。
「司とのエッチシーン楽しみ。でも……」
 俺に「みんなの見ている前でキスマークを付けてあげる」と言われた悠那は上機嫌になり
「その前に演技じゃないエッチしよ。カメラが回ってないところで、思う存分俺のことめちゃくちゃにして」
 腰を揺らして俺を誘惑してくると、首を伸ばして俺の唇に触れるだけの軽いキスをちゅっ、としてきた。
 それが合図だったように、俺が悠那の身体を抱き返してゆっくり腰を送り始めると、悠那の表情は急に艶かしいものとなり、俺を堪らなくそそってくるようになる。
「ぁんっ……司っ……んんっ……司ぁ……」
「っ……悠那っ……」
 今までより広くなった部屋の中に、濡れた音と肌と肌がぶつかり合う音が響く。
 前の家ではこの音すらも律や海を悩ませることがあったけれど、ここに引っ越してきてからはそんなことを気にする必要がなくなったことが本当に快適だ。
 今や俺と悠那のセックスライフを邪魔するものは何もない。
「ぁんっ、ぁっ……司っ、激し……激しいよぉ……」
「んっ……激しいのがいいんでしょ? もっと激しくしてあげるっ……」
「やぁっ、んっ……ぁっ、ぁんっ、ぁあっ……ん……」
 小さな悠那の身体を容赦なく突き上げ、ひっきりなしに可愛い哭き声を上げる悠那に興奮してしまう俺は、もうすぐ演じる悠那とのラブシーンでどこまで自分が理性を保っていられるのか……それだけが心配だった。



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