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Season 3
脅しに乗ったら大惨事⁈(2)
しおりを挟む《でね、俺がこうした方が格好いいんじゃないかって、俺が考えた振り付けをみんなの前で披露したら、クソダサいって笑われちゃってさ。そんなにダサいのかと思ってカメラで撮ってみたら、ほんとにダサくて笑ったよ》
「ふーん……」
《陽平ってダンス歴長いじゃん。たまに振り付け変えたくなる時とかない?》
「あんまり……」
《ってか、Five Sにも振り付け師っていんの? ま、いるんだろうけどさ。でも、陽平がいれば一曲分の振り付けくらい簡単に付けられそうだよね》
「そりゃ、たまに俺が振りを付けることもあるにはあるけど、振り付けの先生に付けてもらった方が格好いいから、あんまり付けたいとは思わない」
《そうなんだ》
「ってかさぁ……」
暦は12月に入っており、年末が近づくにつれ、俺のスケジュールもハードになっていく一方だった。
さしずめ、来月から放送が始まるドラマの撮影が主ではあったけど、後半からはクリスマス特番やスペシャル番組の出演、更に12月中旬から来年の1月上旬にかけて、全国五ヵ所でのライブツアーも行うことになっているから、しばらくは休みなしの日々だった。
そのぶん、今年も年末年始休暇はちゃんと作ってもらっているから、頑張ろうって気にもなるんだけどな。
「俺、今仕事中なんだけど?」
《うん。知ってる。でも、俺からの電話に出られるってことは、休憩中か何かなんでしょ?》
「そうだけど……だからってお前の暇潰し電話に付き合ってやる時間はない」
《暇潰しだなんて失礼だな。れっきとしたラブコールなのに》
「切る」
《え⁈ ちょっと! 陽へ……》
言葉の通り、話の途中でも容赦なく電話を切った俺は、その手でスマホを機内モードに設定し
「はあ~……」
大きな溜息を零した。
何がラブコールだ。暇人め。
「陽平~」
「あん?」
電話を切ったスマホをズボンのポケットに押し込んだ俺は、スタジオの入り口から聞き覚えのある声に名前を呼ばれて振り返ると、そこには悠那が立っていた。
そう言えば、今日は番組の打ち合わせをテレビ局でするって言ってたな。悠那が出る番組って、ここのテレビ局だったんだ。
来年から司と共演する映画の撮影も始まるし、悠那は悠那で忙しくなりそうである。
「さっき廊下でここの監督さんと会って、休憩中だから入っていいよって言われたんだ。だから陽平の様子を見に来たの」
「お前は打ち合わせ終わったの?」
「うん。打ち合わせっていうか、顔合わせみたいなものだったから、わりとすぐ終わったよ」
「ふーん」
ってことは、悠那はこれから自由時間ってことか。今日は他に仕事も入っていないみたいだし。
「どう? 撮影は順調?」
「まあな」
「なんか陽平のドラマ撮影現場にお邪魔するのも変な感じ」
「だろうな。俺も変な感じするもん」
撮影の合間にスタジオに入ってきた悠那の姿を、四方八方から沢山の目が追っているのを感じる。
その大半が男のもので――そもそも、今この撮影現場にいる人間のほとんどは男だから、視線の大半が男のものになるのも無理はない――、明らかに悠那を邪な目で見ているものも感じられた。
こいつ、自分が男からそういう目で見られる自覚がまだないのかよ。相変わらず男か女かわかんないような可愛い格好とかしやがって。司の趣味か?
いや。悠那はもともと可愛い服を着る奴だから、司の趣味とかではないか。
とは言え、司と付き合い始めてからというもの、悠那の服装が益々可愛らしくなったのは事実だ。多分、少しでも彼氏彼女に見られたいという願望の現われなんだろう。
そういうところはいじらしいって気がしなくもないけど、普通にしてても性別不詳に見えるんだから、自分から可愛く見せようとしたら、それはもう女子にしか見えなくなると思う。
自分のことはちゃんと男だと思っているようだけど、そのわりには年々女子力が増していっているようにも見える悠那。悠那は一体どうなりたいんだ?
「今からもう帰るんだろ? マネージャーは?」
「さっきまで一緒にいたんだけど、マネージャーはまだ少し話があるみたいだから、俺だけ先に出てきちゃった」
「おまっ……! 一人の時は勝手にうろちょろすんなって言われてんだろっ! なんで先に出てくんだよっ!」
「だってぇ……難しい話とかしてるみたいでつまらないんだもん。それに、一人で出てきたわけじゃないもん」
「ああ?」
どう見ても、ここには悠那一人でやって来たようにしか見えなかった俺は、いくら人の行き来が激しいテレビ局の中とは言え、一人で歩き回るのは危険であることをわかっていない悠那に、説教でもしてやろうと思った。
が、俺に説教されそうな空気を読み取ったのか、悠那は唇を尖らせながら、怖い顔になる俺に言い返してきた。
こいつ……まさか俺に説教されたくなくて、適当なことを言ってるんじゃないだろうな。
「はあ? どう見てもお前一人だろ。なんで嘘つくの?」
「嘘じゃないもん。だって、ほら……」
「ん?」
往生際の悪い悠那に呆れた俺は、唇を尖らせたまま指を差す悠那に促され、指の先に視線を向けてみると……。
「やっほ~、陽平」
「あっ……葵さんっ⁈」
休憩に入る前には絶対にいなかったはずの葵さんの姿を見つけ、心臓が止まりそうなくらいにびっくりした。
な……なんで葵さんがこんな所に? もしかして、悠那と一緒にここに来た相手って葵さんのこと?
っつーか、大先輩に向かって指を差すな、指を。
葵さんは俺と目が合うなり、撮影カメラの傍で立ち話をしていたスタッフに手を振って別れ、俺達の方へと歩いてきた。
「今度の番組、葵さんと一緒だって言わなかったっけ? だから、今日の打ち合わせは葵さんと一緒だったんだ」
「そう言えば……そんなことを言ってたな……」
ドラマや映画の仕事だけじゃなく、最近ではバラエティー番組の仕事もよく入る悠那は、来年からは自分がレギュラー出演を務めるバラエティー番組に出ることになった。
その番組で、国民的アイドルAbyssの九条葵さんと共演するって話は、結構前に俺も聞いていた。
「久し振りだね、陽平。元気にしてた?」
「はい。元気にしてます」
「ちょっと見ない間に髪の毛が伸びて可愛くなってるけど……ドラマの役作りかな?」
「そうです。伸ばして欲しいって言われたんで」
「似合ってるね。陽平は格好いいイメージが強かったけど、こうして髪の毛伸ばすと可愛くなるんだ」
「えっと……そうですか?」
「うん。すっごく可愛いよ。色も薄いピンクで可愛いし」
「~……」
去年の年末。久し振りに実家に帰ると、母親が髪の毛をピンクなんかに染めていて、「マジか……」と思った俺。まさかその一年後に、自分が同じような髪の色にするとは思ってもいなかった。
母さんのピンクの髪色を見た時は、「ちょっとはっちゃけ過ぎじゃね?」と思ったし、「同じ色にしよう」と誘ってきた母さんに、「ご遠慮します」って思いだったのに。
それはさておき、あまり“可愛い”を連発しないで欲しい。いくらドラマの役で髪を伸ばしたからって、俺のイメージは“格好いい”のままであって欲しい。
「もともとFive Sはみんな可愛い顔立ちしてるもんね。服装や髪型、メイク次第で、“格好いい”にも“可愛い”にもなれてお得だね」
「お得って……」
「ま、悠那君だけは何をやっても“可愛い”にしかならないから、“格好いい”にはならないけどね」
「えー? 俺もたまには“格好いい”って言われたい」
「うーん……それはちょっと無理かな?」
「むぅー……」
休憩中にとんでもない大物アイドルが登場し、多忙なAbyssのメンバーにはなかなか会うことができない他の共演者もざわついた。
でも、当の本人である葵さんは、ここにはほんのちょっと様子を見にきただけって顔だし、自分が注目されていることにも気付いていない様子だった。
Abyssと言えば、同じ芸能人の中にも多くのファンが存在する。うちのメンバーだって全員がアイドルになる前からAbyssのファンだし、Abyssのことは尊敬している。
デビューして7年経過しているAbyssと、デビューしてまだ2年足らずの俺達が、事務所も違うのにこうして親し気にしている姿は、傍から見れば不思議に感じるかもしれないよな。
ま、朔夜さんが悠那を溺愛してるって話は、わりと有名になりつつあるんだけどさ。
「えっと……葵さんは悠那と一緒にバラエティー番組をするんですよね?」
「うん。そうだよ~」
「こいつ、凄く我儘だし、ちょっと非常識で失礼なところがあると思いますけど、よろしくお願いします」
朔夜さんに対する悠那の態度を考えれば、悠那が害のない葵さんにも失礼な態度を取る可能性は充分にあるから、俺の方からもしっかりお願いしておいた方が良さそうだ。
葵さんは朔夜さんと違って、悠那のお尻を揉んだり、キスしようとしたりはしないだろうから、悠那もおとなしくしているとは思うけど。
「大丈夫。悠那君の性格は大体把握してるし、同じ可愛い担当として、悠那君とは気が合うところもいっぱいあるみたい。ね~、悠那君」
「うんっ」
「~……」
にこにこ顔の葵さんに同意を求められ、悠那は元気よく首を縦に振った。
その姿は微笑ましく、仲のいい先輩後輩って感じがしなくもないんだけど……。
(おい、こら悠那。敬語はどうした。敬語は。実はさっきから気になってんだけど……)
最後に葵さんに会った時は、まだちゃんと敬語が遣えていたよな? もしかして、今日の打ち合わせだけで、もう敬語を解除したんじゃないだろうな。だとしたら早すぎるからやめて。
「陽平のドラマも楽しみだけど、悠那君とのバラエティーも楽しみにしてるんだ~。きっと可愛い満載になるから陽平も見てね」
「そりゃもちろん見ますよ」
言われなくても、俺はメンバーやAbyss、CROWNの出る番組は必ず録画して見るようにしている。だから、葵さんと悠那のやるバラエティー番組も当然見るつもりではあるが……。
(可愛い満載って何?)
一体どういうバラエティー番組なんだろう。確かに、葵さんも悠那もグループの中では可愛い担当だし、葵さんは元祖可愛い系男子と言っても過言ではない。Abyssがデビューした直後から、中性的な顔立ちで華奢な葵さんは、今の悠那と同じくらい、「可愛い、可愛い」と騒ぎ立てられていた。
でも、そこから7年の月日が過ぎ、大人の魅力を身に付けた葵さんは、ただ可愛いだけの存在ではなく、綺麗で色っぽいという要素が強くなり、最近では“綺麗”と言われることの方が多くなっている。
もちろん、可愛さはまだまだ健在だから、バラエティー番組なんかに出ている時は、可愛い色が強くなる。
元祖可愛い系男子の葵さんと、現役可愛い系男子の悠那。その二人の共演となれば、そりゃ番組も可愛い満載にはなるだろうが……。
「そのうち陽平もゲスト出演してね。うちは琉依と朔夜がギリギリゲストに呼べそうだけど、仁さんと一真さんは厳しそうだからね。でも、Five Sは全員呼ぶつもりだから」
「はあ……」
どうやらゲストにも“可愛い”が求められるらしい。ほんと、どういう番組なんだろう。
Abyssの最年長メンバーの仁さんと、リーダーである一真さんが厳しいってことは、相当な可愛さを要求されるってことなんだろうか。仁さんと一真さんは格好いい色が強すぎて、可愛い要素はあんまり感じられないもんな。
正直、琉依さんや朔夜さんも微妙なところで、可愛い面はもちろんあるものの、俺からしてみれば、あの二人は“綺麗”や“格好いい”でしかなかったりもするんだけど。
それを踏まえると、“格好いい”を売りにしたい俺としては、可愛い満載の番組にはあまり出演したくないと思ってしまうわけだけど、葵さん本人から直々にそう言われてしまっては、いざ出演依頼がきた時、絶対に断れないよな。この場だけの口約束であって欲しい。
「そうだ。昨日久し振りに湊に会ったよ」
「え……」
げ……なんで今急にここで湊の話題? 勘弁してくれ。
「なんか最近は陽平と会う機会が増えて喜んでるみたいだったよ。相変わらず仲良しだね」
「ええ……まあ……」
あの野郎……俺と会ってる話を葵さんに言うなよ。もし
『何したの?』
って質問なんかされた日には、うっかり何を言い出すかわからないってのに。
今度会った時にちゃんと釘を刺しておこう。
「え? 陽平って湊さんと会ってるの? いつ? 最近は全然会ってないと思ってたのに」
「~……」
でもって、面倒臭い奴に面倒臭いことを知られちまったじゃん。こいつ、この手の話は結構しつこく聞いてくるから、できれば知られたくなかったんだよな。
だけど、これでハッキリした。やっぱり司以外のメンバーは、俺がこっそり湊と会っていることに気付いていないみたいだ。なのに、どうして司にはバレたんだ?
実はあいつ、夜中はずっと起きてたりする? だから、俺がみんなの寝静まった頃にこっそり帰ってきていることにも気付いてて、不審に思っていたんだろうか……。
でも、だからって、俺と湊が会ってることにはならなくない? 俺は今、ドラマの撮影中だから、帰りが遅くなるのもそんなに変な話じゃないのに。
「そう言えば、少し前に司が不思議がってたんだよね。陽平は帰ってきてないのに、陽平の車は駐車場に停めてあるって」
「あ……」
そうか。そういうことか。それでバレたんだ。
車を購入してからというもの、俺も司も自分の車で仕事に向かうことが増えた。俺と司の車は駐車場に隣同士で停めてあるから、帰ってきた時に相手の車があるかないかで、家にいるかいないかがわかってしまう。
一度俺をマンションまで迎えに来たことがある湊は、俺の待ち伏せをマンションの駐車場でしているから、車から降りた俺は、今度は湊の車に乗って出掛ける羽目になり、車はあるのに家にはいない、という状況が出来上がってしまうのである。
車はあるのに家にはいない。帰宅したばかりの俺を強引に連れ出すような相手は湊くらいのもの……と、司は簡単に想像ができてしまったのかもしれない。
「言ってくれればいいのに。なんで隠すの?」
「なんで言わなきゃいけねーんだよ。お前は煩くするから言いたくねーんだよ」
「煩くなんかしないもんっ!」
「するだろ。ってか、お前が静かだった試しなんてないじゃん」
「酷いっ! 子供扱いしないでっ!」
「子供扱いとかじゃなくて……」
俺は事実を言ってるだけだろ。なんでそんなに怒るんだよ。「もんっ!」 って……。怒り方可愛いかよ。こんなだから、変な男に目を付けられるんだ。ちょっとは気を付けろ。人前ではもうちょっと男らしい話し方とかしろよ。
ま、今回は悠那が騒いでくれたおかげで、湊の話題が中断してくれてるから助かるけど。
「うーん……悠那君が司君と付き合ってるのは知ってるけど、陽平と一緒にいても彼氏彼女に見えちゃうね」
「え……」
ちょっとちょっと。何をおっしゃる葵さん。変なこと言い出すのやめて?
「やだーっ! やめてよっ! それは絶対にないっ!」
「そう? 結構お似合いだよ?」
葵さんの言葉に猛反発する悠那。俺と彼氏彼女に見られるのが相当お気に召さないらしい。
安心しろ。俺もお気に召さないから。「やめて」も「絶対にない」もこっちのセリフだから。
「ダメダメっ! 司以外の相手とそんな目で見られたら、俺の計画が台無しになっちゃうんだからっ!」
「計画?」
「そうっ! 俺の大事な野望に向けての計画っ!」
葵さんに発言を訂正させたい悠那は必死な顔だった。
どうせまた妙なことを考えているんだろう。妙なことっていうか、俺にとってはどうでもいいことを。
何を考えているのかは知らないし、悠那の言う“大事な野望”というやつがどんなものなのかも知らないが、俺達を巻き込むのだけはやめて欲しい。
「わかったわかった。もう言わないし、そんな目でも見ないから」
「絶対だよっ!」
「うん。約束ね」
結局、葵さんがすんなり折れることで、事態は収まってくれた。
俺と悠那でも彼氏彼女に見えるって言うけど、元祖可愛い系男子の葵さんと、現役可愛い系男子の悠那だって、見ようと思えば彼氏彼女に見えると思う。
つまり、悠那は男と一緒にいたら誰とでも彼氏彼女に見えてしまうってことで、葵さん一人を責めたところで、世間の目からはそう見えてしまうってことだよな。
悠那は面白くないだろうが、樹さんと共演したドラマだって、悠那と樹さんをそういう目で見ていた人間はたくさんいると思う。
実際にキスもしちまってるし。
「もーっ! 悠那君っ! どこに行ったかと思ったらこんなところにっ! ここのスタッフさんに“うちのスタジオにいますよ”って教えてもらえなかったら、危うく警備員さんを呼ぶところだったじゃないっ!」
「あれ? 俺、先に出てるね、って言ったよ?」
「聞いてませんっ!」
事態が収束したところで、今度は悠那を探していたマネージャーが現われ、俺の周りは再び騒がしくなった。
ほんと……悠那がいると“静か”ってことがない。
「すみません。てっきりマネージャーさんの許可を貰ってるのかと思って。僕が一緒に連れ出しちゃったんです」
「葵さんは悪くありませんからお気になさらず。うちの子がすぐ勝手にうろちょろしちゃうのがいけないんです。むしろ、一緒にいてくれてありがとうございました」
「なら良かった。ダメだよ? 悠那君。マネージャーさんに手を焼かせちゃ」
「はーい」
これまで悠那の身に起こったことを考えれば、マネージャーがこうなるのも仕方がない。
にしても、完全に子供扱いだし、まるで迷子を必死で探す母親みたいな構図だな。マネージャーが不憫で仕方ねーよ。
葵さんにまでやんわり諭されて素直な返事を返している悠那だけど、実際あまり反省はしていないと見た。
「陽平君もごめんね。仕事中だったのに悠那君が邪魔しちゃって」
「ううん。ちょうど休憩中だったから問題ないよ」
「でも、せっかくの休憩ならなおのことゆっくりしたかったでしょ?」
「いや。むしろいい気晴らしになったかな?」
最近では俺単独の仕事現場にはいないことが多いマネージャーだけど、俺のことはちゃんと気にしてくれているようである。
前ほど顔を合わせる機会が減ってしまったマネージャーではあるけれど、信頼関係はちゃんと築かれている。俺がマネージャーに対して敬語を遣わなくなったのも、俺が一人で仕事に行くようになってからである。
年上だから……と、わりと最近までは敬語を遣い続けていたけれど、それだと余所余所しい感じがしてきたのは、マネージャーとの心の距離が縮んだ証拠だと思う。
「そろそろ撮影再開しまーっす!」
マネージャーが悠那を迎えに来て間もなく、俺の休憩時間も終わりを迎えた。
「さ、帰るわよ。悠那君。陽平君もしっかりね」
「撮影頑張ってね、陽平」
「おう」
「今度は差し入れ持ってくるね」
「ありがとうございます」
休憩が終わると知った葵さん、悠那、マネージャーの三人は、再開される撮影の邪魔にならないようにと、俺に激励の言葉を掛けた後、速やかにスタジオから出て行った。
あまり休憩した気になれなかったのは事実だったけど、休憩に入った直後、嬉しくもない湊からの電話を受けてしまった俺だから、三人との会話が気晴らしになってくれたのも事実だった。
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