125 / 286
Season 3
過去、現在、未来(5)
しおりを挟む「ふーん……。で、結局メンバー全員に知れ渡ったわけだ。陽平と夏凛が昔付き合ってたって話」
「別に隠しておこうと思ったわけでもないんだけどな。ただ、俺の口から暴露したわけじゃないってところが、ちょっと不満ではある」
4月が終わろうとしていた。今日は一日オフな俺は、仕事が午前中で終わると言う湊に誘われ、例の喫茶店に足を運んでいた。
「っつーか、もとはと言えば、お前がここで俺と夏凛の関係をバラしたことがきっかけなんだからな」
「えー? 俺のせい?」
「お前のせいだろ。俺とお前、夏凛の三人ならまだしも、橋本ありすがいる前で暴露されたら、うちのメンバーにも言わざるを得なくなるだろが。ありすと司は番組で共演してるんだぞ?」
「俺が言わなくたってとっくに知ってるでしょ。夏凛とありすちゃんって同期なんでしょ? 同じレッスン生時代を過ごしてるんだから、お互いの恋愛事情なんかも知ってるんじゃない?」
「そうか? 俺と夏凛が付き合ってたって話を聞いた時、ありす驚いてたじゃん」
「夏凛の元カレの“陽平”が、Five Sの“YO‐HEI”だとは気付かなかったってだけだろ。お前とありすってデビューするまでは面識なかったんだろ? 当時彼氏として紹介されてでもいなきゃ、名前しか知らない夏凛の元カレがお前だとは思わないんじゃね?」
「そういうもんか?」
「そういうもんだろ。お前の将来を考えて、名前くらいしか教えなかったってことなんだろうな。夏凛はお前がZeusからLightsプロモーションに移った事情は知らなかったみたいだけど、デビューしたお前を見て驚いただろうな。アイドルとしてデビューした元カレの過去を、同じくアイドルとしてデビューしている同期には言わなかっただけの話じゃん?」
「そうか……」
顔を合わすなり、最初に夏凛の話を振ってきたのは湊の方だった。先日、俺と夏凛が音楽番組で共演したことをテレビで知った湊は、その後、夏凛とはどうなっているのかを聞いてきた。
別に話すようなことは何もない。音楽番組で共演して以来、仕事で夏凛とは会っていない。プライベートで会うこともしてないし、連絡を取ったりもしていない。
念願だったアイドルとしてデビューした夏凛も、昔の恋人云々はどうでもいいだろうし、今は恋愛に現を抜かしている場合じゃないだろう。俺としても、既に別れた彼女とどうこうなりたいって気持ちはない。
ただ、別れ方がちょっと一方的だったから、少しだけ気になっているくらいのものだ。
「そういうところには気を遣える子だったってわけだ。良かったな、陽平」
「夏凛が気を遣ってくれても、結局お前がバラしたんだから意味ねーじゃん」
「それもそうだ」
反省の色もなく笑う湊に、俺は呆れた溜息を零した。
本当のところはどうだか知らないけれど、もし、湊の言う通りなのであれば、夏凛は別れた後も俺に気を遣ってくれたことになる。夏凛の性格を考えれば、その可能性は充分にあると思う。
単純に、今更元カレの話なんかしたくないと思ったのかもしれないし、アイドルとしてデビューした自分の過去を知られたくなかったのかもしれないが。
どちらにせよ、そんな思いは湊に台無しにされたわけだから、内心面白くはないだろうな。
「さてと。今日はせっかく時間があるんだから、ちょっと出掛けようぜ」
「は?」
俺の前に置かれたアイスカフェラテのグラスが、ほぼ空になっているのを確認した湊は、既に冷めてしまったカップの中のコーヒーを飲み干してしまうと、伝票を持って立ち上がった。
出掛けるって……どこに?
今年に入ってからというもの、湊とはここで会い、ここで別れる……を繰り返していた俺は、いきなり「出掛けよう」と誘われてもピンとこなかった。
それでも、足取り軽くレジに向かう湊を無視できないから、湊の背中を慌てて追いかけるように席を立つ俺だった。
「お前、車買ったんだな」
喫茶店を出た後、一体どこに連れて行かれるのかと思っていたら、普通にドライブに連れてこられていた。
湊は車の免許が取れる歳になった瞬間、早々に車の免許を取りに行ったらしいが、車はまだ買えないってぼやいていたことを思い出した。
「買ったんじゃなくて貰ったんだよね」
「は?」
「仁さんが車買い替えたから、それまで乗ってた車を譲ってくれたんだ。もちろんタダで。そろそろ車を買おうと思っていた俺としては、タイミングよくいい話が舞い込んできたって感じ」
「はあ……」
さ……さすが天下のAbyss。中古とは言え、まだ全然売り物になりそうな車をタダで後輩に譲ってしまうなんて。
Abyssの仁さんが乗ってた車なんて、それだけで物凄い値がつきそうだよな。欲しい人間なんて山ほどいるだろう。オークションなんかに出したら、買値の何倍の値段がつくかわからない。
「手続きするのに費用は掛かったけど、買うことを考えたら全然。これだけの出費で車が手に入るんだって感動したよ」
「そりゃ良かったな」
太っ腹な話に唖然とするばかりだ。今年に入って車を購入したばかりの俺は、そもそも今の車をたった三年で乗り換えようって気にはならない。
ちなみに、俺が車を買った話は湊にしていない。そんな話をしたら絶対
『ドライブ連れてって!』
って頼まれると思ったからだ。
なるべく湊と二人っきりになる空間を作らないように心掛けていた俺は、湊が車を手に入れたことにより、その意味がなくなってしまったことを知る。
クソ……まさかドライブに連れてこられるとは思わなかった。喫茶店を出た後、素直に湊についてきてしまった俺は、駐車場に停めてある車に驚いている間に、あっさりと助手席に押し込まれてしまった。
「これからは喫茶店デートだけじゃなくて、ドライブデートもできるよ」
「デートって言うな。普通に会って話してるだけだろ」
「何言ってんの? 俺の中じゃ陽平との約束は全部デート扱いだよ。その方が毎日楽しいもん」
「~……」
ただ一緒に遊びに行くことを、デートだと思うかどうかは本人次第だとは思う。特に片想いの相手だと、二人っきりになれただけで、“デートか?”“デートみたいだ!”と浮かれたくなる気持ちはわからないでもない。俺にもそんな微笑ましい時代がなかったわけじゃないし。
だけど、俺相手にそんなことで浮かれるか? これまで散々絡んできた相手だし、今更だろ。しかも、全く脈なしの相手だぞ?
これが第三者として聞いてる話なら微笑ましくも思えるが、当事者になってしまうと薄ら寒い気分にすらなる。
「お前……そんなことばっか言ってて物悲しくはならないわけ?」
居心地悪そうに助手席に座り直した俺は、窓の外を向いたまま、素っ気ない声で言ってやった。
「別に。陽平が簡単に俺に靡いてくれないのはわかってるし、そこがまた良かったりもするしね。でも、愛情表現は自由でしょ?」
こんなにつれない素振りばかり取っているというのに、めげない奴である。一体どうしてこうなったんだか。
アイドルとしてデビューした湊は、いろんな番組にも出るようになったから、新しい出逢いというものも日々増えていっているだろう。その中には、俺なんかよりずっと湊に相応しい人間だっているだろうし、湊好みの異性だっているはずだ。それなのに、未だに俺がいいって言うのか?
「相変わらず、俺を諦める気はないんだな」
やや諦めにも近い声で尋ねれば
「うん。ないよ」
という返事。
即答してんじゃねーよ。俺の方が諦めたくなるじゃん。
「何がそんなにいいんだか……。お前も昔は普通に彼女いたことあるし、夏凛のことだって可愛いって言い出したのはお前だったじゃん」
ここで夏凛の名前を出したのは何か計算があってのことではなく、昔話の一つとしてだった。
ところが、夏凛の名前を出した途端、湊は急に面白くなさそうな顔になった。
「まさか陽平……夏凛とよりを戻して、俺に陽平を諦めさせようとか思ってる?」
「はあ? んなこと思ってねーよっ!」
司にも同じようなことを言われた俺は、「なんでそうなるの?」と聞きたい。
湊からの気持ちを持て余しているのは事実だが、だからって別れた相手とよりを戻して、湊との問題を解決させようだなんて思ってねーよ。そもそも、理由はどうあれ、一度別れてしまった相手とよりを戻す気にはなれない。
「そう。なら安心した」
「安心?」
湊の表情からして、もっとあれこれ面倒臭いことを言われるのかと思ったが、湊はあっさり笑顔に戻った。
俺が夏凛とよりを戻す気はないとわかり安心したと言うが、そもそもそこは心配するようなところなのか?
「陽平って夏凛と別れた後にすぐ養成所を移ったじゃん? 実はあの後、俺は何回か夏凛に会ったし、話もしたんだよね」
「そ……そうなんだ……」
別れた後の夏凛とは、この前再会するまでの間に一度も会っていない。別れた後の夏凛がどうなったのかを、俺は全然知らなかった。
「夏凛は陽平と別れることをすんなり承諾はしたけど、なんでダメになったのかがよくわからないみたいだったよ。だから、陽平のことが忘れられないって言ってた」
「……………………」
「もしかしたら、今も陽平のことが好きなのかもしれないよね」
「そんなことはないだろ。もう二年も経ってるんだぞ?」
初めて聞かされる話に、俺の鼓動は変に乱れた。この話、このまま聞いていてもいいものだろうか……。
「どうかな。それは夏凛に聞いてみなきゃわからないよ。だけど、俺の目から見ても、陽平と夏凛は別れそうにないって思ってたから、夏凛が陽平に振られたって話を聞かされた時、正直物凄く驚いたんだよね。なんで陽平は夏凛を振っちゃったんだろうって」
「……………………」
俺が夏凛を振った話は湊にもしていなかった。にも拘らず、俺と夏凛が再会した時、湊は俺達がもう別れていることを知っていた。
一体どこからその情報を得ていたのかと不思議だったけど、夏凛本人から聞かされていたのか。
「ま、その後俺とも連絡を断っちゃったから、なんとなく陽平の考えてることはわかったんだけどね。でも……」
車はどこに向かっているのかわからない。窓の外の景色は知らないものになっていて、明らかに街中ではない景色になっていた。
「陽平が夏凛と別れたって聞いた時、夏凛には申し訳ないけど、俺は嬉しいって思っちゃったんだよね」
「え……」
車がトンネルの中に入り、湊の声がちょっと聞こえにくかった。
でも、言ってる言葉と湊の笑顔が合っていない気がして、妙に心がざわつく感じがした。
それからトンネルを出るまでの間、車内はしばし沈黙に包まれた。
「多分その時だよ。俺が陽平を好きだって気付いたのは」
トンネルを出た瞬間、湊にそう告げられた俺は、どんな言葉を返していいのかわからなくて、ただ湊の横顔を見ていることしかできなかった。
何も返さない俺に構わず、湊は話を続ける。
「最初に夏凛を可愛いって言い出したのは俺だし、夏凛に話し掛けたのも俺だけど、陽平と夏凛が付き合い出した時、俺は特になんとも思わなかったんだよね。むしろ、あの時は“良かったじゃん”とさえ思ってた」
確かに、俺と夏凛が付き合うことになった時、湊は何も言わなかった。反対するようなことや、俺を責めるようなことは何一つ……。
「陽平と夏凛は傍から見ると気の合う仲良しカップルだったし、俺も陽平が幸せならそれでいいと思ってた。でも、それまで俺と過ごしていた時間が少しずつ減っていって、夏凛と楽しそうにしている陽平を見る機会が増えていくと、それが何となく面白くないって思い始めたんだよね」
湊の横顔は相変わらず笑顔のままだったけど、その笑顔が作りものに見えた俺は、背中のあたりがゾクッとした。
「きっと俺、夏凛に陽平を取られたのが嫌だったんだ。そのことに、陽平が夏凛と別れたって聞かされた時に気付いたんだ」
「……………………」
目のやり場に困った俺は、湊から視線を逸らせると、気持ちを落ち着かせるように窓の外を見た。
どうやら車は高速に乗ったようで、そう簡単には逃げられなくなってしまったようだ。
おいおい……一体俺をどこに連れて行く気なんだ。ただでさえ湊と二人っきりの空間に落ち着かないのに、高速なんかに乗られたら途中で「下ろせ」とも言えないじゃんか。
「俺は猛烈に後悔したね。それまでずっと傍にいたのに、その時にになって初めて陽平が好きだったんだって気付くなんて。もっと早くに気付いていれば、いくらでも気持ちを伝える術はあったのに」
「えっと……あの……」
言いたいことは色々ある……ような気がするが、何から言っていいのかわからない。
さしずめ、俺達は一体どこに向かっているのか。そして、湊が自分の気持ちに気付くのが早かったからといって、結果が変わるわけじゃないってこと……。
「すぐにでも陽平に会って話がしたいと思ったけど、陽平、俺からの連絡に全く反応してくれなかったし、事務所移って忙しいのかな? って俺も気を遣っちゃってさ。結局、陽平がデビューするまで、全然連絡取れなかったんだよね」
「それはまあ……悪かったと思ってるよ」
Zeus養成所からLightsプロモーションの養成所に移った俺は、それまでの人間関係を一度リセットするつもりでいた。それは、それまでの人間関係を捨てたかったからではなく、ある意味自分への罰みたいなものだった。
養成所を移ることを決めた俺は、今まで築いてきた人間関係に頼ることはせず、また一から一人で頑張らなきゃいけないって思ったんだ。
俺が夏凛と別れたのも、事情を話すと甘えてしまいそうだったから……。
今となっては、Abyssの先輩達とは仲良くしてるし、湊ともこうして定期的に会っている。夏凛とも再会してしまったから、あの時の決意に意味があったのかどうかが謎ではあるが。
「久し振りに陽平から連絡もらった時は嬉しかったなぁ。陽平から連絡貰えると思ってなかった俺は、何がなんでもデビューして、早く陽平と再会することばっかり考えてたんだよ。それが少し早まってくれたから、ちょっと気が抜けそうになっちゃったくらい」
「何? お前は俺に会うためにデビューしようと思ったわけ?」
「もちろん、アイドルになりたいって気持ちはあったよ? でも、陽平と再会することも俺にとっては同じくらい大事だったの」
「……………………」
そんな理由……そんな気持ちで、Zeus養成所の狭くて厳しいデビュー枠を勝ち取ったのかよ。呆れてものが言えなくなりそうだ。
湊が真面目にレッスンを頑張ってきた人間だということは知っているが、その努力の中に俺との再会が含まれていたとは知らなかった。
「ったく……お前って奴は……」
呆れる。心底呆れてしまう。でも、それほどに想ってくれていたことに関しては、申し訳ないって気持ちや、嬉しいって気持ちがないわけじゃない。
ただ、友達としてそう想って欲しかったっていう気持ちはあるけど。
「だから俺、再会した陽平相手に遠慮するつもりはないんだよね。大体、勝手に俺との連絡を断った陽平も悪いよね? 俺がどれだけ陽平に会いたかったと思ってるの?」
「いや……だから、それは……合わせる顔がないと思って……」
「俺は最初から陽平の移籍話に反対なんかしてないじゃん。頑張れって送り出した相手に対して失礼じゃない?」
「うぅ……ごもっとも……」
この件に関して責められると俺は弱い。Abyssの先輩達にも不満を零されたし。
俺がそうするべきだと思ってしたことは、“水臭い”の一言で片付けられてしまったんだっけ? 俺的には、覚悟のつもりで出した答えだったんだけど。
「とは言っても、一応は陽平の気持ちも考えて、色々我慢してあげてるんだよ? 遠慮するつもりはないけど、傷つけたくはないからね。おっと……」
俺の反応を楽しみつつハンドルを握る湊は、案内標識をチラッと見ると、左にウィンカーを出した。
どうやらパーキングエリアに入るらしい。
平日の昼過ぎでも、駐車場にはそこそこ車が停まっていた。でも、街中に比べると、パーキングエリア内にいる人間の数は圧倒的に少ない。
結構大きなパーキングエリアのようで、建物も綺麗だった。展望エリアみたいなところもあって、ちょっとしたドライブで来るのにはちょうどいいかもしれない。
「でもね、陽平」
「ん?」
建物から少し離れた場所に車を停めた湊は、サイドブレーキを掛けると、まだ助手席に深く座ったままの俺を、シートベルトを外した運転席から身を乗り出して覗き込んできた。
そして
「俺がこうなったのは全部陽平のせいだから」
そう言うなり、俺の唇にあの時以来のキスをして………こなかった。
「な……何?」
完全にキスされると思った俺は、寸止めされたキスに不覚にも取り乱されてしまった。
「キスされると思った?」
「なっ……!」
反射的に目をギュッと閉じてしまった俺は、目を開けた瞬間、意地悪そうな湊の笑顔に言われてカッとなる。
今のはそうなってもおかしくなかっただろ。
「無理矢理はしないよ。陽平を怒らせたくないし、嫌われたくないからね。でも、して良かったならするけど?」
「だ……誰がしていいって言った! 調子に乗んなっ!」
「そう? 陽平が目を閉じたからいいのかと思った」
「それはっ……キスされると思ったから反射的に……」
「キスされると思ったから、反射的に目を閉じちゃったの? かわい」
「~……」
クソ……一生の不覚だ。まさかキスされそうになるとは思わなかった俺は、シートベルトが邪魔なのもあって、すぐさま抵抗することができなかった。だから、思わず目を閉じてしまったんだ。
抵抗するより先に、目を閉じてしまった自分を見られたのが凄く恥ずかしい。
「ほんとは凄くキスしたいけどね。今こうしてすぐ目の前にいる陽平を、俺はどうこうしたくて堪らない」
「お……おい……湊?」
キスする気がないなら――して欲しくもないが――さっさと離れろよ。と言いたいが、珍しく真剣な顔でジッと見詰められると、どうしていいのかわからなくなる。
って言うか、あんま至近距離から見詰めないで欲しい。湊に友達以上の特別な感情は一切抱いていないけど、アイドルになるくらいだから、湊の顔はそれなりに整っている。湊の顔なんて見慣れてはいるけれど、こうして間近で直視するには気恥しいものもあるんだよ。
「……………………」
「あ……あの……」
「……………………」
「湊……さん?」
なんだなんだ? なんなの? この謎の見詰め合いタイム。湊は俺に何を求めてるんだ? ずっと無言で見詰められても、俺は何をどうしていいのかわかんねーよ。反応にも困る。息も詰まりそうだ。
困惑と恥ずかしさでオロオロしていると、急に湊の顔がふにゃっと崩れ
「やっぱ陽平って可愛い」
とか言う。
なんだよそれ。一気に力抜けたわ。それを言うだけのために、この狭い車内の中で長時間見詰め合う羽目になったのかよ。
「そのうち絶対堕としてみせるから。覚悟しててね」
「堕とせるものなら堕としてみろってんだ」
ようやく湊の視線から解放された俺は、ホッと肩の力を抜き、湊に倣ってシートベルトを外した。
ドアを開けて外に出た瞬間、心地いい風が頬を撫で、少し火照った顔を冷ましてくれた。
だけど、ドキドキと脈打つ鼓動はそう簡単に収まってはくれなかった。
0
お気に入りに追加
73
あなたにおすすめの小説

男子寮のベットの軋む音
なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。
そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。
ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。
女子禁制の禁断の場所。


ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる