僕らの恋愛経過記録

藤宮りつか

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Season 2

    3Days(4)

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「それじゃ、二人は相変わらず進展がないままなの? もったいないね」
「まあ……その気がない相手に無理強いはしたくないですし。律と付き合うってなった時、ある程度の覚悟はしてましたから。律が大人になってくれるのを待ちます」
「そんな風に言われると、僕が完全に子供みたいな感じだ。確かに子供なのかもしれないけど」
「律はほんとに海と何もしたくないの? エッチなこととか」
「そう言われても……。僕は元々恋愛に興味がないし、海と付き合うようになって、そういう欲からは益々遠のいたっていうか、考えなくなってしまったので」
「男同士でも凄く気持ちいいよ? 俺も、最初は絶対痛いとか、無理なんじゃないかと思ったけど」
「怖くなかったんですか? その……初めてスる時」
「朔夜さんの時は怖いと思ったから無理だったけど、司の時は全然。司も凄く優しくしてくれたし。むしろ、好きな人と一つになれるのが嬉しかった」
「そ……そうですか……」
 熱めのお風呂を入れ直し、やっぱり三人で湯船に浸かることになった僕達は、何故か恋バナに花を咲かせることになっていた。
 僕はここで初めて知ったんだけど、悠那さんと朔夜さんって一体どこまでシたの? セックスする手前までは行ったってこと? 天下のAbyss相手に恐ろしすぎるんだけど。
 でもって、朔夜さんもそんな悠那さんをよくドラマの共演者に指名したな。そこの関係どうなってるの? 僕にはちょっと理解できないんだけど。
「俺のイメージでは、海も凄く優しくしてくれそうだよ? 律も安心して身を任せてみればいいのに」
「なんで僕がされる側なんですか? まだそうとは決まってないのに」
「え? だって、どう見たってそうでしょ? ねぇ? 海」
「僕はそのつもりだったんですけど……。律は違うの?」
「~……」
 一応男である以上、そこは簡単に譲りたくない。と思いたいところではあるけれど、実際、僕が海にそういうことをする姿は全く想像できなかった。海に初めて男同士でセックスできるって聞いた時も、瞬間的に自分がされる側だと思ってしまったし。
 だから、ただ言ってみただけである。最後の悪足掻きみたいなものだ。
「せめて恋人同士のチューくらいはしてみなよ。夏休みの間に」
「夏休みって、そういうためにあるものじゃないですよね?」
「じゃあいつになったらスるの? 俺、二人を見てるとたまに凄く焦れったい」
「悠那さんは展開早過ぎなんです。節操ってものはないんですか?」
「節操くらいあるもん。誰でもいいわけじゃないもん」
 確かに、大ファンだと豪語する朔夜さんを拒んだわけだから、最低限の節操は持っているのかもしれない。
 でも、あくまでセックスしなかったってだけの話で、それ以外はシたってことなんだよね? それって節操があることになるのかな。司さんと付き合う前の話だから、浮気とかではないけれど。
「悠那君は司さんとスる時、どんな風に感じてるんですか? 精神的な面で」
 僕と違って同性間での性交に興味津々な海は、これを機会に色々聞いてみたいらしい。
 まあ……僕も参考程度には聞いてみようと思う。
「とにかく、司と一緒ってことが一番嬉しい。気持ち良くなるのも一緒だし、同じ時間を一つになって過ごしてるって思えるのも凄く幸せ。司を自分の中に感じられるのも嬉しいし、司が優しくしてくれる度、胸がキュンキュンしちゃってヤバいくらい」
 本当に幸せそうな顔で言う悠那さんに、僕は素直に感心した。
 ふーん……そんな風に思うんだ。そう思える悠那さんってちょっと可愛いかも。
 だって、本当に司さんが大好きなんだってわかるし、司さんのことが大好きだから、あんな風に司さんにくっ付いたり、甘えたりしてるってことなんだから。
 それに比べたら、僕は恋人の海にさえも塩対応な時があって可愛くないよな。
 そこは僕自身の性格もあるし、僕と悠那さんは対照的と言っていいほど違うから、仕方ないのかもしれないけど。
「どれくらいの間隔でシたいと思うものですか?」
「付き合い始めたばっかりだからかもしれないけど、今は毎日でもシたい」
「ま……毎日ですか?」
「うん。俺、性欲は結構強いみたい。気持ちいいの大好き。好きな人とイチャイチャするのも大好き」
 ここまでハッキリ自分の欲望を口にできるのも凄い。悠那さんって本当に素直だ。
 でも、悠那さんは司さんと付き合う前から、司さんとエッチなことをするのが好きだったみたいだから、付き合い始めたら“セックスしたい!”って思うのは、極々自然なことなのかもしれない。
「律と海って仲はいいけど、あんまりイチャイチャしないよね? 律はイチャイチャするのも苦手なの?」
 しばらくは聞き手に回っていようと思ったのに。急に悠那さんから話を振られ、ギクッとなってしまった。
「イチャイチャは……苦手だと思います。どうしても恥ずかしくなってしまうので。海にギュってされるのは好きなんだと思いますけど」
「可愛い~っ! 良かったね、海。ギュってされるのは好きだって」
「今度からいっぱいギュってします」
「しなくていいよっ! 恥ずかしいからっ!」
 たまにギュってされるのも恥ずかしいのに。これがきっかけで、しょっちゅう抱き締められたりなんかしたら堪らない。たまにしてくれるからいいんだ。
「でも、律もちゃんと海のことは好きなんだね。時々海にも塩対応だから、ちょっと心配になっちゃうよ」
「好きだから付き合ってるんです。塩対応になるのは僕の性格というか……照れ隠しみたいなものです」
「こういう子なんです。そこが僕には可愛くもあるんですけどね」
「ラブラブはラブラブなのにね」
 入浴剤を入れたお風呂は気持ち良かった。身体もじんわり温まって、気持ち的にも凄くリラックスしているからか、普段は口にしないようなことも喋ってしまった気がする。
 これが、裸の付き合いの魔法なのだろうか。普段はしない会話をして、僕達の関係が少し親密になった気がする。
「ねえ。三人で背中の流しっこしよ。銭湯とかでやるやつ」
「いいですよ」
 かれこれ一時間以上、三人一緒にお風呂場で過ごしている僕は
(今更恥ずかしがることなんかないよね)
 という気持ちにさえなっていた。





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