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Season 2
ご奉仕したら初エッチ⁈(5)
しおりを挟む「ん……」
気付いたら朝だった。
朝といってもまだ早いみたいで、部屋の中はシンと静まり返っていた。
枕元の時計に目をやると午前5時を回ったところ。
目を擦りながら頭の上を見上げると、あどけない寝顔の司がいた。
そうだ。俺、昨日はついに司と初エッチしちゃったんだ。
昨日のことを思い出すと恥ずかしく思う反面、物凄く幸せにも思えてきちゃう。
俺が司に口でご奉仕したら、司がその気になってくれて……。俺をいっぱい気持ち良くしてくれたんだよね。
俺のこと、凄く気遣いながらしてくれたおかげで全然痛くなかったし。俺、凄く満たされちゃった。
「司……大好き」
寝ている司にぎゅって抱き付くと、司の眉毛がピクッて動いた。
起こしちゃったかな。
うっすら目を開けた司は俺を見下ろしてくると
「おはよ。悠那」
とびっきり優しい笑顔で微笑んでくれた。
その笑顔だけで俺はもう蕩けちゃいそうになる。
「あのまま寝ちゃったね。悠那、身体は大丈夫?」
「うん」
目が覚めても、司は真っ先に俺の身体を心配してくれた。
昨日司とエッチして一緒に気持ち良くなった俺は、司にいっぱい奥を突かれて射精した後、感じすぎて疲れちゃったのか、そのまま気を失うように眠ってしまったらしい。
今のところ、身体はどこも痛くないけど、まだ司が中にいるような感じはちょっとする。
「お風呂入らなきゃだね。一緒に入る?」
「うん」
司もあのまま寝ちゃったみたいで、俺と司は素っ裸のまま、抱き合って寝ていた様子。
司はベッドから抜け出すと、まだ誰も起きていないのをいいことに、素っ裸のまま浴室に向かい、追い焚きボタンを押して戻ってきた。
そして
「悠那。大好き」
まだベッドの上にいる俺の唇に、ちゅっ、ってキスをしてくれた。
念願の初エッチをした俺と司は、前にも増して朝からラブラブモード全開である。
司と一緒にお風呂に入った後は、早起きしたついでにみんなの朝御飯を作ってあげた。もちろん、司と一緒に。
6時を回るとみんな起きてきたわけだけど……。
「あー……久し振りに床で寝たわ。身体いてー……」
「僕もですよ。だから、みんなで一緒にベッドで寝ようって言ったのに」
「一人用のシングルベッドで三人一緒に寝られるかよ。暑苦しい」
「僕は別に床でも良かったんですが……。なんかすみません」
陽平、律、海の三人が、陽平の部屋から揃って出てきたのにはちょっとびっくりしてしまう。
部屋から出てきた三人は、俺と司の顔を見るなり
「はぁぁぁぁ~……」
三人揃って盛大な溜息を落としたりする。
何それ。非常に感じがよろしくないんだけど。
「何?」
ムッとした顔になって陽平を睨むと
「お前さぁ……あの時の声デカすぎ」
と返された。
「っ……!」
俺の顔が瞬時にカッと熱くなる。
あの時の声って……もしかして……。
「俺の部屋まで聞こえてきたんだけど? もう、どんだけ喘ぐんだよ。焦ったわ」
「~……」
しまった……。あんまりにも気持ち良すぎて、声抑えるとか全然考えてなかった。俺、そんなに声大きかった?
いや……大きかったよ。大きかったと思う。あんな大きな声であんあん言っちゃったら、そりゃみんなに丸聞こえだよね。恥ずかしい。
「えー……聞いたの?」
みんなの席にサラダを置きながら、司が面白くなさそうな顔をする。
「聞いたんじゃなくて聞こえたの。おかげで俺達、必死になって古今東西ゲームとか始めたわ。なんでこの歳にもなって必死に古今東西ゲームとかやんなきゃいけないわけ? ありえないんだけど」
「うぅ……」
陽平はドカッと椅子に腰を下ろすと、司が淹れた牛乳を一気飲みした。
なるほど。それでみんな陽平の部屋にいたわけか。
俺と司がエッチなことを始めると、律と海が陽平の部屋に避難するって話は聞いていたけど。昨日は避難するだけじゃダメだったみたい。
「やっぱあれだな。防音グッズ必要だな。さしずめ耳栓でも買うか。百均にも売ってるし」
「そうですね。とうとうセックスしちゃったみたいですから。これからもあの声を聞かされると思うと、自分の身を守るためにも必要ですよね」
「全く。共同生活してる自覚が無さ過ぎるんですよね。お二人は」
口々に非難してくる三人に、返す言葉もなかった。
司と恋人同士になって、エッチしたのは凄く嬉しいし幸せなんだけど、もうちょっと周りに気を遣わなきゃいけないってことを知った。
「ごめんなさい……」
しゅんとして謝ると
「今度からは気を遣えよ」
陽平はフンッ、って鼻を鳴らしながらそう言って
「でも、良かったですね。悠那君、ずっと司さんにシて欲しいって言ってたから」
海は慰めるように言ってくれた。
唯一律だけが
「バレないようにしてくれれば問題ないとは思うんですけどね」
やや不服そうに言ったけど、俺と司がエッチなことをすること自体は反対してこなかった。
なんだかんだとうちのメンバーはみんな優しい。
でも、喘ぎ声を聞かれちゃったのは恥ずかしいから、今度からは気を付けようって思う。あの時の声をどうやって抑えればいいのかはわからないけど。
だって、自然に出ちゃうんだもん。俺、気持ち良くなっちゃうとすぐ理性とか飛んでっちゃうし。気を付けようと思ってもなかなか気を付けられないんだよね。
朝御飯を食べ終わり、夏休み中は積極的に家事に参加している優等生の律が、ベランダで洗濯物を干している後ろ姿を眺めていた俺は
「なっ……なんですかぁぁぁぁ~っ⁈」
突然悲鳴に近い叫び声を上げる律に驚いて、慌ててベランダに出てみると……。
「あ……」
今朝、司が普通に洗濯機の中に放り込んでしまった女の子用の紐パンを手にした律に、どうしようもなく申し訳ない気持ちになってしまったのである。
恋人とイチャイチャするのはいいけれど、気を遣わなきゃいけないことっていっぱいあるんだな。
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