僕らの恋愛経過記録

藤宮りつか

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Season 2

    ご奉仕したら初エッチ⁈(2)

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「ただいまぁ~」
「おかえり。どうだった? って、何? その袋」
「今日着た衣装。監督さんが記念にどうぞって」
「ふーん」
「後で着てあげようか?」
「え? いや、それは…………うん」
 家に帰ると、心配してくれていたのか、司は玄関まで来て俺を出迎えてくれた。
 休みの日の司はちょっとだらしないっていうか……ダサい風? たまに冴えない黒縁眼鏡とかかけてるし。
 でも、そのちょいダサな感じがまた可愛いんだよね。無防備っていうか、ちょっと幼いっていうか。一緒に住んでなきゃ絶対見られない姿って感じで。
「朔夜さんには何もされなかった?」
「もー。なんの心配してるの? されないよ。俺、今は司の恋人なんだから。たとえ朔夜さん相手でも流されないもん」
「そっか。そうだね。ごめん」
「スカートは捲られたけど」
「されてんじゃんっ!」
「でも、ちゃんと反撃したよ? グーで殴ったもん」
「……ならいい」
 靴を脱ぎ、廊下に上る前に司にちゅっ、ってキスすると、司と手を繋いでリビングに向かった。
「おかえりなさい」
「結構時間が掛かるんですね。ドラマの撮影って」
「どうだった? 初ドラマ撮影」
 リビングに入ると陽平、りつかいの三人が迎えてくれた。
 今日はみんなで来週行う初のファンクラブイベントの準備をしていたみたいで、テーブルの上にはいろんなものが広がっていた。
「楽しかったよ。みんないい人だったし。良かったって褒めてもらえたし」
 準備を一緒にできなかったのはちょっと残念。でも、他にもやることはいっぱいあるから、これからはしっかり参加しようと思う。
「結局なんの役なの? 教えてくれないけど」
「そ……それは……見てからのお楽しみだよっ」
 陽平に聞かれて誤魔化した。俺がメイド役をやる話はマネージャーと司しか知らない。他のメンバーには言わないでって頼んでおいた。
 だって、恥ずかしいじゃん。メイド役なんて。実際恥ずかしかったし。
「司は知ってんだろ? 教えろよ」
「えー……ダメ。言わない」
 どうしても気になるらしい陽平は司にも聞いたけど、司もちゃんと黙っててくれるみたい。好き。
「悠那も帰ってきたし、飯にするか」
「テーブルの上片付けますね」
「俺、着替えてくるね」
 俺は部屋に戻ると、楽な部屋着に着替えようとした。
 メイド服の入った紙袋を部屋の隅に置き、ズボンを脱ごうとした俺は
「悠那」
 俺の少し後に部屋に入ってきた司にビクッとしてしまった。
「ん? どうしたの?」
「ぅ……ううん。なんでもないよ。何?」
 いつもなら司の視線なんか気にせずに着替えちゃうところだけど、今日はちょっとそういうわけにもいかなくて。
 だって、俺が今穿いてるパンツ紐パンなんだもん。それも、どうやら女の子用らしい。さすがにそんなパンツを穿いている姿を司に見られたくない。変態かと思われちゃう。
 撮影が終わって衣装も着替えたけど、一回穿いてしまった女の子用のパンツを脱いで持ち歩く勇気はなかった。もし、俺が女の子用のパンツ……それも紐パンを持ち歩いてるなんてことがバレたら、それこそ変態扱いされちゃうもん。
 だから、パンツだけはそのまま穿いて帰って来ちゃったんだよね。
 穿いて帰って来たはいいけど、このパンツどうしよう。家の中にあったらあったで、おかしい代物だよね。
「特に用はなかったんだけど……。悠那の傍にいたいなって」
 くぅっ! 俺の彼氏超可愛いっ! 俺とちょっと一緒にいられなかっただけで、俺の傍にいたいとか言ってくる。もうほんとラブラブじゃん。俺達。
「俺も。ずっと司の傍にいたいよ」
 着替えるのはやめにして、司にぎゅぅって抱き付きにいった。司とこうして触れ合うだけで、頭の中は司でいっぱいになっちゃう。
 誰かを好きになると、好きって気持ちがどんどん溢れてくるものなんだな。ほんと……大好き。
「悠……」
「おいこら。急にいなくなったと思ったら何やってんだ。手伝え」
「あ……」
 あっという間にラブラブモードに突入し、今から恋人同士のキスでも堪能しようというところに、陽平が勢い良くドアを開けて入って来ると、司の首根っこを掴んで部屋から引き摺り出していった。
「悠那も早く着替えて出てこいよ」
「はーい……」
 もうちょっと司とくっ付いていたかったのにな。
 でも、司と一緒だといつまでたっても着替えられなかったから、今回は邪魔されて良かった……のかな?
 ようやくリラックスできる服に着替えた俺は、部屋の電気を消し、リビングに出ていった。





「どう?」
 夕飯が終わり、みんなで少しテレビを見てから部屋に戻ってきた俺は、一度司に部屋の外で待ってもらい、袋の中から取り出したメイド服を着てみせた。
 メイド服姿の俺を見た司は、一瞬言葉を失ってしまったみたいだけど
「想像以上に似合ってて可愛い」
 ふにゃっとした笑顔になって笑い、俺を抱き締めてきてくれた。
 そして
「でも、こんな可愛い姿の悠那をみんなに見られちゃうのは嫌だな。朔夜さんに見られたのも嫌」
 なんて。可愛いヤキモチなんかも焼いてくれた。
 彼氏モードの司って可愛い。すぐヤキモチ焼いてくれる。
「それにしても、ちょっとスカート短すぎない? パンツ見えそうじゃん」
「確かに見た目はそうだけど、中にひらひらがいっぱい付いてるから、意外と見えそうで見えないんだよ」
「ふーん……」
「あっ! こらっ! お触り禁止っ!」
 スカートの中が気になる司は、朔夜さんと同じようにスカートを捲ろうとしてきた。
 スカートの中を見られたくない俺は、スカートに伸びてくる司の手をペチンと叩いた。
 メイド服のスカートを捲るのは男のロマンか何か?
「ケチ。朔夜さんには見せた癖に」
「見せたんじゃないもん。見られたんだもん」
 俺に叩かれた手を摩りながら、司が恨めしそうに言ってくる。
 これがいつものパンツを穿いているなら、少々見られても良かったんだけどね。
 いくら女の子が着る可愛いメイド服を着ているからといって、パンツまで女の子用のものを穿いてるところなんて見られたくないよ。たとえ相手が恋人だとしても。
 着替えるついでにパンツも穿き替えようかと思ったけど、脱いだ後のパンツをどうしていいかわからず、そのまま穿き続けている俺だった。
「それで? 俺の可愛いメイドさんは、俺に何をしてくれるの?」
 急に優しい目になって見詰められちゃうと、俺の胸はきゅぅんって切なそうな音を立てた。
『ご奉仕してみなよ。まだしてあげたことないんでしょ? 悠那の可愛いお口でされたら、さすがに司も理性崩壊するでしょ』
 朔夜さんに言われた言葉を思い出し、喉の奥がゴクンッ、って鳴る。
(ご奉仕……)
 何もこんな格好をしてる時にシなくても……と思う反面、こんな格好をしてる時だからこそ……と思わなくもない。
 司に「何してくれるの?」なんて聞かれたら、朔夜さんにそんなアドバイスをもらった俺は、そのことしか思いつかなかった。
「司……こっち来て……」
 自分が今からしようとしていることを考えると、心臓がドキドキしちゃうし、物凄く緊張もする。第一、ご奉仕とか言われても、俺はまだ一度も口でなんかシたことないわけだし。上手くできるかどうかなんてわからない。
 司の手を引きベッドに連れて行くと、司の身体をベッドの上に押し倒した。
「悠那?」
 一体何が始まるのかわからない顔の司。
 俺は司の足の間に膝をついて座ると
「ご奉仕……してあげる……」
 司のズボンを引き下ろし、まだ眠っている司をパンツの中から取り出して、そっと手を添えた。
 緊張で少し手が震えちゃってるけど、手の中に握った司の先端にちゅっ、ってキスをしてから、俺は司を口の中に咥え込んだ。


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