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Season 1
第11話 我儘な君の誕生日
しおりを挟む忘れていたわけじゃないんだけど……。いや、正直に言うとすっかり忘れてしまっていた。悠那の誕生日。
だってしょうがないじゃん。俺達はまだ出会って一年も経っていないから、メンバーの誕生日をちゃんと覚えられていない。一回祝ってあげれば記憶にも残るし、ちゃんと覚えられるとも思うんだけど。
ただ、悠那はああいう性格だから、5月に入った途端、今月は自分の誕生日アピールをしっかりしていたわけで……。にも拘らず、忘れていたのは少々不味い。陽平に言われなかったら手ぶらで悠那の誕生日を祝うことになっていた。
ありすさんの誕生日プレゼントも悩むけど、悠那の誕生日プレゼントも悩むところだ。悠那ってどんなものを貰ったら喜ぶんだろう。
ちなみに、俺の誕生日には悠那からパーカーを貰った。デビュー前でレッスン続きの毎日だったから、レッスンの時に着るのにちょうどいいだろうってことだった。
もちろん嬉しかったし今も着ている。
メンバーとの共同生活が始まった8月が誕生月だった陽平のプレゼントは当日渡せなかった。だって、陽平の誕生日を知ったのは誕生日当日だったから。後日それぞれがプレゼントを買いに行き、俺も三日遅れで陽平にプレゼントを渡した。陽平はそれでも喜んでくれたけど、悠那はそういうわけにはいかないよな。
陽平の誕生日を皮切りに、律、俺、海の誕生日があり、そして今回が悠那だ。
陽平の誕生日を祝えなかったから、それ以降のメンバーの誕生日はちゃんとみんなで祝おうって話になり、メンバーの誕生日を忘れないよう、みんなが見るカレンダーに印をつけたりもした。それなのに忘れた。
陽平はもう買っているらしい。律と海にもこっそり聞けば、二人共今日の学校帰りに買ってきたとのこと。
俺だけが買ってない。これは不味い。どうしよう……。
今日はオフだっから買いに行こうと思えば買いに行けたわけだけど、明日に迫った悠那の誕生日プレゼントに何を買えばいいのかが本当にわからなくて、俺は家から出ることさえできなかった。
こうなったらもう――。
「悠那が今欲しいものって何?」
もう直接本人に聞くしかない。本人に聞いて、望み通りのプレゼントを買ってやるしかない。少々値が張っても構わない。
「え……」
悠那と二人っきりになった部屋でダイレクトに聞くと、悠那はきょとんとした顔になり、それから急にムッとした顔になる。
「何? もしかして司、俺の誕生日忘れてたの?」
早速疑うじゃん。そりゃまあ、誕生日の前日にこんな質問をしたらプレゼントを買っていないことがバレバレで、俺が悠那の誕生日を忘れていたと疑われるのは目に見えていたけれど。
「忘れてたわけじゃないよ。プレゼントは何がいいかってずっと考えてたんだけど結局わからなくて。せっかくだから悠那が欲しいものを買ってあげようと思って」
嘘である。欲しいものを買ってあげようと思っているのは事実でも、忘れていなかったというのは嘘である。
でも、これは相手を傷つけないための必要な嘘なんだ。許して。
俺の言葉をすんなり信じたらしい悠那は
「欲しいものって……言ったらなんでも買ってくれるの?」
今度はパッと明るい顔になる。
チョロい。こんなチョロくて大丈夫か? この子。
「うん。なんでもいいよ。何がいい?」
欲しいものをなんでも買ってあげると言われた途端、あっさり喜んでしまう悠那のチョロさは心配になるけど、俺が悠那の誕生日を忘れていたことがバレなければそれでいい。
「んー……いくつかあるんだけど……」
「さすがに一つにしてね?」
そこまで図々しくはないと思うけど念のため。
「わかってるよ」
悠那はしばらく真剣な顔になって悩んだ挙げ句
「司……」
「え?」
「……と同じくらいおっきなぬいぐるみっ!」
と言った。
「ああ……ぬいぐるみね」
なんだ。ぬいぐるみか。びっくりした。…………って、は? ぬいぐるみ?
「え? ぬいぐるみ? ぬいぐるみがいいの?」
「うん」
「俺くらいの大きさって言ったら……人体模型とか?」
「ぬいぐるみって言ってるじゃん。馬鹿なの?」
「う……」
改めて確認する俺に悠那は辛辣な一言を浴びせてきた。
ぬいぐるみか……聞いて正解だった。絶対チョイスしなかったもんな。
でも、そんな大きなぬいぐるみを欲しがるってどういうことなの? ちょっとよくわからないんだけど。
「寝る時に抱っこしやすいやつがいい。やっぱり俺、寝る時は何かにぎゅぅ~ってしたいんだよね」
「へー……ふーん……」
何それ。可愛いかよ。ただでさえもこもこなパジャマを着た悠那がぬいぐるみみたいになってるのに、更にもこもこなぬいぐるみと戯れるつもり? どういう絵面だよ。想像しただけで可愛いが溢れてるじゃん。
「一言で“ぬいぐるみ”って言われてもいっぱいあるよね? どんなのがいいの? 何のぬいぐるみ?」
「可愛いのがいい。でも、おっきいぬいぐるみっていったらやっぱりくまかな?」
「くまね。わかった」
「ほんとに買ってくれるの?」
「うん」
「やったぁ~!」
一体何を強請られるのかと思ったけどくまのぬいぐるみときたか。可愛いが過ぎる。
そうと決まれば早速明日買いに行こう。明日は仕事前にありすさんのプレゼントを買いに行く予定だったから、その足で悠那のプレゼントも買いに行けばいい。
くまのぬいぐるみなんてどこに買いにいけばいいのかわからないけど。
そして迎えた5月13日。悠那の誕生日当日。
俺はマネージャーに早めに迎えに来てもらい、まずはありすさんへのプレゼントを購入した。
結局、入浴剤、ボディーソープ、ボディークリームのセットにした。お店や種類、匂いなんかは全部マネージャーに決めてもらった。
何故なら、ほぼ女性しかいない店内に入るのは気が引けたし、マネージャーも俺を店に入れたがらなかったからだ。
でも、次に行ったテディーベア専門店には俺も顔を隠して入店した。
ありすさんのプレゼントはともかく、悠那のプレゼントは自分で選んでやりたかった。うっかり誕生日を忘れてしまっていた罪悪感もあるし。
「この子とこの子だとどっちが可愛いですか?」
「どっちも可愛いけど……悠那君が持ってて可愛いのはこっちかな?」
「じゃあこれに……」
「待って! あっちの方が可愛いかもっ!」
こっちは思いの外時間が掛かった。ぬいぐるみの違いがよくわからない俺も大いに迷ったけど、女性であるマネージャーもぬいぐるみ選びには熱心だった。
うちのマネージャーはタレント想いのいいマネージャーなのだ。
顔、サイズ、抱き心地、肌触りを吟味し、この子が一番! を決めるのに一時間近く掛った。サイズも俺と同じくらい……俺よりちょっと大きい特大サイズだ。これなら悠那も満足するだろう。
万が一を考えて、かなり早めに家を出ていたおかげで、収録時間ギリギリにはならなかったものの、ありすさんよりはスタジオ入りが遅くなってしまった。
今日は許して欲しい。
「おはよう! 司君!」
「おはようございます」
何も知らないありすさんは、いつもと変わらない元気な挨拶をしてきてくれた。
プレゼントは買ってきたけどサプライズっていつするんだろう。多分、収録が終わった後、スタッフが合図を出してくれるんだろうけど。
俺がちらりと監督を見ると、監督は俺に向かって親指を立ててサインをしてくれたけど、それが何を意味するサインなのかは全くわからなかった。
「もう……最悪……」
時計の針は夜の10時を回ろうとしていた。
「ごめんねー。私もちょっとディレクターやありすちゃんのマネージャーさんに捕まっちゃって……。まさかこんな時間まで付き合わされるなんて思ってなかった。悠那君怒ってないかな」
収録終了後。一度スタジオ内の照明が消えて真っ暗になってから、バースデーソングと一緒に誕生日ケーキが運ばれてきた時は定番なサプライズだと思った。驚いた様子のありすさんがケーキの上の蝋燭を吹き消し、明かりが点いたところで俺がマネージャーに預けておいたプレゼントをありすさんに手渡し……ってところまでは良かった。
まさかその後
『じゃ、今からみんなでありすちゃんの誕生日パーティーに行こうか』
なんて監督が言い出すとは思っていなかったんだよね。
誕生日パーティーって何? 聞いてないんだけど?
これは断ってもいいのか? と思ったけど、この後の俺のスケジュールは確認済みだったらしく断るに断れない状況。こういう付き合いも大事だとよく言われるし、少しだけなら付き合うことにした。
収録が終わったのは夕方だったから、遅くても8時までには家に帰れるだろうと思ったのに。
「俺、今度からこういうのはちょっと……。飲み会とか苦手かも」
まだ二十歳になっていない俺は当然お酒なんて飲んでいないけど、三日前に誕生日を迎えたありすさんは二十歳になっていた。飲酒が解禁になったありすさんは当然飲んだ。飲んで、酔っぱらって、俺に物凄く絡んできた。
それまで、ありすさんは元気で可愛らしい女の子ってイメージが強かったけど、酔って俺にしな垂れ掛ってくるありすさんの姿は可愛いらしいアイドルではなく、男を誘うテクニックを持っていそうな女性に見えた。ボディータッチは激しいし、媚びた上目遣いもしてくるし、なんなら胸まで押し付けてくる勢い。
(お酒ってここまで人を変えるものなんだ……)
そう思った。
時計の針が気になってしょうがない俺が解放されたのが9時半過ぎ。そこから急いでマネージャーの運転する車に乗り込み、現在に至る。
飲み会の席でメンバーから何度か連絡が入ったけど、悠那からの着信は一度もなかった。
これ、絶対怒ってるか拗ねてるかのパターンじゃん。
一応、朝のうちに「誕生日おめでとう」とは言ってあるけど、悠那としては誕生日を祝って欲しいと思っていたに違いない。夕飯までに帰ってやれなかったのは悔やまれるけど、俺も好きでこんな時間になったわけじゃない。
「お待たせっ! まだ11時前だからなんとかなるっ!」
「ありがとうございますっ!」
車がマンションの駐車場に着くと、俺は大きなくまのぬいぐるみが入った包みを抱えて車から飛び降りた。
そのまま駐車場のエレベーターから階を昇り、急ぎ足で俺達の住む部屋に向かった。
「ただいまっ!」
玄関を開けてリビングに飛び込むと、俺の帰りを待ってくれていたらしい陽平、律、海の姿はあったけど、悠那の姿はなかった。
「遅いぞ」
「何やってたんですか?」
「悠那君、拗ねちゃいましたよ?」
「ああ……」
やっぱり……。
「なんですか? その大きい包み」
「そんなに大きいものがプレゼントなんですか?」
「ってか、デカすぎてウケるんだけど。お前、何買ってきたの?」
ぬいぐるみだよ。と言いたいけど、今はそれどころじゃない。
「悠那は? 部屋だよね?」
「ふて寝するって言ってたから、今頃寝てるかもしれないです」
相当怒っているらしい。メンバーにふて寝宣言をするくらいには。
ふて寝するってなんだよ。ちゃんと今日中には帰ってきたんだから待っててくれてもいいじゃん。
「とりあえず、悠那のところに行ってくる」
「頑張れ」
「ファイト」
「頑張ってください」
がっくりと項垂れて部屋に向かう俺の背中に、三人からのエールが送られた。
部屋のドアを開けると電気は点いていなくて真っ暗だった。そして、こんもりと膨らんでいる悠那のベッド。
まさか本当に寝てたりしないよな?
前は「早く寝ろ」って言っても、夜更かしばっかりしていた悠那だけど、デビューしてからはあまり夜更かしをしなくなった。0時前に寝てしまうこともしょっちゅうあるから、今布団に包まっている悠那が起きているのか寝ているのかは定かではない。
(さて……どうしたものか……)
普通に声を掛けても、最悪無視される可能性がある。
考えた末、俺は静かに包みを開き、くまのぬいぐるみを取り出すと寝ている(?)悠那の真横にくまの顔をセットして、自分はその後ろに姿を隠した。
「悠那君、悠那君。起きてよ。司が帰ってきたよ?」
恥を忍んで裏声なんかを使ってみる。
俺、ここまでしなきゃいけない? そんなに悪いことした?
「悠那君ってば」
俺はどこまで悠那に尽くすんだ。と、我ながら疑問に思いつつ、くまの手を動かし、悠那の身体をポンポンと叩くと、布団の中の悠那が動く気配がした。
「司も反省してるよ? 遅くなってごめんなさいって言ってるよ?」
懸命にくまのぬいぐるみのフリをする俺は、そろそろ悠那に機嫌を直してもらわないと限界だと感じていた。
「……何やってんの? 遅いよ」
ベッドの上から身体を起こした悠那が、ぬいぐるみの後ろに隠れている俺に直接言ってきた。
「ごめん」
ようやく自分の声に戻れた俺は、まだ不機嫌な悠那に向かって素直に謝る。
悠那は布団の中から抜け出すと、部屋の電気を点け、ぬいぐるみの後ろに隠れたままの俺と向かい合って座った。
俺と悠那の間に挟まれたぬいぐるみの存在感が凄い。
ぬいぐるみを挟んで向かい会う俺と悠那。悠那はぬいぐるみの奥にいる俺をジーッと見詰めていたけれど、小さく溜息を零すと
「今日はみんなで一緒にご飯食べたかったのに……」
拗ねた声でぽそっと呟いた。
その一言が俺の胸に突き刺さる。どうしようもなく罪悪感を感じてしまう。
これまでメンバーの誕生日を祝うのに誰かが欠けていたことなんてなかった。
仕事だったからしょうがない。と言ってしまえばそれまでなのかもしれないけど、今回の場合、仕事というよりは付き合いだったわけだし。もう少し早く帰ろうと思えば帰れたとも思う。
「ほんとごめん」
下手に言い訳するよりも謝り倒すしかないと判断した俺は、誠心誠意込めて謝罪する。
しかし、悠那も悠那で俺が好きで遅くなったわけじゃないことはわかっているみたいだから
「まあ……しょうがないよね。こんな可愛い子買ってきてくれたから許してあげる」
ぬいぐるみの後ろでしょんぼりしている俺が可哀想になったのか、わりとすぐに許してくれた。
どうやら俺が選んだプレゼントは気に入ってくれたみたいだ。良かった。
「ほんとにおっきいの買ってきてくれたんだ」
「だって、悠那が言ったんじゃん。俺くらい大きいのがいいって」
「言ったけど……司のことだから、持って帰るのが面倒臭いって、もうちょっと小さいのを買ってくるかと思ってた」
包みは開けてしまったけど、悠那にプレゼントのぬいぐるみを差し出すと、悠那も両手を伸ばして受け取った。
「わー、ふわふわでもこもこ。顔も可愛いし、抱き心地も最高。ありがと、司」
「どういたしまして」
俺から受け取ったプレゼントを抱き締める悠那の顔は本当に嬉しそうで、こんなに喜んでもらえたなら、悩んだ甲斐もあったと安心する。
ちなみに、ありすさんも俺からのプレゼントに喜んでくれたけど、自分で選んだわけじゃないせいか、どちらかといえば申し訳ない気持ちの方が大きかった。喜んでくれたことには安心したけど。
「でも、これから暑くなるのに、そんなの抱いて寝たら余計に暑くない?」
「大丈夫。布団の代わりにこの子抱っこする。それに、エアコンつけて寝れば暑くないもん」
抱っことか言うなよ。可愛いな。
まあ、充分布団の代わりにはなるよな。悠那より全然大きいし。
「名前もつけてあげなきゃ。呼びやすいのがいいから…………くま吉にする」
名前までつけるらしい。
「今日からよろしくね。くま吉」
でもって、挨拶とかもするらしい……。
いい加減にしろ。さっきから可愛いが過ぎる。なんでそんな可愛いことしてんの? 思わず胸キュンしちゃうじゃん。
大体、拗ねてた理由も理由だよ。みんなで一緒にご飯食べたかったとかさぁ……。何その理由。ほんと可愛い。
本人はそのつもりがないんだろうが、俺にとっては頗る可愛い姿を晒し放題な悠那に、俺は怒っていいのか喜んでいいのかわからない。複雑な気分だ。
でも、なんだろう……。悠那のことをもっと大事にしてあげたいなって……ちょっと思ったりもする。
悠那の機嫌が直るのを見計らっていたのか、いきなり部屋の電気が消えると、陽平、律、海の三人がバースデーソングを歌いながらケーキを持って部屋に入ってきた。
「お前が帰って来るまで、ケーキだけは取っといたんだ」
悠那が蝋燭の火を吹き消し、海が部屋の電気を点ける中、陽平が俺の耳元でこっそりそう言った。
その心遣いに感謝する。おかげで悠那の誕生日をちゃんと祝ってあげた気分になれた。
「わーっ! 凄く大きなテディーベアですねっ! 可愛いっ!」
「くま吉だよ」
「くま吉……渋い名前ですね」
「そう? くま吉って顔してると思うよ?」
「でしょ?」
「そうかなぁ……」
部屋が明るくなると、その存在感を惜しみなく放つくま吉に早速律と海が気付き、悠那も嬉しそうに紹介している。
くま吉の周りに集まる高校生達を微笑ましく眺める俺と陽平。
「まさか中身がぬいぐるみだったとは」
「悠那の希望だから」
「お前、ほんとに悠那に甘いな」
「自分でもつくづくそう思う」
律と海に愛らしい笑顔を振り撒く悠那を眺める俺は、悠那に対してこれまでとは少し違った感情が込み上げてくるのを感じていた。
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