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After Story
ご主人様には逆らえない⁉(5)
しおりを挟む俺に「ご主人様」という呼び方を慣れさせるため、頼斗は俺が頼斗のことを「頼斗」と呼ぶと、その都度俺のお尻を叩くというお仕置きを提案してきた。
その時点で何かがおかしい。
いくら俺にご主人様呼びを慣れさせるためとはいえ、ちょっと呼び方を間違えただけでお尻を叩かれるとかスパルタ過ぎるじゃん。頼斗は頼斗なのに。
しかも
「んっ……んんっ……気持ちいい……ですか? ご主人様……」
ちゃんとメイドっぽく振る舞うように、俺に敬語を使うようにも要求してきたりしてさ。
それはもう〈絶対俺のためではない〉って感じじゃん。百パーセント頼斗が俺とのメイドごっこを楽しむための決まり事っていうか、設定だよね。
最初は頼斗に従うつもりもなかった俺なんだけど、頼斗は俺が頼斗のことを「頼斗」って呼ぶたびに本当にお尻を叩いてきて、何度も叩かれるお尻に挫けた俺は、仕方なく頼斗の言いつけを守ることになってしまった。
俺がおとなしく頼斗の言いつけ通りになると、頼斗は散々叩いた俺のお尻を今度は優しく撫でてきて、その手つきは次第にいやらしい手つきへと変わっていった。
俺のお尻を揉みしだく頼斗とキスをしているうちに、俺もどんどんエッチな気分になってきてしまい
(今日はこの格好のままセックスするの?)
という信じがたい気持ちはあったものの、身体はどんどん熱を帯びていった。
一度こういう流れになってしまえば頼斗も簡単には引かないし、何より
「んっ……んんっ……んっ……」
俺自身がもう引くに引かれないところまできているというか、引くに引かれないことをしているって感じだった。
メイド服という恥ずかしい服を着せられて、頼斗といっぱいキスをしているうちに気持ちが昂ってしまった俺は、自分の中でも変なスイッチが入っちゃったみたいなんだよね。
今はベッドに腰を掛けた頼斗の前に跪き、頼斗のナニを口でご奉仕している状態だった。
何故こんな事になってしまったのか……。
それは単に俺が雰囲気に流されやすい性格であるということと、俺も少なからずコスプレプレイというものに興味があったからなんじゃないかと思う。
もちろん、俺としては自分がコスプレをする側じゃなくて、俺が彼女にコスプレをしてもらう側になりたかったんだけど、俺が雪音や頼斗と付き合っている時点で、そういう望みは捨てるべきだと覚悟はしていた。
多少の未練は残っているものの、自分は彼女にコスプレをしてもらう側の人間ではなく、自分が彼氏にコスプレ姿を披露してあげる側の人間であることはわかっていた。
でも、まさかこんなに早くその日が来るとは思わなかった。しかも、相手は頼斗。
俺はこういう日が来ることを全く望んでいなかったわけだけど、もし、そういう日が来るのだとしたら、相手は雪音になると思っていた。
雪音は俺と出逢う前から性に対しては自由で奔放だったし、普通じゃないアブノーマルな世界にも抵抗がないって感じだったもん。
きっと学校では伊織君とそういう話で盛り上がったりもして、「いつかシてみたい」って思っていそうだもんね。
でも、頼斗はアブノーマルな世界には抵抗がありそうだったから、俺とは普通のセックスをするだけで充分満足してくれるものだと思っていた。
(きっと雪音の影響に違いない……)
そう思った。
俺と雪音が出逢ってからというもの、頼斗は雪音から確実に良くない影響を受けている。
それというのも、雪音がいつも強引で、たまには無茶振りなんかもしてくるから、それに頼斗も巻き込まれちゃうっていうか……。
たとえば、思い付きのように三人でエッチな事をするのなんてまさにそれ。本来の頼斗の性格を考えたら、そういう展開は絶対に拒否しそうなものだもん。
だけど、結局は雪音に挑発され、煽られたりしたりで巻き込まれてしまっている。そのせいで、頼斗もアブノーマルな世界に片足を突っ込んでしまったんだと思う。
頼斗が俺にコスプレをさせたいと思うようになったのも、俺は雪音のせいだと思ってしまう。
「っ……気持ちいいよ、深雪……。ちゃんとご奉仕できて偉いな」
「んっ……んんっ……」
なかなかエッチな行為に積極的になれない俺は、雪音や頼斗に口でシてあげたことは数えるしかなかったけれど、まだまだ不慣れな感じがする俺のご奉仕を、二人はいつも「気持ちいい」って言ってくれる。
俺としては、自分がそんなはしたない事をしている姿が恥ずかしくて堪らないんだけど、二人を気持ち良くしてあげられることや、二人に褒めてもらえること自体は嬉しい。最初は恐る恐るといった感じで始める行為も、いつの間にか一生懸命になっていたりもする。
だって、俺が自発的に二人を気持ち良くしてあげられる方法ってこれくらいしかないんだもん。俺だって、好きな人を気持ち良くしてあげたい気持ちはあるもん。
だから、二人には内緒で密かに勉強していたりもするんだよね。ネットでそういう記事とか読んで。
でも、実際にはそんなにすぐ上手くできないから、こうして口でシてあげる時は、ネットで得た知識を試してみて、二人の反応を確認しながら、どうすれば二人が気持ち良くなってくれるのかを研究中だったりする。
二人の反応はちょっとした表情の変化や仕草で確認しているわけだけど
「っ……深雪……」
俺に気持ち良くしてもらっている時の二人の表情や仕草は無駄に色っぽかったりもして、俺は始終ドキドキしっぱなしなんだよね。
俺のご奉仕で気持ち良くなってくれる頼斗が嬉しくて、もっと一生懸命になって頼斗を口でいっぱい扱いてあげると
「深雪……もうイきそ……」
頼斗は目を細めながら、俺の耳の後ろあたりを擽るように撫でてきた。
頼斗の指が耳の後ろを擽ってくる感触には俺もゾクゾクしちゃって、ただでさえエッチな気分になっている感情が更に昂っていくのがわかった。
「んんっ……イって……イっていいです……ご主人様……」
最早すっかり頼斗のメイドになりきっているらしい俺は、頼斗に口でご奉仕しながら、頼斗のことを「ご主人様」と呼ぶことに何の抵抗もないらしかった。
どうせ後で思い出したら死ぬほど恥ずかしくなるんだろうな。
それなのに、気持ちが昂っている時は恥ずかしいと思う感情がなくなってしまうあたりが、俺の順応性の高いところ――というか、その場の雰囲気に流されてしまうところなんだと思う。
頼斗に口でシてあげている間に、自分のナニまですっかり勃ち上がってしまっている俺は、頼斗を気持ち良くしてあげると自分も気持ち良くなる感じがして、夢中で頼斗を口で扱いてあげた。
「っ……深雪っ……すげー気持ちい……」
「んっ……んんっ……」」
口と一緒に手も使って頼斗を追い詰めていく俺は、パンツの中で張り詰めていく自分が痛いくらいだった。
それでも、自分が頭を動かす動きが身体を揺らすと、勃ち上がったナニがパンツの生地と擦れるのが気持ち良くて、俺の動きはどんどん大胆なものになっていった。
「深雪……イく……イってい?」
「んんっ……んっ……」
口の中の頼斗がピクピクと震え、先端からはエッチな味のする蜜も零れ始めている。
俺は「いいよ」と言う代わりに、舌を使って頼斗が感じる部分を刺激して、頼斗を絶頂へと導いてあげた。
「っ……ぁ……んんっ……!」
口の中でビクビクっと震える頼斗が、ドクンッと大きく脈打ったと同時に、口の中には頼斗が吐き出した熱が広がった。
「んんっ……んっ……ぁ……」
その熱を一滴残らず喉の奥へと流し込んだ俺は、その後も何度か頼斗を口で扱いてあげて、残滓を吸い取るのと一緒に、自分の精液に塗れた頼斗も綺麗にしてあげた。
「っ……はぁっ……深雪……おいで……」
「ん……」
俺が頼斗を綺麗にし終わったタイミングで、息の上がった頼斗が俺の身体を引き寄せてきた。
俺はゆっくり立ち上がると、ベッドに腰掛けている頼斗の膝の上に跨った。
心臓が物凄くドキドキしているし、気持ちの昂ぶりも尋常じゃなかった。
頼斗は自分の膝の上に跨ってきた俺をギュッと抱き締めると、今の今まで自分を気持ち良くしてくれていた俺の口を指で優しくなぞってから、お礼を言うようにいっぱいキスをしてくれた。
「ぁんっ……ぁっ、ん……んんっ……」
ちゅっ、ちゅっ、と音を立てていっぱい吸われる唇に感じる俺は、俺にキスの雨を降らせながら、俺の身体を器用にベッドの上に押し倒してくる頼斗に胸が高鳴った。
この胸の高鳴りは期待だ。
たった今、頼斗を気持ち良くしてあげた俺だけど、今度は頼斗が俺を気持ち良くしてくれるという期待に、俺の胸はどうしようもなく高鳴ってしまう。
「上手にご奉仕できたメイドには、ご主人様からのご褒美をあげなくちゃな」
俺を優しくベッドに押し倒した頼斗は、メイド服を着たままの俺の姿に興奮している様子でそう言ってきた。
「ご褒美……ご褒美ください、ご主人様……」
身体中が熱いくらいに火照っている俺は、俺を優しい目で見下ろしてくる頼斗にうっとりとした表情でそう返していた。
頼斗のことを「ご主人様」と呼ぶことに何の躊躇いもなくなっているあたりがどうかと思うけど、そういう普段と違うことが、今の俺の気持ちを益々昂らせているようにも思う。
結局、俺にもこういうアブノーマルな世界に嵌ってしまう変態的な部分があるってことなのかも。
仕方がないと言えば仕方が無いよね。男なんてみんなエッチなものだし。エッチということは、少なからず変態的な部分があるってことだもん。だから、コスプレしたままエッチな事をして興奮してしまう俺が特別変ってわけじゃないよね。
そして、その理屈でいけば、頼斗が俺にメイド服を着せたいと思う気持ちも雪音の影響というわけではなく、極々普通の欲望ってことになるよね。
好きな子のメイド姿なんて、男なら一度は見てみたいと思うものだし。そんな格好をした彼女とセックスしたいと思うものだよね。
「さて。俺の可愛いメイドさんは、俺に一体どんなご褒美を貰いたい?」
ベッドに押し倒した俺の頭を愛しそうに撫でてくる頼斗に見詰められる俺は、頼斗にしてもらいたいことがいっぱいあって、何からおねだりしていいのかをすぐには決められなかった。
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