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12.元魔王、策を考える【4/4】
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「終わったかな?」
「……多分」
「オークキングを見た時は死んじゃうかと思ったけど、なんとかなったね~」
本当に一安心である。
ようやく魔法障壁が消せる。なんとか持ったようで魔力の残量は割とギリギリである……。
「それじゃあ、魔法障壁消すから一旦離れようか。このまま消すと水に流されそうだし」
「……離れよ」
「はーい」
「ユウ姉も……あれ、ユウ姉どこいいっ……!?」
カァン!
「わわっ!」
「……びっくり」
な、なんだ!?
急な音に水槽の中のオークキングもびっくりして、口から泡を出してるわ。
「ごめーん」
勇者娘の声だ。
……あれ、ちょっと待って? 口から泡?
あ、目が合った。こいつまだ生きてるじゃん。
「えっ?」
「……死んだふり?」
途端に空気を吐き出すオークキング。死んだふりしてたのか……。
それから水中で必死の形相で魔法障壁を叩いているし、今度は本当に苦しそうだ。
……あっ、力尽きた? 全身の力が抜けたように見えるが。
「……今度こそ本当に?」
「試してみよっか」
「割と魔法障壁保つのギリギリだから攻撃はやめてね」
「うん、私もギリギリだし空き缶とかがいいかな」
そう言って、スカウト娘がなんだか筒っぽい物を作り出す。
次の瞬間には魔法障壁に投げつけていた。
カーンと小気味のいい音がなるが、オークキングの反応はない。
どうやら本当に終わったみたいだ。
「……平気みたい」
「じゃあ離れよ」
「うん、そろそろ本当にマズイから急いでくれると助かる」
魔女娘とスカウト娘が移動し始めたので、我も退避。
限界ギリギリでどうにか魔法障壁を維持しつつ、十分に距離を取った所でリリース。
「ふぅ……」
魔法障壁が消えた事で、閉じ込められていた水が一気に流れ出し、オークキングと共に地面に落ちる。
あと剣。この開けた空間にポツリと一本だけ生えている樹、その樹の近くに刺さっていたはずの勇者娘の剣だ。
何故かそれが一緒に落ちてきた。
「三人とも大丈夫だったー?」
そこへ件の勇者娘。
なにやらキノコを手にもってらっしゃる。うん、モリタケですね。
「ごめん、こいつの食い荒らしたキノコで足を滑らせて剣を飛ばしちゃった」
こいつとはもちろんオークキングの事だろう。
「いや、おかげで助かったよ」
それにしても、コケた拍子に離れた位置から剣をピンポイントで箱に当ててくるとか、どんだけなの。
「……ナイスショット」
「え?」
何が何やらといった表情の勇者娘。
「オークキングさ、死んだふりしてたんだよねー。ユウが剣を飛ばしてくれてなかったら、今頃やばかったよ」
「そうなの?」
「うん」
「……危機一髪だった」
本当に安心安全の勇者娘のドジである。
「ならよかった」
オークキングも起きてこないし、本当に終わったのだろう。
しかしこれから歩いて街まで行くのか……ちょっと休憩したいところである。
「それにしても疲れた~」
「……休憩してから帰る?」
「そうしようか。少し休んで魔力を戻さないと帰り道が心配だし」
「わたしはまだ元気だから、いざとなったらみんなを守るわよ」
魔女娘とスカウト娘も疲れた様子。唯一元気なのが勇者娘だ。
「ウォォォ!」
「えっ、何!?」
今度は何だ。また敵襲か?
もうあとは勇者娘に頑張ってもらうしか。我は限界。
「ゴブゴブ言ってるしゴブライじゃない?」
「だろうね」
「……来たみたい」
「プギィ!」
……どうやら違った様子。
我だけ言葉がわかるばかりに一人だけ慌ててしまったようだ。
そういえば最初にゴブライたちを逃したのを忘れてた。
少ししてゴブライとミニボアが近くに寄ってきた。
「ゴシュジン! アノオークキングヲタオストハ……サスガダ」
「プギプギィ!」
少々興奮している様子だ。
はて、そういえば……。
「そういえばハイオークとかオークキングって喋るんだね」
テイムしたわけでもないのにニンゲンとかオニクって聞こえてたし。
「え? ブヒブヒとは鳴いてたけど」
「うん、ブヒブヒだったねー」
「……マオくんだけ」
あれっ? おかしいな……。
それから警戒をゴブライたちに任せて、一時間ほど休憩することにした三人娘と我であった。
「……多分」
「オークキングを見た時は死んじゃうかと思ったけど、なんとかなったね~」
本当に一安心である。
ようやく魔法障壁が消せる。なんとか持ったようで魔力の残量は割とギリギリである……。
「それじゃあ、魔法障壁消すから一旦離れようか。このまま消すと水に流されそうだし」
「……離れよ」
「はーい」
「ユウ姉も……あれ、ユウ姉どこいいっ……!?」
カァン!
「わわっ!」
「……びっくり」
な、なんだ!?
急な音に水槽の中のオークキングもびっくりして、口から泡を出してるわ。
「ごめーん」
勇者娘の声だ。
……あれ、ちょっと待って? 口から泡?
あ、目が合った。こいつまだ生きてるじゃん。
「えっ?」
「……死んだふり?」
途端に空気を吐き出すオークキング。死んだふりしてたのか……。
それから水中で必死の形相で魔法障壁を叩いているし、今度は本当に苦しそうだ。
……あっ、力尽きた? 全身の力が抜けたように見えるが。
「……今度こそ本当に?」
「試してみよっか」
「割と魔法障壁保つのギリギリだから攻撃はやめてね」
「うん、私もギリギリだし空き缶とかがいいかな」
そう言って、スカウト娘がなんだか筒っぽい物を作り出す。
次の瞬間には魔法障壁に投げつけていた。
カーンと小気味のいい音がなるが、オークキングの反応はない。
どうやら本当に終わったみたいだ。
「……平気みたい」
「じゃあ離れよ」
「うん、そろそろ本当にマズイから急いでくれると助かる」
魔女娘とスカウト娘が移動し始めたので、我も退避。
限界ギリギリでどうにか魔法障壁を維持しつつ、十分に距離を取った所でリリース。
「ふぅ……」
魔法障壁が消えた事で、閉じ込められていた水が一気に流れ出し、オークキングと共に地面に落ちる。
あと剣。この開けた空間にポツリと一本だけ生えている樹、その樹の近くに刺さっていたはずの勇者娘の剣だ。
何故かそれが一緒に落ちてきた。
「三人とも大丈夫だったー?」
そこへ件の勇者娘。
なにやらキノコを手にもってらっしゃる。うん、モリタケですね。
「ごめん、こいつの食い荒らしたキノコで足を滑らせて剣を飛ばしちゃった」
こいつとはもちろんオークキングの事だろう。
「いや、おかげで助かったよ」
それにしても、コケた拍子に離れた位置から剣をピンポイントで箱に当ててくるとか、どんだけなの。
「……ナイスショット」
「え?」
何が何やらといった表情の勇者娘。
「オークキングさ、死んだふりしてたんだよねー。ユウが剣を飛ばしてくれてなかったら、今頃やばかったよ」
「そうなの?」
「うん」
「……危機一髪だった」
本当に安心安全の勇者娘のドジである。
「ならよかった」
オークキングも起きてこないし、本当に終わったのだろう。
しかしこれから歩いて街まで行くのか……ちょっと休憩したいところである。
「それにしても疲れた~」
「……休憩してから帰る?」
「そうしようか。少し休んで魔力を戻さないと帰り道が心配だし」
「わたしはまだ元気だから、いざとなったらみんなを守るわよ」
魔女娘とスカウト娘も疲れた様子。唯一元気なのが勇者娘だ。
「ウォォォ!」
「えっ、何!?」
今度は何だ。また敵襲か?
もうあとは勇者娘に頑張ってもらうしか。我は限界。
「ゴブゴブ言ってるしゴブライじゃない?」
「だろうね」
「……来たみたい」
「プギィ!」
……どうやら違った様子。
我だけ言葉がわかるばかりに一人だけ慌ててしまったようだ。
そういえば最初にゴブライたちを逃したのを忘れてた。
少ししてゴブライとミニボアが近くに寄ってきた。
「ゴシュジン! アノオークキングヲタオストハ……サスガダ」
「プギプギィ!」
少々興奮している様子だ。
はて、そういえば……。
「そういえばハイオークとかオークキングって喋るんだね」
テイムしたわけでもないのにニンゲンとかオニクって聞こえてたし。
「え? ブヒブヒとは鳴いてたけど」
「うん、ブヒブヒだったねー」
「……マオくんだけ」
あれっ? おかしいな……。
それから警戒をゴブライたちに任せて、一時間ほど休憩することにした三人娘と我であった。
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