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8.元魔王、声をかけられる【前編】
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ゴブリンたちを相手取った後に街へと戻り、ギルドへ向かう最中のこと。
日も落ち始めて空が茜色に染まった頃、三人で歩いていると急に声がかかった。
「ねー、そこの君たち~」
声の主は我と勇者娘、魔女娘の三人に向けて手を振り、こちらに近づいてくる。
一応後ろを確認してみたが、背後には勇者娘たちの他には誰も居ない。
その人物は黒髪黒目に、白くて厚手な半袖のシャツ、下には同じく厚手の赤に白いラインの入った長いズボンといった怪しい格好である。
少なくとも我の知る者にそのような人物の心当たりはない。
なので、勇者娘と魔女娘に聞いてみることにする。
「知らない人だけど、ユウ姉かマナの友達?」
「わたしは違うわよ」
「……私でもない」
おや。となると別の要件か?
そう考えた所でおかしな格好の女がこちらにたどり着く。
「いやー、やっと見つけたよ。君たちだよね、勇者の卵の人が所属しているパーティーって」
どうやら勇者娘のパーティーを探してた模様。
勇者娘の顔を見れば、あちらも我を見ていた。アイコンタクトで勇者娘が頷いたので会話は任せる事にする。
「そうだけど、何か御用かしら?」
「御用も御用だよ。私はアリス、年は十七。もしよければお姉さんをあなたたちのパーティーに入れてほしいかなって」
「そう、わたしはユウリシアよ。それで、アリスさんはわたしたちのパーティーに入りたいと」
どうやら自身の売り込みのようである。
「うん、どうかな?」
勇者娘がチラリとこちらを見てくる。
まあ完全に不審人物であるよな。元魔王である我が言うのもあれだけど。
するとそんな勇者娘の視線を相手も感じ取ったらしい。
「あ、どうぞどうぞ。仲間の人と相談してくれて構わないので」
そういうことなので、少し離れて三人で円を描くようにして相談タイムだ。
「ね、ねえ。こういう場合ってどうすればいいの?」
どうすればいいのだろう。
ここ数千年ほど新しい配下など迎えなかったからなぁ。
配下の子がそのまま我の配下になっておったし……。
「ちょっとわからない」
「マナは知らない?」
「……面接、とか? なんでパーティーに入りたいのかとか、何が出来るかとか」
「なるほどね!」
それを聞くなり勇者娘は早速といわんばかりにズンズンと、離れた所にいる怪しい女のところへ進んでいった。
我と魔女娘もそれに続く。
「えっと、どうかな?」
「それはまだ決まってないわ。決める前にあなたの面接をしたいのだけどいいかしら」
「あー、面接か。こっちにもあるんだ」
なにやら女は苦笑いを浮かべ頬をかいている。
「え?」
「あ、ううん。こっちの話だから気にしないで。それよりも、お姉さんに何を訊きたいのかな」
「そうね。まずはどうしてわたしたちのパーティーに入りたいのか訊きたいわ」
「あー、それは……」
なにやら言葉を濁していたが、一瞬チラリと我を見ていたな。
なんだ?
「えっと、そう。あなたたちは勇者の卵のパーティーだからかな。それに女の子も多いから安心かなって」
そう言って、もう一度チラリと我を見てきた。
一体なんだというのだ。
日も落ち始めて空が茜色に染まった頃、三人で歩いていると急に声がかかった。
「ねー、そこの君たち~」
声の主は我と勇者娘、魔女娘の三人に向けて手を振り、こちらに近づいてくる。
一応後ろを確認してみたが、背後には勇者娘たちの他には誰も居ない。
その人物は黒髪黒目に、白くて厚手な半袖のシャツ、下には同じく厚手の赤に白いラインの入った長いズボンといった怪しい格好である。
少なくとも我の知る者にそのような人物の心当たりはない。
なので、勇者娘と魔女娘に聞いてみることにする。
「知らない人だけど、ユウ姉かマナの友達?」
「わたしは違うわよ」
「……私でもない」
おや。となると別の要件か?
そう考えた所でおかしな格好の女がこちらにたどり着く。
「いやー、やっと見つけたよ。君たちだよね、勇者の卵の人が所属しているパーティーって」
どうやら勇者娘のパーティーを探してた模様。
勇者娘の顔を見れば、あちらも我を見ていた。アイコンタクトで勇者娘が頷いたので会話は任せる事にする。
「そうだけど、何か御用かしら?」
「御用も御用だよ。私はアリス、年は十七。もしよければお姉さんをあなたたちのパーティーに入れてほしいかなって」
「そう、わたしはユウリシアよ。それで、アリスさんはわたしたちのパーティーに入りたいと」
どうやら自身の売り込みのようである。
「うん、どうかな?」
勇者娘がチラリとこちらを見てくる。
まあ完全に不審人物であるよな。元魔王である我が言うのもあれだけど。
するとそんな勇者娘の視線を相手も感じ取ったらしい。
「あ、どうぞどうぞ。仲間の人と相談してくれて構わないので」
そういうことなので、少し離れて三人で円を描くようにして相談タイムだ。
「ね、ねえ。こういう場合ってどうすればいいの?」
どうすればいいのだろう。
ここ数千年ほど新しい配下など迎えなかったからなぁ。
配下の子がそのまま我の配下になっておったし……。
「ちょっとわからない」
「マナは知らない?」
「……面接、とか? なんでパーティーに入りたいのかとか、何が出来るかとか」
「なるほどね!」
それを聞くなり勇者娘は早速といわんばかりにズンズンと、離れた所にいる怪しい女のところへ進んでいった。
我と魔女娘もそれに続く。
「えっと、どうかな?」
「それはまだ決まってないわ。決める前にあなたの面接をしたいのだけどいいかしら」
「あー、面接か。こっちにもあるんだ」
なにやら女は苦笑いを浮かべ頬をかいている。
「え?」
「あ、ううん。こっちの話だから気にしないで。それよりも、お姉さんに何を訊きたいのかな」
「そうね。まずはどうしてわたしたちのパーティーに入りたいのか訊きたいわ」
「あー、それは……」
なにやら言葉を濁していたが、一瞬チラリと我を見ていたな。
なんだ?
「えっと、そう。あなたたちは勇者の卵のパーティーだからかな。それに女の子も多いから安心かなって」
そう言って、もう一度チラリと我を見てきた。
一体なんだというのだ。
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