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7.元魔王、森へ魔物退治に行く【中編】

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 さらに森の奥へと進んでいく勇者娘一行。

 するとゴブリンが現れ「【ライトニング】!」

 続けてゴブリンが「【フリーズ】!」

 さらにゴブ「【障壁落とし】!」

 魔女娘が荒ぶっている。ゴブリンが現れた次の瞬間には魔女娘が魔法をブッ放していく。
 というか最後の何。
 赤く着色された魔法障壁がプチッとゴブリンを潰してたけど。

 ああ、ふと勇者娘の顔を見れば魔法障壁に負けじといった感じで顔が真っ赤である。
 これは爆発するまで数秒前。

「ちょっと、マナばっかり。わたしにもいいところ見させてよ! あと、強くなれない!」

 案の定である。

「……誰に見せるの?」

「それはその……それよりも、次はわたしの番なんだから!」

 すると何故かちらりと我を見てきて口ごもった勇者娘。

「……うん、私は満足したから次はユウリお願い」

「もちろんよ。ゴブリンぐらい、ちょちょいのちょいなんだから!」

「うん、じゃあさっそくお願いねユウ姉」

 それなら頑張ってもらいたい。

「え?」

「ゴブブ、ゴブオ!」

「「「ゴブー!」」」

 ゴブリン一行到着である。
 おそらくも何もないだろうが、勇者娘が騒いだ事でそれを聴きつけたゴブリンたちが集まってきたのだろう。

 さらに転がっている同胞を見たせいだろう。ゴブリンたちはヒートアップしているようである。

 ゴブリン数は……うん。
 我たちを囲めるぐらい。いっぱいである。
 随分と統制が取れているようだが、はて。

「……ユウリが騒ぐから」

「ええ、わたしのせい!?」

「騒ぐよりもどうにかしないと!」

「そうね! 作戦はさっき言った通り二人は援護お願い」

「うん、【パワーアップ】!」

「ありがと!」

 勇者娘が駆け出したのに合わせて力強化魔法をかけてやる。

「ゴブー!」

 ガィン、ガィン!

 そのまま勇者娘はゴブリンに接近し剣を振る

「ゴッ、ブ……!?」

「ゴブハァ……」

 ゴブリンは棍棒で受け止めようとしたようだが、それごとスパンとゴブリンが斬られた。
 どこかの名刀よろしく綺麗に斬れているがどうみてもオーバーキルである。

 勇者娘が馬鹿力なの忘れてた。
 斬ったついでに吹っ飛んだゴブリンに当たった別のゴブリンがひしゃげている。

「ゴブブー!」

 ガィン、ガィン!

 勇者娘は今のところ大丈夫そうだ。
 我と魔女娘もゴブリンの数を減らさねば。

「ゴブルー!」

 ガィン、ガィン!

 というかさっきからゴブリンが魔法障壁を叩く音がうるさい。
 それになんだか魔女娘は魔法を撃つ気配が無いのだが。

「早く倒しちゃおうよ」

「……うん」

 しかし、やはり魔女娘は魔法を撃たない。
 さっき勇者娘に任せると言ったからだろうか。

「さすがに手を出していいと思うよ?」

「……えっと、さっきので魔力切れた」

「え……魔力配分は魔法を使う上で基本じゃ」

「……いろいろな魔法が試せると思ったらつい」

「そ、そう」

 この魔女娘、お茶目さんである。

「……あとよろしく」

 通りで魔女娘は我にひっ付いているわけである。魔法障壁のあるここが一番安全だろうからな。
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