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6.元魔王、予定を変更する【前編】

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 それからすぐに降り注ぐ光が弱いものになり、今度こそ本当に神託が終わる。
 すると立ち上がった勇者娘と魔女娘がこちらへと近づいてきた。

「さすがはマオね!」

「……何の加護をもらったの?」

「仲間を強化したり出来る強化術師だって。そう言う二人はどうだったの?」

「もちろん勇者の卵!」

「……魔道士。神託はユウリと一緒に行動しろだって」

 そこで魔女娘が勇者娘に目線を送ると互いに頷きあって、なにやら企んでいるような笑みを浮かべ始めた。

「ねえマナ」

「……うん、これはもしかして」

「ねえマオ、わたしたちと一緒にパーティを組まない?」

 ふむ。こちらから声をかけようと思っていたところだ。
 手間が省けたな。
 しかし、問題があるな。

「それはいいけど、ギルドはどうするの? いくら加護をもらったとしても、ギルドで登録できるのは十五歳にならないと駄目だったよね?」

「こっそり行けばバレないって」

「普通にバレるでしょ。そうしたら二人とも冒険者の資格を失っちゃうよ」

「……じゃあギルドを説得する」

「あっ、その手があったわね!」

 まあ、それしかあるまいな。

「とりあえずはそれで、駄目なら他を考えよう」

「そうね。じゃあ、さっそくギルドに向かいましょ!」

「……おー」

 そうして我と勇者娘に魔女娘の三人でギルドへ向かう事になった。

 ◇◆◇

 場所は移り、ギルドの受付。
 仲間と落ち合うためテーブルについたものや受付に並ぶ者、依頼が貼られた掲示板に集まる冒険者たちの視線を一身に集める勇者娘。

「ですから、規則なのでできませんってば!」

「どうしてよ! うちのマオは十四でもきちんと加護をもらったのだから問題ないでしょう?」

 案の定、我の冒険者登録を拒否られた勇者娘が受付嬢と言い合いを始めた。

「駄目なものは駄目なんです!」

「危険って言うんでしょ? でもうちのマオはすんごい魔法障壁を使えるから平気よ。いざとなればわたしが守るし!」

 最後のは余計な一言ではないだろうか。
 あまりよくない流れである。

「強化魔法と魔法障壁でどうやってその場を切り抜けるのですか? 守るだけでは魔力が付きたら最後、どうしようもないじゃないですか」

「しょ、初級魔法も使えるから火で敵を追い払えるでしょ!」

「初心者の初級魔法なんてたかが知れてます。やはり冒険者になる許可はいたしかねます」

「ぐぐぐ……」

 我と魔女娘は勇者娘の背後でそんな言い合いを眺めている。
 といっても勇者娘は敗色濃厚。言葉が詰まってしまったようではあるが。

「……ユウリ頑張って」

「あの調子じゃ厳しそうだね」

 となると別の手段を考える他ないか。
 実力でも見てもらえれば手っ取り早いとは思うのだが。

「どうしても駄目?」

「はい、許可いたしかねます」

 すると、勇者娘が戻ってきた。
 どうにか粘ってみせたが、ついに言葉が浮かばなかったか。

「ごめんマオ。だめだったー」

「うん、まあ仕方ないよ」

「……残念」

「依頼を受けようかとも思ったけど、今日はもうそんな気分じゃないね……」

「……明日から頑張ろ」

「一応他の手段を考えておくよ」

「そうだね、わたしも考えとく」

 トボトボと肩を落として歩く二人。その後をついていく我。
 すると背後から声がした。

「なんだか騒々しかったようだけど、なにかトラブルでも?」
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