終末から始める異世界タイムトラベル 〜世界は終わったけど、引き継ぎロードで解決します〜

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1−7−01 闇or虹

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 ふう、読んだ読んだ。
 この木の天井にも大分慣れてきたな。

 こっちの世界に来てもう1週間、早いもんだな。
 読み終わった本を置くが、既にそこは本の山と化しているな。

 魔王か。
 倒しても、しばらくすると魔法で無限に復活してくる魔王に対して、国同士が手を取り合い、何世代にも渡って戦いを繰り広げていく。

 だが、終わらぬ戦いに次第に疲弊していった結果、世界は魔法をそのものを消し去ることを選択。
 そうして魔法と共に魔王は終わりを告げる。
 そんな話だった。

 治療院から出た後、カマさんとゴランに図書館の場所を教えてもらって、リースって子の風邪が治るまで本を読んで待っていた訳なんだが。
 3日目に突入した所で、借りてきた本を全て読破してしまった……。

 外を見ると既に明るくなっている。
 ……完全に夜ふかしだな。

 ふと、窓から頭を出して外を覗くとすぐ下に、来るのを待っていたリースってエルフの子の姿が見えた。
 やっときたか、ナイスタイミング!
 顔を出したからか、あっちも気がついたみたいだ。

「あっ、君」

 下からその子の声が聞こえてきた直後、リィンリィンリィンというかなり大きな音が響き始めて、声がかき消される。
 鳴っているのは俺の持っている白い端末じゃない。

 どうやら、エルヴンヘッドの北側から音がして来ているようだ。
 音の方へと目を向けてみると、北側にある建物の密集地の辺りから、虹色の柱が空に向かって伸びているのが見えた。
 その柱は徐々に外側へと広がっていって、エルヴンヘッドが虹色に飲み込まれていく。

 目の前に広がる光景に呆然としていると、それは俺達の眼前にまで迫ってきていた。
 そんな時、顔に何かがぶつかって来た。

「なんだ!?」

 ぶつかって来たのは緑色の……葉っぱ?
 いや、葉っぱの割にはなんだか、ずしりと衝撃が来たぞ。

「ん、ちゃんと持ってるね」

 おかしいな、目の前から声が聞こえて……って。

「葉っぱが喋った!?」

 ぶつかってきた何かを掴むと、妖精のような小さい生き物がそこにいた。
 葉っぱはどうやら髪飾りのようだ。

「何だお前?」

「いいから離して、時間ないから」

 そう言いながら、小さい生物に掴んだ手をタップされる。
 言われた通りに手を離すと、そいつは俺が手に持っている白い端末に触ってきた。
 すると、リィンという音と、背後からヒビの割れるような音が聞こえてくる。
 そのひび割れる音に驚いて後ろを振り返ると、部屋の空間に亀裂が走るとともに、黒い穴が空いていた。

「は?」

「早く入って、虹に触れたら死ぬよ」

 いや、この黒いのに入ったほうが死にそうな気がするんだが!?
 展開が早すぎて、どうしていいのかさっぱりだ!
 だが結果的に、選択肢は1つだけのようだった。

 遠目に見えた虹色の柱は既にこっちにまで来たようで、光がバリバリと音を立てつつ、宿を削るように飲み込み始めた。
 あ、これヤバイやつだ。
 直感的にそう思った俺は、そばに置いてあった武器と、金の入った袋を素早く掴んで、その勢いのまま黒い穴に飛び込んた。
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