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人間の欲望と魔王の信者

20話 死霊呪術士は死霊呪術士(3/5)

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「あ? 何で俺様のことを知ってる。それに魔王だと? さっきの魔法といい、どうなってやがる!」
「答えは簡単だ。ここはお前の知る時代よりも百年先の未来で、俺こそが次世代の魔王ということだ」

 百年前の当時、調整者に壊滅させられた魔王軍を率いていた魔王の名前こそがエンデスガルド。加えて目の前の敵がその魔王の配下であることからしても、今言ったことに間違いはないだろう。

「なにぃ!? ……待て、待て、ということはあいつ、いや。あのお方こそが……?」

 何やら死霊呪術士がブツブツと独り言をいい始めたタイミングでメイに袖をひかれる。

「ねぇねぇ魔王さま師匠」
「ん、なんだ。<アイテムボックス次元の扉>」

 話ついでに次元の扉を開いて袋を取り出す。

「あいつも魔術士の仲間なの?」

 呪術士は呪術士だと思うのだが、どこからその発想に至ったのやら。

「いや、違うがなぜそう思ったのだ?」
「魔法を無効にしてたから」

 なるほど、そういうことかと納得しつつ、取り出した袋を開けて中身を村の住人である二人の女の周囲四箇所に盛っていく。

「いや、魔法が効いていないのはあいつが死霊呪術士だからだぞ? 「あ、あの、これは……?」それと、いま置いたのは結界に似た効果を持つものなので四隅の外には出ないように」

 メイ、それから話の途中で疑問を口に出した母親の方である女への順番で言葉を返していく。

「そうなんだ? じゃあ魔術士は関係ないんだ」
「そういうことだ」

 メイとの会話、そして死霊呪術士から母娘を守る工作が完了したが、死霊呪術士は未だに一人の世界に行っている。なのでついでに死霊呪術士の周りにも袋の中身を盛ってから、元の位置に戻る。

「そうなると僕はとんでもないことをしでかしちゃったんじゃ……」

 その間に死霊呪術士の独り言が聞こえてきたのだが、なんか口調が変わっていた。

「おい、そろそろいいか?」
「おおおおお、まま待たせたな!」

 と思っていたら口調、戻ったな。

「じゃあなんだ? 俺が死霊を操ってゾンビにしていたのは」
「お前の配下仲間といったところだろうな」
「う、嘘をつかないで……つくんじゃねえ! 証拠を出せ!」

 証拠か。魔王である俺自身がその証拠なのだが、そもそも俺が魔王である証拠を示さないといけないのでこれは使えない。

 というか別に納得させる必要もないのだが、まあ過去の魔王の配下だったよしみだ。この時代にやって来ることになった原因についてでも話せば納得するだろう。
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