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人間の欲望と魔王の信者
17話 ドラ語ンずるい(4/4)
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「どういうことだ?」
「えっと、商人……セイルさんだけど、いつも月始めに村から行商に出るみたいで、片道で七日ぐらいかかるって言ってたから今は村にいないかなって」
「僕らが依頼を受けたのは確か二十日ぐらい前だったよね」
「うん、そのぐらい。リアの話からして村に帰ってくるのは七日から十日ぐらい先?」
「わたしの計算でもそんな感じー」
どうやら単に不在ということらしい。
「なるほどな。会えないのは時間の問題ということか」
「そゆことー」
であるならば話は簡単だ。
この一週間はブレイドたちの育成に使い、その後で商人に会えばいいのだ。
「ではこれより七日後に村の近場まで転移で送るので、三人には商人を迎えに行ってもらいたい。そのあとは話し合い次第だが、とりあえず村には行ってきてもらえるな?」
「おお、便利だ」
「あれ、でもそれだと帰りは?」
「案ずるな。転移魔法陣を刻んだ床板を渡すのでそれで商人とともに魔王城へやってくるがいい。メイは縮小の魔法は覚えているか?」
「魔道士の必須魔法だからもちろん覚えてる」
それならば当日にメイの魔法で転移魔法陣の床板を縮小させて、持たせてやればいいだろう。
「うむ、そういうことで移動手段に関しては問題あるまい」
「そうですね。それなら大丈夫だと思います」
「では頼めるな三人とも?」
「はい!」「わかった」「はーい」
こうしてブレイドたちを七日後にファウスト村へ送り出すことが決まったのだった。
◇◆◇
ブレイドたちを鍛える特訓の日々を過ごして七日後。事前に訊いておいた村の場所まで使い魔であるレインボーバードを先行させた上で、メイたち三人をファウスト村の近場まで転移で送り届けた。
今はその出来事からさらに一日後となる。
『ピヨヨヨ、ピヨー!』
緊急要請の知らせが届いたため、視界をレインボーバードのものへと切り替えて状況を確認する。
見えてきたのは魔王城城下にあるツリーハウスだ。
そこにどういう訳かヒューマンにエルフにドワーフ、その他もろもろといった人間族の老若男女と、さまざまな面々の見知らぬ者たちが次々と現れ続けている。
人間たちが現れているのはツリーハウス正面の地面へと新たに設置した転送魔法陣からなのだが、それはメイに渡した転移魔法陣付き床板の出口となっているものだ。
おまけに人間の中には怪我をしている者もいるようで、どうやら様子を見るに今度は誤報ではないらしい。
やれやれ、であるな。
「えっと、商人……セイルさんだけど、いつも月始めに村から行商に出るみたいで、片道で七日ぐらいかかるって言ってたから今は村にいないかなって」
「僕らが依頼を受けたのは確か二十日ぐらい前だったよね」
「うん、そのぐらい。リアの話からして村に帰ってくるのは七日から十日ぐらい先?」
「わたしの計算でもそんな感じー」
どうやら単に不在ということらしい。
「なるほどな。会えないのは時間の問題ということか」
「そゆことー」
であるならば話は簡単だ。
この一週間はブレイドたちの育成に使い、その後で商人に会えばいいのだ。
「ではこれより七日後に村の近場まで転移で送るので、三人には商人を迎えに行ってもらいたい。そのあとは話し合い次第だが、とりあえず村には行ってきてもらえるな?」
「おお、便利だ」
「あれ、でもそれだと帰りは?」
「案ずるな。転移魔法陣を刻んだ床板を渡すのでそれで商人とともに魔王城へやってくるがいい。メイは縮小の魔法は覚えているか?」
「魔道士の必須魔法だからもちろん覚えてる」
それならば当日にメイの魔法で転移魔法陣の床板を縮小させて、持たせてやればいいだろう。
「うむ、そういうことで移動手段に関しては問題あるまい」
「そうですね。それなら大丈夫だと思います」
「では頼めるな三人とも?」
「はい!」「わかった」「はーい」
こうしてブレイドたちを七日後にファウスト村へ送り出すことが決まったのだった。
◇◆◇
ブレイドたちを鍛える特訓の日々を過ごして七日後。事前に訊いておいた村の場所まで使い魔であるレインボーバードを先行させた上で、メイたち三人をファウスト村の近場まで転移で送り届けた。
今はその出来事からさらに一日後となる。
『ピヨヨヨ、ピヨー!』
緊急要請の知らせが届いたため、視界をレインボーバードのものへと切り替えて状況を確認する。
見えてきたのは魔王城城下にあるツリーハウスだ。
そこにどういう訳かヒューマンにエルフにドワーフ、その他もろもろといった人間族の老若男女と、さまざまな面々の見知らぬ者たちが次々と現れ続けている。
人間たちが現れているのはツリーハウス正面の地面へと新たに設置した転送魔法陣からなのだが、それはメイに渡した転移魔法陣付き床板の出口となっているものだ。
おまけに人間の中には怪我をしている者もいるようで、どうやら様子を見るに今度は誤報ではないらしい。
やれやれ、であるな。
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