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魔王の未来と街の準備

07話 食料と卵(1/3)

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「おーい、二人とも無事ー?」

 女戦士がそう言いながらこちらに走ってきたところで抱えていた二人を離し、めくれたフードを目深にかぶり直す。

「お前たち大事ないな?」

 二人を助けたのは調整者という存在がいる以上、人死が少ないことに越したことはないからだ。

「あ、うん。ありがとう」
「変な声出ちゃったけど大丈夫、です」

 なにより上空にいる時に深淵の眼で軽く確認したが、少なくとも戦士の女は冒険者だった。魔王城へ来る可能性がある以上確率はあげておくべきだろう。宿泊施設が完成していればこのまま連れていくのもありだったのだが、時期が悪かったな。

「ならばいい。横取りのような形で悪いが、あれはもらってよいな?」
「そ、それはもちろん。僕らじゃあれを倒すのは無理だったわけだし」

 冒険者から文句が出ないことを確かめたあとで、転がっている魔物に向けて右手をかざす。

「そうか、ではいただくとしよう。<氷結の牢獄>」
「うわっ、一瞬で凍った!?」「すごい……」

 氷結の牢獄は指定した範囲を氷塊へと変えて、中に閉じ込めた生物の時を永久に止めるという氷属性の魔法だ。氷塊に囚われたものは無論即死する。

 今回はそれを用いてジャイアントグレートピッグを立方体の氷塊に閉じ込めることで冷凍保存した。これならば長期の保存が効くため、しばらく肉には困らないであろう。

 食料も無事確保できたので、この場に長居は無用だ。早々にこの場を去るとしよう。

「<アイテムボ次元の
「お待ちください!」

 そう思い魔獣を回収しようとしたところ、魔法を遮るような形で声が聞こえてきた。
 声の方を向けば、馬車をこちらに走らせてくる男の姿が見える。
 男は近くにやってくるなり馬車を止めて、馬の逃走防止用のためと思われる杭を地面に打ち付けたあと、こちらに近づいてきた。

「……何か用か?」

 やってきたのは小太りした男だった。体型からしてもわかる通り、戦いに向いているものではない。当然、先程の戦闘には見られなかった顔だ。

「どこぞの高名な冒険者様かは存じませんが、誠にありがとうございました。正直あの魔獣に遭遇した時はもうダメかと」
「世間話をしに来たのであれば他を当たるといい」

 一昔前の魔王であったならば待たせた時点で消し炭にしているところだろうが、運が良かったな。大した用でもなさそうなのでさっさと帰るとするか。

「お、お待ちを。私は商人でして、何かお礼できることがあればと駆けつけた次第でございます」

 食料を再度回収しようとしたところで、男の言葉に動きを止める。

 なるほど礼と来たか、ならば聞いてやらんこともない。
 それにしても男は商人か。そういえば先程戦っていた者が馬車があるとも言っていたか。
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