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第2章 始めての育成を経て、危険人物として知れ渡る
54話 裏・オークの村防衛戦3
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それを聞いたところで、これから逃げる事になる冒険者たちの目が絶望したものに変わる。
「そんな目をしなくても分かっているさ。このままでは勝負にすらならないだろうからな」
そこで手元にいた、鎖に縛られている11人の中で唯一の異世界人ではない冒険者を手放す。
「そこでハンデをやろう。追跡の魔法を除き、私は追いかけるためにスキルや魔法の類いは一切使用しない。この身体能力のみで君たち冒険者と勝負を行おうじゃないか。……そうだな、さらに」
一度そこで言葉を切って転移を行い、すぐに元の場所に戻ってくる。
「君たちが解放された後、ここに転がっている冒険者を1人で今からこの者が作る牢屋へと入れ始め、それが終わった時点で追いかけ始める事とする」
そうして連れてきた妻オークが吸収したマナを提供し、夫オークがそれを使って無言で牢屋を作り始める。
連れてくる前に声は出さないようにと、一言入れてからこちらに来たため、それを守っての行動だ。
「私からは以上となるが、何か質問はあるかな? 無論、これに関しては口を開いても咎めない事とする」
すると即座に鎖に繋がれた冒険者の1人から声が上がる。
「スキルや魔法を使用しないって言っても俺たちにはわからないし、その保証がないじゃないか!」
そんなくだらない質問が。
答えは自分の立場を考えて物を言え、だ。
「ハァ……、そんなものが必要なのか? そう言うのであれば、別に今すぐ消えて貰ってもいいのだぞ?」
それを聞いて冒険者は黙ってしまったため、次を促す。
「他にはないのか? 無いなら始めてしまうが」
しかし、どうやら同じような事しか考えていなかったらしく、質問は最初の1つで途切れてしまう。
「……2つ、いいか?」
そうしてそろそろ始めようかと思った所で、声が聞こえてくる。
それはさっき手放したというのに、未だに俺の近くにいる冒険者からだ。
「言ってみるといい」
「……ならまず1つ。何でわざわざこんな事をするんだ? あんたの言うようにさっさと消してしまえばそれで済むはずだろ」
「ふむ、それは簡単だ。冒険者諸君がオークたちの住処にもやって来たように、魔王軍側にいる弱き者たちを貶めては楽しんでいるようだからな。たまには追いかけられる側の気分を味わってみてはどうかと思ってな」
もっとも、これは計画の一部分。
恐怖によって俺という存在をここにいる冒険者たちに刻み込むという目的が無いこともないが、望む結果はさらにその先。
「……では、2つ目はなんだ」
すると、その冒険者は村の方へと目を向ける。
「俺たちのうちの誰か1人でも森の外に出られたら、この場に倒れている冒険者は全員見逃すと言っていたが、反対側の奴らは? それにもし捕まったら、その本人は……いや、最後のは忘れてくれ。これじゃ3つになっちまう」
……こんな時だというのに他人の心配か。
まあ、この冒険者はさっきもそんな感じだったが。
クロエが視覚交換の魔法を使った事で多数の冒険者が倒れた時に、同じように鎖で縛られている他の異世界人はすぐに仲間を見捨てて逃げようとしたのに、目の前の人物……クラウンだけが倒れた仲間を心配する様子を見せていた。
クラウンは少しお人好しの部分が強いようだが、まあ今回は悪いようにはしないさ。
少しばかり脅かす事にはなるだろうが。
……いや、かなりか。
「もちろんあちら側の冒険者も含めてだ。もっとも、既に消してしまった者は戻せないが、多数は捕まえて今は牢屋の中にいる。ついでだ、3つ目はオマケに答えよう。捕まえる度にここに戻ってくるつもりはないし、逃げた者は触れられた時点で終わり。それが答えだ。これで満足か?」
「ああ、十分だ」
そうして捕縛の魔法を解除する。
それに伴い鎖が消滅し、11人の冒険者が自由に動けるようになる。
「では始めようか」
途端に弾けるようにして、散り散りに冒険者が森の中へと入っていく中で、
「……やられる側の気分、か」
そう呟いたのが聞こえてきた後で、クラウンもまた走り出した。
「そんな目をしなくても分かっているさ。このままでは勝負にすらならないだろうからな」
そこで手元にいた、鎖に縛られている11人の中で唯一の異世界人ではない冒険者を手放す。
「そこでハンデをやろう。追跡の魔法を除き、私は追いかけるためにスキルや魔法の類いは一切使用しない。この身体能力のみで君たち冒険者と勝負を行おうじゃないか。……そうだな、さらに」
一度そこで言葉を切って転移を行い、すぐに元の場所に戻ってくる。
「君たちが解放された後、ここに転がっている冒険者を1人で今からこの者が作る牢屋へと入れ始め、それが終わった時点で追いかけ始める事とする」
そうして連れてきた妻オークが吸収したマナを提供し、夫オークがそれを使って無言で牢屋を作り始める。
連れてくる前に声は出さないようにと、一言入れてからこちらに来たため、それを守っての行動だ。
「私からは以上となるが、何か質問はあるかな? 無論、これに関しては口を開いても咎めない事とする」
すると即座に鎖に繋がれた冒険者の1人から声が上がる。
「スキルや魔法を使用しないって言っても俺たちにはわからないし、その保証がないじゃないか!」
そんなくだらない質問が。
答えは自分の立場を考えて物を言え、だ。
「ハァ……、そんなものが必要なのか? そう言うのであれば、別に今すぐ消えて貰ってもいいのだぞ?」
それを聞いて冒険者は黙ってしまったため、次を促す。
「他にはないのか? 無いなら始めてしまうが」
しかし、どうやら同じような事しか考えていなかったらしく、質問は最初の1つで途切れてしまう。
「……2つ、いいか?」
そうしてそろそろ始めようかと思った所で、声が聞こえてくる。
それはさっき手放したというのに、未だに俺の近くにいる冒険者からだ。
「言ってみるといい」
「……ならまず1つ。何でわざわざこんな事をするんだ? あんたの言うようにさっさと消してしまえばそれで済むはずだろ」
「ふむ、それは簡単だ。冒険者諸君がオークたちの住処にもやって来たように、魔王軍側にいる弱き者たちを貶めては楽しんでいるようだからな。たまには追いかけられる側の気分を味わってみてはどうかと思ってな」
もっとも、これは計画の一部分。
恐怖によって俺という存在をここにいる冒険者たちに刻み込むという目的が無いこともないが、望む結果はさらにその先。
「……では、2つ目はなんだ」
すると、その冒険者は村の方へと目を向ける。
「俺たちのうちの誰か1人でも森の外に出られたら、この場に倒れている冒険者は全員見逃すと言っていたが、反対側の奴らは? それにもし捕まったら、その本人は……いや、最後のは忘れてくれ。これじゃ3つになっちまう」
……こんな時だというのに他人の心配か。
まあ、この冒険者はさっきもそんな感じだったが。
クロエが視覚交換の魔法を使った事で多数の冒険者が倒れた時に、同じように鎖で縛られている他の異世界人はすぐに仲間を見捨てて逃げようとしたのに、目の前の人物……クラウンだけが倒れた仲間を心配する様子を見せていた。
クラウンは少しお人好しの部分が強いようだが、まあ今回は悪いようにはしないさ。
少しばかり脅かす事にはなるだろうが。
……いや、かなりか。
「もちろんあちら側の冒険者も含めてだ。もっとも、既に消してしまった者は戻せないが、多数は捕まえて今は牢屋の中にいる。ついでだ、3つ目はオマケに答えよう。捕まえる度にここに戻ってくるつもりはないし、逃げた者は触れられた時点で終わり。それが答えだ。これで満足か?」
「ああ、十分だ」
そうして捕縛の魔法を解除する。
それに伴い鎖が消滅し、11人の冒険者が自由に動けるようになる。
「では始めようか」
途端に弾けるようにして、散り散りに冒険者が森の中へと入っていく中で、
「……やられる側の気分、か」
そう呟いたのが聞こえてきた後で、クラウンもまた走り出した。
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