ひねくれぼっちが異世界転生したら雑兵でした。~時には独りで瞑想したい俺が美少女とイケメンと魔物を滅すらしい壮大冒険譚~

アオイソラ

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第一部ヴァルキュリャ編  第二章 コングスベル

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 俺は確認をするようにまばたきをしてみた。
 その度に闇に包まれる。
 う~ん、さっきのも、俺が瞬きをしたみたいだな。
 ゲイロルルは変わらず白銀に輝いているもんなぁ。

 
『何を知りたい』
 
「えっとっ、初代ヴァルキュリャが生んだ子どものことを聞きたいです。私達はヴァビーって呼ぶことにしたんですけど」
 
『子の何を』

「親とか……本当にヴァルキュリャの子なんでしょうか、父親は誰なんでしょうか」

『知らぬ』

「う゛っっ、そ、そうですか。力を封印されたとかいう話ですが、そんなすごい力を持ってたんでしょうか。どんな封印なのでしょうか」

あれ・・は……、いや、ヴァビーだったな、やはり混ざっていたが神に近かった』

「え?!?!」

『オージンに頼まれて籠を編んだ。ヴァルキュリャ十一人と……オージン自身も加わっているだろう』

「かご……ですか?」

『偉大なる力を封印するための籠だ。複数の力で編むことで、神のような図外れの力も閉じ込め封ずることが出来る。一度ひとたび成されれば破れることはまずない、厳重な封印の型だ』

「……そんな……」


 期待できないと思ってた、どーせ「知らぬ」で終了だろぉって。
 だからまさかの重大情報、一気に核心をゲットか?! て興奮したさっ。
 だけど、破れることがないっ?!
 それじゃあ、困るんだがっっ!!


「っそんなに、解けない封印なんですか? いや、ほら、何百年も経ってるし、対象自体は何世代も生まれ変わって別の人間だし。何かの拍子で閉じ込められた力が暴走したりとか……、あ、あったら大変じゃないですか、だから、可能性があるなら知っておかないとって」

『困るのか』


 ドキッッ!! とした。
 心の中を読まれたようで。
 いやいやいや、自分で誤魔化して言ったんじゃないか。
 封印が解けたら・・・・困るんだって。
 ビビるな俺っ!


「困りますよっ」

の力を解放する方法すべがなければ、友人を救えないからか』

「は、え、うぇっっ、ぇえっっ?!?!」


 今なんつった?! え?! おかしくない?!?!
 聞き間違えか? え、ちょっと待って、ちょっと落ち着こう、あれ?!
 俺の心……


『恐れなくて良い。目的が封印を解くことであろうと、お前達を消したり・・・・などしない。……誰かに話したりもしない。もはや何にも関わる気はないのだ。ただ、お前が真実を知りたいと聞いてくるから、お前の真実も見せて貰っているだけだ』


 読まれてるのか……っ。
 だぁーっと身体中から変な汗が流れ出した。
 信じて良いのか?
 俺の真実・・を話しても良いのか?
 そしたら、知っている真実・・を教えてくれるのか?
 いや、でも、そんなに単純な話でもないはずだ。
 ゲイロルルだって、元は人間だ。


「何言ってるんですか、いくら無関心だからって、そんなこと、ないでしょう。オージン神の施された封印を解くなんて、許されることじゃありませんっ。見過ごしたら共犯と思われますしっ。私は、封印が解けたら困るなぁって、考えられる可能性を全部排除しておきたいだけで」

『籠の封印を破ることは出来ない。例え、かけた者全てが倒れた後でも。可能性など万に一つもない。だが、ヴァビーの封印に限っては解く方法がある。知っているのは私だけだ』

「まっっ」

『籠を編む時、ほどく口を残して編んだ。破ることは出来ない強固な籠でも、ほどき口があれば解ける。どうする? 見過ごしたらお前は共犯だな』


 え? え? え???
 な、何て言った? 籠を編む時??


「な、なんでそんなことを……。籠を頼まれたのってヴァビーが生まれてすぐのことですよね? ヴァルキュリャのみんな、初代の裏切り行為に動揺して、初代やヴァビーのことは良く思っていないはずなのに。そんな、……オージンを裏切るようなことっ」

『裏切りではない。現に今もなお封印は解かれていない』


 なんて相手だ。
 美しい顔は彫像のように少しも変わらない。
 とんでもないことだろうに、淡々と無表情で語ってる。
 そして、語ること全部が正しいって思わされてしまう。
 神って、こういう感じなんじゃないか。


『私とてファストルの裏切りは受け入れられぬことだった。ほとんどのヴァルキュリャが思ったのと同様、ヴァビーなど、すぐにもオージンの御許みもとに捧げるべきだと思っていた。だが、オージンは許されたのだ。ファストルもヴァビーも。オージンの御心みこころは私などに推し量れるものではなかった。その慈愛の深さをただただ畏敬した。だから、オージンがヴァビーを連れて現れた時、私はファストルを許してくれたオージンに深い感謝を告げた。だがオージンの反応は不自然だった。私は疑いを抱いた。オージンは何かを隠している』

「それで……籠に仕掛けを残したのですか……」


 真実・・だ、と思った。
 表情は読めないけど、こんな嘘、つく理由がない。


『封印を解きたいなら言うといい。力になろう』

「……どうして。突然出てきた俺なんかに」

『……エルドフィン・ヤール、お前は人間が好きか?』
 
 
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