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第一部ヴァルキュリャ編 第二章 コングスベル
吟遊詩人《バード》
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「ふぁああわ」
「エルドフィン……」
「し、失礼。昨日、良く眠れなくて、すんません」
せまっくるしい空間でアセウスは俺を見て眉をひそめた。
近ぇから、振り向くなって。
俺も倣うように首を捻って顔を背けた。
古びた獣皮が視界を遮る。
獣皮のテントっつーのも、なかなか味がある。
ヨルダール邸を出た翌日、俺達はヤクモの案内で二人の吟遊詩人を訪ねていた。
一人目は二十歳過ぎくらいの、がたいのいい男だった。
見た目は極めて普通の男で、昨日の吟遊詩人が特別だったと分かった。
ヴァルキュリャにまつわる話は市井に広まっている程度の話しか知らぬと笑い、がたいのいい吟遊詩人は頭をかいた。擬音語はガハハだ。
昨日の吟遊詩人が、以下略。
俺達も笑って、そのまま別れの挨拶をした。
二人目は町の外れ、林の中に、仮の居を構えている、年齢不詳の老人という話だった。
林の中にあったのは、想像よりも立派なテントだった。
初のテント体験にちょっとウキウキしたけど、でかい男二人と存在自体がうるさい少年が入ったら、まぁ、想像の通りだ。
パーソナルスペースが三メートルくらい欲しいっっ。
酸素が足りないのか、吟遊詩人の語りがボソボソと途切れ途切れだからか、気がつけば俺は眠気と戦っている。
そして、堪えきれなかったあくびが出る度に、アセウスに冷たい目を向けられていた。
というわけだ。
別にいいじゃん! わざとじゃない生理現象くらい。
眠れなかったのは誰のためだよ。俺が勝手にやってるんだけどさ。
今日二人目の吟遊詩人は、身体つきを見た感じでは、四十代くらいに見えた。
この世界では十分老人だが、前世を知ってる俺からしたら、まだまだ中年だ。
もっとハキハキ喋ってくれと言いたい。
白髪交じりの髪と髭は伸び放題といった感じで、ひきこもりしたアル・パチーノかよ。
ヴァルキュリャ絡みの話はいくつか知っていると言うので、思い付く限り、全て話して貰うことになった。
流石ベテラン、商売が巧い。
確かに、今日一人目のガハハ男よりは、多くの話を知っていた。
だが、ガハハ男が無報酬で披露した、市井に広まる神話ですらも、ちゃっかり金を取りやがった。
「昔、この地は美しい川の恵みを受けた。ナウマと呼ばれたその川は、どこまでも流れ続け、この地を遥か遠い地と結んだ。山と、海と、湖と、平地と、すべてを繋いだ、美しい女神の恵みだ。神は美しい川をより美しく映えさせる、美しい谷を作られた。美しい川と谷を輝かせる、美しい木を植えられた。世界で最も美しい川と谷、そして神の木の森。神の姿に似せて作られた人間はその美しい地に住んだ。中でも最も優れた血族、美しく、神に愛された一族は、神から尊い名を授かる。その名は神聖なこの地そのもの。それが、ヨルダール家だ。灰色の鬚が人間からヴァルキュリャをお作りになった時、ヨルダール家を選ばれたのは至極当然のことと分かるだろう」
「俺らが歩いてきた、あの川と谷?」
吟遊詩人が差し出す掌に、一番安い通貨を渡すアセウスに問いかける。
答えたのは吟遊詩人だった。
「どちらから来られた?」
「東の門からです。北から、川沿いの岩道を歩いて」
「魔術師の魔法陣か」
「はい、そうです」
「魔法陣から導く川とは違う。町の中心を貫く川をご覧になったかな? まだなら、ここを出た帰りにでも見るといい。林の脇を南北に流れる大きな川だ。昔、ヨルダール家の屋敷は川の向こう側の山上にあった。今も屋敷は残っている」
「なんで、川を渡って屋敷を引っ越したんですか? って、あ、これ有料?」
つい会話に割って入ったものの、後ずさった俺を見て吟遊詩人は笑った。
若い笑いだった。
なんだ、そんな風に笑えるんじゃんよ。
「対価を求める時は、答える前に告げるゆえ安心するといい。川を渡ったのは十年も経たぬ近年のことだ。理由は明白、『神の牧草地』へ立ち入るのにいちいち山を下り川を渡っていては苦労だからな。さて、次の話も聞かれるか?」
吟遊詩人は上機嫌な微笑みで、再び掌を差し出した。
料金は、半金前払い残額後払い形式だ。
話を聞くと決めたら通貨を一枚、二枚分の話を終えたら吟遊詩人が手を差し出し残金のもう一枚を請求する。
聞いた話が通貨二枚分に値しないと思えば、俺らは支払いを断れる。
吟遊詩人《バード》は、俺らが納得できるような話を追加で語るか、残金を諦めるかの選択をする。
多くの話を語る時に使う支払方法らしい。
吟遊詩人は惜し気もなく、一回に三つ四つの話を語った。
情報量多くねぇ?! 俺らは得をした気分になった。
中には、ガハハ男と同じ、皆が知ってるような話も混ざってはいたさ。
けど、通貨二枚では安いんじゃねぇ? って俺らは通貨を渡し続けている。
何回払った後だろう。完全にやられたっ!! と気がついた。
ネットサーフィンと同じ罠だ。
情報の量と新しさは、価値があるものを得たように錯覚させる。
その大半は必要としていない情報で、費やした対価はドブに捨てているようなものなのだが。
気づいた時はベテラン吟遊詩人にしてやられた!! と癪だった。
だが、すぐに、考えを改めた。
情報源が限られているこの世界で、ネットサーフィンがどれだけの価値があると思う?
必要のない情報っつーけど、ネットサーフィンよりは精度が高い。
少なくとも全くのカテ違いや、コピペ情報を何度も見せられることはないんだぜ。
そこに吟遊詩人っつー選別者がいるからだ。
情報オーバーフロー大歓迎だろ!
「エルドフィン……」
「し、失礼。昨日、良く眠れなくて、すんません」
せまっくるしい空間でアセウスは俺を見て眉をひそめた。
近ぇから、振り向くなって。
俺も倣うように首を捻って顔を背けた。
古びた獣皮が視界を遮る。
獣皮のテントっつーのも、なかなか味がある。
ヨルダール邸を出た翌日、俺達はヤクモの案内で二人の吟遊詩人を訪ねていた。
一人目は二十歳過ぎくらいの、がたいのいい男だった。
見た目は極めて普通の男で、昨日の吟遊詩人が特別だったと分かった。
ヴァルキュリャにまつわる話は市井に広まっている程度の話しか知らぬと笑い、がたいのいい吟遊詩人は頭をかいた。擬音語はガハハだ。
昨日の吟遊詩人が、以下略。
俺達も笑って、そのまま別れの挨拶をした。
二人目は町の外れ、林の中に、仮の居を構えている、年齢不詳の老人という話だった。
林の中にあったのは、想像よりも立派なテントだった。
初のテント体験にちょっとウキウキしたけど、でかい男二人と存在自体がうるさい少年が入ったら、まぁ、想像の通りだ。
パーソナルスペースが三メートルくらい欲しいっっ。
酸素が足りないのか、吟遊詩人の語りがボソボソと途切れ途切れだからか、気がつけば俺は眠気と戦っている。
そして、堪えきれなかったあくびが出る度に、アセウスに冷たい目を向けられていた。
というわけだ。
別にいいじゃん! わざとじゃない生理現象くらい。
眠れなかったのは誰のためだよ。俺が勝手にやってるんだけどさ。
今日二人目の吟遊詩人は、身体つきを見た感じでは、四十代くらいに見えた。
この世界では十分老人だが、前世を知ってる俺からしたら、まだまだ中年だ。
もっとハキハキ喋ってくれと言いたい。
白髪交じりの髪と髭は伸び放題といった感じで、ひきこもりしたアル・パチーノかよ。
ヴァルキュリャ絡みの話はいくつか知っていると言うので、思い付く限り、全て話して貰うことになった。
流石ベテラン、商売が巧い。
確かに、今日一人目のガハハ男よりは、多くの話を知っていた。
だが、ガハハ男が無報酬で披露した、市井に広まる神話ですらも、ちゃっかり金を取りやがった。
「昔、この地は美しい川の恵みを受けた。ナウマと呼ばれたその川は、どこまでも流れ続け、この地を遥か遠い地と結んだ。山と、海と、湖と、平地と、すべてを繋いだ、美しい女神の恵みだ。神は美しい川をより美しく映えさせる、美しい谷を作られた。美しい川と谷を輝かせる、美しい木を植えられた。世界で最も美しい川と谷、そして神の木の森。神の姿に似せて作られた人間はその美しい地に住んだ。中でも最も優れた血族、美しく、神に愛された一族は、神から尊い名を授かる。その名は神聖なこの地そのもの。それが、ヨルダール家だ。灰色の鬚が人間からヴァルキュリャをお作りになった時、ヨルダール家を選ばれたのは至極当然のことと分かるだろう」
「俺らが歩いてきた、あの川と谷?」
吟遊詩人が差し出す掌に、一番安い通貨を渡すアセウスに問いかける。
答えたのは吟遊詩人だった。
「どちらから来られた?」
「東の門からです。北から、川沿いの岩道を歩いて」
「魔術師の魔法陣か」
「はい、そうです」
「魔法陣から導く川とは違う。町の中心を貫く川をご覧になったかな? まだなら、ここを出た帰りにでも見るといい。林の脇を南北に流れる大きな川だ。昔、ヨルダール家の屋敷は川の向こう側の山上にあった。今も屋敷は残っている」
「なんで、川を渡って屋敷を引っ越したんですか? って、あ、これ有料?」
つい会話に割って入ったものの、後ずさった俺を見て吟遊詩人は笑った。
若い笑いだった。
なんだ、そんな風に笑えるんじゃんよ。
「対価を求める時は、答える前に告げるゆえ安心するといい。川を渡ったのは十年も経たぬ近年のことだ。理由は明白、『神の牧草地』へ立ち入るのにいちいち山を下り川を渡っていては苦労だからな。さて、次の話も聞かれるか?」
吟遊詩人は上機嫌な微笑みで、再び掌を差し出した。
料金は、半金前払い残額後払い形式だ。
話を聞くと決めたら通貨を一枚、二枚分の話を終えたら吟遊詩人が手を差し出し残金のもう一枚を請求する。
聞いた話が通貨二枚分に値しないと思えば、俺らは支払いを断れる。
吟遊詩人《バード》は、俺らが納得できるような話を追加で語るか、残金を諦めるかの選択をする。
多くの話を語る時に使う支払方法らしい。
吟遊詩人は惜し気もなく、一回に三つ四つの話を語った。
情報量多くねぇ?! 俺らは得をした気分になった。
中には、ガハハ男と同じ、皆が知ってるような話も混ざってはいたさ。
けど、通貨二枚では安いんじゃねぇ? って俺らは通貨を渡し続けている。
何回払った後だろう。完全にやられたっ!! と気がついた。
ネットサーフィンと同じ罠だ。
情報の量と新しさは、価値があるものを得たように錯覚させる。
その大半は必要としていない情報で、費やした対価はドブに捨てているようなものなのだが。
気づいた時はベテラン吟遊詩人にしてやられた!! と癪だった。
だが、すぐに、考えを改めた。
情報源が限られているこの世界で、ネットサーフィンがどれだけの価値があると思う?
必要のない情報っつーけど、ネットサーフィンよりは精度が高い。
少なくとも全くのカテ違いや、コピペ情報を何度も見せられることはないんだぜ。
そこに吟遊詩人っつー選別者がいるからだ。
情報オーバーフロー大歓迎だろ!
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