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第一部ヴァルキュリャ編 第一章 ベルゲン
魔王の影
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「まぉ…………。ふぇっっ?!?!」
ぽーんっと脳内にぷにぷにのスライムが落ちてきて、楽しそうに跳ね回る。
いやいや、その魔王じゃねぇだろっ。
なぜにあんな特殊ケースの魔王を思い出す。落ち着け俺っ。
「もう一度言おうか? 俺の中でのエルドフィンのイメージは、『魔王』」
「え?! 魔王?! 魔王ってあの、悪魔の王様の魔王?」
「ふふっ ぃやー、本人前にして言うとさすがに抵抗があるね。自分のイメージを聞いたエルドフィンの感想は?」
「え、いや。正直予想外というか、想定の範疇を超えたというか、……困惑してます」
だって、熱血根性ドリーマーだろ?
いままで見たエルドフィンの記憶の中でも、悪意とか否定的な感情は一つも残されていなくて、
純粋にアセウスとの旅を楽しんで、
自分の周囲の多くに感謝していて、
人のためになることをしたいと考えて、
目標に向けて行動することを惜しまない。
町ノ子ドモタチニモ、家ノ近所ノ人々ニモ、セウダ部隊デモ、旅先デモ
良ク人ヲ見テハ 分ケ隔テナク優シク、
慕ワレテ、イツモ笑顔二囲マレテイテ、
両親ヤ アセウスノコトヲ トテモ大事二、イツモ気ニカケテ、見守ッテイタ。
心身トモニ 力強ク、揺ラガナイ信念ハ 頼モシク。
余計ナコトハ言ハナイケレド、イツモ大事ナ言葉ハエルドフィンガ言ッテイタ。
って雨ニモマケズかっ
サウイフモノニっっ、う゛ぁあっっ嫌過ぎる!!
自己肯定感の低いアセウスが、曇り一つない光として憧れていたエルドフィン。
そのエルドフィンのイメージが「魔王」だって?
そりゃあ人の抱く印象なんてものは、本人の行動や感情と一致するとは限らない。
自分ではいいことをした、と行動と感情を記憶しても、
他人からしたら、気のきかないズレた奴とか、わざとらしいうざい奴とか、記憶に残らないとか、そんな痛い奴いっぺぇ居た。オンリーワン世代なんてそんな奴ばっかりだった。
でも、エルドフィンの記憶は俺というひねくれまくった手厳しい人間が客観視しても「好青年」なイメージは確実だった。
言うならむしろ「目立たず名脇役に徹しようとする勇者」だ。
それとも、俺の知らないエルドフィンが存在するのか?
アセウスのやつ、タクミさんにどんな話をしてるんだよ?
「そうだよね、くっくっく。いや、俺もさ、これを本人に言う日がくるとは思っていなかったから、なんていうか、ありがとう。本当にエルドフィンはおもしろいね」
「いや、そりゃ、普通はこんなこと、聞けないですよ。聞くようなやつに、本音なんか話したくないし。こちらこそ、話してくれて、ありがとうゴザイマス」
「いえいえ、俺変人だからさ。これからも遠慮なくどうぞ。といっても、イメージと違ったから話してるってとこはあるけど」
「! ……ですよね」
イメージと違った、分かっていたけれどグサリと何かが胸に刺さる。
「アセウスの話に出てくるエルドフィンはさぁ、俺の経験や常識を超えてるんだ。アセウスが五歳の頃だとすると、俺は二十五歳だろ? 二十年以上生きてきて、それなりに苦労もしてさぁ、魔力のせいで偏ってしまったとは思うけど、人間を数多く見てきた。それを軽く超えてきてね。そんな五歳がいるのか? って最初は疑っていたよ」
五歳、アセウスと初めて会った頃の話?
そんなこと何かあったっけ?
後で記憶全部見てみるか……
「それから何回もアセウスから話を聞くたびに、普通の子どもじゃないって思った。同い年の子どもの目を通してだから多少の誇張はあると差し引いても、ちょっとできすぎてる。その頃から一度会ってみたいとは思っていたんだ。アセウスが完全に魅了されていくのも目の当たりにしたしねぇ~、エルドフィンとしてはアレ、自覚あるの?」
にやにやとタクミさんが返事を求める。
知らねぇわ、俺じゃねーしっ
つーか、本人前にしてそーゆーこというのか? 社交イケメンやらしいぞっ
「うーん……これといって記憶はないんですけど、そんなことがあったなら昔を思い出してみようかなぁ」
俺はしれっと答える。
出来すぎてるのも、魅了されていくのも、俺の見たのと一緒だ。
俺の知らないエルドフィンがいるわけではないことを知って大分安心した。
「エルドフィン自身にとっては、相手が抱いたほど大した印象的なことではない、か。本当にそんな子どもが存在してたのか……。俺はさ、人間が嫌いだったからエルドフィンにも懐疑的だったんだ。アセウスには良い影響しか与えていないようだったから、黙って様子を見ていたけど、悪意が少しでも見えたら排除するつもりだった。だからキミが恐ろしかったよ」
「え……?」
「子どもの癖に美徳エピソードばかりで完璧、アセウスは心酔しきっていて一番の信頼を寄せている。もし、エルドフィンと戦うことになれば俺に勝ち目があるかは分からない。負けた時はもちろん、勝てたとしても、俺の失うものは大きい。二十も年下の子どもにだよ、馬鹿げているとは思うけど、それくらいの空恐ろしさがあったんだ。まるで『魔王』だって思った。大事なものは全部その手の中に握られていて、自分も含めて皆が魅了されていて、魔王が悪意の爪を立てるまで自分達が囚われた獲物だなんて気づかない」
真剣に語るタクミさんからは、本気が伝わってきた。
俺も人間不信の塊だから理解できた。
エルドフィンには付け入る隙が無さすぎるんだ。
完全、には作為を感じる、そして、大抵の作為の影には悪意が潜む。
一度疑いを抱いてしまったら、底知れぬ恐怖が憑きまとい続け離れない。
「すみません……。天使の横に魔王がつきまとっていたら、それは心配ですよね」
「ぷっっ! 本当におもしろいな、エルドフィンは」
「え?!」
「気になった時すぐに会いに行くべきだったなぁ。問題から逃げたせいで、不要な不安に煩わされた。キミらがやって来たあの日だって、エルドフィンの名を聞いて俺は少なからず緊張してたんだぜ」
えぇ……と、つまり、それは、「魔王」と向かい合うのが怖かった。だよな?
実際会ってみたら「違った」けど。
お茶を飲みながらふんわり眺めているように見えるけど、
タクミさんの視線は俺を品定めするように容赦ない、気がした。
俺は空唾を飲み込んだ。
「こんなにフツーも普通だなんて、どーゆーことだよ、エルドフィン」
愉快そうにタクミさんは笑う。
俺も合わせて笑った。
たぶん気づかれはしないくらいに、ぎこちなく。
「何かあって、変わったとか? 真っ直ぐな人間ほど、社会の枠組みの窮屈さを味わった時の反動は大きいから。アセウスの語るエルドフィンは、真っ直ぐで濁りがなかった。あ、お茶のおかわり入れよう」
今日のお茶はワインみたいに赤みがかった色だった。
ナッツか、ゴマか、豆か? みたいな香ばしい匂いと風味がした。
「これも、身体に良いお茶ですか?」
「あぁ、口に合うかな?」
「あ、はい、美味しいです」
「よかった」
タクミさんはニッコリ笑って、ルビー色の液体を注いだ。
お茶を飲むとリラックスできる。
俺はお茶で舌を湿らせて会話を続けた。
「これといってきっかけがあったわけじゃないんですけど(いや、あったけどな)、変わったんです。昔は、俺も覚えてるけど、夢とか目標に向かって一生懸命になれたし、迷いなんかなく信じるものや大切なものに全力を投じてた(エルドフィンがな)。ほんと最近なんですけど、やるきがなくなっちゃって、性格もひねくれちゃって、人間嫌いになったもんでコミュ障……あー人付き合い苦手になっちゃいまして(自分で言ってて俺、終わってんな)。自分でも正反対だなって思うので、昔と比べられるのが結構苦痛で……もう別人だと思って欲しい……(実際別人だからな)、っていうのが本音なんです」
「なるほど」
「ソルベルグ家の人達にも期待してたのと違ったってがっかりされました。ハッキリそう言われた訳じゃありませんけど、そのやんわりとほのめかす優しさも申し訳ないっていうか。正直しんどいです」
うわー、俺、口滑ってるっ。
別物扱いして貰うために、客観的には別人っつー実例を上げるつもりが、どこからどー聞いても愚痴になってるっっ
正直しんどいですって、何タクミさんにお悩み相談してんだ俺ぇーっっ
「正反対って訳でもないとは思うけどね、まぁ、別人と思う方がしっくりくることは否めないな」
う、良かった! 大人な対応。
なんとか希望の着地点に収まってくれたみたいだ。
俺は火照る顔を冷まそうと、身体を大きく揺らしたり、頭を大袈裟に振ったりした。
いや! 急にこの動きって不審じゃねぇか?
落ち着け! 落ち着くんだ俺!
無理矢理深呼吸をして、話題を変える。
「タクミさんに正直なお話を聞けて、本音を言えて、少し重荷が減りました。話せて良かったです。だからこれも言っておきたいと思うんですけど、タクミさんが俺を魔王じゃないかって恐れた気持ち、俺、すごく良くわかります」
「えっっっ? いや、むしろ申し訳ないので、そこは、笑い飛ばして貰えれば……」
タクミさんが苦笑いをして手を横に振る。
しかーしっタクミさんには悪いが、笑い飛ばすには勿体無いネタなのだ。
俺という人間を分かって貰うのにちょうどいいチャンス。
俺は、本気目にタクミさんに語りかけた。
「昔の俺は、今の俺からしても、出来すぎててすげぇ胡散臭いデス。アセウスはあーゆー天然記念物級のいいやつだから、何一つ疑うことなく憧れちまうのも無理はないけど、外から見たら誰だって裏を疑うのは普通だと思う。人生経験豊富なタクミさんが、警戒したのは当然だと思います」
「エルドフィン……?」
ぽーんっと脳内にぷにぷにのスライムが落ちてきて、楽しそうに跳ね回る。
いやいや、その魔王じゃねぇだろっ。
なぜにあんな特殊ケースの魔王を思い出す。落ち着け俺っ。
「もう一度言おうか? 俺の中でのエルドフィンのイメージは、『魔王』」
「え?! 魔王?! 魔王ってあの、悪魔の王様の魔王?」
「ふふっ ぃやー、本人前にして言うとさすがに抵抗があるね。自分のイメージを聞いたエルドフィンの感想は?」
「え、いや。正直予想外というか、想定の範疇を超えたというか、……困惑してます」
だって、熱血根性ドリーマーだろ?
いままで見たエルドフィンの記憶の中でも、悪意とか否定的な感情は一つも残されていなくて、
純粋にアセウスとの旅を楽しんで、
自分の周囲の多くに感謝していて、
人のためになることをしたいと考えて、
目標に向けて行動することを惜しまない。
町ノ子ドモタチニモ、家ノ近所ノ人々ニモ、セウダ部隊デモ、旅先デモ
良ク人ヲ見テハ 分ケ隔テナク優シク、
慕ワレテ、イツモ笑顔二囲マレテイテ、
両親ヤ アセウスノコトヲ トテモ大事二、イツモ気ニカケテ、見守ッテイタ。
心身トモニ 力強ク、揺ラガナイ信念ハ 頼モシク。
余計ナコトハ言ハナイケレド、イツモ大事ナ言葉ハエルドフィンガ言ッテイタ。
って雨ニモマケズかっ
サウイフモノニっっ、う゛ぁあっっ嫌過ぎる!!
自己肯定感の低いアセウスが、曇り一つない光として憧れていたエルドフィン。
そのエルドフィンのイメージが「魔王」だって?
そりゃあ人の抱く印象なんてものは、本人の行動や感情と一致するとは限らない。
自分ではいいことをした、と行動と感情を記憶しても、
他人からしたら、気のきかないズレた奴とか、わざとらしいうざい奴とか、記憶に残らないとか、そんな痛い奴いっぺぇ居た。オンリーワン世代なんてそんな奴ばっかりだった。
でも、エルドフィンの記憶は俺というひねくれまくった手厳しい人間が客観視しても「好青年」なイメージは確実だった。
言うならむしろ「目立たず名脇役に徹しようとする勇者」だ。
それとも、俺の知らないエルドフィンが存在するのか?
アセウスのやつ、タクミさんにどんな話をしてるんだよ?
「そうだよね、くっくっく。いや、俺もさ、これを本人に言う日がくるとは思っていなかったから、なんていうか、ありがとう。本当にエルドフィンはおもしろいね」
「いや、そりゃ、普通はこんなこと、聞けないですよ。聞くようなやつに、本音なんか話したくないし。こちらこそ、話してくれて、ありがとうゴザイマス」
「いえいえ、俺変人だからさ。これからも遠慮なくどうぞ。といっても、イメージと違ったから話してるってとこはあるけど」
「! ……ですよね」
イメージと違った、分かっていたけれどグサリと何かが胸に刺さる。
「アセウスの話に出てくるエルドフィンはさぁ、俺の経験や常識を超えてるんだ。アセウスが五歳の頃だとすると、俺は二十五歳だろ? 二十年以上生きてきて、それなりに苦労もしてさぁ、魔力のせいで偏ってしまったとは思うけど、人間を数多く見てきた。それを軽く超えてきてね。そんな五歳がいるのか? って最初は疑っていたよ」
五歳、アセウスと初めて会った頃の話?
そんなこと何かあったっけ?
後で記憶全部見てみるか……
「それから何回もアセウスから話を聞くたびに、普通の子どもじゃないって思った。同い年の子どもの目を通してだから多少の誇張はあると差し引いても、ちょっとできすぎてる。その頃から一度会ってみたいとは思っていたんだ。アセウスが完全に魅了されていくのも目の当たりにしたしねぇ~、エルドフィンとしてはアレ、自覚あるの?」
にやにやとタクミさんが返事を求める。
知らねぇわ、俺じゃねーしっ
つーか、本人前にしてそーゆーこというのか? 社交イケメンやらしいぞっ
「うーん……これといって記憶はないんですけど、そんなことがあったなら昔を思い出してみようかなぁ」
俺はしれっと答える。
出来すぎてるのも、魅了されていくのも、俺の見たのと一緒だ。
俺の知らないエルドフィンがいるわけではないことを知って大分安心した。
「エルドフィン自身にとっては、相手が抱いたほど大した印象的なことではない、か。本当にそんな子どもが存在してたのか……。俺はさ、人間が嫌いだったからエルドフィンにも懐疑的だったんだ。アセウスには良い影響しか与えていないようだったから、黙って様子を見ていたけど、悪意が少しでも見えたら排除するつもりだった。だからキミが恐ろしかったよ」
「え……?」
「子どもの癖に美徳エピソードばかりで完璧、アセウスは心酔しきっていて一番の信頼を寄せている。もし、エルドフィンと戦うことになれば俺に勝ち目があるかは分からない。負けた時はもちろん、勝てたとしても、俺の失うものは大きい。二十も年下の子どもにだよ、馬鹿げているとは思うけど、それくらいの空恐ろしさがあったんだ。まるで『魔王』だって思った。大事なものは全部その手の中に握られていて、自分も含めて皆が魅了されていて、魔王が悪意の爪を立てるまで自分達が囚われた獲物だなんて気づかない」
真剣に語るタクミさんからは、本気が伝わってきた。
俺も人間不信の塊だから理解できた。
エルドフィンには付け入る隙が無さすぎるんだ。
完全、には作為を感じる、そして、大抵の作為の影には悪意が潜む。
一度疑いを抱いてしまったら、底知れぬ恐怖が憑きまとい続け離れない。
「すみません……。天使の横に魔王がつきまとっていたら、それは心配ですよね」
「ぷっっ! 本当におもしろいな、エルドフィンは」
「え?!」
「気になった時すぐに会いに行くべきだったなぁ。問題から逃げたせいで、不要な不安に煩わされた。キミらがやって来たあの日だって、エルドフィンの名を聞いて俺は少なからず緊張してたんだぜ」
えぇ……と、つまり、それは、「魔王」と向かい合うのが怖かった。だよな?
実際会ってみたら「違った」けど。
お茶を飲みながらふんわり眺めているように見えるけど、
タクミさんの視線は俺を品定めするように容赦ない、気がした。
俺は空唾を飲み込んだ。
「こんなにフツーも普通だなんて、どーゆーことだよ、エルドフィン」
愉快そうにタクミさんは笑う。
俺も合わせて笑った。
たぶん気づかれはしないくらいに、ぎこちなく。
「何かあって、変わったとか? 真っ直ぐな人間ほど、社会の枠組みの窮屈さを味わった時の反動は大きいから。アセウスの語るエルドフィンは、真っ直ぐで濁りがなかった。あ、お茶のおかわり入れよう」
今日のお茶はワインみたいに赤みがかった色だった。
ナッツか、ゴマか、豆か? みたいな香ばしい匂いと風味がした。
「これも、身体に良いお茶ですか?」
「あぁ、口に合うかな?」
「あ、はい、美味しいです」
「よかった」
タクミさんはニッコリ笑って、ルビー色の液体を注いだ。
お茶を飲むとリラックスできる。
俺はお茶で舌を湿らせて会話を続けた。
「これといってきっかけがあったわけじゃないんですけど(いや、あったけどな)、変わったんです。昔は、俺も覚えてるけど、夢とか目標に向かって一生懸命になれたし、迷いなんかなく信じるものや大切なものに全力を投じてた(エルドフィンがな)。ほんと最近なんですけど、やるきがなくなっちゃって、性格もひねくれちゃって、人間嫌いになったもんでコミュ障……あー人付き合い苦手になっちゃいまして(自分で言ってて俺、終わってんな)。自分でも正反対だなって思うので、昔と比べられるのが結構苦痛で……もう別人だと思って欲しい……(実際別人だからな)、っていうのが本音なんです」
「なるほど」
「ソルベルグ家の人達にも期待してたのと違ったってがっかりされました。ハッキリそう言われた訳じゃありませんけど、そのやんわりとほのめかす優しさも申し訳ないっていうか。正直しんどいです」
うわー、俺、口滑ってるっ。
別物扱いして貰うために、客観的には別人っつー実例を上げるつもりが、どこからどー聞いても愚痴になってるっっ
正直しんどいですって、何タクミさんにお悩み相談してんだ俺ぇーっっ
「正反対って訳でもないとは思うけどね、まぁ、別人と思う方がしっくりくることは否めないな」
う、良かった! 大人な対応。
なんとか希望の着地点に収まってくれたみたいだ。
俺は火照る顔を冷まそうと、身体を大きく揺らしたり、頭を大袈裟に振ったりした。
いや! 急にこの動きって不審じゃねぇか?
落ち着け! 落ち着くんだ俺!
無理矢理深呼吸をして、話題を変える。
「タクミさんに正直なお話を聞けて、本音を言えて、少し重荷が減りました。話せて良かったです。だからこれも言っておきたいと思うんですけど、タクミさんが俺を魔王じゃないかって恐れた気持ち、俺、すごく良くわかります」
「えっっっ? いや、むしろ申し訳ないので、そこは、笑い飛ばして貰えれば……」
タクミさんが苦笑いをして手を横に振る。
しかーしっタクミさんには悪いが、笑い飛ばすには勿体無いネタなのだ。
俺という人間を分かって貰うのにちょうどいいチャンス。
俺は、本気目にタクミさんに語りかけた。
「昔の俺は、今の俺からしても、出来すぎててすげぇ胡散臭いデス。アセウスはあーゆー天然記念物級のいいやつだから、何一つ疑うことなく憧れちまうのも無理はないけど、外から見たら誰だって裏を疑うのは普通だと思う。人生経験豊富なタクミさんが、警戒したのは当然だと思います」
「エルドフィン……?」
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