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序章
人生で一番衝撃的な日の始まり①
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前世24年、現世18年。
トータル42年て、短そうで意外に長い人生だ。
その42年で一番、衝撃的な瞬間だった。
このくそ刹那い、生き甲斐のない世界で、モブとして生きていくしかないと諦めていた。
そんな俺に訪れた、前世で読み漁ったラノベみたいな展開。
超絶可愛くて、エロくて、しかも最強の戦女神の登場。
俺にその力の全てを貸すと専属契約が結ばれた。
俺が喚べばいつでもすぐ現れる。
コスプレだってしてくれる。しかも、結構楽しそうだ。
この美味しすぎる契約の対価は、ただ一つ。
一人の人間を守ること。
戦女神の形代である人間をだ。
――いま、絶対可愛い女の子を想像しただろ?
俺もした!!
か弱くて、可愛くて、戦女神モードとはまた違う魅力で、イチャイチャする日常モード。
そんな対価でいいなんて、美味しすぎて対価にもならん!
思っただろ? 俺も思った!!
だから、人生で一番衝撃的な日になったのだ。
その日は今から3日前に戻る。
フィヨルドの森に鈍い金属音が響き続けていた。
グィンッ……ガィッ……グァキンッ……
「エルドフィン! 大丈夫か?! 少し変わるぞ!」
リザードマンの後方から尻尾を払いながらアセウスが叫んだ。
「いや! このまま押し切ってやる! 隙が見えてきたぜェ!」
俺は剣を振るスピードを加速させて、正面から畳み掛けていた。
くそっっそろそろ決めないと、さすがに疲れが……
俺は幼馴染みのアセウスと森を進んでいた。
森を抜けた先の隣町に、物資交換……いわゆる行商をしに行くためだ。
その道中、はぐれリザードマンと遭遇し、戦闘が始まった。
それから一時間以上はずっとこうしている……。
俺とアセウスは『冷たい青布』を与えられた戦士だ。
といっても少し鍛えた身体能力と微々たる魔力しかない雑兵クラス。
単体のリザードマンは、二人でなんとか、力押しで倒せる魔物である。
ガッ……グァキンッ……グァキンッッ……
鱗が硬すぎて物理攻撃は効かないから、
隙を作って、皮膚が柔らかい腹側から急所を刺す!
そのはずなんだが……
こいつ…この隙、わざと……討たせてる?!
「エルドフィンっ!!」
鈍い痛みとともに身体が数メートルふっ飛ぶ。
疑惑に気を取られて尻尾を避けきれなかった。
やべぇ……頭がちょっとクラっとしてる……
俺はすぐに立ち上がると、アセウスの猛襲を受けているリザードマンへと駆け寄りながら叫んだ。
「アセウスっ!そのまま畳み掛けろォっっ!!」
見える隙を無視して、腕や脚や尻尾を集中して滅多打ちする。
渾身の剣打とアセウスからの猛襲にリザードマンはバランスを崩した。
決めてやるっっ!!
俺の剣先がリザードマンの急所を捉えた。
剣にかかる全体重。
皮膚に刺さっていく感触!
もらったっっ!!
とその時、リザードマンの魔力が急所に集まってくる感覚が……
――まぢかっ、こいつっ!! やべぇ!! 避けられないっっ…
「《守りし槍》っっっ!!」
ズブリと刺さっていく剣を持つ俺と、発光しだしたリザードマンの急所の間に、光を帯びたアセウスの剣が差し込まれたのが見えた。
バシュッッッ!!
――ブァッッワワァッ
――ザザザザザッッ
激しい閃光を放ちリザードマンは自爆した。
爆風と衝撃波が周囲をなぎ払う。
半径10メートルくらいが、えぐられた大地だけになっていた。
むき出しの大地からの砂埃が風に舞っている。
トータル42年て、短そうで意外に長い人生だ。
その42年で一番、衝撃的な瞬間だった。
このくそ刹那い、生き甲斐のない世界で、モブとして生きていくしかないと諦めていた。
そんな俺に訪れた、前世で読み漁ったラノベみたいな展開。
超絶可愛くて、エロくて、しかも最強の戦女神の登場。
俺にその力の全てを貸すと専属契約が結ばれた。
俺が喚べばいつでもすぐ現れる。
コスプレだってしてくれる。しかも、結構楽しそうだ。
この美味しすぎる契約の対価は、ただ一つ。
一人の人間を守ること。
戦女神の形代である人間をだ。
――いま、絶対可愛い女の子を想像しただろ?
俺もした!!
か弱くて、可愛くて、戦女神モードとはまた違う魅力で、イチャイチャする日常モード。
そんな対価でいいなんて、美味しすぎて対価にもならん!
思っただろ? 俺も思った!!
だから、人生で一番衝撃的な日になったのだ。
その日は今から3日前に戻る。
フィヨルドの森に鈍い金属音が響き続けていた。
グィンッ……ガィッ……グァキンッ……
「エルドフィン! 大丈夫か?! 少し変わるぞ!」
リザードマンの後方から尻尾を払いながらアセウスが叫んだ。
「いや! このまま押し切ってやる! 隙が見えてきたぜェ!」
俺は剣を振るスピードを加速させて、正面から畳み掛けていた。
くそっっそろそろ決めないと、さすがに疲れが……
俺は幼馴染みのアセウスと森を進んでいた。
森を抜けた先の隣町に、物資交換……いわゆる行商をしに行くためだ。
その道中、はぐれリザードマンと遭遇し、戦闘が始まった。
それから一時間以上はずっとこうしている……。
俺とアセウスは『冷たい青布』を与えられた戦士だ。
といっても少し鍛えた身体能力と微々たる魔力しかない雑兵クラス。
単体のリザードマンは、二人でなんとか、力押しで倒せる魔物である。
ガッ……グァキンッ……グァキンッッ……
鱗が硬すぎて物理攻撃は効かないから、
隙を作って、皮膚が柔らかい腹側から急所を刺す!
そのはずなんだが……
こいつ…この隙、わざと……討たせてる?!
「エルドフィンっ!!」
鈍い痛みとともに身体が数メートルふっ飛ぶ。
疑惑に気を取られて尻尾を避けきれなかった。
やべぇ……頭がちょっとクラっとしてる……
俺はすぐに立ち上がると、アセウスの猛襲を受けているリザードマンへと駆け寄りながら叫んだ。
「アセウスっ!そのまま畳み掛けろォっっ!!」
見える隙を無視して、腕や脚や尻尾を集中して滅多打ちする。
渾身の剣打とアセウスからの猛襲にリザードマンはバランスを崩した。
決めてやるっっ!!
俺の剣先がリザードマンの急所を捉えた。
剣にかかる全体重。
皮膚に刺さっていく感触!
もらったっっ!!
とその時、リザードマンの魔力が急所に集まってくる感覚が……
――まぢかっ、こいつっ!! やべぇ!! 避けられないっっ…
「《守りし槍》っっっ!!」
ズブリと刺さっていく剣を持つ俺と、発光しだしたリザードマンの急所の間に、光を帯びたアセウスの剣が差し込まれたのが見えた。
バシュッッッ!!
――ブァッッワワァッ
――ザザザザザッッ
激しい閃光を放ちリザードマンは自爆した。
爆風と衝撃波が周囲をなぎ払う。
半径10メートルくらいが、えぐられた大地だけになっていた。
むき出しの大地からの砂埃が風に舞っている。
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