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十四 Iターンの動機
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話を聞く準備が整うのをみて、適当な口上を考え考え述べる。
「須原さん、はじめまして。深見製藍所からみなさまのお迎えに参りました深見千草と申します。製藍所の代表である弥吉は、わたしの父方の祖父にあたります。当面は実家住まいですので、何かとお会いする機会もあると思います。町内や近場への観光案内くらいなら、お役に立てると思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
なるべくていねいをこころがけたが、松葉と神田が会釈を返し、よろしくお願いしますと口にするのに対し、須原はにこりともしなかった。戸惑ったが、ここで争うつもりはないし、彼女の相手は製藍所の面々がするだろう。千草には直接関わってこないはずだと、自分を納得させる。
「では、行きましょうか。製藍所までは、三十分ほどで着きます」
先導していくと、背後で低めの女性の声がぼそりとつぶやいた。
「うざ」
たった二文字に胸をえぐられる。千草は聞こえなかったふりをして、後ろをふりかえる。
「みなさん、スーツケース以外のお荷物って、どうされたんですか?」
「僕は実家に預けてきちゃった」
「俺は処分した。こちらで必要なら、また買えば良いかと思って」
須原は答えない。千草は笑みを深め、車のロックを遠隔で解除し、荷室のドアを開く。
「三列目の椅子はたたんでしまっているので、スーツケースはぜんぶここに入るはずです」
「りょーかい!」
くだけた敬礼をして、神田が自分のスーツケースと須原のものを持ち上げる。こちらは平気そうだなと、運転席に回ると、助手席のドアが開いた。
「須原さんは助手席にどーぞ」
神田がエスコートするように須原を促す。だが、彼女は甘えるような上目遣いになった。
「──あたし、まさくんの隣がいいなぁ」
だが、神田は引かなかった。それを見て、須原は顎で助手席を示しながら、松葉に声をかけた。
「松葉さん、早く座ってよ。からだ大きいんだし、助手席のほうが楽でしょ?」
めまいがした。何が、甲乙つけがたい、だ。聞き分けのない幼児を相手にするような気分で、千草は運転席に収まった。
「すみません、千草さん」
助手席に座った松葉が小声で謝る。聞きつけて、神田が後席からぴょこんと顔を出す。
「あれー? いつのまに名前で呼ぶようになったの? ねえ、僕も呼んでいい?」
「神田。シートベルトしろ。発車できない」
須原がバックミラー越しに千草をにらみつけている。憂鬱さが増したが、松葉が恐縮したようすで助手席で小さくなっているのを見ると、おかしさで気持ちがほぐれていく。
「松葉さん、窮屈でごめんね。膝、当たってない?」
「ねえ、千草ちゃんって、阿波弁は話さないの? 阿波弁、可愛いよね、ゆったりしてて。役所のひとはけっこうがっつり関西弁って感じだったから、女のひとが話すの聞いてみたかったんだけど」
神田の脳天気な感想にイラッとしたせいか、気の利いた返答はできなかった。
「わたしは、母が神奈川県の出身だからか、話せないの。祖父や父はふだんから方言だよ。女のひとが話すのは、叔母や姉が来たときにでも聞けるんじゃないかな」
「ふうん、そっか。単語のアクセントも面白いよね。電話で職員さんと話したとき、阿波藍の『あわ』が、石鹸の泡とおんなじアクセントで、最初はよく聞き取れなかったな」
延々と続きそうな神田のおしゃべりに、千草はタイミングを見計らうことを止した。車を発進させ、思いたって、松葉に実家への連絡を頼む。
千草と無事に合流できたことを報告する松葉の声に、神田が黙る。電話の相手は女性のようだ。よかった、これで祖父が伝えそこなっていても、隊員たちの到着を母が把握できた。
ほっと息をついて、ステアリングを握りなおした千草の手を見て、松葉が小さな声で尋ねる。
「手に書くのは、クセ?」
「ううん、出先でパッとメモが出せなかったものだから、つい」
今日の今日まで、地域おこし協力隊員が来ることを知らされていなかったから、車で出かけてしまったのだと、千草は祖父との行き違いをかいつまんで説明する。
「じいやんのことばが足りないのは、いつものことなの。わたしも確認不足だった」
役場で聞かされたことを胸のうちでふりかえりながら、千草は松葉に話題を投げかける。
「どうしてまた、徳島なんかに来る気になったの? こんな田舎より、東京のほうが便利でしょうに」
Uターンで、過去にこちらに住んでいた自分でさえ、不便を感じる場面が多い。Iターンともなれば、なおさら、そうした場面は増えるだろう。
だが、松葉の口から飛び出したのは、思いもかけないことばだった。
「昔、徳島にいたことがあるんだ」
「えっ? 松葉さんも、こちらの出身?」
「いや、小学生のころのほんの一時期だけ、徳島市にいたことがあって」
「へえ! じゃあ、もしかして、阿波おどり踊れるの?」
徳島の小学校の運動会には、阿波おどりが付きものだ。期待したが、松葉は笑いまじりにかぶりを横に振った。
「それは残念! じゃ、ホント短い時期だけなんだね。実はね、わたしも幼稚園のころに二年だけ、神奈川の母方の祖父母の家にいたことがあるんだ」
母がなかなか地元になじめないことに端を発して、両親が冷戦状態になったときだ。就学している兄や姉は徳島に置いたままで、幼稚園児の千草だけを連れて、母は実家に戻った。千草の就学準備のためにと、徳島に戻るには戻ったが、その四、五歳という年頃がちょうど、言語の獲得時期に当たったのだろう。そのあと何年と徳島で過ごしているのに、千草はいまでも上手に阿波弁が話せない。話せるのは、お決まりのフレーズや、いくつかの単語だけだ。
「千草さんほど長くはないな。俺が徳島にいたのは、たぶん、小学校低学年のころ、夏休みのあいだだけだと思う。こちらで学校に通った記憶がない。父方のじいさんにひとりで預けられたんだ。両親が離婚準備に入ったせいだったけど、当時はわからなかったな」
長くて、二ヶ月ちょっと。住んでいたというよりは、長期滞在の部類だ。
「徳島には、十年ぶりだな。じいさんの葬式以来だ」
もう亡くなられているのか。それならば、何をよすがにここに来たのだろう。
「改めて来ようと思うような、何か良い思い出があったんだね」
ウィンカーのカチカチ言う音を聞くともなしに聞いて、信号待ちをするあいだ、松葉は静かな声音で言った。
「そうだな。──会いたいひとが、いるんだ」
千草はステアリング操作のあいまに、ちらりと松葉のほうを流し見た。彼は懐かしむようにほんのりと微笑んでいた。
「再会かあ。男友達? それとも女の子? ロマンチックな感じ?」
茶化したが、返答はなかった。やらかしたか。不安になって、すぐにことばを接ぐ。
「足になら、いつでもなるから、言ってね! 自動車保険が家族限定だから、貸すことはできないけど、車ならバンバン出すから」
ごまかすような申し出に、松葉は声をたてて笑った。
「千草さんから保険の話が出ると、ヘンな感じだな。俺自身は客になったこともないのに」
「わたしも、生命保険や学資保険がメインだもん。自動車保険までは売ったことありませーん」
軽い調子で返したら、後部座席から神田が口を挟んだ。
「そういえば、千草ちゃんはどうして徳島に来てるの? 長めのゴールデンウィーク?」
無遠慮な発言に、松葉が首を巡らせる。寄せられた眉に、気づいていて触れないでくれたのだとわかった。気遣わせてしまった負い目が、千草の口調を明るく弾ませる。
「辞めちゃったの! もうすぐ三十になるし、実家の近くで仕事探すのもいいかなあって」
「あんた、せっかく本藍染めの聖地にいるクセに、藍師の仕事、してないの?」
須原の鋭い問いかけに、暖まったはずの車内の空気が凍りついた。
「須原さん、はじめまして。深見製藍所からみなさまのお迎えに参りました深見千草と申します。製藍所の代表である弥吉は、わたしの父方の祖父にあたります。当面は実家住まいですので、何かとお会いする機会もあると思います。町内や近場への観光案内くらいなら、お役に立てると思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
なるべくていねいをこころがけたが、松葉と神田が会釈を返し、よろしくお願いしますと口にするのに対し、須原はにこりともしなかった。戸惑ったが、ここで争うつもりはないし、彼女の相手は製藍所の面々がするだろう。千草には直接関わってこないはずだと、自分を納得させる。
「では、行きましょうか。製藍所までは、三十分ほどで着きます」
先導していくと、背後で低めの女性の声がぼそりとつぶやいた。
「うざ」
たった二文字に胸をえぐられる。千草は聞こえなかったふりをして、後ろをふりかえる。
「みなさん、スーツケース以外のお荷物って、どうされたんですか?」
「僕は実家に預けてきちゃった」
「俺は処分した。こちらで必要なら、また買えば良いかと思って」
須原は答えない。千草は笑みを深め、車のロックを遠隔で解除し、荷室のドアを開く。
「三列目の椅子はたたんでしまっているので、スーツケースはぜんぶここに入るはずです」
「りょーかい!」
くだけた敬礼をして、神田が自分のスーツケースと須原のものを持ち上げる。こちらは平気そうだなと、運転席に回ると、助手席のドアが開いた。
「須原さんは助手席にどーぞ」
神田がエスコートするように須原を促す。だが、彼女は甘えるような上目遣いになった。
「──あたし、まさくんの隣がいいなぁ」
だが、神田は引かなかった。それを見て、須原は顎で助手席を示しながら、松葉に声をかけた。
「松葉さん、早く座ってよ。からだ大きいんだし、助手席のほうが楽でしょ?」
めまいがした。何が、甲乙つけがたい、だ。聞き分けのない幼児を相手にするような気分で、千草は運転席に収まった。
「すみません、千草さん」
助手席に座った松葉が小声で謝る。聞きつけて、神田が後席からぴょこんと顔を出す。
「あれー? いつのまに名前で呼ぶようになったの? ねえ、僕も呼んでいい?」
「神田。シートベルトしろ。発車できない」
須原がバックミラー越しに千草をにらみつけている。憂鬱さが増したが、松葉が恐縮したようすで助手席で小さくなっているのを見ると、おかしさで気持ちがほぐれていく。
「松葉さん、窮屈でごめんね。膝、当たってない?」
「ねえ、千草ちゃんって、阿波弁は話さないの? 阿波弁、可愛いよね、ゆったりしてて。役所のひとはけっこうがっつり関西弁って感じだったから、女のひとが話すの聞いてみたかったんだけど」
神田の脳天気な感想にイラッとしたせいか、気の利いた返答はできなかった。
「わたしは、母が神奈川県の出身だからか、話せないの。祖父や父はふだんから方言だよ。女のひとが話すのは、叔母や姉が来たときにでも聞けるんじゃないかな」
「ふうん、そっか。単語のアクセントも面白いよね。電話で職員さんと話したとき、阿波藍の『あわ』が、石鹸の泡とおんなじアクセントで、最初はよく聞き取れなかったな」
延々と続きそうな神田のおしゃべりに、千草はタイミングを見計らうことを止した。車を発進させ、思いたって、松葉に実家への連絡を頼む。
千草と無事に合流できたことを報告する松葉の声に、神田が黙る。電話の相手は女性のようだ。よかった、これで祖父が伝えそこなっていても、隊員たちの到着を母が把握できた。
ほっと息をついて、ステアリングを握りなおした千草の手を見て、松葉が小さな声で尋ねる。
「手に書くのは、クセ?」
「ううん、出先でパッとメモが出せなかったものだから、つい」
今日の今日まで、地域おこし協力隊員が来ることを知らされていなかったから、車で出かけてしまったのだと、千草は祖父との行き違いをかいつまんで説明する。
「じいやんのことばが足りないのは、いつものことなの。わたしも確認不足だった」
役場で聞かされたことを胸のうちでふりかえりながら、千草は松葉に話題を投げかける。
「どうしてまた、徳島なんかに来る気になったの? こんな田舎より、東京のほうが便利でしょうに」
Uターンで、過去にこちらに住んでいた自分でさえ、不便を感じる場面が多い。Iターンともなれば、なおさら、そうした場面は増えるだろう。
だが、松葉の口から飛び出したのは、思いもかけないことばだった。
「昔、徳島にいたことがあるんだ」
「えっ? 松葉さんも、こちらの出身?」
「いや、小学生のころのほんの一時期だけ、徳島市にいたことがあって」
「へえ! じゃあ、もしかして、阿波おどり踊れるの?」
徳島の小学校の運動会には、阿波おどりが付きものだ。期待したが、松葉は笑いまじりにかぶりを横に振った。
「それは残念! じゃ、ホント短い時期だけなんだね。実はね、わたしも幼稚園のころに二年だけ、神奈川の母方の祖父母の家にいたことがあるんだ」
母がなかなか地元になじめないことに端を発して、両親が冷戦状態になったときだ。就学している兄や姉は徳島に置いたままで、幼稚園児の千草だけを連れて、母は実家に戻った。千草の就学準備のためにと、徳島に戻るには戻ったが、その四、五歳という年頃がちょうど、言語の獲得時期に当たったのだろう。そのあと何年と徳島で過ごしているのに、千草はいまでも上手に阿波弁が話せない。話せるのは、お決まりのフレーズや、いくつかの単語だけだ。
「千草さんほど長くはないな。俺が徳島にいたのは、たぶん、小学校低学年のころ、夏休みのあいだだけだと思う。こちらで学校に通った記憶がない。父方のじいさんにひとりで預けられたんだ。両親が離婚準備に入ったせいだったけど、当時はわからなかったな」
長くて、二ヶ月ちょっと。住んでいたというよりは、長期滞在の部類だ。
「徳島には、十年ぶりだな。じいさんの葬式以来だ」
もう亡くなられているのか。それならば、何をよすがにここに来たのだろう。
「改めて来ようと思うような、何か良い思い出があったんだね」
ウィンカーのカチカチ言う音を聞くともなしに聞いて、信号待ちをするあいだ、松葉は静かな声音で言った。
「そうだな。──会いたいひとが、いるんだ」
千草はステアリング操作のあいまに、ちらりと松葉のほうを流し見た。彼は懐かしむようにほんのりと微笑んでいた。
「再会かあ。男友達? それとも女の子? ロマンチックな感じ?」
茶化したが、返答はなかった。やらかしたか。不安になって、すぐにことばを接ぐ。
「足になら、いつでもなるから、言ってね! 自動車保険が家族限定だから、貸すことはできないけど、車ならバンバン出すから」
ごまかすような申し出に、松葉は声をたてて笑った。
「千草さんから保険の話が出ると、ヘンな感じだな。俺自身は客になったこともないのに」
「わたしも、生命保険や学資保険がメインだもん。自動車保険までは売ったことありませーん」
軽い調子で返したら、後部座席から神田が口を挟んだ。
「そういえば、千草ちゃんはどうして徳島に来てるの? 長めのゴールデンウィーク?」
無遠慮な発言に、松葉が首を巡らせる。寄せられた眉に、気づいていて触れないでくれたのだとわかった。気遣わせてしまった負い目が、千草の口調を明るく弾ませる。
「辞めちゃったの! もうすぐ三十になるし、実家の近くで仕事探すのもいいかなあって」
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